2013年12月31日火曜日

210..「震災ゴジラ! 戦後は破局へと回帰する」 佐藤健志

評論文を読み慣れていないので、読み終えるまで苦労しました。

他の評論家の論説取り上げて批判する記載が多いですが、引用された評論家の元原稿を読んでいないので、同意も反論もできませんでした。評論家同士の論評会は、議論の世界が狭い気がしました。

論説テーマは、
「破局→変節→復興→破局(自滅願望)」
でしょうか。
それを、ゴジラ、バトルロワイヤル、アキラといった映画や小説を用いて解説していきます。

その解説に正直な所、あまり同意できませんでした。映画や本は、それぞれの作者の虚構の話です。それぞれの作者が表現したことがあるでしょうが、本書の解説は勝手な意味付けとしか思えませんでした。作品から観者が様々な感想を持てばよいのであって、自分勝手に意味付けして書籍化することの意味がわかりませんでした。

知らなかった映画や小説もあり、興味は惹かれました。読みづらい本を投げ出さずに最後まで読んだという点で自分の思考の苦手な部分を鍛えたという意味はありました。


2013年12月30日月曜日

209.「北天の馬たち」貫井 徳郎

前作「ドミノ倒し」とは異なり、実在の場所で風景もしっかり描かれているので、物語にリアリティさがあります。

Episode1,2は凡庸なストーリーで話に抜けが見えますが、それはEpisode3への伏線で、3に入ってから物語が別の様相を呈してきます。

全体として、貫井徳郎らしくはまとまっているものの、期待の八掛けといったところでしょうか。

飛び抜けて素晴らしいわけではありませんが、最後まで楽しめることができます。





2013年12月29日日曜日

208.「いやでも人生が好転する! ウラ目の法則 ピンチを成功に変える㊙テク」 西田文郎

努力するとウラ目が出る。
そのウラ目を引っくり返すと幸福になる。

ウラ目は進歩ではなく、進化をもたらし、真実の友を授ける。

そして、ウラ目は何歳からでも、引っくり返せる。

読むと勇気が湧いてくる本です。




2013年12月28日土曜日

207.「モノを捨てよ世界へ出よう」 高城 剛

非常な日本悲観論から海外へ出ることを提案しています。

現代を幕末とそっくりといちすけ、維新の志士たるべきと鼓舞します。
少し浅薄な歴史論が進みますが、これで外国へ行くメリットを根拠付けています。住居や物に囚われず、世界各地に移り住み、その地で仕事することの提案です。
そして、後半は世界各地の観光ガイドや留学ガイドの様な体をなしています。
後半やたらとカタカナが多くなり、何を言いたいのか訳が分からなくなっていきます。

結局、この本で言いたいことは、「外国に住んでみろ、そうすれば物の見方が変わる」ということに尽きるように感じました。
海外に行けば、確かに新しい価値観に触れますが、それが全ての人に有効ではないことが、多くのバックパッカーが成功しているわけでないことからも明らかです。
外国に行って変わるためには、何かが必要なのではないでしょうか。
それは行く人の目的、問題意識、言語等の知識等、これまで日本で磨いてきたもんでしょう。
何もない人がただ海外に行っても「楽しかった」で終わるものと思います。

深い思想を学ぼうとせず気軽に読める一冊です。




2013年12月27日金曜日

206.「「商い」で成功した江戸商人「ビジネス」で苦しむ現代人」植西 聰

近江商人は、仏教の精神を商いに活かしていたとうい著者の主張を基に、江戸時代の商人の道徳に富んだ商いの思想や行動様式を説明しています。

本書では、経営手法より正直さが成功の秘訣と説いています。

リーマン・ショックや食品偽装問題から考えるとあながち否定できません。

高いお金と時間を費やしてMBAを取ることの意味って何だろうと思ってしまいます。

仏教について、勉強してみたいと思いました。



2013年12月26日木曜日

205.「(株)貧困大国アメリカ」 堤 未果

クリントン政権は、1996年に農業を自由化する「新農業法」を成立させ、減反政策および所得補償制度を廃止、生産量は生産者が自由に決定できるようにした。

この改正によりフル生産が可能になり、生産量が急増して価格は下落、生産効率の悪い中小規模の農家は競争にされされ、生産効率を上げるために新しい技術、新型の機械、より大量の農薬導入を繰り返すことになった。

だがこれは、生産コストを下げるために大量生産することで生産高を増やし、市場価格を下落させるという悪循環を生んでしまう。

大量生産できない伝統的農業や生き残るために工業式に切り替えたものの、長期にわたる価格下落で設備投資を回収できなくたった中小農家は、次々に破産していった。

TPP参加賛成派は、TPP参加が日本の農業の効率化や輸出強化につながると主張しています。
しかし、上記は日本の農業の行く末を暗示しているようで不気味です。

第2次世界大戦の終結により、大国の政府による植民地化が終わったように思えました。
しかし、現代では、企業による植民地政策が始まり、その資金力によって政府が動かされているようです。
(青字部分は、本書からの引用)








2013年12月25日水曜日

204.「波止場日記―労働と思索」エリック ホッファー

沖仲士の哲学者、エリック・ホッファーの1958年6月1日から1959年5月21日までの日記。

ビジネス本でよく、「本は借りずに買え。そうしないと、内容が身につかない。」と書かれていますが、ずっと疑問に思っていました。

何故、同じ本を読むという行為なのに、借りると身につかず、買うと身につくのか、と。

沢山買うとスペースも必要となるし、お金もかかる。図書館で借りて、必要なところをノートに転記すれば、スペースもお金も必要ない。

これでいいのだろうかとずっと確信を持てずにいました。しかし、本書でホッファーも、図書館で本を借りて、デイブックという、どこに行く場合にも持っていくノートに保存する価値のある引用文とか思想を全部写しとり、ノートに一般になると検討すると書いてあったので、自分のやり方に自信が持てました。

この日記でホッファーは、波止場に行っても仕事にありつけない日が多々あり、生活への不安感も口にしています。その不安から逃れるように思索に向かっていきます。

毎日単純労働に明け暮れますが、彼の思索は高度であり、学校教育を受けていないゆえに独創できです。そして、日々肉体労働に従事しているため、彼の考えは机上の空論ではなく、現実に則したものとなっています。

学校教育だけが学習の場でありません。現代では、学歴は思考の深さを証明するものではなく、履歴書でのブランドとなっています。

彼の生き方を見ていると、企業での立身出世や、IPOでお金持ちになることが、成功の全てや幸せの在り方ではないと思わせてくれます。

2013年12月24日火曜日

203.「聖痕」 筒井 康隆

5歳の時に男性器を切り取られた美少年、貴夫の生涯を描きます。

昭和40年代から東日本大震災後の日本を舞台に、性欲から派生する欲望に囚われない主人公が、欲望渦巻く時代を洒落に生きていきます。

リピドーを失った彼に残された関心は味覚。その研ぎ澄まされた感覚により、食の世界で独自の世界を切り開き、周囲の人達にも大きな影響を与えていきます。

土地、株、性欲にまみれた世の中が狂乱するなか、人間の生きる基本である「食」を追求して生きた彼は、時代に翻弄されず、着実に成功していきます。

それは、彼の性器が「スケープゴート」となり、あらゆる贖罪から彼を守ってくれたからでしょうか。

文章に改行がほとんどなく、段落分けも4つ位しかないため、最初は非常に読みにくかったです。
慣れてくると、連続する文体が登場人物の心理の混乱をうまく表現していたり、枕詞を使うことで古文のような味わいを出したりして、一気に読めました。

貴夫が幼稚園の頃、お遊戯で「受胎告知」の天使ガブリエルを演じます。これは後に性交渉のない自分の妻、夏子に自分の妹を娘として授けることを暗示しているようです。

物語に聖書をモチーフにしているような感じがしていて、非常に深い作品でした。



2013年12月22日日曜日

202.「やむなく副業を始める人が読む本」関 行宏

ごく一般的な副業のおすすめ本。
副業をテーマにした本を全く読んだことがない人には目新しいが、同じテーマの本を読んだことがある人にはとっては、殆ど知っている内容です。

なぜ副業すべきか、どんな副業があるか、本業の会社への対応、確定申告という内容が書かれていますが、ほぼ、他の本の焼き直しで、著者のオリジナリティはありません。

もっと、実際に副業をしている人の様々な仕事や、副業によって本業にどのような影響があったか、副業したときの請求方法や入金口座の運用、請求書の発行など、具体的な実体験を知りたかったので、正直、物足りませんでした。

2013年12月21日土曜日

201.「藝人春秋」 水道橋博士

プロインタビュアーの吉田豪さんがラジオで言っていたが、
「本を全く読まない前田敦子さんが読んだ唯一の本」とのこと。
ホントかな?

特にインパクトに残った人は、そのまんま東、テリー伊藤、ポール牧の3人。

この3人は本当におかしいい。どうかしている。人格が破綻しているとしか思えない。
それなのに、それだから、飛び抜けたことをする。

この本に書かれている人達から学べることは殆ど無いが、自分らしく精一杯やっていけば、それが個性なんだと思いました




2013年12月20日金曜日

200.「営業マンは断ることを覚えなさい」石原 明

この本のことは以前から知っていましたが、正直な所、奇をてらったタイトルと感じてしまい、これまで敬遠していました。

Podcast「石原明の経営のヒントプラス」を聞くようになりそういった偏見がなくなったので遅ればせながら読みました。

結論から言うと、とてもよい本でした。
「営業マンは断ることを覚えなさい」という理由にも得心がいき、単に奇をてらったタイトルではないということがよく分かりました。

文庫本版は、2007年の出版と少し時間が立っていますが、決して色あせてはいません。

著者が提唱する4ステップマーケティングは、非常に実用的な内容で、とても勉強になりました。






2013年12月19日木曜日

199.「魂の昭和史―震えるような共感、それが歴史だ」 福田 和也

僕が考えていた昭和史とは、かなり異なっていました。

概して、日本人は昭和史に向き合うのが嫌いではないでしょうか。
それは、第2次世界大戦に対して何度も罪悪感を思い出すように強要されるように感じるからです。

多くの歴史観では、日本は中国、韓国等をはじめとするアジア各国を侵略し、真珠湾を不意打ちした挙句、なかなか降参しないので原爆を落とされ、やっと反省し降伏した。これまで、こう教えられたのではないでしょうか。

しかし、これは勝者側からの第2次世界大戦観かもしれません。そもそも日本の戦争当事者達は世界大戦を行ったという認識もなく、大東亜戦争というアジアでの局地戦を戦ったと思っていた可能性もあります。

本書では、日本は戦争に突入せざるを得なかったと位置づけられています。イギリスの産業革命、アメリカの大量生産による圧倒的な経済力と、それらを武器にした欧米の植民地化政策から日本を守るために、日本に地理的に近い朝鮮や満州を、欧州に先駆け、防衛ラインとして占領しました。
それは決して正当化できることではないですが、当時の日本にはそうするより他に策がなかったのかもしれません。

自由な通商を認められず、ブロック経済から弾かれた日本は、かつて欧米から自分がやられ、かつ当時も欧米が行っていた方法を真似しました。
それは、経済や戦力に劣る国に強引に乗り込み、不平等条約を結んで、その国の資源を強奪するという手口です。やられた方はたまったものではありませんが、やる立場に立つとあまり罪悪感がなかったのかもしれません。

しかし、米国はこの成金国日本を快く思わなかった。これまで自分達が築いてきた既得権に参入する新参者は気に食わなかった。

そのため、調子に乗った日本を叩き潰して自分達の言うことを聞くように憲法を作って、軍隊を解体して無防備にし、食習慣なども米国風に変えて、米国へ依存しなければ国家として存立できないようにしたという考え方も、この本から導き出せます。

2013年12月18日水曜日

199.「毎日○×チェックするだけ! なぜかお金が貯まる手帳術」 野呂 エイシロウ

タイトルから想像するほど、手帳を使った仕組みは書かれていませんでした。

1. その日のお金の成績を◯☓で手帳に記入する
2. 日曜日の夜に、その週の成績を◯☓で手帳に記入する
3. 一ヶ月の終わりに、その月の成績を◯☓で手帳に記入する

手帳に関しては、この3つだけなので、手帳によるお金の管理の本ではありません。内容のうち象徴的で、手帳好きな日本人が惹かれるようなタイトルを付けたのでしょう。

筆者が実践して効果的だったお金の管理のヒント集です。
簡単にまとめると、使うお金をシミュレートし、使ったお金を記録し、日、週、月単位で評価する。毎日、銀行口座から39,000円を引き出して、翌日に残ったお金を預け入れて、また新たに39,000円を引き出す。

つまり、管理会計とキャッシュフロー管理の個人版という感じです。

著者はこのやり方で借金から逃れ、預金できるようになったので、向いている方には効果があると思います。

2013年12月17日火曜日

198.「殺生伝 疾風の少年」 神永 学

いつも通り読みやすいので、最後まで一気に読んでしまいましたが、物足りなさを感じます。

今回の話は、物語の設定にオリジナリティが感じられません。
九尾の狐、砕けて全国に飛び散った石、全て揃うと九尾の狐が復活する、石を持って生まれたことにより体内に九尾の狐を有する娘、口から妖魔が入り込むことで妖魔に支配される等、どこかで聞いたことがあるプロットばかりでした。

歴史ファンタジーという、著者にとって新分野のため、実力が出し切れていないのでしょうか。

シリーズ化ということなので、2作目以降からの新しい展開を期待します。

2013年12月16日月曜日

197.「現代中国の父 鄧小平(下)」 エズラ・F・ヴォーゲル

下巻は、鄧小平が権力を掌握した後について書かれています。そのため、鄧小平本人よりも彼に任命された人達の功績と悲哀が描かれます。

鄧小平が主役ではないので、あまり面白くないのかなと思っていましたが、上巻以上に面白い。鄧小平は毛沢東から3度失脚させららましたが、鄧小平自身は華国鋒、胡耀邦、趙紫陽を失脚させ破滅させます。

特に、勉強になったのが、第2次天安門事件の経緯と現在に至る反日思想の形成過程についてです。

反日思想の形成過程について簡単に記すと、以下のようになります。

>天安門事件後
 諸外国からの天安門事件に対する制裁。
 ソ連と東欧諸国が崩壊し、中国も瓦解の危機。
 マルクス・レーニン主義に若者が共鳴しない。

>愛国主義へのイデオロギー転換
 高度経済成長による祖国への誇り
 中国を不当に批判する外国への反発
 諸外国の台湾支持
 南シナ海、東シナ海の島の領有権主張への反発
 チベット人など少数民族の処遇に対する批判

>第2次世界大戦中の反日宣伝工作の復活
 靖国神社参拝
 南京大虐殺

>強い反日感情

>中国j指導者への支持

1991年後半から教科書、講演、メディアを活用した、より体系的な手法を開発し、これを浸透させたそうです。

こういった話は、日本側から見た謀略説かと思っていましたが、ヴォーゲルも記載しているので、日本人だけの思い込みでないようです。
これを前提に考えると、今回の唐突とも思える防空識別圏の設定も、天安門で起きた自爆から眼をそらすためとも考えられます。

そうは言っても、鄧小平が望んだように、他国との良好な関係も重要ですから、愛国主義との両立が今後の中国の課題となるそうです。

ところで、この本には毛沢東批判ともとれる記載があるため、中国では発売されないだろうと思っていました。
しかし、中国版のアマゾンを見ると、上巻がすでに発売されており、驚きました。
2013年12月13日時点で776件ものコメントが寄せられており、関心の高さが伺われます。
そして、本の評価も5つ星が圧倒的に多く、中国は大分開かれてきているなと感じました。

 

2013年12月13日金曜日

196.「図書館内乱 図書館戦争シリーズ(2)」有川 浩

図書館戦争シリーズの2作目。
長編と思って読み始めたら短篇集だったので、少しガッカリしましたが、読み始めたら面白くて止まらなくなりました。

一作目では割りと平板だったサブキャラクターにクローズアップして、その人となりが深堀りされます。

「恋の障害」では、ソツがないゆえに魅力に欠けていた小牧の人間的な面が明らかになり、好感が持てました。この話が一番せつなく、好きです。

図書隊VS良化委員会という単一の構図から、図書隊VS未来企画、さらに図書隊内での原則派VS行政派という複数の構図が生まれ、シリーズに厚みを与えています。

2013年12月12日木曜日

映画「ワンドゥギ」


【内容】
将来の展望も夢もない高校生のワンドゥクは、体に障害を持つ父親と風変わりな叔父との3人暮らし。貧しく複雑な家庭環境で隣の家に住む担任教師のドンジュにいつも口うるさく干渉される日々にうんざりしていた。そんなある日、ワンドゥクはドンジュから今まで知らなかった母親のことを知らされて・・・。

韓国映画でよく思うのは、住宅街に坂が多いこと。この映画でもソウル近郊という設定ですが、狭い坂道の両脇に小さい家が密集して立っています。
私は韓国へ行ったことがないのですが、実際の韓国の住宅街もこのような感じなのでしょうか。

ワンドゥクは、貧しい地域に住んでいますが、その地域にはフィリピンやインドからの移民が沢山住んでいることに驚きました。考えてみれば、韓国より貧しい東南アジアの国々は沢山あり、韓国に流れていくのも当然ですね。それでも意外でした。

韓国では、大学への進学率が非常に高いものの、大学を卒業しても就職できない若者が沢山いると聞きます。
そんな中で、家は貧しく援助物資に頼り、勉強はクラスのビリで喧嘩ばがりしているワンドゥクの将来は全く見えないでしょう。

それでも、彼が投げやりにならず、父や母に優しい態度で接しているのは、幼い頃から身体に障害を持ち、他人に笑われながらも一生懸命働いている父の姿から、親に対する感謝の気持ちと何とか生きていけるという信念が育まれたからだと思いました。

195.「ぼくだったら、そこは、うなずかない。」 石原明

普通と違う観点で物事を考えるためのヒント集です。

「勉強、勉強!平日の夜はセミナー、週末はビジネス文書を読破するぞ。」
→そりゃ大変。どんどん馬鹿になっちゃうよ。

ビジネス書やセミナーで言ってることは、経済が右肩上がりの
時に実行して成功した「現場へ行け」とか「顧客に会え」という過去の成功例だから、今鵜呑みにするとどんどん馬鹿になっていく。
本書の著者もビジネス書やセミナーを精力的に行っているのに、こう言っているのは、自分は違うという強い自信の現れでしょう。

「変化が早すぎて、資料や議事録の整理が追いつきません。」
→いっそ捨てちゃえば?

なかなか、その場で捨てるというのは私には難しいですが、捨てる仕組みを作りたいです。


「夢に日付を入れました!」

→はい、消しゴム。

「夢に日付を入れる」って一時流行りましたよね。私はその本を読んでいませんが、成功者のキャリアは偶発的に形成されたものが殆どという研究結果は、納得できます。夢は持ちつつ、日付を入れるほどまで拘らないで、まずは思いついたことをやってみるというのが好きです。

(青字部分は、本書からの引用)

2013年12月10日火曜日

194.「ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」 リンダ・グラットン

評判がよいので期待していましたが、私には響きませんでした。

2025年の働き方を説明するために、2部を使って、当たるかどうかわからない、安いSFのような文章が永遠に続きます。

結局は、訳者あとがきに書かれている解説が一番シンプルで分かりやすかったです。

<第1のシフト>
一つの企業でしか通用しない技能で満足せず、高度な専門技能を磨き、ほかの多くの人たちから自分を差別化するために「自分ブランド」を築くこと

<第2のシフト>

難しい課題に取り組むうえで頼りになる少人数の盟友グループと、イノベーションの原泉となるバラエティに富んだ大勢の知り合いのネットワーク、そして、ストレスを和らげるための打算のない人間関係という3種類の人的ネットワークをはぐくむこと

<第3のシフト>

大量消費主義を脱却し、家庭、趣味、社会貢献などの面で充実した創造的経験をすることを重んじる生き方に転換すること

えっ・・・・・・ つまり、①専門技能を磨き、②人脈を創って、③仕事以外の面も充実させるってことなの?


それって、よく言われてますよね。その結論を導き出すために、383ページを費やして、2025年のシナリオを書くことが必要だったの?

この3つができれば、エネルギー問題に対応し、スラムから抜け出せるのだろうか?
そもそも、スラムに生まれついたら、この3つは実行できないでしょう。

要するに、緩やかに衰退している先進国に生まれついた人達が人生に失望しないで生きていくための働き方の本に読めました。

193.「「成功曲線」を描こう。 夢をかなえる仕事のヒント」石原 明

「成功曲線」とは、長い下積みの時期を過ぎた後、目標に向けて急激に上昇カーブを描く曲線のこと。

一般的に、上昇を描き始めてから周囲から注目されるので、努力すれば直ぐに結果がでるように思われがちですが、上昇カーブを描く前に長期の努力期間があります。

その「成功曲線」の低い部分の時期を乗り越えるためには、「仕事は親切」「仕事は仮設と検証」「成功すれば次の現実」を毎日呪文のように唱えることだそうです。

そうして、努力が成功の根拠を満たした時、成功は向こうからやってきます。そして、「自分で自分の成功を止められない」という状況になるそうです。

非常にヒントや示唆に富んだ本で、勉強になります。

2013年12月9日月曜日

192.「[完全理解]LinkedIn リンクトインがわかる本」 江藤 美帆

この本と首っ引きでリンクトインをいじってみましたが、何かおかしい。
そう。リンクトインの画面構造が本書とは全くと言っていいほど変わっているのです。本書の出版日は2012年1月21日でリンクトインを使った日は2013年12月5日。出版日から約2年が経過しているのだから、仕方がないですね。
したがって、残念ながら、本書は、ガイド本としては最早役に立ちません。
本書で絶賛されているQ&Aもリンクトインのホームページで確認いたところ、既に廃しされていました。

本書で2年前にこんなに絶賛されていたリンクトインですが、日本ではそれほど普及していないということは、我が国では今後もあまり広がらない気がしました。

2013年12月8日日曜日

191.「そして日本経済が世界の希望になる」ポール・クルーグマン

著者は、「アベノミクス」を大変高く評価しており、標題はその効果が現れた時、世界経済を牽引するとのことです。

 失われた20年から脱却するためには、インフレーションが必要であり、2%のターゲットどころか、4%が最も良いと言っています。

 また、過去15年間の研究から、自国の通貨で借金する国は、借金レベルが高くても、公債について悩む必要はないとも言っています。
 つまり、日本で騒がれている「国の借金」(正確には政府の借金)は、殆どが郵貯などが日本円で買っているので、問題とならないということです。
 また、あわてて返済しようとしなくても、インフレーションが進んでいけば、かつてのイギリスのように自然に減少していくとのことです。

ただ、著者が不安視しているのは、「少子高齢化」と「消費税率アップ」です。OECDは、消費税率アップの実施を要求しているが無視すべきと言っています。なぜなら、3%を5%に引き上げた時に1998年リセッションの引き金となったからです。

クルーグマンは英語しか話せないが国際経済に携わっています。それは、アメリカが大国であるがゆえに、他国がアメリカの言語を学んでくれるからです。

日本の場合は、英語で意思疎通することは多大な利益をもたらす。英語はグローバル経済の入り口だから。それが眼前にある現実。まずは英語をマスターしなければはじまらない。

(青字部分は、本書からの引用)

190.「新商標教室」 小谷 武

商標について、非常に丁寧に解説されています。

豊富な審決と判決の蓄積から、実態に則した商標論が語られています。

長年に渡る審決と判決を独自の観点から分析、データベース化し、その情報を基にした説明は、他者の追随を許さないものと思われます。

特に、商標の社会通念上の同一についての部分が大変勉強になりました

2013年12月6日金曜日

188.「輝天炎上」 海堂 尊

「螺鈿迷宮」の続編。
他の方の書評を読むと、「螺鈿迷宮」を読んでおくのは勿論のこと、「ケルベロスの肖像」も読んでいた方が更に楽しめそうです。

前半は、天馬と冷泉のやりとりがライトノベルのような雰囲気でラブコメを読んでいるような感じになります。
中盤から桜宮家の復讐劇が始まり、事態が一転緊迫してきます。

後半はその中盤の出来事を裏から見たような作りになっており、結末に向けてテンポよく話が展開していきます。

結末ははっきりと書かれていませんが、明るさを感じさせる終わり方で読後感がいいです。

189.「月3万円ビジネス」 藤村靖之

月3万円ビジネスは、暇な時に空いた場所でやります。

月3万ですから暇だらけ。上手に組み合わせれば、いくつものビジネスを併行できます。

月3万円ビジネスを10個やれば30万円の収入になり、生活もできます。

借金をせず、営業経費をかけず、ネット売りや卸売りをしないで、少量を人脈で打っていくというビジネスモデルなので、利益は上がりそうです。

ただし、固定費用をかけない分、都会で専業というわけにはいかず、田舎で地元の人と協力しながらでないと出来なさそうです。
(青字部分は本書からの引用)

187.「1日1分 元気になる法則」 福島 正伸

「人は、うまくいかないことで試されたり、うまくいくことで試されたりする」
 人は、ものごとがうまくいかないときに、あきらめずに努力を続けられるか、本気でやれるかどうかを試されます。また、それとは逆にうまくいっているときにも、本気でやっているか、勝って兜の緒を締められるかどうかを試されているのです。

自分の体験を振り返っても、その通りだと思います。

弁理士試験になかなか受からなくて苦しかった時は、弁理士になりたいという決意の強さを試されていたのだと思っていました。
 また、逆に営業マンの頃、MVPを取ったりすると有頂天になり、周囲の人に傲慢になったり、将来に向けて新しい手を打たずに過ごしたりしました。
失意泰然、得意淡然ともいいますが、落ち込んでいるときでも普段通りに、うまくいっているときにも淡々としていたいものです。
 
いろいろな気付きが与えられて物の見方が変わったり、今、とても気にしていることが、実は大したことではないと思わせてくれる本です。

(青字部分は、本書からの引用です)

2013年12月5日木曜日

186.「なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか―キャリアにつながる学び方」浦坂 純子

なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか・・・その理由は、
①大卒者の方が高卒者よりも働く上で「一応は」有利だから、就職に際して門前払いをされるリスクが低いこと、
②労働条件のいい仕事や職業に就きやすいこと、③賃金が高いこと
とのことです。

 もうこれで、本書のタイトルに対する結論が出てしまっています(笑)。

 それ以外の部分では、①数学で大学受験した人は、大学でも高い学業成績を取り、生涯にわたって、より高い年収や職位を獲得できることなどが書かれています。

 日本標準職業分類についても触れられています。
平成21年12月版日本標準職業分類では740の職種があります。
私は弁理士ですが、弁理士という職業は、日本標準によると、

大分類 B-専門的・技術的職業従事者
中分類 17-法務従事者
174 弁理士

となります。

(青字部分は、本書からの引用)

2013年12月4日水曜日

185.「職業は武装解除」 瀬谷ルミ子

著者は、女性でありながらも世界の紛争地で武装解除プログラムを実施されている方です。

ご専門は、DDR。すなわち、
Disarmament:兵士の武装解除
Demobilization:動員解除
Reintegration:社会復帰
です。

子どもを洗脳し、軍のいいなりになる都合に良い「兵士」とするため、上官は誘拐した子どもを脅して自分の住んでいた村を焼き打ちさせたり、親や教師を殺害させたりする。こうすることで、子どもたちは帰る場所がなくなり、軍で過ごす以外居場所がなくなる。

小説「ジェノサイド」では少年が母親を犯し、映画「魔女と呼ばれた少女」では少女が両親を射殺する描写が描かれています。信じられないような話ですが、実際に行われているようで悲しくなります。

和平合意の際は、武装勢力が武器を手放して兵士を辞めることと引き換えに無罪にすると明記される。シエラレオネでも兵士たちは恩赦を与えられ、経済的に不満を抱かないよう一般市民として生きるために手に職をつける権利を得た。
一方で、家族を失ったり、身体に障害が残ったり、家を失い避難民となっている「被害者」に同じレベルの恩恵が行き渡ることはめったにない。加害者の人数と比べて被害者の数が圧倒的に多いからだ。
シエラレオネでも最終的に武装解除された兵士の数が7万2,000人ほどであるのに対して、死者数は推定5万人、被害者数はおよそ50万人である。

加害者が優遇され、被害者が何の補償も受けない現実にショックを受けました。武装解除させるために、加害者側に恩赦が与えれれるというのは、言われてみれば、そうしなければ解除に応じないので、必要です。しかし、その一方で、腕を切り落とされて仕事もできない加害者に対して、何らの補償もないことは、やるせなさを感じます。
まずは、加害者側に武装解除させ、平和を取り戻し、政治を安定させて、経済を発展させる。その上で被害者を救済するということにせざるを得ないのでしょうか?

「日本では、最近、婚活っていうのが流行っているんだよ。ちなみにソマリアの恋愛市場で人気のある男性ってどんなタイプ?」
「ソマリアで人気がある男性は・・・・・・国連職員か、海賊かな。」

海賊が結婚相手として憧れるの対象であるとは想像もつかず、ビックリしました。ソマリアの海賊と言えば、貧しい生活を送る元漁師と思っていたからです。しかし、現在では、他の職種より稼げるようで女性に人気があるようです。稼げるし女性にもてるということであれば、漁師以外からも希望者集まるため、いくら海賊を捕まえても、根絶やしにできないということでしょうか。


(青字部分は本書からの引用です。)

2013年12月3日火曜日

184.「INVISIBLE MAN」H. G. Wells

「透明人間」というテーマはよく知られていますが、実際に本を読んだことがありませんでした。
 
 自らが開発した薬品によって透明人間にとなってしまった科学者が、ロンドン郊外に小さな村で引き起こす恐怖やパニックを描いています。

 透明となってしまった科学者の孤独や絶望が描かれています。


 透明人間の映画を現代版で作ったらヒットするのではないでしょうか。

2013年12月2日月曜日

183.「「心理戦」で絶対に負けない本(文庫) 敵を見抜く・引き込む・操るテクニック」 伊東 明、 内藤 誼人


 経営コンサルタントの石原明さんがポッドキャストで薦めていた本です。
 石原さんによれば、NLPまでいってしまうと難しくて初心者には実行できないので、このレベルの内容を読んで、気に入ったテクニックを1つ手に書いて実行していけば効果があるとのこと。
 学術的でなく、心理学を勉強したことがない人でも読みやすくて、実践できそうな内容です。

「影響力の武器」(チャルディーニ著)で紹介された3つのテクニック
1. フット・イン・ザ・ドア・テクニック
2. ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
3. ロー・ボール・テクニック
が簡潔ですが、分かりやくす説明されています。

自分が交渉する際にも、他人から騙されそうな時でも知っていれば役に立つ知識です。

2013年11月30日土曜日

182.「不肖・宮嶋の「海上自衛隊ソマリア沖奮戦記」 」宮嶋 茂樹

この方の著作を初めて読みました。独特の文体で読みやすく好感が持てました。

内容は、ソマリア沖での海上自衛隊の活動のレポートです。
正直なところ、ソマリアの海賊については、
先進国に漁場を荒らされた漁師が
内戦に使われた武器をとって、近くを航行するタンカーなどを襲い、
身代金を要求するといった程度しか知りませんでした。

また、自衛隊の派遣といった憲法では認められていない行為に
ついて法解釈により派遣したことについては、正直、自分の意見を
持っていませんでした。

そもそも、ソマリアは、スペインの植民地で後に半分をイギリスに占領され、
大した資源もないので始末に困ったイギリスが独立させ、
追うようにスペインも解放しました。
そのため、政治体制や社会資本は整備されておらず、とても貧しい国です。
海賊発生の原因は、イギリスとスペインの非道な扱いにもあると思います。

武器を携帯できないため、非殺傷兵器である「大音響指向性スピーカシステム」「で海賊を追い払った話や、海賊対策での海自派遣に反対するピースボートを海自が護衛した話など、知らなかった話ばかりです。

94ページと、とても薄い本ですが、内容はとても濃い本でした。
私が触れた情報が少なく、かつ、偏っていたため、
もっと、こういう情報をストックして、深く考えたいです。

2013年11月29日金曜日

181.「55歳からのハローライフ」村上 龍

取り立てて恐ろしいことは起きませんが、希望を見いだせない50代後半の暗澹とした描写が酷く恐ろしいです。
熟年離婚、ホームレス転落、高齢再就職、難病、一人暮らし等50代後半から現実に起こりやすい落とし穴をリアルに体験させます。

二人は、話し方や風体から判断して、間違いなく富裕(主人公)と同類の人種だった。つまり、元それなりの上場会社にいて管理職の経験がある。営業かエンジニアで東京の大学を出て首都圏に住居がある。こなれた標準語を使う。風貌には現役時代の自身の残滓のようなものが刻まれている。
ただ、肩を落として歩くその姿を見ると、周囲にはただの老人に映っているだろう。

「時間かけて自分にできること、やりたいことを必死にまとめたあげくに、差し出される仕事がビルの守衛や清掃というのは悲しくないか。」


一人がそう言うのを聞いて、富裕はやっと現実を把握した。中高年が再就職先を見つけるのは絶望的にむずかしいのだ。


この描写を読んで、まさに企業を辞めたかった場合の10年後の自分の姿だと思いました。

自分も営業職で、その虚しさから退職しましたが、やはり、40年近く営業職や管理職をやっても再就職には役立たたないのかと、悲しくなりました。
威厳を持って60代を生きていくには、自分のお客さんを持って、独立していなければならないと思いました。

主人公達が、暗い状況でもそれを現実を受け入れた時にその現実を新しい世界として見ることができ、微かだが確かな希望を見出すところに救いがありました。

(青字部分は、本書からの引用です。)




2013年11月28日木曜日

180.「イノセントブルー 記憶の旅人」 神永 学

前世を見せることができる才谷梅太郎が現世で悩み苦しむ人達を救います。この名前を見ただけで、ピンと来た人はかなりの歴史通です。

「ソウルメイト」という言葉が出てきますが、これは、飯田史彦さんの著作に出てくる考え方です。つまり、人は何度も生まれ変わり、同じ人達と引き付け合うように共に人生を過ごし、役割を変えながら魂を成長させるというものです。

本書でも、前世を見せることで、現世の悩みは前世に果たせなかった願いであると気付かせたり、現世の悩みから逃げ出すことは前世と同じことの繰り返しだとわからせたりします。

そして、前世の運命に囚われることなく、現世では新しい道を切り開くことができるのだというメッセージが伝えられます。

2013年11月27日水曜日

179.「エリック・ホッファー自伝―構想された真実」 エリック ホッファー

「沖仲仕の哲学者」エリック・ホッファーの自伝にして最後の著作。

労働、読書、思索という最も平凡な行為を積み上げ
哲学という最も非凡な宝石にまで磨きあげました。

7歳で失明し、15歳で突然視力を回復したホッファーは、
再度の失明をおそれ、失明する前にと、朝から晩まで読書に耽ります。

幼少の時に言われた「お前の寿命は40歳まで」という予言を信じこみ、
28歳の時、仕事に失望し、「今死ぬも10年後に死ぬのも何が違うのか」
と服毒自殺を図ります。

その苦しみの中で、本当は生きようと望んでいる自分に気づき、
自殺するのをやめた後、労働者として生きるのではなく、
放浪者として生きる決意をします。

金持ちの農場主が自分の財産を失うことを恐れる姿を見て、
ホッファーは、「自分は安全。季節労働の仕事は必ずあるから。」
と話しました。
持たないゆえ失うことのない安心感、
不安定ゆえ次に移れる安定感といったところでしょうか。

死を予言された40歳から、サンフランシスコの港湾労働者となり、
労働と著作の日々を送ります。
毎日違う職場、違う上司のもとで単純労働しながら、
頭の中では、ずっと思索していました。

60歳で仕事をやめた後は、著作に専念し、80歳過ぎまで行きました。
お金や地位や安定に囚われず、読書に生き、周囲から尊敬されるように
なった姿を尊敬します。

2013年11月26日火曜日

178.「気絶するほど儲かる絶対法則」 石原 明

「物はなぜ売れるのか。それは、いい物だから売れるのでなく、
よさそうだから売れる。」
似ているようで異なっている考え方ですが、実際にそうだと思います。

「営業マンは、実はお客さんと会っていないときにどれくらい情報収集をしたり、
考えたりする時間がとれるかというので決まるのです。」
これは、弁理士にも共通することだと思います。
どれだけ勉強していて、お客さんと会った短い時間の中で
どれだけお客さんを感動させるかが、お客さんから信用を得て
更に仕事をいただけるポイントだと思います。

営業に関して世の中で常識と思われていることを否定し、
本当に効果が上がる方法や考え方を教えてくれる本です。

2013年11月25日月曜日

177.「歴史をつかむ技法」 山本 博文

ちょっとタイトルと合っていない感じがしました。

第1章において、「鎖国」や「幕府」という言葉は当時は使われておらず、後世の歴史家が分類の便宜上名付けたという話や、歴史小説はフィクションが多く、歴史学とは異なり鵜呑みにできないという話がこれまでの思い込みを正してくれます。

しかし、それ以外の部分では、天皇制の歴史などに多くのページが割かれ、本来のテーマである「歴史をつかむ」という技法には殆ど触れられていない
ように感じました。

歴史を俯瞰する方法を期待すると、それに応えるのは難しいが歴史の面白トピックスに触れるにはよい本です。



2013年11月22日金曜日

176.「「これでいい」と心から思える生き方」 野口嘉則

著者が目指す方向がデール・カーネギーやスティーブン・R・コヴィー
のような社会教育者の方へ向かってしまった感じがします。

しかし、本書ではカーネギーが最初に失敗したと語っているのと
同じ轍を踏んでしまっています。
それは、「他人の著書のいい部分を寄せ集めて本を書くこと」。

自らの実体験やフィールドワークから導かれた結論でなく、
他人の著書の引用を使って、自己の主張の根拠としています。
また、例も、A子さん、B郎さんなど具体的でなく、
実話か作り話かが判然としませんでした。

私の心には響かない一冊でした。

2013年11月21日木曜日

175.」ドミノ倒し」 貫井 徳郎

月影市という、全く実在しそうもない場所が舞台。
風景描写や人物描写が少ないためか、星新一の小説を思わせる文体です。

「元カレの殺人容疑を晴らして欲しい」という、亡くなった彼女の妹からの依頼
を引き受けた十村が、月影市でこれまでに起きたいくつもの殺人事件に
巻き込まれていきます。

著者のこれまでの文体と異なるので、新しい分野への挑戦ということでしょう。
ミステリー要素が薄いですが、ユーモア小説としてみれば、悪くないのかもしれません。

2013年11月20日水曜日

174.「インディペンデント・サラリーマン入門 資産1億円なんて簡単 」加藤 隆



入門ということだけあり、複業のメリットが語られています。

会社員でいることのメリット、退職することのデメリット、
独立することのリスクが副業の根拠として記載されています。
その反対のメリットデメリットが記載されていないので、
客観性に欠けるように感じました。

「資産1億円なんて簡単」と、資産の大きさをアピールする場合は、
大抵、不動産事業です。本書もその例に漏れません。
そのため、実際の利益がどれ位あるのかは、わかりません。

また、不動産業はあまり手間がかからないという論調ですが、
実際には、物件探し、資金調達、空き家対策、住居者クレーム等
やることが沢山あります。
本当に利益を挙げていくためには、片手間ではできないと思います。

本書には、具体的な複業のやり方は書かれていません。
「複業」という考え方もありますよという紹介の書です。



2013年11月19日火曜日

173.「たった5人集めれば契約が取れる!顧客獲得セミナー成功法―全国No.1営業マンが初公開! 」遠藤 晃

本書が提案する<新たなセールスプロセス>は、
「集客→セミナー→無料個別相談→有料個別相談→契約→紹介依頼」
というもの。

セミナーを核として、セールスシステムを構築しています。

セミナーの集客目標は、たったの5人。
その理由として、
1. セミナー中に信頼関係を築ける人数は限られている
2. 一時期に個別相談できる人数は限られている
3. 少人数だとビジネスを早く軌道に載せられる
からです。

セミナーといえば、集める人数が多ければ多いほど
見込み客が増えるからよいと思いがちですが、
しっかりとビジネスに繋げるためには、5人でも十分なんですね。

2013年11月18日月曜日

172.「経済学の3つの基本: 経済成長、バブル、競争」根井 雅弘

3つの基本として、経済成長、バブル、競争を取り上げ、
ケインズ、ガルブレイス、ミシャンなどの学説を紹介しています。

薄い本で読みやすいのですが、その反面、説明が簡略なため、
私にはよく理解できませんでした。

理解するためには、原典にあたる必要がありそうです。

2013年11月17日日曜日

171.「90日で商工会議所からよばれる講師になる方法 」東川 仁

「金なし」「資格なし」「経験なし」「人脈なし」だった著者が6年かけて編み出した「商工会議所によぼれる方法」です。

著者が強調するように、「セミナーを行うのは、顧客獲得のため」であり、そのためには、自主セミナー講師ではなく、「呼ばれて講師になるべきだ」そうです。

その内容は実践的で、実行することは決して簡単ではないですが、実行すれば、本当に商工会議所に呼ばれそうです。

2013年11月15日金曜日

170.「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 東野 圭吾

5つの短編小説が撚り合わさって1つの長編を形取るといった凝った構成。
さらに、1979年と2012年という違う時代も絡まり合って
奇妙な整合性を物語に与えています。

5つの話のいずれもが、心が暖かくなる話です。

ただの雑貨屋の店主である浪屋雄治さんだが、
実に人に対して温かく、心が広い。
そのやさしさが、多くの人を救うところに、心惹かれました。

2013年11月14日木曜日

169.「何があっても一家4人を食わせていくだけのお金を稼ぎたいならスモールビジネスをやるしかない」 中村裕昭

士業について書かれた部分が大変参考になりました。
(以下、青文字が引用部分)

「行政書士の資格がなければ、行政書士としての仕事はできません。
しかし、行政書士としての仕事をしてもお金を十分に稼げない人もいます。
自分が携わるビジネスで大切なことは、お金を稼ぐことです。
それは集客でありセールスです。
自分を飾るための資格を取る暇があったら、マーケティングや
セールスを学び、実践し、お金を生み出す知識を身につけた方が
いいのです。」

その通りだと思います。
私も弁理士の資格を取った後に、中小企業診断士や
弁護士の資格取得を検討しました。
しかし、投資に見合う収益が得られないことと、
複数の高度な専門分野で継続して専門性を磨くことの困難さから、
ダブルライセンスの取得を止めました。

「資格を活かしたビジネスは、マンパワーが必要な
ビジネスモデルでもあります。
行政書士や弁護士は、基本的にはその資格を持った人が
対応する必要があるからです。」

顧客は勤務先より、先生個人で仕事を依頼します。
そうすると、どうしても受けられる仕事の限界点があり、
そこが収益の限界となります。
その上で収益を上げるには、高度な専門分野に特化して高価格にするか、
一般的な分野をマニュアル化して、実務はスタッフに任せ、
薄利多売にするかです。

「顧客をどのように集めるかといった問題や
価格競争に陥りやすい、ライバルが多い、すぐにマネされるなど、
頭ひとつ抜けたと思っても、その優位性はすぐに失われる可能性が
常につきまといます。
また、ネットだけを中心に事業展開すると、実体がわかりにくく、
はじめは受け入れてもらいにくいデメリットもあります。」

士業は装置産業ではないため、マネされやすい業態です。
その中で、顧客から選んでもらえるためには、
パーソナルブランドを高めることと、常に進取の気性を持つことでしょうか。

「集客から収益が上がる仕組みをいかに上手く構築できるかが
成功と失敗の分岐点となります。」

そのなかでも、特に集客の仕組みを作ることが重要なポイントです。

2013年11月13日水曜日

168.「稼ぎが10倍になる「自分」の見せ方・売り出し方」 野呂エイシロウ

サラリーマンとして給与を増やすという内容ではなく、個人事業主として売上を10倍にする方法をアドバイスしています。

具体的な方法は、自分の肩書をはっきりさせた上で、ブログによってネットで有名になるということ。
自分の専門分野について、毎日ブログに読者の役に立つ記事を
3年間に亘って書き続けます。

そうすると、記事が1,000本を超えて武器になります。
ブログを毎日更新して、それをフェイスブックやツイッターといって
SNSツールでお知らせするのが一番いい方法だそうです。

非常に説得力がある内容で、実効性が期待できるので、
僕もやってみようと思います。


2013年11月12日火曜日

167.「プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法」 石井琢磨

交渉に関する35個のアイデアが書かれています。

それぞれが独立した方法で、体系だってはいないので、全てをセットで実行する必要はありません。
自分が気に入った方法だけ実行すればよいです。

チャルディーニの「影響力の武器」が紹介されており、その内容をベースに著者が実行している方法が多いです。

私が気に入った方法は、
「クライアントとの面談時には分厚い条文集を持っていくこと」と
「写真を公開するときには、本棚の前で撮った写真を使うこと」
です。


2013年11月11日月曜日

166.「「友だちいない」は“恥ずかしい”のか」 武長 脩行

著者は「孤独力」というコンセプトを提示しています。
これは、安易に群れず、自分で物事を深く考えて、
自律した人間になったうえで、他人と関係を結ぼうということだと理解しました。

本書で一番印象に残ったのは、エリック・ホッファーという哲学者の話です。
この人は、7歳で母を亡くした上に突然失明しましたが、
15歳の時に奇跡的に回復します。
その後、再失明の恐怖から1日10時間読書したそうです。

学校へは生涯を通じて一度も通うわず、仕事の合間に図書館で
読書にふけりました。あまりの貧しさに28歳のときには、
自殺を図ります。

ある日レストランで出会ったカリフォルニア大学バークレー校
の教授に認められ、臨時の研究員として働きます。
そこで功績を上げた彼は、正式の研究員のポストを与えられますが、
これを断り、65歳まで港湾労働者として働き、
「沖仲仕の哲学者」と呼ばれたそうです。

学校に通わず、読書、思索、著作という独学のみで哲学者となり、
肉体労働で生計を立てて80歳の寿命をまっとうしたホッファーに
感動しました。

2013年11月8日金曜日

165.「冒険に出よう」 安藤 美冬

本自体は、U25という20代前半の若者に多様な働き方を
提示するシリーズ。一流大学から一流企業へ進むことが
働き方の全てではないという趣旨だと思います。

現在の著者は、フリーな働き方をしていて、定職を持たず様々な仕事に
携わっています。その働き方のベースとなっているのは、慶応大学を卒業し、
集英社に就職して、30歳まで勤務しています。
したがって、彼女は一流大学から一流企業へ進み、
その過程で学習する習慣を身につけ、仕事の基本を学び、
慶応大学と集英社というブランドを得ていることを見逃すことはできません。

それぞれの文章が彼女が言語化した教訓でまとめられていますが、
その効果については検証されていないので、鵜呑みにはできません。

特別な専門知識を持たない彼女が成功した要因は、本書を読む限り、
自分の頭で考えること、多くの人と交流したこと、自分情報を大量に
発信したことだと思います。

自分の頭で考えることの基礎となったのが子供の頃にいじめに会ったので、
図書館にこもって読書していたことだと思います。
多感な時期に友達が本だけという状況で多様な考え方に出会い、
ありあまる時間で色々と夢想したことが物事を深く考える習慣に
なったのではないでしょうか。

定職に頼らず縛られない働き方をしている素敵な方だと思いました。

2013年11月7日木曜日

164.「士業のための「生き残り」経営術」東川 仁

期せずして、昨日と同じ著者の本でした。

こちらが2012年5月25日の発行で、
昨日の本が2012年6月8日の発行と、たった1ヶ月違いで2冊を出版したとは
すごいです。

内容には、全く同じことが書かれていることもなく、楽しく読めました。
こちらは、創業時の話で、昨日の本は、事業が軌道に乗ってからの話です。

著者は、新卒して就職した金融機関が突然破綻したので、
独立準備、資格、顧客、ノウハウもなく、230万円の退職金のみで
独立を余儀なくされます。
そして、資金をどんどん減らしていき、企業から2年2ヶ月目に
初めて融資を受け、これをきっかけに2年9ヶ月目頃から食えるようになります。

本書は、その起業時の体験談を基に、融資の受け方や
融資を受けた後の具体的な営業方法(HP作成、名刺作成、紹介、
セミナー実施)について書かれています。

士業が独立するときに何をすれば良いか、指針となる本です。


2013年11月6日水曜日

163.「依頼の絶えないコンサル・士業の 仕事につながる人脈術」東川 仁

コンサルタントと士業に的を絞った、営業のための人脈作りの本。

独立改行の本は、人と直接会って紹介による集客を勧めるタイプと、
ホームページを充実させることによる集客を勧めるタイプがありますが、
これは前者の本です。

「異業種交流会は実益が乏しいのではないか」
「高額セミナーは本当に価格分の価値があるのか」
「名刺交換したとき、何を話せばいいのか」
などの悩みに、的確な回答が記載されています。

タイトル通りのテーマが最後まで一貫しています。
また、見開き2ページで1項目がまとまっているので読みやすいです。
内容も他人の本からの引用がなく、自分の体験を帰納的にまとめています。
気に入ったところはすぐに真似できる実践的な本です。

2013年11月5日火曜日

162.「高卒5年 どう生き、これからどう生きるのか: 若者たちが今〈大人になる〉とは」乾 彰夫

「18歳の今を生きぬく―高卒1年目の選択」東京都立大学「高卒者の進路動向に関する調査」の続編。

成績中位校のA高校と低位校のB高校の卒業生を卒業後5年間を追ったレポートです。

とても驚いたのは、調査対象者の女性の性的サービス労働での就業が多いことです。それも、A高校ではゼロだったが、B高校では7割に登っています。

その経緯は、就職後1年以内に離職して失業後、
正規雇用で就職できないまま非正規雇用の職を転々とし、5年以内に10回以上の転職を繰り返します。性的サービス労働への従事は、離転職のプロセスの一部で就業目的の第1位は、収入だそうです。

つまり、低位校を卒業した、普通の女の子が高校卒業後の最初の就職につまずくと、その後の再就職に苦しみ、経済的理由から性的サービス労働へ落ちていくという構図です。

また、私自身の周囲の状況から得心がいったのは、現時点では、中国語学習があまり就職に効果が無いことです。20年程前から、「これからは中国語の時代だ」と言われてきたが、2013年時点で、日本企業への就職にプラスに働いていないようです。

中国は、GNP世界第2位の経済大国になりましたが、その内実は、技術やマネジメントは欧米の後追いで、未だ中国発の技術が主流となっていません。
そのため、一般的な中国国民の収入は低く、英語や日本語を学んで、外資企業に就職したいという中国人が多いとのことです。

そのため、日本人が中国企業に採用される条件は中国語よりも技術力が重視されます。日本人が日本企業の現地法人で採用される場合は、現地待遇のため、収入が現地レベルと低額に抑えられます。
その一方、日本人が日本国内で採用される場合は、中国とのビジネスは殆ど英語でおこなわれるため、中国語を活かす仕事は、通訳や翻訳の会社くらいにしかありません。

そうしますと、中国語でビジネスするには、中国が現在の発展を続けたうえで、あと10年以上はかかりそうです。したがって、中国語学習が就職に効果を発揮するのは、まだまだ先と思われます。

結局、本書を読んで感じたのは、若者が安定して就業するためには、大学の上位校か、需要が多い資格が取れる専門学校に進学することが必要です。この観点では、日本の学歴社会はまだまだ継続していると言えるでしょう。

その他には、収入の多少を問わず、自分の好きな分野で起業するこという選択もあります。この観点では、食べていけるようになるまでにはフリータという
就業形態になるでしょうが、うまくいった場合には、一本軸が入った働き方になります。

それ以外には、企業に搾取され翻弄される働き方を
余儀なくされるかもしれないと感じました。



2013年11月1日金曜日

161.「ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方」伊藤 洋志

「ナリワイ」とは、個人レベルではじめられて、自分の時間と健康を
マネーと交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、
技が身につく仕事をいうそうです。

書かれている内容は魅力的ですが、実践するとなると集5日の定職
と両立することは困難なので、家族を養っていたり、住宅ローンを
抱えている人には、実現困難です。

しかし、そういった人にも、「今の働き方以外にもナリワイってあるんだ」
と気付かせたり、「今の仕事が人生の全てだ」という思い込みから
解き放したりする効果があります。

また、就活が上手くいかない若者にも、「こうやって生きる方法もあるんだ」
と知ることができれば、追い詰められることもないと思いました。

2013年10月31日木曜日

160.「新米司法書士・はるかの事件ファイル」 近藤 誠


司法書士の仕事って、不動産登記くらいしか知らなかったので、勉強になりました。

不動産登記の他には、会社設立登記、過払い返還請求、成年後見人などの仕事があるのを初めて知りました。

しかし、会社設立登記って行政書士もやっていて(確(行政書士はやってはいけないそうです:2014年5月7日追記過払い返還請求は弁護士もやっているので(そもそも宇都宮健児弁護士が道を開いたそうです:2014年5月7日追記)境界が曖昧で大変ですね。

また、資格者が増えているのに、不動産登記が減っているので成年後見人をメインとする方がいらっしゃるということには驚きました。

それにしても、主人公を女子大生にする必要はなかったと思います。ちょっと無理があります。
学生なのに、多くの時間を司法書士事務所で過ごしすぎだし、アルバイトにやらせるような仕事内容でないので、所長の責任問題が問われてしまいます。

当時、女子大生の資格物の本が流行っていたので、売上を上げるために、それに乗ってしまったのでしょう。

2013年10月30日水曜日

159.「18歳の今を生きぬく―高卒1年目の選択」東京都立大学「高卒者の進路動向に関する調査」グループ、 乾 彰夫

東洋大学 小澤浩明教授のお薦め本。

現代の高校卒業時の進路について、自分の頃より厳しいとは
何となくわかっていましたが、かなり理解が進みました。

自分の頃は、進学か就職しかルートはありませんでしが、
現代は、進学、就職、フリーター、ニートと分かれています。

進学は、僕らの時代では合格できなかった層が進学できる
ようになったものの、大学に馴染めず辞めていく。

就職は、非正規雇用が増えたためか、正社員は長時間労働と
パートからの突き上げで精神や身体を壊して辞めていく。

フリーターは、いじめや嫌がらせが多く、精神を病んで辞めていく。

本書では幸せになった例が殆どなく、救いがないため、
読み終わって気分が暗くなりました。

これが若者の進路の全ての姿ではないでしょうが、
こういった状況は何とかしなければならないと思いました。

2013年10月29日火曜日

158.「工学部ヒラノ教授」 今野 浩

著者が東京工業大学で教授を務められたときの組織に関する体験談。

大学の准教授(助教授)と聞けば、とても出世した人だと思っていましたが、
実際には「教育・雑務マシーン」であることの驚きました。
そして、50歳すぎても教授になれない人が多く、
「大学スゴロク」では厳しい状況にあるようです。

また、一般教育教官と専門課程教官との間には
地位や処分について大きな差があることを知りました。

教授の仕事は、自分の研究をして論文を書くことがメインで
その合間に授業を行っていると思ってました。
しかし、その業務割合は、
国立大学では、研究35、教育30、雑務20、社会貢献15
私立大学では、研究25、教育45、雑務20、社会貢献10
とあまり研究に時間を割けないようです。

権力闘争などもあり、色々大変だなと思いました。

2013年10月28日月曜日

157.「小さな士業事務所の「仲間力」──激動の時代を生き残る」河合 秀俊

タイトルから他士業と協力してサービズを提供するという内容と
思って読み始めましたが、違っていました。

異なる専門分野を持った、事務所の場所は近いけれど
競合しない距離の同業者(本書では税理士)が
提携して事業を行うという内容でした。

面白い試みですが、著者自身、平成24年から始めたことなので、
提携の具体的な結果も出ておらず、書籍化するには少し早いように
思えました。

また、本の内容も提携のメリットばかりを述べていますが、
デメリットが提示されず、上記のように具体的なメリット例もないため、
今ひとつ心に刺さりませんでした。

2013年10月26日土曜日

156.「僕は人生を巻き戻す」 テリー マーフィー

エドは、強迫性神経症を発症し、時間の進行を止めるために
自分が行った行動をビデオの逆回転のように反対に行う。
しかも、一度や二度ではなく何千回も。
さらに夜には昼間の行動を頭の中でリプレイスする。
時間を止めることで、自分の大切な人が死なないように。

発症の要因は、子供の頃に見た母の死に際と
ジャムのビンを開けっ放しにして父に殴られたこと。
本当に20年も前の事件が長い年月を経て、強迫性神経症を引き起こすのだろうか。

それにしてもその行動はすさまじい、
地下室にひきこもって、尿はペットボトル、便はジップロックに保管する。
シャワーも浴びないので、シーツは体液で湿り気を帯びた緑色に変色している。

そんな暗闇のなか、マイケル医師の涙で立ち直るきっかけを得て、
マヤダの愛で強迫性神経症をコントロールできるようになる。

強迫性神経症は完治しないとのことだが、克服の要因は本人の強い意思と、
本人に治りたいと思わせる周囲の愛情だと思った。


2013年10月24日木曜日

韓国映画「結界の男 (Man on the Edge)」

駐日韓国文化院のコリアンシネマウィーク2013で、「結界の男 (Man on the Edge)」という映画を見てきました。

ヤクザのクァンホは組のナンバー2。
ある日跡目を争うテジュに刺され、手のひらを切ってしまいます。
その結果、クァンホの手相が変わってしまい、彼に神様が降りてきて巫女をやらざるを得なくなり、ヤクザと兼業することに。

基本的にはコメディですが、少女「ひよこ」との交流やクールなアクションもあり、涙と笑いに満ちた映画です。

日本ではまだ未公開ですが、公開したらヒットすると思います。

155.「Charlie and the Great Glass Elevator」 Roald Dahl

「Charlie and the Chocolate Factory」の続編。

話がテンポよく、次々に切り替わる。
文章も短く、構文も簡単。
しかし、あまり見慣れない単語が出てくる。
9歳から12歳向けなのだが、実際のネイティブの子供が読む単語と
日本の授業で教わる単語には、開きがあると感じた。

154.「「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー」高橋 秀実

「開成高校野球部だから論理的に戦略を立てて科学的に練習をして
試合に勝っているのだろう」
そんな想像は全くはずれていました。

練習は毎週木曜日のみで試験前には1ヶ月近く練習できない。
守備が下手なのは伝統。
ピッチャーは、安定して投げられればよい。

そんな状況でどうやって勝つのか。

それは、必要十分なことしかしないこと。
守備は自分の取れる範囲をカバーすれば良いのでそれ以上は練習しない。
練習の殆どをバッティングに当てる。
試合では、1イニングで10点取ることを狙い、大量得点で相手の意欲を削ぐ。

この戦略(?)で勝てるのかと疑問が湧くが、結構勝ち進み
強豪をあと一歩で倒すところまで行ったりする。

弱者が自らの弱みを捨て、強みに特化することで、
十分勝つことができるという、ビジネスやライフプランにも示唆を与える本。

2013年10月23日水曜日

韓国映画「南へ走れ (South Bound)」

駐日韓国文化院のコリアンシネマウィーク2013で、
「南へ走れ (South Bound)」という映画を見てきました。

元学生運動家で映画監督のヘガプは、殆ど働かず
今だに国家に対して反抗し、数々のトラブルを起こしている。
妻も運動家であったため、ヘガプを支持しているが、3人の子供には父が理解できない。

そんな時、生まれ故郷の島で暮らしている弟が不当な手段で実家がある土地を手に入れ、金儲けを企む政治家を脅迫して逮捕される。
ヘガプは、お金がないこともあり都会での暮らしを捨てて、島へ帰る。

ヘガプは、島では都会での生活が嘘のように働き者になる。逞しい姿を見せる父に子供たちも尊敬の目を向ける。そして、悪徳政治家との戦いであるクライマックスへ一気になだれ込む。

なかなか面白い話だなと思っていたら、
原作は日本の
「サウス・バウンド」奥田 英朗 (著) 
という小説でした。

私はこの小説を知らなかったのですが、日本の小説を原作に使った韓国映画は多いように思います。
そして、風土や心情が近いからか、非常によくマッチし、韓国の話として違和感なく作られています。


153.「未解決事件 オウム真理教秘録」 NHKスペシャル取材班

未公開のカセットテープ700本とこれまでインタビューに応じなかった人達の
インタビューなどをもとにNHKスペシャルとして放送した番組の書籍化。

誇大妄想狂でカリスマ性がある麻原被告が
被害者妄想に突き動かされて国家転覆を謀った。
それは、これまでに言われていた衆議院選挙敗北のショックからではなく、
自らの予言の正当性を証明するために、選挙前から既に
準備されていたことだった。

警察の現場では、坂本さん一家殺人事件や、松本サリン事件とオウムとの
関係まで辿り着いていながら、県警間の横の壁と警察庁との縦の壁により
事件を未然に防ぐことができなかった。

事件から20年近く経つが、この事件を風化させず
教訓として活かさなければならないと思う。

2013年10月22日火曜日

152.「はい、泳げません」高橋 秀実

水泳は人を区別する。

泳げる人は、学生時代、体育の授業中に羨望の目で見られ、
優越感を感じながら、泳げることを見せびらかす。
泳げない人は、授業中に劣等感に苛まれながら憂鬱になり、
授業を休みたいと思い、実際に体調まで悪くなる。

泳げる人は軽く動いているのにどんどん進み、いくら泳いでも疲れない。
泳げない人は一生懸命頑張るほど進まず、疲れてしまい水まで飲む。

全く泳げなかった著者が2年かけて泳げるようになったその体験談だ。
レッスンを途中休んだとはいえ、よくも2年間続けて泳げるようになったものだ。
全く泳げない人の心情と状況が事細かに描かれている。
読み終わって、自分も泳ぎたいと思った。

2013年10月21日月曜日

151.「現代中国の父鄧小平(上)」 エズラ・F・ヴォーゲル

上巻だけで576ページもある大著。
しかも、文字がびっしり書かれているので、普通のノン・フィクションの本の
3冊分、上下巻合わせて6冊分はボリュームがあります。
著者は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」のエズラ・F・ヴォーゲル。
内容は、CIAの事前チェック済みなので信憑性が高いです。

右耳が聞こえず、外国語は話せず、高等教育も受けていない小柄な中国人が
3度の失脚と生命の危機に脅かされながらも、いかにして中国を
GDP世界第2位の国に創り変えていったかの物語。

前半は、毛沢東との愛憎劇。
国民党との内戦に勝利し、共産主義国家を創った毛沢東は
革命家であり思想家であり、神でありました。
しかし、建国後の政治組織整備、経済施策、教育制度には無策でした。
そして、この問題を解決できる方策と実行力を持つ人間は、
鄧小平しかいませんでした。
だが、毛沢東とその支持を受けた四人組は、イデオロギー闘争に明け暮れ、
「大躍進」や「文化大革命」によって多大な犠牲者を生み出し、
鄧小平を3度も失脚させ、中国の近代化を遅らせてしまいました。
鄧小平が国政のトップに立ったは、毛沢東の死後の1977年で、
彼は72歳になっていました。

後半は、鄧小平がトップに立ってからの工業、農業、国防、科学といった
「4つの現代化」による中国の近代化。
これまでの私の理解では、「中国対米国」という構図しかなかったが、
実際にはそれよりも、「中国対ソ連+ベトナム」という対立を
中国が懸念していたことを知りました。
日中平和条約が締結できたのは、2国間の関係が改善されたため
と思っていたが、中国側から見れば、ソ連に対する牽制の意味が
大きかったようです。

尖閣諸島に関して、
「この問題はわれわれの世代よりも賢い次に世代に解決を委ねるべきだ。」
と鄧小平が答えたのが1978年10月25日。
それから、35年後の2013年には、この問題は悪化しているように思えます。
鄧小平が期待した「次の世代」が現れるのは、まだ先のことかもしれません。

2013年10月18日金曜日

「きっと、うまくいく」

約3時間という長い作品でしたが、長いと感じず楽しめました。
しかし、ストーリーと全く関係がない歌とダンスのシーンがなければ
もっと短くなるのに・・・
まあ、それがあってこそのボリウッド映画ですね。

ストーリーは、10年前に失踪した親友を探すところから始まります。
そして、10年前のインドのトップの工科大学での青春物語がメインです。
貧富差が激しいインドにおける学歴競争が彼らの学生生活に影を落とします。
そんな中でも主人公のランチョーは、"All is well."(きっと、うまくいく)を
モットーにユーモアを交えて、様々なトラブルを解決していきます。
そんな彼に影響され、親友2人も自分のやりたい仕事につく
人生を選択するようになります。

しかし、そんなランチョーには、親友にも言えない秘密があって・・・。

ストーリーがよく出来ていて、最後まで楽しめました。

2013年10月17日木曜日

福田剛大さんから名刺のアドバイをいただきました。

「仕事が取れるすごい名刺交換5つの鉄則」 の著者である福田剛大さんと
名刺交換をしていただきました。
この本を読んで名刺を作り替えたので、ご本人と名刺交換できて感激です。

名刺を受け取っていただくなり、
「写真をもう少し大きくしましょう。」
というアドバイスをいただきました。
自分でもそう思っていたので、「やはりそうか。」と思いました。

早速、次回作では写真を大きくしたうえで、
勉強会で教えて頂いた内容を盛り込みます!


150.「心霊探偵八雲 ANOTHER FILES いつわりの樹 (角川文庫) [文庫] 神永 学 (著) ANOTHER FILES いつわりの樹」神永 学

心霊探偵八雲シリーズの外伝。

正伝は9巻まで出版されています。
ANOTHER FILESは、両目の赤い男が登場しないシリーズだそうです。
そのため、主人公の八雲が危険にさらされることなく、自由行動できたため、順調(?)に事件を解決します。

本編では、刑事を退職した後藤がまだ刑事の時の話ため、正伝を読み進めていると、少し違和感があります。

後藤の部下の石井が、本編の重要な役割を担っており、彼の人間性にもスポットが当てられています。

2013年10月16日水曜日

149.「トップ3%の人だけが知っている仕事のルール」 石原 明

仕事の成果を上げる50のルール集。
ポッドキャストの「新刊ラジオ」で紹介されていたため、読みました。

「毎日の決意を習慣化する」
「自分にはこれしかないを持っている」
「自分が究めたいことは何かを自問自答しよう」
「5人の著書のすべての本を読む」
「毎日15分、1つのテーマを勉強する」
を自分自分のルールにしようと思いました。

石原さんのポッドキャスト「経営のヒントプラス」も聞くようになり、
大変勉強になっています。

2013年10月15日火曜日

「鳴瀧会(小鼓・幸流 幸信吾師社中)」

神楽坂にある矢来能楽堂で「鳴瀧会(小鼓・幸流 幸信吾師社中)」
を見てきました。

昭和27年9月17日に会場し、国指定の【登録有形文化財(建造物)】
にも登録されています。
そんなに広くない客席でしたが、落ち着いた雰囲気で心が洗われました。