2013年12月31日火曜日

210..「震災ゴジラ! 戦後は破局へと回帰する」 佐藤健志

評論文を読み慣れていないので、読み終えるまで苦労しました。

他の評論家の論説取り上げて批判する記載が多いですが、引用された評論家の元原稿を読んでいないので、同意も反論もできませんでした。評論家同士の論評会は、議論の世界が狭い気がしました。

論説テーマは、
「破局→変節→復興→破局(自滅願望)」
でしょうか。
それを、ゴジラ、バトルロワイヤル、アキラといった映画や小説を用いて解説していきます。

その解説に正直な所、あまり同意できませんでした。映画や本は、それぞれの作者の虚構の話です。それぞれの作者が表現したことがあるでしょうが、本書の解説は勝手な意味付けとしか思えませんでした。作品から観者が様々な感想を持てばよいのであって、自分勝手に意味付けして書籍化することの意味がわかりませんでした。

知らなかった映画や小説もあり、興味は惹かれました。読みづらい本を投げ出さずに最後まで読んだという点で自分の思考の苦手な部分を鍛えたという意味はありました。


2013年12月30日月曜日

209.「北天の馬たち」貫井 徳郎

前作「ドミノ倒し」とは異なり、実在の場所で風景もしっかり描かれているので、物語にリアリティさがあります。

Episode1,2は凡庸なストーリーで話に抜けが見えますが、それはEpisode3への伏線で、3に入ってから物語が別の様相を呈してきます。

全体として、貫井徳郎らしくはまとまっているものの、期待の八掛けといったところでしょうか。

飛び抜けて素晴らしいわけではありませんが、最後まで楽しめることができます。





2013年12月29日日曜日

208.「いやでも人生が好転する! ウラ目の法則 ピンチを成功に変える㊙テク」 西田文郎

努力するとウラ目が出る。
そのウラ目を引っくり返すと幸福になる。

ウラ目は進歩ではなく、進化をもたらし、真実の友を授ける。

そして、ウラ目は何歳からでも、引っくり返せる。

読むと勇気が湧いてくる本です。




2013年12月28日土曜日

207.「モノを捨てよ世界へ出よう」 高城 剛

非常な日本悲観論から海外へ出ることを提案しています。

現代を幕末とそっくりといちすけ、維新の志士たるべきと鼓舞します。
少し浅薄な歴史論が進みますが、これで外国へ行くメリットを根拠付けています。住居や物に囚われず、世界各地に移り住み、その地で仕事することの提案です。
そして、後半は世界各地の観光ガイドや留学ガイドの様な体をなしています。
後半やたらとカタカナが多くなり、何を言いたいのか訳が分からなくなっていきます。

結局、この本で言いたいことは、「外国に住んでみろ、そうすれば物の見方が変わる」ということに尽きるように感じました。
海外に行けば、確かに新しい価値観に触れますが、それが全ての人に有効ではないことが、多くのバックパッカーが成功しているわけでないことからも明らかです。
外国に行って変わるためには、何かが必要なのではないでしょうか。
それは行く人の目的、問題意識、言語等の知識等、これまで日本で磨いてきたもんでしょう。
何もない人がただ海外に行っても「楽しかった」で終わるものと思います。

深い思想を学ぼうとせず気軽に読める一冊です。




2013年12月27日金曜日

206.「「商い」で成功した江戸商人「ビジネス」で苦しむ現代人」植西 聰

近江商人は、仏教の精神を商いに活かしていたとうい著者の主張を基に、江戸時代の商人の道徳に富んだ商いの思想や行動様式を説明しています。

本書では、経営手法より正直さが成功の秘訣と説いています。

リーマン・ショックや食品偽装問題から考えるとあながち否定できません。

高いお金と時間を費やしてMBAを取ることの意味って何だろうと思ってしまいます。

仏教について、勉強してみたいと思いました。



2013年12月26日木曜日

205.「(株)貧困大国アメリカ」 堤 未果

クリントン政権は、1996年に農業を自由化する「新農業法」を成立させ、減反政策および所得補償制度を廃止、生産量は生産者が自由に決定できるようにした。

この改正によりフル生産が可能になり、生産量が急増して価格は下落、生産効率の悪い中小規模の農家は競争にされされ、生産効率を上げるために新しい技術、新型の機械、より大量の農薬導入を繰り返すことになった。

だがこれは、生産コストを下げるために大量生産することで生産高を増やし、市場価格を下落させるという悪循環を生んでしまう。

大量生産できない伝統的農業や生き残るために工業式に切り替えたものの、長期にわたる価格下落で設備投資を回収できなくたった中小農家は、次々に破産していった。

TPP参加賛成派は、TPP参加が日本の農業の効率化や輸出強化につながると主張しています。
しかし、上記は日本の農業の行く末を暗示しているようで不気味です。

第2次世界大戦の終結により、大国の政府による植民地化が終わったように思えました。
しかし、現代では、企業による植民地政策が始まり、その資金力によって政府が動かされているようです。
(青字部分は、本書からの引用)








2013年12月25日水曜日

204.「波止場日記―労働と思索」エリック ホッファー

沖仲士の哲学者、エリック・ホッファーの1958年6月1日から1959年5月21日までの日記。

ビジネス本でよく、「本は借りずに買え。そうしないと、内容が身につかない。」と書かれていますが、ずっと疑問に思っていました。

何故、同じ本を読むという行為なのに、借りると身につかず、買うと身につくのか、と。

沢山買うとスペースも必要となるし、お金もかかる。図書館で借りて、必要なところをノートに転記すれば、スペースもお金も必要ない。

これでいいのだろうかとずっと確信を持てずにいました。しかし、本書でホッファーも、図書館で本を借りて、デイブックという、どこに行く場合にも持っていくノートに保存する価値のある引用文とか思想を全部写しとり、ノートに一般になると検討すると書いてあったので、自分のやり方に自信が持てました。

この日記でホッファーは、波止場に行っても仕事にありつけない日が多々あり、生活への不安感も口にしています。その不安から逃れるように思索に向かっていきます。

毎日単純労働に明け暮れますが、彼の思索は高度であり、学校教育を受けていないゆえに独創できです。そして、日々肉体労働に従事しているため、彼の考えは机上の空論ではなく、現実に則したものとなっています。

学校教育だけが学習の場でありません。現代では、学歴は思考の深さを証明するものではなく、履歴書でのブランドとなっています。

彼の生き方を見ていると、企業での立身出世や、IPOでお金持ちになることが、成功の全てや幸せの在り方ではないと思わせてくれます。

2013年12月24日火曜日

203.「聖痕」 筒井 康隆

5歳の時に男性器を切り取られた美少年、貴夫の生涯を描きます。

昭和40年代から東日本大震災後の日本を舞台に、性欲から派生する欲望に囚われない主人公が、欲望渦巻く時代を洒落に生きていきます。

リピドーを失った彼に残された関心は味覚。その研ぎ澄まされた感覚により、食の世界で独自の世界を切り開き、周囲の人達にも大きな影響を与えていきます。

土地、株、性欲にまみれた世の中が狂乱するなか、人間の生きる基本である「食」を追求して生きた彼は、時代に翻弄されず、着実に成功していきます。

それは、彼の性器が「スケープゴート」となり、あらゆる贖罪から彼を守ってくれたからでしょうか。

文章に改行がほとんどなく、段落分けも4つ位しかないため、最初は非常に読みにくかったです。
慣れてくると、連続する文体が登場人物の心理の混乱をうまく表現していたり、枕詞を使うことで古文のような味わいを出したりして、一気に読めました。

貴夫が幼稚園の頃、お遊戯で「受胎告知」の天使ガブリエルを演じます。これは後に性交渉のない自分の妻、夏子に自分の妹を娘として授けることを暗示しているようです。

物語に聖書をモチーフにしているような感じがしていて、非常に深い作品でした。



2013年12月22日日曜日

202.「やむなく副業を始める人が読む本」関 行宏

ごく一般的な副業のおすすめ本。
副業をテーマにした本を全く読んだことがない人には目新しいが、同じテーマの本を読んだことがある人にはとっては、殆ど知っている内容です。

なぜ副業すべきか、どんな副業があるか、本業の会社への対応、確定申告という内容が書かれていますが、ほぼ、他の本の焼き直しで、著者のオリジナリティはありません。

もっと、実際に副業をしている人の様々な仕事や、副業によって本業にどのような影響があったか、副業したときの請求方法や入金口座の運用、請求書の発行など、具体的な実体験を知りたかったので、正直、物足りませんでした。

2013年12月21日土曜日

201.「藝人春秋」 水道橋博士

プロインタビュアーの吉田豪さんがラジオで言っていたが、
「本を全く読まない前田敦子さんが読んだ唯一の本」とのこと。
ホントかな?

特にインパクトに残った人は、そのまんま東、テリー伊藤、ポール牧の3人。

この3人は本当におかしいい。どうかしている。人格が破綻しているとしか思えない。
それなのに、それだから、飛び抜けたことをする。

この本に書かれている人達から学べることは殆ど無いが、自分らしく精一杯やっていけば、それが個性なんだと思いました




2013年12月20日金曜日

200.「営業マンは断ることを覚えなさい」石原 明

この本のことは以前から知っていましたが、正直な所、奇をてらったタイトルと感じてしまい、これまで敬遠していました。

Podcast「石原明の経営のヒントプラス」を聞くようになりそういった偏見がなくなったので遅ればせながら読みました。

結論から言うと、とてもよい本でした。
「営業マンは断ることを覚えなさい」という理由にも得心がいき、単に奇をてらったタイトルではないということがよく分かりました。

文庫本版は、2007年の出版と少し時間が立っていますが、決して色あせてはいません。

著者が提唱する4ステップマーケティングは、非常に実用的な内容で、とても勉強になりました。






2013年12月19日木曜日

199.「魂の昭和史―震えるような共感、それが歴史だ」 福田 和也

僕が考えていた昭和史とは、かなり異なっていました。

概して、日本人は昭和史に向き合うのが嫌いではないでしょうか。
それは、第2次世界大戦に対して何度も罪悪感を思い出すように強要されるように感じるからです。

多くの歴史観では、日本は中国、韓国等をはじめとするアジア各国を侵略し、真珠湾を不意打ちした挙句、なかなか降参しないので原爆を落とされ、やっと反省し降伏した。これまで、こう教えられたのではないでしょうか。

しかし、これは勝者側からの第2次世界大戦観かもしれません。そもそも日本の戦争当事者達は世界大戦を行ったという認識もなく、大東亜戦争というアジアでの局地戦を戦ったと思っていた可能性もあります。

本書では、日本は戦争に突入せざるを得なかったと位置づけられています。イギリスの産業革命、アメリカの大量生産による圧倒的な経済力と、それらを武器にした欧米の植民地化政策から日本を守るために、日本に地理的に近い朝鮮や満州を、欧州に先駆け、防衛ラインとして占領しました。
それは決して正当化できることではないですが、当時の日本にはそうするより他に策がなかったのかもしれません。

自由な通商を認められず、ブロック経済から弾かれた日本は、かつて欧米から自分がやられ、かつ当時も欧米が行っていた方法を真似しました。
それは、経済や戦力に劣る国に強引に乗り込み、不平等条約を結んで、その国の資源を強奪するという手口です。やられた方はたまったものではありませんが、やる立場に立つとあまり罪悪感がなかったのかもしれません。

しかし、米国はこの成金国日本を快く思わなかった。これまで自分達が築いてきた既得権に参入する新参者は気に食わなかった。

そのため、調子に乗った日本を叩き潰して自分達の言うことを聞くように憲法を作って、軍隊を解体して無防備にし、食習慣なども米国風に変えて、米国へ依存しなければ国家として存立できないようにしたという考え方も、この本から導き出せます。

2013年12月18日水曜日

199.「毎日○×チェックするだけ! なぜかお金が貯まる手帳術」 野呂 エイシロウ

タイトルから想像するほど、手帳を使った仕組みは書かれていませんでした。

1. その日のお金の成績を◯☓で手帳に記入する
2. 日曜日の夜に、その週の成績を◯☓で手帳に記入する
3. 一ヶ月の終わりに、その月の成績を◯☓で手帳に記入する

手帳に関しては、この3つだけなので、手帳によるお金の管理の本ではありません。内容のうち象徴的で、手帳好きな日本人が惹かれるようなタイトルを付けたのでしょう。

筆者が実践して効果的だったお金の管理のヒント集です。
簡単にまとめると、使うお金をシミュレートし、使ったお金を記録し、日、週、月単位で評価する。毎日、銀行口座から39,000円を引き出して、翌日に残ったお金を預け入れて、また新たに39,000円を引き出す。

つまり、管理会計とキャッシュフロー管理の個人版という感じです。

著者はこのやり方で借金から逃れ、預金できるようになったので、向いている方には効果があると思います。

2013年12月17日火曜日

198.「殺生伝 疾風の少年」 神永 学

いつも通り読みやすいので、最後まで一気に読んでしまいましたが、物足りなさを感じます。

今回の話は、物語の設定にオリジナリティが感じられません。
九尾の狐、砕けて全国に飛び散った石、全て揃うと九尾の狐が復活する、石を持って生まれたことにより体内に九尾の狐を有する娘、口から妖魔が入り込むことで妖魔に支配される等、どこかで聞いたことがあるプロットばかりでした。

歴史ファンタジーという、著者にとって新分野のため、実力が出し切れていないのでしょうか。

シリーズ化ということなので、2作目以降からの新しい展開を期待します。

2013年12月16日月曜日

197.「現代中国の父 鄧小平(下)」 エズラ・F・ヴォーゲル

下巻は、鄧小平が権力を掌握した後について書かれています。そのため、鄧小平本人よりも彼に任命された人達の功績と悲哀が描かれます。

鄧小平が主役ではないので、あまり面白くないのかなと思っていましたが、上巻以上に面白い。鄧小平は毛沢東から3度失脚させららましたが、鄧小平自身は華国鋒、胡耀邦、趙紫陽を失脚させ破滅させます。

特に、勉強になったのが、第2次天安門事件の経緯と現在に至る反日思想の形成過程についてです。

反日思想の形成過程について簡単に記すと、以下のようになります。

>天安門事件後
 諸外国からの天安門事件に対する制裁。
 ソ連と東欧諸国が崩壊し、中国も瓦解の危機。
 マルクス・レーニン主義に若者が共鳴しない。

>愛国主義へのイデオロギー転換
 高度経済成長による祖国への誇り
 中国を不当に批判する外国への反発
 諸外国の台湾支持
 南シナ海、東シナ海の島の領有権主張への反発
 チベット人など少数民族の処遇に対する批判

>第2次世界大戦中の反日宣伝工作の復活
 靖国神社参拝
 南京大虐殺

>強い反日感情

>中国j指導者への支持

1991年後半から教科書、講演、メディアを活用した、より体系的な手法を開発し、これを浸透させたそうです。

こういった話は、日本側から見た謀略説かと思っていましたが、ヴォーゲルも記載しているので、日本人だけの思い込みでないようです。
これを前提に考えると、今回の唐突とも思える防空識別圏の設定も、天安門で起きた自爆から眼をそらすためとも考えられます。

そうは言っても、鄧小平が望んだように、他国との良好な関係も重要ですから、愛国主義との両立が今後の中国の課題となるそうです。

ところで、この本には毛沢東批判ともとれる記載があるため、中国では発売されないだろうと思っていました。
しかし、中国版のアマゾンを見ると、上巻がすでに発売されており、驚きました。
2013年12月13日時点で776件ものコメントが寄せられており、関心の高さが伺われます。
そして、本の評価も5つ星が圧倒的に多く、中国は大分開かれてきているなと感じました。

 

2013年12月13日金曜日

196.「図書館内乱 図書館戦争シリーズ(2)」有川 浩

図書館戦争シリーズの2作目。
長編と思って読み始めたら短篇集だったので、少しガッカリしましたが、読み始めたら面白くて止まらなくなりました。

一作目では割りと平板だったサブキャラクターにクローズアップして、その人となりが深堀りされます。

「恋の障害」では、ソツがないゆえに魅力に欠けていた小牧の人間的な面が明らかになり、好感が持てました。この話が一番せつなく、好きです。

図書隊VS良化委員会という単一の構図から、図書隊VS未来企画、さらに図書隊内での原則派VS行政派という複数の構図が生まれ、シリーズに厚みを与えています。

2013年12月12日木曜日

映画「ワンドゥギ」


【内容】
将来の展望も夢もない高校生のワンドゥクは、体に障害を持つ父親と風変わりな叔父との3人暮らし。貧しく複雑な家庭環境で隣の家に住む担任教師のドンジュにいつも口うるさく干渉される日々にうんざりしていた。そんなある日、ワンドゥクはドンジュから今まで知らなかった母親のことを知らされて・・・。

韓国映画でよく思うのは、住宅街に坂が多いこと。この映画でもソウル近郊という設定ですが、狭い坂道の両脇に小さい家が密集して立っています。
私は韓国へ行ったことがないのですが、実際の韓国の住宅街もこのような感じなのでしょうか。

ワンドゥクは、貧しい地域に住んでいますが、その地域にはフィリピンやインドからの移民が沢山住んでいることに驚きました。考えてみれば、韓国より貧しい東南アジアの国々は沢山あり、韓国に流れていくのも当然ですね。それでも意外でした。

韓国では、大学への進学率が非常に高いものの、大学を卒業しても就職できない若者が沢山いると聞きます。
そんな中で、家は貧しく援助物資に頼り、勉強はクラスのビリで喧嘩ばがりしているワンドゥクの将来は全く見えないでしょう。

それでも、彼が投げやりにならず、父や母に優しい態度で接しているのは、幼い頃から身体に障害を持ち、他人に笑われながらも一生懸命働いている父の姿から、親に対する感謝の気持ちと何とか生きていけるという信念が育まれたからだと思いました。

195.「ぼくだったら、そこは、うなずかない。」 石原明

普通と違う観点で物事を考えるためのヒント集です。

「勉強、勉強!平日の夜はセミナー、週末はビジネス文書を読破するぞ。」
→そりゃ大変。どんどん馬鹿になっちゃうよ。

ビジネス書やセミナーで言ってることは、経済が右肩上がりの
時に実行して成功した「現場へ行け」とか「顧客に会え」という過去の成功例だから、今鵜呑みにするとどんどん馬鹿になっていく。
本書の著者もビジネス書やセミナーを精力的に行っているのに、こう言っているのは、自分は違うという強い自信の現れでしょう。

「変化が早すぎて、資料や議事録の整理が追いつきません。」
→いっそ捨てちゃえば?

なかなか、その場で捨てるというのは私には難しいですが、捨てる仕組みを作りたいです。


「夢に日付を入れました!」

→はい、消しゴム。

「夢に日付を入れる」って一時流行りましたよね。私はその本を読んでいませんが、成功者のキャリアは偶発的に形成されたものが殆どという研究結果は、納得できます。夢は持ちつつ、日付を入れるほどまで拘らないで、まずは思いついたことをやってみるというのが好きです。

(青字部分は、本書からの引用)

2013年12月10日火曜日

194.「ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」 リンダ・グラットン

評判がよいので期待していましたが、私には響きませんでした。

2025年の働き方を説明するために、2部を使って、当たるかどうかわからない、安いSFのような文章が永遠に続きます。

結局は、訳者あとがきに書かれている解説が一番シンプルで分かりやすかったです。

<第1のシフト>
一つの企業でしか通用しない技能で満足せず、高度な専門技能を磨き、ほかの多くの人たちから自分を差別化するために「自分ブランド」を築くこと

<第2のシフト>

難しい課題に取り組むうえで頼りになる少人数の盟友グループと、イノベーションの原泉となるバラエティに富んだ大勢の知り合いのネットワーク、そして、ストレスを和らげるための打算のない人間関係という3種類の人的ネットワークをはぐくむこと

<第3のシフト>

大量消費主義を脱却し、家庭、趣味、社会貢献などの面で充実した創造的経験をすることを重んじる生き方に転換すること

えっ・・・・・・ つまり、①専門技能を磨き、②人脈を創って、③仕事以外の面も充実させるってことなの?


それって、よく言われてますよね。その結論を導き出すために、383ページを費やして、2025年のシナリオを書くことが必要だったの?

この3つができれば、エネルギー問題に対応し、スラムから抜け出せるのだろうか?
そもそも、スラムに生まれついたら、この3つは実行できないでしょう。

要するに、緩やかに衰退している先進国に生まれついた人達が人生に失望しないで生きていくための働き方の本に読めました。

193.「「成功曲線」を描こう。 夢をかなえる仕事のヒント」石原 明

「成功曲線」とは、長い下積みの時期を過ぎた後、目標に向けて急激に上昇カーブを描く曲線のこと。

一般的に、上昇を描き始めてから周囲から注目されるので、努力すれば直ぐに結果がでるように思われがちですが、上昇カーブを描く前に長期の努力期間があります。

その「成功曲線」の低い部分の時期を乗り越えるためには、「仕事は親切」「仕事は仮設と検証」「成功すれば次の現実」を毎日呪文のように唱えることだそうです。

そうして、努力が成功の根拠を満たした時、成功は向こうからやってきます。そして、「自分で自分の成功を止められない」という状況になるそうです。

非常にヒントや示唆に富んだ本で、勉強になります。

2013年12月9日月曜日

192.「[完全理解]LinkedIn リンクトインがわかる本」 江藤 美帆

この本と首っ引きでリンクトインをいじってみましたが、何かおかしい。
そう。リンクトインの画面構造が本書とは全くと言っていいほど変わっているのです。本書の出版日は2012年1月21日でリンクトインを使った日は2013年12月5日。出版日から約2年が経過しているのだから、仕方がないですね。
したがって、残念ながら、本書は、ガイド本としては最早役に立ちません。
本書で絶賛されているQ&Aもリンクトインのホームページで確認いたところ、既に廃しされていました。

本書で2年前にこんなに絶賛されていたリンクトインですが、日本ではそれほど普及していないということは、我が国では今後もあまり広がらない気がしました。

2013年12月8日日曜日

191.「そして日本経済が世界の希望になる」ポール・クルーグマン

著者は、「アベノミクス」を大変高く評価しており、標題はその効果が現れた時、世界経済を牽引するとのことです。

 失われた20年から脱却するためには、インフレーションが必要であり、2%のターゲットどころか、4%が最も良いと言っています。

 また、過去15年間の研究から、自国の通貨で借金する国は、借金レベルが高くても、公債について悩む必要はないとも言っています。
 つまり、日本で騒がれている「国の借金」(正確には政府の借金)は、殆どが郵貯などが日本円で買っているので、問題とならないということです。
 また、あわてて返済しようとしなくても、インフレーションが進んでいけば、かつてのイギリスのように自然に減少していくとのことです。

ただ、著者が不安視しているのは、「少子高齢化」と「消費税率アップ」です。OECDは、消費税率アップの実施を要求しているが無視すべきと言っています。なぜなら、3%を5%に引き上げた時に1998年リセッションの引き金となったからです。

クルーグマンは英語しか話せないが国際経済に携わっています。それは、アメリカが大国であるがゆえに、他国がアメリカの言語を学んでくれるからです。

日本の場合は、英語で意思疎通することは多大な利益をもたらす。英語はグローバル経済の入り口だから。それが眼前にある現実。まずは英語をマスターしなければはじまらない。

(青字部分は、本書からの引用)

190.「新商標教室」 小谷 武

商標について、非常に丁寧に解説されています。

豊富な審決と判決の蓄積から、実態に則した商標論が語られています。

長年に渡る審決と判決を独自の観点から分析、データベース化し、その情報を基にした説明は、他者の追随を許さないものと思われます。

特に、商標の社会通念上の同一についての部分が大変勉強になりました

2013年12月6日金曜日

188.「輝天炎上」 海堂 尊

「螺鈿迷宮」の続編。
他の方の書評を読むと、「螺鈿迷宮」を読んでおくのは勿論のこと、「ケルベロスの肖像」も読んでいた方が更に楽しめそうです。

前半は、天馬と冷泉のやりとりがライトノベルのような雰囲気でラブコメを読んでいるような感じになります。
中盤から桜宮家の復讐劇が始まり、事態が一転緊迫してきます。

後半はその中盤の出来事を裏から見たような作りになっており、結末に向けてテンポよく話が展開していきます。

結末ははっきりと書かれていませんが、明るさを感じさせる終わり方で読後感がいいです。

189.「月3万円ビジネス」 藤村靖之

月3万円ビジネスは、暇な時に空いた場所でやります。

月3万ですから暇だらけ。上手に組み合わせれば、いくつものビジネスを併行できます。

月3万円ビジネスを10個やれば30万円の収入になり、生活もできます。

借金をせず、営業経費をかけず、ネット売りや卸売りをしないで、少量を人脈で打っていくというビジネスモデルなので、利益は上がりそうです。

ただし、固定費用をかけない分、都会で専業というわけにはいかず、田舎で地元の人と協力しながらでないと出来なさそうです。
(青字部分は本書からの引用)

187.「1日1分 元気になる法則」 福島 正伸

「人は、うまくいかないことで試されたり、うまくいくことで試されたりする」
 人は、ものごとがうまくいかないときに、あきらめずに努力を続けられるか、本気でやれるかどうかを試されます。また、それとは逆にうまくいっているときにも、本気でやっているか、勝って兜の緒を締められるかどうかを試されているのです。

自分の体験を振り返っても、その通りだと思います。

弁理士試験になかなか受からなくて苦しかった時は、弁理士になりたいという決意の強さを試されていたのだと思っていました。
 また、逆に営業マンの頃、MVPを取ったりすると有頂天になり、周囲の人に傲慢になったり、将来に向けて新しい手を打たずに過ごしたりしました。
失意泰然、得意淡然ともいいますが、落ち込んでいるときでも普段通りに、うまくいっているときにも淡々としていたいものです。
 
いろいろな気付きが与えられて物の見方が変わったり、今、とても気にしていることが、実は大したことではないと思わせてくれる本です。

(青字部分は、本書からの引用です)

2013年12月5日木曜日

186.「なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか―キャリアにつながる学び方」浦坂 純子

なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか・・・その理由は、
①大卒者の方が高卒者よりも働く上で「一応は」有利だから、就職に際して門前払いをされるリスクが低いこと、
②労働条件のいい仕事や職業に就きやすいこと、③賃金が高いこと
とのことです。

 もうこれで、本書のタイトルに対する結論が出てしまっています(笑)。

 それ以外の部分では、①数学で大学受験した人は、大学でも高い学業成績を取り、生涯にわたって、より高い年収や職位を獲得できることなどが書かれています。

 日本標準職業分類についても触れられています。
平成21年12月版日本標準職業分類では740の職種があります。
私は弁理士ですが、弁理士という職業は、日本標準によると、

大分類 B-専門的・技術的職業従事者
中分類 17-法務従事者
174 弁理士

となります。

(青字部分は、本書からの引用)

2013年12月4日水曜日

185.「職業は武装解除」 瀬谷ルミ子

著者は、女性でありながらも世界の紛争地で武装解除プログラムを実施されている方です。

ご専門は、DDR。すなわち、
Disarmament:兵士の武装解除
Demobilization:動員解除
Reintegration:社会復帰
です。

子どもを洗脳し、軍のいいなりになる都合に良い「兵士」とするため、上官は誘拐した子どもを脅して自分の住んでいた村を焼き打ちさせたり、親や教師を殺害させたりする。こうすることで、子どもたちは帰る場所がなくなり、軍で過ごす以外居場所がなくなる。

小説「ジェノサイド」では少年が母親を犯し、映画「魔女と呼ばれた少女」では少女が両親を射殺する描写が描かれています。信じられないような話ですが、実際に行われているようで悲しくなります。

和平合意の際は、武装勢力が武器を手放して兵士を辞めることと引き換えに無罪にすると明記される。シエラレオネでも兵士たちは恩赦を与えられ、経済的に不満を抱かないよう一般市民として生きるために手に職をつける権利を得た。
一方で、家族を失ったり、身体に障害が残ったり、家を失い避難民となっている「被害者」に同じレベルの恩恵が行き渡ることはめったにない。加害者の人数と比べて被害者の数が圧倒的に多いからだ。
シエラレオネでも最終的に武装解除された兵士の数が7万2,000人ほどであるのに対して、死者数は推定5万人、被害者数はおよそ50万人である。

加害者が優遇され、被害者が何の補償も受けない現実にショックを受けました。武装解除させるために、加害者側に恩赦が与えれれるというのは、言われてみれば、そうしなければ解除に応じないので、必要です。しかし、その一方で、腕を切り落とされて仕事もできない加害者に対して、何らの補償もないことは、やるせなさを感じます。
まずは、加害者側に武装解除させ、平和を取り戻し、政治を安定させて、経済を発展させる。その上で被害者を救済するということにせざるを得ないのでしょうか?

「日本では、最近、婚活っていうのが流行っているんだよ。ちなみにソマリアの恋愛市場で人気のある男性ってどんなタイプ?」
「ソマリアで人気がある男性は・・・・・・国連職員か、海賊かな。」

海賊が結婚相手として憧れるの対象であるとは想像もつかず、ビックリしました。ソマリアの海賊と言えば、貧しい生活を送る元漁師と思っていたからです。しかし、現在では、他の職種より稼げるようで女性に人気があるようです。稼げるし女性にもてるということであれば、漁師以外からも希望者集まるため、いくら海賊を捕まえても、根絶やしにできないということでしょうか。


(青字部分は本書からの引用です。)

2013年12月3日火曜日

184.「INVISIBLE MAN」H. G. Wells

「透明人間」というテーマはよく知られていますが、実際に本を読んだことがありませんでした。
 
 自らが開発した薬品によって透明人間にとなってしまった科学者が、ロンドン郊外に小さな村で引き起こす恐怖やパニックを描いています。

 透明となってしまった科学者の孤独や絶望が描かれています。


 透明人間の映画を現代版で作ったらヒットするのではないでしょうか。

2013年12月2日月曜日

183.「「心理戦」で絶対に負けない本(文庫) 敵を見抜く・引き込む・操るテクニック」 伊東 明、 内藤 誼人


 経営コンサルタントの石原明さんがポッドキャストで薦めていた本です。
 石原さんによれば、NLPまでいってしまうと難しくて初心者には実行できないので、このレベルの内容を読んで、気に入ったテクニックを1つ手に書いて実行していけば効果があるとのこと。
 学術的でなく、心理学を勉強したことがない人でも読みやすくて、実践できそうな内容です。

「影響力の武器」(チャルディーニ著)で紹介された3つのテクニック
1. フット・イン・ザ・ドア・テクニック
2. ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
3. ロー・ボール・テクニック
が簡潔ですが、分かりやくす説明されています。

自分が交渉する際にも、他人から騙されそうな時でも知っていれば役に立つ知識です。