2013年9月30日月曜日

137.「ペニシリンはクシャミが生んだ大発見―医学おもしろ物語25話」百島 祐貴

研究室内に18歳から89歳までの312人の男性と382人の女性を
被験者として招き、通算一万回以上の性行為と自慰行為を映画に記録し、
「人間の性反応」として発表したという話など25の逸話が紹介されている。

胃潰瘍の原因は、ストレスや暴飲暴食だと思っていたが、そうではなく、
ピロリ菌が原因で、抗菌薬により短期間治ると知り、驚いた。

普通に行われている検査や治療法の開発秘話がわかる非常に興味深い本。

2013年9月28日土曜日

136.「キャリア教育のウソ」 児美川 孝一郎

キャリアデザイン学部の教授がキャリア教育を否定する本。
よく大学がこの本の出版を認めたなと思うとともに、
この学部で教えている内容は大丈夫なのと心配になりました。

他人の著作と官公庁の資料を集めて自分に
都合よく解釈した大学生の卒業論文のような内容です。
たまたま連絡がついた4人の教え子の卒業後の現状から
現代の若者の就業像を一般化しようとしていますが、
サンプルが少なすぎるし、学部も4人とも文学部教育学科なので
偏りがあります。

フランクリン手帳やキャリアプランの効果に懐疑的ですが
どちらも体験したことなく、研究者としての姿勢が疑問です。
その効果についても「~だろうか?」と疑問型でまとめながら
否定的感情を匂わすという卑怯な手段を多用します。

「キャリア教育のウソ」と断罪するのであれば、
自ら多面的かる大量のデータを収集すべきだと思いますが、
他人の書籍でお手軽に済ますので、本書の主張が薄っぺらに感じられました。

2013年9月27日金曜日

135.「さいごの色街 飛田 」 井上 理津子

「飛田」という地名と、そこがどういう所かは知っていましたが、
その実態や歴史は知りませんでした。

難波新地乙部遊廓が全焼した後、1916年(大正5年)に
当時畑しかない飛田に遊郭が移転されました。
1958年の売春防止法の施行から遊郭として存続できなくなり、
現在のアルバイト料亭スタイルに転換し、現在まで生き延びています。

アルバイト料亭スタイルとは、料亭でアルバイトしている素人が
部屋でお客さんとビールを飲むうちに、”急に恋愛感情に陥った”
というスタイルです。
おおっぴらにできないため、公式ホームページや料亭のホームページは
ないそうです(2011年当時)。

料亭の数は158件、女の子の数は推定450人、
おばちゃん(曳き子)の数は推定200人です。
料理組合の顧問弁護士は、現在もそうかわかりませんが、
元大阪府知事で現大阪市長の橋下徹さんです。
隠したい過去かも知れません。

女の子の多くは、男に騙され、捨てられ、お金のために
飛田に来ているとのこと。
飛田から抜け出せないのは、パチンコか男のどちらかに溺れ、
どっちもヤミ金にハマってしまうかららしいです。

親の十分な保護を受けて育っておらず、中卒や高校中退率が高い。
また、これまでの生活史の中で、経済的な苦労をしない時がなかった
とのことで、貧困の連鎖から抜けだせず、飛田でしか生きられない
女の子がこれほど多いことが切なかったです。

2013年9月26日木曜日

134.「僕らが世界に出る理由」石井光太 (著)

「最初はこんなまったく興味にない本を読んで何のためになるんだろう
と思うこともあるでしょう。
でも、千冊以上読んでいくと知識がつながっていって、
またたく間に世界が関係性を持って広がることが楽しくなるはずです。」

以前に読んだ「新書がベスト」 にも1,000冊読むと人生が変わる
と書いてありました。
その理由は、「世界が関連性を持って広がること」なのでしょう。
1,000冊読むことにします。

「勉強をする時はできるだけ幅広く他分野のことも勉強するべき」
「何かをやりたいと思ったとき、その分野ノウハウでやろうとしても
新しい風を入れることはできないということです。
もちろん専門分野の勉強をすることはいいことですし、
絶対にそれをしなければなりません。
しかし、それだけではダメなのです。
それだけではどうしても行き詰まってしまうし、新しさに欠けてしまう。
そこで必要なのは専門の勉強だけでなく、幅広い勉強なのです。」

その通りだと思いました。
専門分野の知識だけでは他の人と差がつかないし、
話をしていても面白くないのです。
そして、旧来のやり方を踏襲するだけで、新しい発想は生まれてこない。

「何を武器とするばいいのかの基準は言葉にしてしまえばとても簡単です。
みなさんが、「これだ!」と思った大好きなことでいいのです。
ちょっとした趣味レベルのものではいけません。
若い人の趣味というのは大抵似通っていて、ゲーム、漫画、スポーツ、
映画など、一部のものに集中しがちです。
こういう趣味は多くの人が持っていますし、すでにそれを別の分野に
取り入れている人はゴマンといますので、
すでに手垢のついたものになってしまっています。」

私の趣味も、読書、漫画、映画なので本当にありふれています。
これじゃあ、発想がありふれているのも当たり前。
何か変わった趣味を見つけることにします。


2013年9月25日水曜日

133.「ボクシング界のぶっちゃけ話」 畑山 隆則

ボクシングは、テレビやマンガで見るだけでしたが、
テレビで放映される世界戦の華やかな舞台の裏側が
しっかりと描かれていて面白かったです。

特に面白かったのは、ボクサーの収入の話と、
世界に出て行くための所属ジムとの関係性の話です。

一気に最後まで読みました。

132.「70歳からの留学77歳で56ヶ国ひとり旅ブログ日記 」宮崎 信敏

70歳になってからケンブリッジ大学に語学留学したことに驚きだが、
さらに、77歳で一人旅するなんて信じられない快活さです。

しかも、行く先々で旅人や現地の人と会話を交わして友達となり、メールアドレスまで交換しています。話の内容も食事、文化から政治や労働問題までと幅広い。

これだけ外国人とコミュニケーションできるということは、英語の能力というより、幅広い知識、強い好奇心、深い思慮、そして、人に対する包容力に起因することと思いました。

そういった著者の人間力は、戦火をくぐり抜け、自らの会社を設立し、事業を成功させるなかで培われたものと思います。

偉人でも有名人でもありませんが、なんとも凄い人です。
私もこういう人になりたいと思いました。

2013年9月24日火曜日

131.「無人島に生きる十六人 」須川 邦彦

明治31年に太平洋のパールエンドハーミーズ礁で遭難し、
無人島に流れ着いた16人の龍睡丸乗組員の実話。

船長をはじめとする乗組員の希望を失わない姿勢に旨を打たれました。
「蝿の王」や「東京島」といった小説では醜い権力争いが起こりますが、
この16人は争うことなく規律を守り生き延びました。

遭難したときの船長の指示が誠に適格で、リクスマネジメントの好例を見ました。
また、無人島に流れ着いてからの対応も素晴らしく、
ビジョン形成、組織化、モチベートなどマネジメントのケーススタディを読むようてした。

2013年9月21日土曜日

130. 「1年後に夢をかなえる読書術 」間川清

読書に効果がある6つの理由

1. 失敗することができる
著者は広告に10万円かえて失敗したが、本なら千円で他人の失敗を体験できる。

2. 本は公に許された唯一のカンニングペーパー
本には成功するための方法が書かれている。

3. 本を読む人が少ないので成功率が高い
日本人の半数が月に1冊も本を読まない。

4. コストパフォーマンスがずば抜けてよい
メンターより簡単に成功ノウハウに触れられる。
CDやセミナーより安く、簡単に入手でき、だめならすぐ止められる。

5. 人生に起きる問題はだいたい同じ
問題の9割はそれを解決してくれる本がある。

6. 本は面白くてたまらない
実践すると実にわかりやすいメリットが返ってくる。

最近、資格の勉強を始めるか、資格は追わずに読書に時間を使うか、少し悩んでました。
今の僕には、資格の勉強より、大量の本を読んで実行することが大事だと結論がでました。

129.「ライフトラベラー 人生の旅人」 喜多川 泰

薄い本ですが内容は深いです。

「財産はお金でなく経験。
働くというのは時間をお金に換えることではなく経験をお金に換えること。
自分の欲しい物を買い集めるより、誰もしていないような経験をしていったほうがいい。そんな生き方をしないのは行動の判断基準が「損得」だから。」

そんな指摘に「なるほど、そうだな」と納得しまいました。

「損得を行動の判断基準にすると予測以上の結果を手に入れられない。
だから欲しい物がなくても行動する。
今、目の前にあることに本気で取り組む。
そうすれば、やらなきゃいけないことがやりたいことになり自由な大人になれる。」

「そうなのか」と新しい視点を得ました。

「先の計算をちゃんとして得しそうな方向にしか動けなくっている。
それじゃあ、自分が予想もできない自分の可能性に驚く人生なんて遅れっこない。
人生は絶対に計算できない要素が柱になっている。それは出会い。
これから、誰に出会うかなんてどんなに損得を考えてもわかりっこない。
でも、その出会いが中心となって人生を創っていく。」

自分も完全に損得に捉われています。

自分が予想できない自分の可能性に驚くため、これから出会いを増やして生きたいと決意しました。


2013年9月20日金曜日

128.「心が凹んだとき」に読む本: 1日5分!“読む処方箋”」心屋 仁之助

それぞれの話にハッとさせられ、読んだ後ホッとしました。
いつもこんな風に考えられたら、もっと楽に生きられると思います。

中でも気に入ったのは、
「結婚相手には天敵を選べ」
「問題は起こってから考える」
「「ほう、そうか」とただ受け入れてみる」
です。

手元に置いて何度も読みたい本です。



2013年9月19日木曜日

「オールド・ボーイ」パク・チャヌク監督

この映画を見るのは2回目です。
とても印象に残っているので、また見てしまいました。
原作は日本の映画で、「JSA」のパク・チャヌク監督による韓国映画です。
2004年カンヌ国際映画祭グランプリを受賞しています。

主人公は、ある日突然街中で拉致され、15年間監禁されます。
開放された主人公は家族も失っており、妻殺しの犯人として追われています。
「なぜ、自分は15年間も監禁されたのか?」
その謎を解き、復讐することのみを生きる目標とします。

そして、その理由が明かされるとき、何気ない行動が引き起こした悲劇と
新たな悲劇が明かされます。

2度めの鑑賞でしたが、最後まで楽しめました。

127. 「中小企業診断士スペシャリストの仕事術」 TAC資格研究会 (編集)

2006年度版と2008年度版があり、2006年度版を読みました。

独立して成功している6人の方のお仕事を紹介しています。
仕事の範囲が多岐にわたり、とても楽しくやりがいがありそうです。
仕事も順調に受任されているように書かれています。

ただ、注意しなくてはならないのは、
書かれた時期がリーマン・ショック前で、それ以降は世間一般で
コンサルティングの仕事が減り、かつ、コンサルタントが乱立して
受注単価が下がったという社会情勢があること。
また、本に書かれている方の多くがコンサルティングだけでなく、
講師業(特にTACの講師である)と執筆業で生計を立てています。

とはいえ、どの資格でも取得したからといって収入が確保されるわけでなく、
本人がいかに差別化できるかの問題なので、
経営全般を多角的に勉強できる、この資格は魅力的だと思いました。

試験制度が2006年から変更され、科目合格制度と1次試験合格免除制度
が導入されています。
制度面からも魅力を感じ、受験してみようかなと思いました。

126. 「生き抜くための数学入門 (よりみちパン!セ)」 新井 紀子

数学が苦手なので少しでもわかるようになればと読んでみました。
しかし、読んでもよくわかりませんでした。

著者は、
「自由になるために数学をやるのよ!!」
「この本の目標は、「とは」力と「なぜ」力をつける、です。」
と表していますが、本書を読んだだけではそうなるとは思えません。

ただ、学校で習った数学のいくつかの項目について
「日常生活で、こういう物の見方もできるよ」
という示唆としては、面白いと思いました。

2013年9月17日火曜日

125.「スマホ中毒症 「21世紀のアヘン」から身を守る21の方法 」 志村 史夫

タイトルは現代社会の1つの象徴として描かれており、
全編にわたりスマホについて書かれているわけではありません。

歩きながらスマホ画面に見入っている人は、
大抵歩みが遅く、前を見ていないためにぶつかりそうになる。
そういう人を見るにつけイラっと来るものだが
そう感じているのは僕だけではないとわかった。
また、そういう人はアヘンのようにスマホに取り憑かれている
と思うと、非常に納得できた。

本書では、仕事に関する分野以外の本を読む大切さが説かれている。
仕事を頼みたい相手は、その専門知識があった上で、
雑学があると、話していて楽しく、親しみも湧くからだろう。

2013年9月16日月曜日

124. 「名誉の殺人 母、姉妹、娘を手にかけた男たち (朝日選書) 」 アイシェ・ヨナル

「名誉の殺人」という言葉をこの本で知りました。

「名誉殺人」は、婚前交渉したり、親が認めない相手と付き合ったり、町で男性と話したりしたことから「家族の名誉」を守るために、親、兄弟、親戚が娘を殺すことです。

こういった風習はクルド人社会で多く見られます。
クルド人はトルコ、イラク、イギリスなどに居住しています。クルド人社会は完全な男尊女卑の社会で、男性はあまり働きませんが大事にされます。クルド人は、移民であるため就業の機会が少なく、貧困からなかなか抜け出せません。

一方の女性は、家事の重労働に追われ、学習する機会も奪われます。10代前半で親が決めた相手と結婚させられますが、その相手の多くは親戚であり、自分の父親と同じ位の年齢の金持ちの2号である場合もあります。
そして、結婚後は、夫から暴力を受けそれに耐えるしかありません。

この重労働、暴力、貧困、嫌いな夫から逃れるには、逃げ出すしかありません。そして、逃げ出すと一族から殺されるまで追われます。
仮に国を脱出できたとしても追われ続け、時効もないので、うまく逃げおおせたとしても、一生顔を隠して怯えて生きなくてはなりません。

トルコでは2000年から2005年の間に、1,806人の女性が「名誉の殺人」の犠牲になりました。
さらに、5,375人が家族からの圧力で自殺させられました。
「名誉の殺人」の件数は平均して1日1件となります。

「名誉の殺人」とその顛末がもっと世界、そしてクルド人自身に知れわたればいいと思います。
そして、家族が決めた相手以外と結婚した娘を殺すことは決して「名誉」でなく、家族に手をかけた兄弟には決して「名誉」が与えらるどころか、逆に不幸な人生を送ることになっていることがクルド人の間で理解、浸透されていくことを望みます。


「上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史 (星海社新書) [新書] 山内 宏泰」を持って国立西洋美術館へ

本の内容が面白かったので、描かれている絵画を見に行ってきました。

まずはロダンの「考える人」がお出迎え。教科書でしか見たことがありませんでしたが、
初めて実物を見ました。写真では見れなかった細かい筋肉のつくりや
背骨の美しさが見事でした。

期待に胸を膨らませ入館すると、「モネの睡蓮がない・・・」。
常設展に行ったことがなかったので知らなかったが、
絵画の配列は変わるのだ。
そのため、本で紹介されている配列とは全く異なっていた。

今は、印象派が殆ど展示されていない。
モネの「睡蓮」、ルノワールの「帽子の女」、セザンヌの「ポントワーズの橋と堤」
は見ることができなかった。

それでも、「聖ミカエルと龍」、マネの「ブラン氏の肖像」、カペの「自画像」、
ヤン・ブリューゲルの「アブラハムとイサクのいる森林風景」、
ピテル・ブリューゲルの「鳥罠のある冬景色」、グレコの「十字架のキリスト」等
本を読みながらじっくりと絵を見ることができました。

それぞれの時代背景や作画技法などがよくわかり、
通り一辺倒の見方ではなく、深く鑑賞できました。

結局、2時間のつもりが、5時間かかってしまいましたが、充実した時間でした。





123. 「世界の紛争と領土問題」松竹 伸幸

子供用の本だがしっかりと説明されわかりやすいです;
いくつかの紛争について何となくは知っていましたが、
知らない紛争もありました。
また、知っている紛争についても何となく知っているだけで、
その原因について初めて知りました。

特にクルド人、西サハラ、南スーダンの問題については
初めて知りました。

122. 「面白い本 (岩波新書) [新書]」 成毛 眞

著者が薦める100冊の本が魅力的に紹介されています。

紹介された本すべてを読みたいと思ったわけではありませんが、
30冊位を読んでみたくなりました。
自分ではなかなか選ぶことがないような本と出合うキッカケを作ってくれます。

2013年9月13日金曜日

121.「中・高校生のための狂言入門」 山本 東次郎

とても丁寧に狂言を歴史から語っています。
いくつかの話について、あらすじや見どことを説明して、
その題目をイメージできました。
狂言には様々な流派があって、流派ごとに話しや
衣装などに違いがあることがとても興味深いです。

2013年9月12日木曜日

120.「独学術」 (ディスカヴァー携書) [新書] 白取 春彦

「独学術」というより、「読書のすすめ」でした。
学習法の中では、「王道」かつ「保守的」な主張です。


  • 本をたくさん読め
  • 本は買わなくては頭に残らない
  • 外国の文化・思想を学ぶため聖書を読め
  • 古典の原典を読め
  • 外国語を学ぶ前にまず日本語を学べ
  • 外国語学習は会話より読書、そして辞書を読め。

独学と表している部分は、殆ど読書について語られ、
術というノウハウは殆ど書かれていないように思いました。


風立ちぬ

賛否両論の映画ですが、私は見て良かったと思いました。

昭和初期の日本の美しい風景が余すところなく描き切られています。
その色彩感はあたかもモネの絵画のようです。
ジブリ映画に特徴的な空の立体感もこれまでで最も広く、
深く表現されています。
また、映画の中に流れる風も体感できるようでした。

子供の頃から空への夢を描き続けた少年が
世界最速の飛行機「ゼロ戦」を創り上げました。
しかし、その結果は飛行機の数分のパイロットを死に至らしめてしまいます。
二郎の苦悩や葛藤は直接的には表現されませんが、
自らは近視のためパイロットになれず、技術者として多くの犠牲を
出したことに対し、自らの死も覚悟したことと思われます。
その二郎に対し菜穂子の「生きて」の言葉が支えになります。
ジブリ映画のテーマである「生きねば」というメッセージが伝えられます。

薄命であった妻の菜穂子は、夫が仕事を成し遂げるのを見届け
療養所へ帰っていきます。
「自分をあまり省みなくても、仕事で成功する姿を見ることが自分の幸せ」
これが菜穂子の無言のメッセージに思えます。
こうあれば良いのですが、これは男性側の勝手な思い込みかも知れません。
今回が最後の監督業となる宮崎監督ですが、
二郎に自分、菜穂子に奥さんを重ねあわせ、最後の作品で奥さんに
感謝の気持ちを表したようにも思いました。




2013年9月11日水曜日

119.「検証・学歴の効用」濱中 淳子

何気なく選んで読み始めましたが、非常に面白く勉強になりました。

バックデータがリクルートのワークス研究所であるため信頼も置けます。
学歴と所得の関係性について分析されていますが
自分自身や周囲を見ても当てはまると感じました。

私は経済学系の学部卒ですが、自分自身が初めて就職したときの
「大学を出たのに何でこんなことをするのか」
という無力感の原因が明確になり、非常に納得しました。
また、なぜ読書を勧める経済人が多いのか、
なぜ自分はなぜ卒業後も学習することに拘り続けたのか。
なぜ大学での専門分野に近い学習を続けたのに
勤務した企業で殆ど評価されず、所得向上にも効果がなかったのかがわかりました。

概略は下記のとおりです。大変示唆に富む、お勧めの本です。

1. 大卒学歴の効用は増大している
2. 高卒と大卒は「異質な人材」だとみなることができる
3. 大学時代をどのように過ごしたかが、経済的効用を左右する
4. 女子にとっての大学進学は、「オールマイティ」な効用をもたらす
5. 専門学校の効用は資格につながる領域に限定して確認される
6. 院卒学歴の効用は、現段階では小さいが、注目される教育機能もある


2013年9月10日火曜日

118.「新自由主義の帰結―なぜ世界経済は停滞するのか」 服部 茂幸

まず、いくつかの文章で「オヤ?」と思いました。

「もし10%や30%といったハイパーインフレが必要だとすれば」
国際会計基準の定義では3年間で累積100%(年率約26%)の物価上昇を
ハイパーインフレーションと呼びます。
10%ではハイパーインフレとは言わないのでは?

「19世紀の古典的な資本主義では、会社は株主のものだった。」
今でもそのはずですが・・・。

新自由主義について詳説し、その具体例が列挙されると思っていましたが、
そうではありませんでした。
1990年代からのアメリカを中心とした経済を著者の視点から語られます。

新自由主義がアメリカでどのように採用され、
それがもとで現状がこうであるという話でもありませんでした。
アメリカの経済政策は新自由主義だという前提のもの、
住宅バブルの原因はグリーンスパンの金融緩和だというシンプルな結論です。

そして、著者は、
「日本はニューディール政策を学べ。
そして、経済学はアメリカからもたらされたのだから、
今後、アメリカで起きたことが日本でも起きる。
だから、アメリカ自由主義の現実を学べ。」
と結論付けているように思えました。
(118/2013)
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117.「中華人民共和国史」天児 慧


1949年の建国時には、中華人民共和国は社会主義国ではありませんでした。

国民党に勝利した後、党内での主権争いに勝ち抜いた毛沢東が社会主義国に創り変えていきました。
その過程の1959年から61年の間には、1,500万人から4,000万人とも言われる餓死者を出しています。

また、毛沢東が行った文化大革命は11年に渡り、死者1,000万人、被害者1億人にのぼりました。
その本当の目的は、劉少奇と鄧小平の権力切り崩しでした。

尖閣諸島が「中国国有の領土」と初めて記述されたのは、1992年に採択された「領海法」からとのことです。

驚くべきことに、2010年に大気汚染が原因で死亡した人は全国で123万4,000人です。

2012年の政府の腐敗件数は、86万1,000件。

GNP世界第2位の超大国となりましたが、環境問題、経済格差、汚職、領土紛争、少数民族抑圧などの多くの問題を抱えています。

自分自身、隣人について詳しく知らず、報道に対する感情論だけでこれまで見てきていました。もっと中国という国を知ってうまく付き合っていきたいと思います。
(117/2013)


116.「新書がベスト (ベスト新書) [新書]」 小飼 弾

「生き残る力」を付けるために多様なカテゴリーの擁したノンフィクション
を読むべきと提案する。
そして、新書はハードカバーに比べて安くて、携帯にも向いている。
新書を読んだことが強みになる目安は1,000冊とのこと。

新書を月に3冊読むことを目標としていたが、10冊に増やそうと思う。
(116/2013)
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2013年9月9日月曜日

115.「マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」 マイケル・ルイス

ノンフィクションだがとても楽しく読めた。

常識を疑い客観的データと仮説で、お金をかけずにMBAのチームを
常にリーグ優勝に絡ませるまでに創り変えたビリー・ビーンの物語。

盗塁させない、守備を重視しない、四球や出塁率を重視する、
と日本でも常識とされていることと反対のことをしているにもかかわらず、
結果を出している。

その考え方は、他のビジネスでも真似すべきだと思う。
(114/2013)
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2013年9月5日木曜日

114.「インド英語のリスニング」 榎木薗 鉄也

書店で見かけ、「こんな本があるんだ」と驚いた。
仕事でインド人の方とやりとりすると、会話でも文書でも非常に理解しにくい。
こういった本があるということは、そう感じている人が多いからだろう。

内容はとても面白い。
すぐに吹っかけてくるくるタクシー運転手とか
エイズ検査で針を変えてくれと交渉したりとか、
非常に現実的で役立つ内容だ。

また、付属CDの会話がヒンディー語混じりで興味深い。
インドの公用語は英語だと思っていたが、実際にはヒンディー語。
しかし、国民の40%位しか話せず、殆どが22もある地域の言語を話している。
英語は、2%位の国民しか話せないが、よい仕事を得るためには必須で、
話せる人は都市部に集中しているとのこと。

会話だけでなく、インド文化や現地での交渉も学べる有益な一冊。

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2013年9月4日水曜日

113.「すごい人のすごい話 」 荒俣宏

荒俣宏と15人の賢人たちの深い対談。
それぞれの分野の深い造詣をもった賢人に対して
それに劣らない知識を有する荒俣さんが上手に話を引き出している。

特に面白かったのは、脱毛外来を担当する坂見医師の「ハゲの噂」
育毛サロン、高いシャンプーは殆ど効果がないとの意外な解説
では、何が効果があるのか・・・

それは、「ミノキシジル」と「フィナステリド」
これらは、時間がかかるが効果が高いそうです。

特に、「フィナステリド」は、「プロペシア」という商品名で販売されています。
ジェネリックは、「フィンペシア」「フィナバルド」です。
効果が現れるのに最低半年。一年は続けないと効果が実感できないとのことです。
坂見医師自身も飲んでいて、8ヶ月後には頭頂部の透けていた地肌が
見えなくなったそうです。
「フィナステリド」はもともと前立腺肥大の薬なので、
その予防にもなるかもしれません。

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112.「働かないアリに意義がある」 長谷川 英祐

「7割のアリは巣の中で何もせず、一生働かない。」
「道を間違うアリが交ざっているほうがエサを効率よくとれる場合がある。」
「仕事が増えると働かないアリも働くようになる。」
など、知られざるアリの生態が面白かった。

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2013年9月3日火曜日

111.「起業学―事業はシンプルに考えよう」福島 正伸

起業したい人向けの入門書かつ実践書。
夢や事業を紙に書き、100回修正して、30人以上の人に語ることで
プランが磨かれ、支援者が現れる。

後半に普通のビジネスの教科書に書かれているような内容になっているのが残念。
もっと実体験からのノウハウになるともっと良かったと思う。

書かれたのが2004年なので、内容も少し古いが
8章がふくらむとさらに勉強になって古さを感じなかったと思う。

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110.「人を動かす、新たな3原則 売らないセール」 ダニエル・ピンク

「売り込みに長けた外向的なセールスマンは死滅した。
一方で、セールス自体は日常生活の多くの局面で必要となっている。」との内容。

<人を動かすために必要な特質>
A: Attunement(同調)
B: Buoyancy (浮揚力)
C: Clarity (明確性)

<人を動かすための重要な能力>
ピッチ(売り口上)
即興
奉仕

この特質と能力は著者の思いつきで、根拠がなさそうだが、
興味深いフレームでした。

セールスのカリスマとして、高城幸司さんが紹介されており、
リクルート勤務時代に何度かお見かけしたので驚きました。

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109.「2022―これから10年、活躍できる人の条件」 神田 昌典

著者が預言書を書くことが目的だったためか、私には内容の整合性が掴めなかったです。

「人口ピラミッドによれば、日本は高齢化が進み消費が萎むから2020年以降沈没する。」
「70年周期から考えると、朝鮮特需から70年後の2022年に日本は繁栄する。」
結局、どっちなのだろう。

「2024年には会社というコンセプトが寿命終える。」
何故だろう。

「個人はリーダーになるスキルを身につけるため、インプットでなくアウトプットをせよ。」
「人生7年節目説により、年代に合わせた役割を果たせ。」
「10年後の自分像を描け。」
結局、よくある方法論?

というわけで、何が活躍できる人の条件なのかは見つけられなかったが、
各章の関連性を考えることで、頭を使うことができてよかったです。

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2013年9月2日月曜日

108.「怪盗探偵山猫 虚像のウロボロス」 神永 学

義賊(?)である山猫がマフィアの構想の裏に潜む策謀を暴くハードボイルド小説。


渋谷に出現した自警団「ウロボロス」

最初は、渋谷のトラブルを解決するだけでしたが、徐々に暴力団の粛清へと行動を過激化します。

そのウロボロスの行動を偶然、盗聴することになった、魔王こと中学生の真生。好奇心から、勝村、そして山猫を巻き込んでいきます。

よく練られた構図にどんどん引き込まれます。物語の主題と同時に真生が成長していく姿が描かれる、スリリングな冒険小説です。

著者は心霊探偵八雲をはじめ、さまざまなシリーズを書き分けそれぞれ成功させています。

今回は、天命探偵真田省吾や確率捜査官御子柴岳人のキャラクターが少しでききて、著者の世界が徐々に構成されていっています。

著者の作品全般に言えることですが、事件の被害者に対する
優しさが感じられるので、最後にはほっとします。

107.「ダメなときほど運はたまる ~だれでも「運のいい人」になれる50のヒント」 萩本 欽一

「才能がないと思っても、何度も失敗しても、
一生懸命やっていれば運の神様は見ていてくれる。」
「上司から怒られたり、嫌なことがあったりしてとき、運を貯めていると考える。」

そんな著者の言葉で、思い通りにならない日常が意味あるように思えて
勇気づけられます。

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106.「私的ブランド論―ルイ・ヴィトンと出会って」 秦 郷次郎

ルイ・ヴィトンの日本進出時にコンサルティングを担当し、
そのまま支社長となられた方の本。

著者が考えるリアルブランドのの要件
1.長い歴史
2.一貫した伝統
3.独特の技術のノウハウ
4.ブランド独自の考え方・哲学
5.独自の美意識
6.高品質と保証

価値あるブランドを創るためには、商標の権利化だけでなく、
製造、カスタマーサポート、広告、出店戦略、店舗デザインなど
幅広い分野での努力と工夫が必要と思いました。

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2013年9月1日日曜日

105.「まわりの人と「うまく付き合えない」と感じたら読む本」 心屋 仁之助

「嫌われる恐怖」がすべての問題を作り出しているそうです。逆に言えば、「嫌われることが怖くない人」は、問題が少ないとのこと。そう言われてみれば、その通りです。

そういう気持ちになるためには、どうするか。それは、
「私は、無理に人とコミュニケーションしなくていい。」
「私は、人と仲良くできなくても孤独でもいい。」
と許可することで、「そうなってもいいし、ならなくてもいい」と自分で選択できるようになるそうです。

日頃から、
「嫌われてもいい。」
「誤解されてもいい。」
「失敗してもいい。」
「クビになってもいい。」
とつぶやくことで、「失うもののない強さと覚悟」ができて、自信がついてくるそうです。

確かにそうかもしれません。つぶやいてみます。