2014年12月26日金曜日

550.「笑うハーレキン」 道尾 秀介

東口は、子供を亡くし、妻には逃げられ、経営していた家具会社は倒産します。川辺に流れ着いてホームレスとなり、家具造りの技術を活かして、家具の修理をしながらその日を生きつないでいます。

ある日、東口の車に奈々恵という女が侵入し押しかけ弟子となります。東口と奈々恵の奇妙な共同生活が始まりますが、奈々恵は何かを隠しているようです。

人生の底辺まで堕ちた人間が希望もなく無気力に日々を生きながらえる。お金がない弱みに付け込まれ、更なる窮地へと追い込まれて命まで失ってしまう。

そんな状況でも仕事を続けることで生きる糧を確保していくうちに、新たな希望に出会えることがあるということを教えてくれました。人生をやり直すことに年齢は関係ないと勇気づけてくれます。


549.「田母神戦争大学 心配しなくても中国と戦争にはなりませ」 田母神俊雄、 石井義哲

中国、ロシア、北朝鮮、韓国の軍事行動の本当の意図がよく分かりました。

また、アメリカの日本に対する政治交渉も大変分かりやすいです。上記4カ国と日本が仲が悪ければ、アメリカに対して連合を組んで向かってくることがないので、非常に都合がよいとの説明は、その通りだと思いました。

中国の防衛識別圏の設定が問題となりましたが、実は中国はこれをうまく使いこなせないので意味をなさず、気にする必要はないそうです。単に尖閣諸島に対して使ってみた位のことだそうです。

尖閣諸島や北方領土が中国やロシアにとって重要なのは、そこが潜水艦が太平洋に自由に出るための通路だからです。海底資源の問題はその次です。そうなると、これらの島々から手を引かせることは簡単ではありません。日本も自国の軍事力を強化して、これらの地域を防衛する必要があるのではないでしょうか。


2014年12月25日木曜日

548.「ちいさなかみさま」 石井 光太

ノンフィクションライターである著者が出会った、ちょっといい話。ビッグコミックスペリオール誌で2年間連載をショートストーリーを単行本化したそうです。

人の心の中で進むべき道を照らしてくれる小さな灯火。それを著者は「ちいさなかみさま」と呼んでいます。

私はなかでも「おはよう兄さん」の話が一番好きです。知的障害を持ち、夕方になると街中を走って出会う人に「おはよう!」と声をかける青年の話です。家族は周囲に迷惑をかけていると思っていましたが、実は「おはよう兄さん」に勇気づけられている人が沢山いました。


2014年12月24日水曜日

547.「スナックさいばら おんなのけものみち 男とかいらなくね?篇 」 西原 理恵子

漫画家の西原 理恵子による、読者とのガールズ・トークです。

本編は、
-わたしの上京ものがたり
-男だらけの男祭り、開催!私たちにダメ出ししてください
-うちのオカンのイタイ話
-オーバー50の方達に聞きたい。結局、女のシアワセって何ですか
-ワタシにも言わせて!この世でいちばん大事なおカネの話

一番面白いかったのは、おカネの話です。どんなに災難があっても、おカネが入ってくる仕事を持っていて、おカネを蓄えていれば、何とかなるんですね。

彼氏は、高須クリニックの高須先生ですが、高須先生って70歳を超えているんですね。整形を繰り返しているそうです。医療の進歩はすさまじい。でも、ちょっと浅香光代に似てますね。

ところどころに、作家の岩井志麻子さんが登場します。「名器になる注射をブスブス打っている」とか、エチオピア人とやった時の話とかあけすけに書かれていますが、いいのでしょうか。


2014年12月22日月曜日

546.「暴露:スノーデンが私に託したファイル」グレン・グリーンウォルド

スノーデンが米国国家安全保障局(NSA)の最高機密情報を暴露したことは、大変なニュースになりました。しかし、正直なところ、私は詳しい内容を殆ど知らず、米国国内の話で日本にあまり関係がないと思っていました。

ところが、スノーデンは日本ととても関係が深いのです。彼は、NSA勤務時にその請負企業「デルコンピュータ」(ほんとかよ)に派遣され、2009年から2011年まで日本のデル(=NSA)で上級サイバー工作員の訓練を受けていました。つまり、デルはNSAの一機関で、そのスパイ養成学校が日本にあったのです。驚愕しました。

米国は、国内どころか世界中の情報を管理しています。
その手法は、
1. 大手通信会社「ベライゾン」の国内加入者数千万人分の通信履歴の収集
2. アップストリーム:光ファイバーが米国に上陸するポイントでの情報収集
3. PRISM:フェイスブック、ヤフー、グーグル、アップル、ユーチューブ、スカイプのサーバアクセス
4. CNE:コンピュータへの「クワンタム」ウイルス感染

PRISMでは、フェイスブックのチャット、ヤフーメールの内容、グーグルの検索結果などを収集しています。

CNEでは、米国のPCメーカーが出荷するPCをランダムに押収して、「クワンタム」というウイルスに感染させ、再包装のうえ未開封として出荷します。このPCは既に世界に10万台以上あるそうです。

小説「米中開戦」で中国政府のセイバー攻撃が描かれ、「こんなことができるのか」と驚きましたが、米国政府はそれ以上のことを既に実行済みでした。

米国政府のメインターゲットに日本も含まれています。友好国と思っていては、足元をすくわれますね。これでは、TPPでも日本の情報は筒抜けであり、米国に有利に交渉が進められることでしょう。



2014年12月19日金曜日

545.「即答力」 松浦弥太郎

「即答力」とは、目の前のことに即答できる能力といったところでしょうか。この能力により、仕事も人も運もチャンスもやってくるそうです。

「即答力」を身に付けるには、ひたすら即答を続けることしかないそうです。そのためには、自分の基本に対して、「なぜ、なに、なんだろう」と疑問を持つこと。著者が自分の仕事の全ての事柄に即答できるのは、24時間、365日ほぼ仕事について考えているからだそうです。

「誰よりもよく考えているから、誰よりもいい判断ができる。」
確かに、その通りだと思いました。自分の仕事について、いつも疑問を持ち、即答できるように準備しておく。そのプロセスで自分の専門分野に対する知識が蓄積するとともに、視野も広がり、判断基準が確立して、判断の精度が上がる。

単純な作業ですが、とても効果があると思います。その一方で、期限も督促もないので継続することが難しいのではないでしょうか。

本書でも具体的なやり方は示されていませんが、是非とも習慣にしたいものです。


2014年12月18日木曜日

544.「スタート!」 中山 七里

中山七里さんの小説は、重苦しく、いくつものどんでん返しがある殺人事件に魅力があります。

本作は、映画製作に情熱を傾ける人間ドラマだと思っていたので、新しい分野を探るそれなりの作品と、正直、あまり期待していませんでした。そこそこは楽しめるだろうけど、夢中にはなれないだろうという予想です。

しかし、その予想は、完全に裏切られました。素晴らしい作品です。映画製作の舞台裏を見せながらも、善人の隠された悪意を基軸のテーマにしています。

映画に情熱を傾ける若者達の成長を描きながら、殺人事件の謎解きも同時進行させています。その中で、昭和の職人達から、平成の若者達へ、映画に向き合う覚悟が伝達されていきます。

作中の映画原作「災厄の季節」が、著者の「連続殺人鬼 カエル男」であるところも面白いです。この作品も傑作なので、ご一読をお薦めします。




最後まで、どんでん返しが続き、最後の最後に「芸術を愛する者の悪意」が姿を現します。一気に読みきれる作品でした。

2014年12月17日水曜日

543.「失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで」 大和 彩

著者は、37歳、体重100Kgの女性です。「女子」と呼べるのか疑問です。

著者が無職に陥った理由は、知識や技術が蓄積しない仕事を長期にわたって続け、30歳半ばを過ぎて失業してしまったことと思われます。低賃金で20代の女性との競争になってしまいますから、採用されるのは、非常に難しいと思いました。

しかし、このような状況に陥ってしまう人は多いのではないでしょうか。私自身は、最初の勤務先で新規飛び込み営業をさせられていたので、失業時でも、100件位の求人情報に応募して、次々とお祈りレターを受け取ることも、苦になりませんでした。ただし、このような人間の方が特殊で、多くの人は断られることが怖いので沢山応募することに腰が引けてしまうのではないでしょうか。

また、就職活動にしても、ハローワークに通うのみで、履歴書のブラッシュアップや、面接対策、キャリア形成等の策が全くありませんでした。ハローワークの職員さんに助けてもらって、やっと方向が見えてきます。これでは、失業状態が長期化するのも無理は無いと感じました。

著者にとって幸運だったのは、ハローワークでよいアドバイザーに出会えたことです。その方と定期的に面談することで、精神的サポートや、経済的支援を受けることができました。こういった制度は、非常に有意義だと思います。

雇用の安定や、個人の能力安定を考えると、派遣社員に制限を設け、正社員の雇用を増やすべきと思います。また、移民を増加させず、まずは日本人の雇用を確保することが、税収上でも社会の安定面でも大切と思いました。






2014年12月16日火曜日

542.「スナックさいばら おんなのけものみち バックレ人生大炎上篇」 西原 理恵子

それぞれのテーマについて投稿された内容に、西原理恵子さんがコメントしていく形式です。場末のスナックのガールズトーク。本書のテーマは、

  • アナタが遭遇した「こりゃ、ないわ~」な体験
  • おひとり様ですが、何か?
  • ”この仕事をやっててよかった”と思った瞬間
  • トモダチはいますか?
  • 私はこうしてどん底から這い上がりました
投稿者は、30代後半から40代後半の女性が多く、皆驚くほど様々な人生体験をしています。それでも何とか生き抜いて逞しく生きているところが勉強になり、頼もしく思いました。


2014年12月15日月曜日

541.「ブランド戦略全書」 田中 洋

私は、「戦略」という言葉があまり好きではありません。具体的に何を意味するのか明確ではないのに、何となくすごく考えぬかれたように思わせる意図が感じられるからです。

本書も例に漏れず、「ブランド戦略」の意味が明確に理解できませんでした

仮にブランドの価値を上げるような計略という意味であれば、この本の内容を正確に表していません。本書は実用書というより学術書です。10人の著者による論文集と考えたほうがよいと思います。そして、一冊を貫く一つの主張はなく、各自の興味にそったバラバラの論説です。

さらに、私に合わないのが、カタカナ英語が多いこと。「ミーニング(意味)」のように記載しますが、それだったら、単に「意味」でよいのではないでしょうか。カタカナ英語を使うことで、自分が英語に堪能なことや、普通の内容を箔付けしようとしているように感じます。

著者達も実際に、実務に携わる方が少なく、学者さんが多いです。ということは、実際にブランドの価値を上げた経験があるわけではなく、誰かがやった手法を分析したり、たまにアドバイスしてそれがうまくいったり、いかなかったりということではないでしょうか・・・

ブランドというものに初めて触れる大学生などには、よい教材だと思いました。


2014年12月12日金曜日

540.「米中開戦3」 トム クランシー、 マーク グリーニー

アメリカの無人探査機のコントロールを奪い、墜落させた実行犯である査殊海は、CIAに拉致されますが、証拠隠蔽のため、CIAの隠れ家で暗殺されます。

しかし、彼のコンピュータに保管されたデータの解析により、徐々に「センター」の正体が明らかになります。

一方、南シナ海では、人民解放軍による挑発行為が続き、アメリカの戦闘機と交戦します。さらには、南シナ海を封鎖して、接近してきたインドの航空母艦へミサイルを打ち込みます。

中国の台湾占領が徐々に現実味を帯び、台湾を影で支援する米国との開戦が近づきています。

現実の世界でも、中国の不動産バブルは既に崩壊しており、2015年は経済破綻が明らかになる可能性が高いそうです。そうなった場合、他国を侵略し国内の不満をそらし、侵略国の経済を乗っ取って景気の辻褄を合わせるという本書のシナリオも、あながち、作り話でなくなるかもしれません。


2014年12月11日木曜日

539.「七色の毒」 中山 七里

人間が隠し持つ憎悪や殺意を、殺害につかわれた凶器の色に擬えて描き出しています。

人に対する悪意は一人だけが抱くものでなく、複数の人が同時に抱いていることがあります。

殺人事件の殺害方法や動機が一見単純に見えても、その背後には何人もの憎悪が渦巻き、互いに教唆しながら実際の殺人が行われる。そんな構図を非常に短いページのなかで、見事に描いています。

物語の最後にどんでん返しがあり、最後のページまで目が話せない、スリリングな短篇集です。


2014年12月10日水曜日

538.「日本国の復権――論戦2014」 櫻井 よしこ


2013年に週刊ダイアモンド等に掲載されたコラムに、2014年時点のコメントが追加されています。

著者が問題と思うテーマについて、4ページ程度で説明と解説がなされており、分かりやすいです。

著者の論調は保守寄りで、読んでいて日本という国に自信を誇りを感じられます。


一方、中国への脅威論が何度も記載されており、私が考える以上に中国の他国侵略の意欲が強く、危険であることが伺えます。


また、事実かどうか分かりませんが、韓国における北朝鮮の工作が浸透しているようです。特に、司法分野に北朝鮮親派が地位を得ており、日本に対する戦時補償の判決もその流れから来ているとのことです。


そして、河野談話の検証報告に驚きました。強制連行をしていないのに、韓国政府のゴリ押しのため、詫び状と償い金を払ったそうです。これは殆ど知られていないことです。償い金まで支払っているのにさらに未だに賠償請求するなど、単なるタカリでは・・・

河野談話の検証報告
1. 正式文書で、日本政府は、強制連行を認めていない。
2. 韓国政府が強制連行を認めるよう強く介入、日本政府が政治的配慮から譲歩。
3. 61名の女性達が首相の詫び状とともに一人500万円の償い金を受領。


2014年12月9日火曜日

537.「新装版 続・レモンをお金にかえる法」 ルイズ・アームストロング、 ビル・バッソ

子供達のレモネード販売を通じて、景気変動を説明しています。

ある年のアメリカ。異常寒波により、レモンが不作となります。
子供達のレモネード店でも原料が値上がりしたため、レモネードを値上げします。
するとレモネードを買うために、他のビジネスも値上げをし、インフレになります。

そして、インフレを止めるために価格凍結、賃金凍結、レイオフ、倒産を引き起こします。
仕事を失った人は、安い労働力として市場に流れ、物価が下がり始めて大不況となります。

つまり、本書の定義で大不況はデフレを意味しています。
ということは、20年以上もデフレの日本は、ずっと大不況だということになります。

この大不況に対する景気刺激策として、失業保険で需要喚起し、新しい事業を起こして雇用の場を作り、その事業に資金を貸し付けることが挙げられています。

アベノミクスでいう、第一の矢(金融緩和)と第三の矢(規制緩和)ですね。この話では、これで景気が回復しますが、実際にはこれで景気回復するとは思えません。そうすると、アベノミクスでも第二の矢がないと、デフレ脱却は難しいでしょう。

こんなに単純な循環はおこりませんが、子供に景気変動という概念を伝えるにはよい本ですね。


2014年12月8日月曜日

536.「日本人が一生使える勉強法」 竹田 恒泰

まず、ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」を分析し、西洋式成功哲学を解き明かします。

つまり、夢を明確化し、具体的に計画を立て、それを紙に書いて読み上げることで、やるべきことを意識化することです。

しかし、夢を固定化することは可能性を限定するということなので、常に変化する社会においては、夢が陳腐化することがあると解きます。

そこで、夢は変わることを前提に、それに対応できるように勉強することを薦めています。

勉強の内容は、仕事やお金に結びつけることではありません。役に立つと分かっていることだけ勉強しても、他の人も同じことを考えているので、外部に発注できる能力をわざわざ身につけることになるそうです。言われてみれば、その通りです。

まずは、一分野を極めることが重要で、そのためには、その分野にまつわる閲覧可能な文献はすべて読み込むのが原則だそうです。

実践的内容で、大変勉強になりました。


2014年12月5日金曜日

535.「快挙」 白石 一文

写真家希望の俊彦は、月島で居酒屋を開いていたみすみを見初め、交際の末、結婚します。

写真家としてなかなか芽がでない彼は、写真家になる夢を諦め、小説家志望に転身します。

阪神・淡路大震災のあと、みすみの実家である須磨に移り住みますが、夫妻は子供に恵まれません。

俊彦の小説も陽の目を見ず、さらに俊彦は結核に侵され、長期入院を余儀なくされます。

みすみは、家計を支えるため、昼は貿易会社で、夜はスナックで働く。お互いをいたわり、愛しあう2人でしたが、徐々にその関係は変質していきます。

俊彦にとっての、「快挙」とは何であったのか。それが語られる時、男と女が添い遂げるという意味を考えさせられました。


2014年12月4日木曜日

534.「追憶の夜想曲」中山七里

本書を読む前に、御子柴礼司にまつわる前作「贖罪の奏鳴曲」を読むことをお薦めします。

御子柴礼司は被告に多額の報酬を要求する悪辣弁護士です。彼は十四歳の時、幼女バラバラ殺人を犯し少年院に収監されましたが、名前を変え弁護士となりました。

実際には、そんなことができるのか疑問です。

彼は、夫殺しの容疑で、懲役十六年の判決を受けた主婦の事件に、高裁の審理から弁護人となります。争点もないため勝ち目は薄く、主婦はお金を持っていないため高額報酬も望めません。

御子柴は、なぜ亜季子の弁護を希望したのでしょうか? そして第二審の行方は?

裁判員裁判制度が導入されてから、心証が裁判に与える影響が大きくなり、厳罰化が進んだそうです。その心の動きに着目した心理戦の裁判ミステリーです。

最後まで、人間の欲望や贖罪が暴かれ、償うということの意味を考えさせる非常にすぐれた小説です。




2014年12月3日水曜日

533.「時計じかけのオレンジ 完全版」アントニイ・バージェス

スタンリー・キューブリックの有名な映画の原作です。

「ビブリア古書堂の事件手帖」で、結末が異なる2版あることを知り、興味を持ちました。

こちらは、映画の結末と異なる、著者オリジナルの完全版です。1962年発表ですが古びていません。


「時計じかけのオレンジ」とは、洗脳によって行動を規制されたもろい果実のような人間を表わしているのでしょうか。

未来のナッドサット言葉なる単語が頻出するため、少し読みにくいですが、独特の雰囲気を醸し出しています。翻訳者の苦労は並々ならぬものだったのでしょう。

アレックスが殺人で逮捕されたのが15歳の時です。釈放された後、洗脳が解かれたのが18歳。映画では確か洗脳が解かれ、元に戻った不気味な雰囲気で終わったような印象があります。

原作で著者は子供が大人になるということを最後に描きたかったのではないでしょうか。




2014年12月2日火曜日

532.「Nのために」湊 かなえ

2014年10月期ドラマの原作です。

1月22日午後7時20分頃、高層マンションの一室で野口 貴弘・奈央子夫妻が殺害されます。

部屋には、西崎 真人、杉下 希美、成瀬 慎司の3人が居合わせ、西崎が犯人として逮捕されます。西崎と奈央子は、不倫関係にありました。

この部屋で一体何が起こったのでしょうか。

ドラマでは、小説にない警察官が登場します。これは、小説が登場人物の独白形式を採っているため、各人の心情が細かく描かれています。これをドラマで表現することが難しいため、第三者の目線を入れて客観的に説明しているのではないでしょうか。

読み終わったあとに、Nとは結局、誰だったのか考えこみました。希美と成瀬の穏やかなラストに思いが深まりました。


2014年12月1日月曜日

531.「40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。 新・ミドルエイジ論」成毛 眞

身も蓋もないない真実が語られており、とても面白かったです。

「そもそも資本主義社会において、資本家になるのが最終目的であり、社内で出世してもあまり意味がない。」

この言葉は、会社の役職で人間の価値を測ってしまうことの無意味さに気づかせてくれます。

ミドルエイジのライフプラン、趣味、健康、財布について様々なアドバイスを提供してくれます。

そのアドバイスは、世間一般で言われていることとは異なるかもしれません。

しかし、こちらの方が説得力があり、真実に思えました。