2014年2月28日金曜日

266.「〈起業〉という幻想 ─ アメリカン・ドリームの現実」 スコット A シェーン

とても面白い本でした。

起業にまつわる神話がデータを基に否定されています。
例えば、アメリカの起業割合は、OECD諸国の自衛の割合で23位であり、日本の16位より下位です。

シリコンバレーのあるカリフォルニア州は、新企業設立割合が全国平均を下回っています。

新たなビジネスの殆どは、建設業や小売業のようなありきたりの産業です。その理由は、自分が働いている産業でビジネスを始めるからですが、これは、失敗しやすい産業でビジネスを始めることで、自分自身を失敗に追い込んでいます。

これまでの成功する起業のイメージは、自分がそれまで従事していたビジネスで、少額の資本により個人商店からスタートし、規模が大きくなったら、株式会社に変更するというものでした。
しかし、この方法は、利益率が低く、失敗する可能性が低いそうです。
成功するためには、成長する産業で1,000万円以上の資本金で、始めから株式会社としてスタートすることです。

起業を成功させるためには、

  • マーケティングを早期に開始する
  • 資金繰りを重視する
  • 価格競争せず、サービスや品質など他の面で競争する
  • 単一の製品や市場に集中する
  • アイデア特定→ビジネスプラン策定→アイデア評価→資金獲得→製品・サービス開発→マーケティングと適切な手順を踏む
また、これも意外でしたが、45歳から54歳の間で始めたビジネスは、35歳以下よりも業績がいいそうです。


2014年2月27日木曜日

265.「美幸」鈴木 おさむ

187ページと厚くなく、文章も少なめで読みやすいです。

にもかかわらず、話に厚みを感じるのは、簡潔な文章ながらも読み手のイメージを引き出すためと思います。

主人公美幸の中学時代から犯罪を犯し、服役するまでを描いています。「習字」で表彰されるという、どこにでもある、ごく普通の出来事からイジメが始まります。

中学時代に受けて陰惨なイジメから内にこもり、文学日記を相手に恨みを晴らす美幸。彼女の趣味は当て字を作ること。
顔晴る(頑張る)、楽笑(楽勝)、惨酷(残酷)など、かなりの数の当て字が生み出されます。この当て字だけでも、著者の苦労が伺われます。

人間の無邪気な残酷さ、イジメがもたらした精神の変容、悪意なき裏切りがとても上手に表現されています。

ステーリーも最後まで二転三転し、その都度、最初に読んだ時に違和感を感じた部分に新しい解釈が生まれます。

美幸の「心実」や、ありふれた言葉「感謝」について、読後に思い返しました。





2014年2月26日水曜日

264.「弁護士だけが知っている 反論する技術」 木山 泰嗣

様々な「反論する技術」が紹介されています。

全てを使いこなすことは難しいので、1つか2つでも使えれば、随分、これまでの議論と異なると思います。


私が気に入ったのは、

  • 初心者の質問をする「そもそも◯◯ってなんでしたっけ?」
  • 細かいことを質問し続ける「根拠をもう少し教えていただけませんか?」
使ってみたいと思います。


2014年2月25日火曜日

263.「なぜ「あれ」は流行るのか?―強力に「伝染」するクチコミはこう作る! 」ジョーナ・バーガー

流行に関する様々のケースが紹介されています。それを知ること自体は面白いです。

STEPPSという、流行を生む仮設を提示しています。



Social Currency  ソーシャルカレンシー
Trigger       トリガー
Emotion       感情
Public       人の目に触れる
Practical value    実用的な価値
Stories       物語

この6原則に当てはまると、流行します。
商品やアイテムを伝染させたければ、いかにSTEPPSを組み込むか考えることが重要です。

STEPPSの最も優れているところは、誰にでも活用できる点なので、この観点から行動を立案すると面白そうです。




2014年2月24日月曜日

262.「フリーで働く前に! 読む本」 中山 マコト

独立する前のサラリーマンの時代にやるべき事の準備集。

具体論というよりは、精神論です。独立に向けた心構えの本。
前向きな話ばかりが書かれているので、読んていて楽しいし、簡単に読めます。

エッジが立った個人が紹介されているので、独立をイメージしやすいです。

独立の話というより、独立してやっていける「個」の創り方について語られています。早過ぎる独立にも警鐘を鳴らし、独立のタイミングは、
「辞めさせてくれなくなったときが辞め時」とのこと。

嫌いな人の名前をはっきり宣言すると、その嫌いな人が寄ってこないというのは、面白い人生訓でした。


2014年2月23日日曜日

261.「反・自由貿易論」中野 剛志

米豪FTAの教訓は、自由貿易協定は国同士の合意に基づくものです。
しかし、「一方の国が圧倒的に有利になる」という結果を引き起こすことが多いということです。


経済を復興させる効果的な政策は、保護主義・産業政策であり、英国、米国、ドイツもこれにより経済成長しました。自由貿易に移るのは、産業が競争力を持ってからです。

米国が入っている貿易協定に日本が参加した場合、不利益があっても日本は憲法98条2項で国内法よりも貿易協定を守る義務を負うのに対し、米国は国内法を優先して貿易協定の規定に違反することができる国内法を作ることができます。

労働基準、安全基準、環境規制、投資規制、知的財産制度、政府調達制度など、伝統的に各国が国内法によって自律的に決めてきた制度やルールについて「非関税障壁」などといって撤廃したり、改変したりすることは止めて、各国の経済的な国民主権を認めるべきです。

結局、アメリカが参加するTPPを含む多くのFTAはアメリカの一部の利益享受者による世界戦略です。交渉に長けたうえに、不利な規制は実行しないためにアメリカだけが得をする構造になっています。TPPで大きな不利益を被った場合、日本では誰がその責任を負うのでしょうか。


2014年2月22日土曜日

260.「1日1分のストレッチでひざの痛みは治る」 山田 光敏

膝のストレッチがてんこ盛り。
チェックリストにより、自分に適したストレッチは選べますが、どれが自分に適しているかに悩みます。

最低限、コレッというストレッチが2つあり、どちらか1つをやれば、確かに1分間で終わります。しかし、症状に合わせて複数を組み合わせると、かなり時間がかかってしまいます。

ストレッチのやり方が絵入りで詳しく説明されていますが、マッサージなどで指を置く位置を説明されても、実際やってみると正しい位置かよく分かりませんでした。

膝の構造の解説などが詳しく、分かりやすいです。手術の効果やリスクを考えると、ダイエットやストレッチの保存療法をまずやってみるべきと思いました。


2014年2月21日金曜日

259.「望んでいるものが手に入らない本当の理由」 心屋仁之助

「欲しいもの」と「欲しくないもの」はコインの表と裏。
「欲しくないもの」を避けるから「欲しいもの」も手に入らない。
だから、「欲しくないもの」を「受け入れる」覚悟をしたときに「欲しいもの」が手に入るそうです。

これまで考えたことがない発想でしたが、読んでみるとなるほどと納得しました。こういう考えに身を置くには、「損しよう。」と思うことだそうです。

また、他人から誤解されても、弁解せず、そのまま受け入れること。
なぜなら、弁解しても相手は、「あの人は言い訳がましい」と思うだけだから。
誤解を受け入れれば、いつかは理解されることになるそうです。

なんだか、肩から力が抜けました。


2014年2月20日木曜日

258.「我こそは借金王ー借金は怖いものだと思っているあなたへ」飯田 滉一

事業に関する借金の本です。

著者は、ソフトウエア会社を経営していました。友人の債務の連帯保証人になり、その会社が倒産したために、負債を負うことになったしまいます。



キャッシュカード、消費者金融、闇金からお金を借りまくり、にっちもさっちもいかなくたったために、闇金業者と一緒に取り立てをするようになります。
その時の実体験から、他人の負債の解決を手伝うようになり、そのノウハウを書籍にしたのが本書です。

この本を読んだからといって、自分で出来る内容ではありませんが、貸金業界の実態を垣間見ることができ、勉強になります。


2014年2月19日水曜日

257.「光秀の定理」 垣根 涼介

作者初の歴史小説。

明智光秀が世に出る前の落魄していた時代を主に描いています。
十兵衛(光秀)、兵法者の新九郎、坊主の愚息を中心に話が展開します。



主なテーマは、「何故、光秀が本能寺の変を起こしたのか?」

一つの見解として、それまで日本の国体は天皇であり、様々な宗教や思想が認められ、朝廷と幕府も併存していた。
しかし、信長が天下を統一すると天皇を廃止、君主制を敷き、宗教や思想を統一する可能性が高い。それを光秀が恐れたためではないかというものです。

その結末に結びつけていくために、4つの椀といって確率の錯覚から、物事の理を考えさせることで、登場人物の人物像を浮き彫りにします。

著者が史実をかなり調べたことが伺えました。それを全て使わず、ポイントだけ提示しています。歴史を描くのではなく、本能寺の変に向けて、信長、光秀、藤孝という人物の生き方にスポットを当てています。

手垢がついた人物達ですが、それらの思想に着目したことで、新しい観点を与えることに成功しています。


2014年2月18日火曜日

256.「天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債」 幸田 真音

日露戦争を戦闘面から描いた話は沢山ありますが、金融面から描いた話を初めて読みました。

考えてみれば、戦争には膨大な費用がかかるのは当然で、資金が確保できるか否かは戦況に大きな影響を与えます。

日露戦争に勝利できたのも、是清が戦費を確保できたことが非常に大きいです。戦費獲得の苦闘の中で、是清は多くの知己を得て行きます。これらの任務は決して自ら望んだものではなく、押し付けられたものですが、最善を尽くすことで、経済人として政治家として大きく成長したのでした。

日本が軍備を拡大し、大東亜戦争に突入していったのは、参謀本部と海軍本部との競争であり、その影には元老山縣有朋の存在があったとの構図も暗示されています。日本が大東亜戦争に巻き込まれていく原因を解く、一つのヒントになりました。


2014年2月17日月曜日

255.「日本人の原点がわかる「国体」の授業」 竹田 恒泰

国体とは、主権または統治権の所在により区別した国家体制をいいます。

アメリカの国体=自由
フランスの国体=平等
中国の国体=中国共産党一等独裁の社会主義国

では、日本の国体は何でしょうか?著者は、日本の国体=天皇と答えています。
そして、天皇とは、国民一人ひとりの幸せを祈る存在と定義付けています。

確かに、125代も続いた国家は、世界中で日本だけです。日本の強みは天皇を支柱として国民が同じ価値観を持っていること。
それは、労働を尊び、和を貴しとすることです。しかし、この価値観は欧米の経営学の観点から否定され、効率化が優先された挙句、お金が一番価値あるものとの風潮が生まれてきました。

欧米人は、「要求されたことしかしない」傾向があるそうです。「聖書」の中で労働は「罪」と記されているのですから、罪はなるべく少なくしたいと考えます。だから、若いうちに沢山稼いでアーリーリタイアメントを追い求めます。
一方、日本人にとって働くことは「生き甲斐」です。だから、定年まで仕事を続けようとしますし、定年後も仕事を探します。仕事をなくすと元気までなくしてしまいます。
仕事を罰と捉えるか、「生き甲斐」と捉えるか、そこに大きな違いがあります。これは優劣ではなく、文化の違いです。

改めて、日本が大切にしてきたものを学び直し、その価値を磨いて自分の生き方に繁栄させたいと思いました。



2014年2月16日日曜日

254.「住宅ローンが払えなくても家族が幸せに暮らせるたった1つの選択肢: 任意売却8つのメリット」 落合 聡志

住宅の任意売却に関する説明書です。

競売と任意売却の違いを解説しながら、任意売却を薦めています。


任意売却について一通り、全ての手続が網羅されています。

任意売却について、全く知らなかった人にとって、よい入門書です。




2014年2月15日土曜日

253..「ドイツ語がびっくりするほど話せる本」 滝藤 早苗


ドイツ語の基本表現集です。
以前に読んだ「すぐに使えるドイツ語会話―スーパー・ビジュアル」 よりも少し難しいです。

テーマごとにに使う頻度が高いフレーズが配されています。
面白みに欠けますが実用的です。
ただし、全てを暗記することは難しそうなので、ドイツへ旅行する時などに携帯し、その都度参照するのか効果的な使い方だと思います。



2014年2月14日金曜日

映画「地獄でなぜ悪い」

園子温監督の若いころの実体験をテーマにした映画。

この作品でも、「愛のむきだし」で使われていたゆらゆら帝国の「美しい」が使われており、この極がかかるととワクワクします。

ミツコを演じているのが誰かわからなかったのですが、エンドロールを見ると「ヒミズ」にも出ていた二階堂ふみさんでした。全く印象が違います。

映画人の映画に対する強い想いや情熱が描かれています。監督自身が名前が売れて、動員ができるようになったため、主人公が言うように、お金のためにではなく、自分が撮りたいものを思うように撮っています。


そのため、ストーリーは殆ど無く、これまでのように人間の情念といったドロドロしたものは現れていません。

ラストは、恐らく監督が好きなのであろう、「キル・ビル」と「仁義なき戦い」と「あさま山荘事件」をミックスしたような殺し合いになっています。


252.「お客様が集まる! 士業のための文章術」 小田 順子

今まで何気なく書いており、その都度微妙に形式が違う送付状の一般的な形式がわかりました。

文章は、PREPで書くと分かりやすく説得力が増します。

また、「御手紙」の方がビジネス的と思い使ってきましたが、「お手紙」の方が相手に分かりやすいということにも気付きました。

分かりやすいメールの書き方や、集客が増えるウェッブの表現方法も新しい気づきです。

とても勉強になりました。常に手元に置いて参照したいです。


2014年2月13日木曜日

映画「凶悪」


自分の舎弟2人と舎弟の恋人を殺した罪により、死刑宣告を受けたヤクザの須藤。
最高裁上告中に、先生と呼ばれる木村による3人の殺人を新聞記者の藤井に告白します。

誰にも取り上げられない、しかも非常に曖昧なこの話を、藤井の執念と地道な主剤で立証しますが警察は取り上げてくれません。藤井はこの記事を週刊誌に公表したところ、世間の注目が集まり、それが警察を動かして木村の逮捕につながります。

「新潮45」を舞台に実際にあった事件を基に描かれた作品です。
ピエール瀧とリリー・フランキーが他人の痛みや苦しみを全く感じない、凶悪な人間を演じています。

ピエール瀧が舎弟の恋人を犯しながら覚醒剤を注射して殺してしまうシーンや、リリー・フランキーが酒を無理やり飲ませて泥酔させた男にスタンガンを当てて苦しむ様を見てはしゃぐシーンなど、演技でも躊躇する様子が感じられそうですが、それが全くありませんでした。演技ではなく2人の本質的な姿ではないかと疑ってしまうほど、迫真の演技でした。

借金のために父親の殺人を依頼した家族について、似たような事件があったときには逮捕後の残忍そうな姿しかテレビでは見ません。しかし、実際には何度も躊躇し、そうしなければならないと思いつめるほど追い詰められてしまった、普通の人間であることに気付かされます。

「事実は小説よりも奇なり」といいますが、小説という想像の世界を超えた実際の事件に背筋が寒くなる思いです。

251.「官僚の反逆」 中野 剛志


著者は、現役の経済産業省の官僚です(現在、出向中)。

本当に頭がいい人です。難しいことを易しく説明してくれます。文章が全て短文であり、接続詞で繋いでいるので非常に流れがいいです。

易しく語られるので、読んで分かった気になりますが、読者自身に知識と思考力がないと、実は本当にはわかっていないということになります。

官僚の系譜は下記のようになります。

1950年代 「国士型官僚」
政治の上に立ち、社会とも隔絶して自らの理想としての公益を追求する官僚

1970年代 「政治的官僚」「調整型官僚」
行政を政治の一部と考え、政治のただ中に積極的に入り、さまざまな利害調整の過程を経て、公益を実現しようと活発に活動する官僚

1980年代 「吏員型官僚」
行政の政治的中立性を額面通りに受け止め、官僚の役割は政治によって与えられた政策の忠実な遂行であると信じている官僚

1990年代 「吏員型官僚」たちは、官僚制=グローバル化の徹底に向けた改革に邁進した

官僚制の本質は、「だれかれの区別をせずに」「計算可能な規則」い従って事務処理することだそうです。

その結果が、農村共同体というゲマインシャフトを破壊し、農業生産の効率化という官僚制化を実現するためには外圧を使っても良いと公言するに至りました。
これが「官僚の反逆」です。

この流れを止めるためにはどうすればいいか。
それは、「自由民主政治」を行うことだそうです。
「自由民主政治」とは、ひとりひとりが他人を考慮に入れ、異なる立場の、特に少数派とともに、ある規範の下に共存する統治のことです。

多様性を重視し、議論を尊重するものであるから、その過程は複雑でわかりにくく、また、何を決めるにも時間がかかります。
しかし、非効率であっても議論を深めて問題点を解決したうえで実行することが、道を誤ることが少なくなり、結局は効率的であるのではないかと思いました。







2014年2月12日水曜日

250.「図書館革命」 有川 浩

図書館戦争シリーズの第4弾にして完結編。

堂上、郁、当麻が都内の外国大使館を求めて逃げ惑うシーンは、スピード感があってとてもスリリングでした。

大使館から大使館への逃走経路が非常に具体的かつ緻密で情景が目に浮かびます。

また、新宿の紀伊國屋(?)での堂上と郁の別れのシーンはお互いの気持ちがよく描かれていてせつないです。お互いを認め合い、惹かれ合う姿が美しいです。

文庫本巻末の児玉清さんと有川浩さんの対談が、また素晴らしいです。
児玉さんの読書に対する造詣の深さと小説に対する思い入れ、やさしい人柄が現れています。稲嶺司令官は児玉さんがモデルと有川さんも言っていますが、まさに稲嶺司令官の思考の高さと人間へのやさしさを児玉さんが持っていると感じました。


2014年2月11日火曜日

249.「僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された」 佐藤健志

正直言って、「アメリカ=真の日本」という著者の主張は、理解できませんでした。また、「ファンタジーの戦後史」という説明にも共感できませんでした。

第2次世界大戦後、日本をアメリカ・ソビエト・中国で占領する予定が、アメリカがソビエトからの司令官を拒否し、中国が内戦になったために、アメリカの単独支配になったという解説は納得できました。

また、マッカーサーが1945年に日本に赴任したものの、1947年のアメリカ大統領選挙に出馬するため、占領を2年で終結すべく、日本から撤兵を始め、治安の安定化のため食糧援助などの人気取り政策を取ったという話も説得力がありました。

1949年 中国建国→日本が唯一の東アジアの拠点→賠償請求中止
1950年 朝鮮戦争→米国駐留軍が参戦→日本に再軍備指示+朝鮮特需
1951年 サンフランシスコ講和条約調印(米との単独講和)
1952年 サンフランシスコ講和条約発行→日本独立

この俯瞰はとても分かりやすかったです。


2014年2月10日月曜日

248.「文系のためのエネルギー入門」 リチャード・A・ムラー

原子力発電や代替エネルギーについてよく知らなかったので、とても勉強になりました。

一般に太陽光発電が注目されています。太陽光発電の技術は進歩しているものの、まだ不安定でエネルギーロスも多いため、充分な電力を供給できていません。現状では原子力がエネルギー効率が飛び抜けていいという現実があります。風力発電も予想以上に効率がよいのですが、設置場所が限られることと、送電の問題があります。

日本については原子力発電の代わりに天然ガスに移行すべきと提言しています。しかし、これも輸入に頼らざるをえないので、エネルギーの安定確保という観点では問題があるでしょう。

地球温暖化については、殆どの気候変動は温暖化と関係がないと述べられています。不都合な真実でニューヨークが水没するショッキングな場面がありますが、実はこの予想は、今の温暖化のスピードを維持したままで1000年かかることが隠されているそうです。

放射線の危険性についても標記があります。
1つのガン細胞を作るのに必要な放射線量は25シーベルトですが、人間は3.5シーベルト以上の放射線を浴びると半数が死亡するそうです。だから放射線を浴びせて確実にガンを引き起こすことは不可能だそうです。
では、なぜ放射線漏れでガン患者ば増えるのかというと、被曝ではなく、その地で作られた作物を食べ続けるからだそうです。

フラッキングという技術でシェールガスが採掘されるようになり、アメリカのエネルギーが石炭から代替されました。その結果、アメリカは京都議定書を批准していないにも関わらず、二酸化炭素を大きく減らしたそうです。


2014年2月9日日曜日

247.「新人SEのための「基本情報技術者」入門」 矢沢 久雄

基本情報処理技術者試験を題材としてコンピュータ技術の基礎を学びための学習書。

幅広い試験範囲を広く浅く網羅しています。代表的な試験問題を取り上げ、それに答えられるように基本的な内容から解き明かしています。

本書のみでは試験に合格することはできませんが、本書の内容をしっかりと把握することによって、試験対策本の内容を理解できるようになることを狙いとしています。

試験対策の導入本としては最適です。


2014年2月8日土曜日

246.「魂(こころ)の穴」 山口 麗子


境界性人格障害である著者の自伝。

外務省のエリート官僚である夫と、職場恋愛のすえに結婚しました。

ところが、夫の帰宅が遅いことや、地方への転勤がもとで発症。家庭はくつろぎの場でなくなってしまいます。

夫は他の女性に安らぎを求め、著者とその女性は同年にそれぞれ出産します。

境界性人格障害者から見た世界と、その感情が赤裸々に描かれています。

彼女が実体験から学んだ子育ては、

  • 我が子に期待をかけないこと、
  • 子どもを一人の人間として尊重すること、
  • ありのままを愛すること、

です。

夫と離婚し、何もかも自分でやらなければならない境遇になったときに、その境遇が自立を促し、回復に至ったのでした。



2014年2月7日金曜日

245.「私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日」 安田 佳生

よく思うのですが、「リクルート出身」という肩書で売り出す人の中には、正社員ではなかった人が結構多いです。


この著者も、実は契約社員であり、正社員として採用されていません。

著者はそれを隠しいないので拘っていないと思いますが、周囲がことさらに「リクルート出身」を強調してしまうのでしょうか。

リクルート時代の記述がとても面白かったです。
外交的な体育会系の学生を採用し、朝から全員そろってスローガンを唱える。私がいた頃のリクルートもそうでした。営業カルト集団。しかし、中に入ってみると徐々にそれが普通に思え、結構楽しかったです。

著者は、リクルートのやり方に馴染めず起業したのですが、実際にやっていたことはリクルートの後追いのように感じました。

リクルートに追いつけなかったのは、
1. 営業力
2. グランドデザイン
3. 社員のモチベーション管理
と思えました。

ワイキューブが20年も存続して来れたのは、
下記のサイクルが上手く回っていたように思えます。
1. 顧客への視点より自分の快適さ優先

2. それを隠すため社員にも贅沢

3. 銀行から借入れ

4. マスコミから注目

5. ブランド力アップ

6. 銀行への利子返済

1.へ戻る。

しかし、このサイクルで成長したものの、市場が頭打ちになり、リーマン・ショックで企業が採用を控えて市場が縮小すると、立ち行かなくなってしまったようです。







2014年2月6日木曜日

244.「天佑なり 上 高橋是清・百年前の日本国債」 幸田 真音


高橋是清の前半生を描きます。


江戸で徳川幕府の絵師(46歳)と、侍女(16歳)の間に生まれた和喜次は、仙台藩の足軽、高橋是忠の養子に出されます。

10歳の時、藩の命により、横浜で洋学を学び、さらにアメリカへ留学します。彼の地で奴隷とされるも、これを切り抜け、日本に帰国しますが、その時には日本は明治維新が起きた後でした。

是清が特許庁の初代長官であることは知っていましたが詳しい経緯をしることができました。
てっきり、雄藩の藩士の家に生まれ、名誉職として飾りのごとく長官に任免されたものと思っていましたが、全く違っていました。自らの努力と見識で、多くの難題に当っていた人でした。

商標、特許、意匠についても、役人が作った法律ではなく、是清自身が欧米で直接目にしたこれらの法制を、日本の経済発展のために不可欠と起案して、立法したものでした。

また、現在、特許庁が独立した官庁であることも、是清が発明を法定で審議するドイツの制度の問題点から、技術が分かる司法から独立した専門部門で審議すべきと働きかけ、農商務省から独立させたものでした。

失敗も多い人生ですが、失敗から多くを学んで成長していく姿に共感が持てます。



2014年2月5日水曜日

243.「まともな日本再生会議:グローバリズムの虚妄を撃つ」 中野剛志、柴山桂太、 施光恒

「MBA留学した日本人は、英語もたどたどしく、プレゼンもできないからいじめられる。苦労して卒業し日本に帰ってくると日本で英語の苦労をしていない人たちをバカにしたくなる。しかし、この話はアメリカの経済学という狭い領域の話なのに、経済、教育、文化の面まで押しつけようとする。」
この指摘は的を得ていると思います。その結果、何でも欧米のやり方に追随するという姿勢を産んでしまいます。

「われわれにとって英語というのは奴隷の言葉なんだ。英語が使えるということは、奴隷として使えるということに過ぎない。」
「ビジネスができる上で英語ができた方がいいんじゃないですか。」
「ビジネスよりも文化、誇りが大事なんだ。」
タンザニアの初代大統領 ニエレレ
「英語は奴隷の言葉」という発言は衝撃的です。確かに欧米のやり方を学ぶという点では、英語は不可欠な手段です。しかし、国の公用語自体を英語にしてしまうことは、欧米にとって便利な奴隷となってしまうことかもしれません。

新自由主義は、ケインズ以前の古典的な自由主義を現代に「新たに」よみがえらせようとする思想であり、運動です。市場の動き、特に競争を通じた価格メカニズムの動きに信頼を置く考え方です。
最近の日本は新自由主義推進の風潮が色濃くなって来ていますが、その弊害の方が大きいような気がします。

保守と革新。保守は旧習に囚われることで、革新は新しいやり方を取り入れること。単純にそう考えていました。しかし、保守とは、試されたことのないものより試されたものを採用すると考えると、より現実的かつ確実に効果を生むように思えます。

日本がこれまでやって来たことを全て否定し、外国のやり方を真似しようとすること。欧米が近代化して産業が先行していた明治時代には有効な方法でした。
しかし、欧米が経済的に低迷し苦しんでいる現代においては、日本が成功してきた方法を検証し、日本独自の成功パターンを見直して磨き上げることの方が有効であるように思いました。
(青字部分は本書からの引用)



2014年2月4日火曜日

242.「なぜ多重債務者がベンツに乗れるのか?」 鳥巣 正樹



主に不動産の任意売却について書かれています。

住宅ローンが支払えない場合、不動産は競売にかけられます。競売では、不動産は裁判所によって強制的に売却されます。

任意売却とは、「自由に売る」という意味で、競売の対となる言葉です。任意売却は、売却と同時に債権者と交渉して、残債が残っていても抵当権を外してもらって、残債を放棄してもらうか、無担保の借金にしてもらいます。

任意売却のメリットは、
自分で売る相手を選べること、
売却することを他人に知られることがないこと、
競売より高値がつくこと、
引越し費用をもらうことができること、
売る時期を決められるため気持ちに余裕をもてること、です。

バブル崩壊、リーマン・ショック等で収入が減少し、住宅ローンの支払いが困難になった方が沢山いらっしゃることと思います。生活していくことがとても苦しくても、こういった方法で住宅ローンから逃れて生活を立て直すことができることを知り、勉強になりました。




2014年2月3日月曜日

241「5分の使い方で人生は変わる」 小山 竜央



「これまでの成功本は全て役に立ちません」
この衝撃的な記載から本書は始まります。

その理由は、
「過去の成功本というものは、「たまたま」うまくいった事例を、あたかも全員に当てはまるように述べられているものがほとんどだからです。これらは、そのメカニズムを科学的に研究していないので、しっかりとした再現性がありません。ですので、そこには再現性が全くないのです。」

それでは本書は何を伝えるのでしょうか。それは、
「1日5分の積み重ねで長期的な成功を手にしよう。」
ということで、具体的には
「無理なく楽しみながら自分を変えていくための方法」「日常のレベルを高め成功を手にするための習慣」等です。

タイトルからは、「本当かな?」と思えますが、読んでみると、実行でき、実現できると感じる内容でした。
(青字部分は本書からの引用)




2014年2月2日日曜日

240.「PENGUIN READERS5: PHANTOM THE OPERA」 Gaston Leroux

オペラ座の怪人。これほどまでに有名な話をこれまで知らずに来ました。

勿論古い話ですが、これまで何十年にも渡って上演され、人気を博してきただけあって面白く、古びない内容です。

不遇を抱えた生まれ育ったErikが抱いたであろう劣等感、憧れ、悲しみと、決しえて得ることのない好きになった人からの愛情を思うとせつなくなります。



2014年2月1日土曜日

239.「大富豪になる方法」安田 善次郎

東大安田講堂や日比谷公会堂を寄付したことで知られる銀行王、安田善次郎の巨富を築くための秘訣です。

その方法は、「バビロンの大富豪」や本多静六の「私の財産告白」に書かれている内容と共通する部分があります。

まずは、倹約。収入の一部をまず貯蓄すること。著者は収入の2割を貯蓄するよう薦めています。
そして、勤勉。一攫千金を狙わず着実に出世すること。

異なっている点は、投資を薦めていないこと。
投機を禁じているのは、バビロンにも共通しますが、著者は投資も進めていません。株を扱うこと自体を嫌っていたようですが、いくつもの銀行を救済したところを見ると、自分が経営する場合のみ資金を投入していたようです。

とても勉強になる一冊です。