2014年3月31日月曜日

300.「小が大を超えるマーケティングの法則」 岩崎 邦彦


話の中心は、小売店を題材にしています。
小売店が専門を絞り、シンボルを作って、顧客を限定するという手法は、ごく普通の手法と思いました。

多くの折れ線グラフで論旨を根拠付けしていますが、データの信ぴょう性に疑問が生じました。

小規模を強みに変えるには、

  • Authenticity   ほんものの力
  • Band        きずな力
  • Communication コミュニケーション力
が必要だそうです。

『「値引き」をするなら、「おまけ」をつける』は、いいアイデアだと思いました。


299.「ヘタリア Axis Powers」 日丸屋 秀和

「ヘタリア」って何のことか最初はわかりませんでしたが、ヘタレのイタリアのことですね。

各国を擬人化して、その国民性を各キャラクターに持たせています。
そうして、歴史をネタにしているのでなかなか高度な笑いです。

イギリスとフランスが仲が悪いこと、スペインが没落して貧乏であること、大戦中はオーストラリアが中心的な役割を担っていたことを知りました。


2014年3月30日日曜日

298.「〈銀の匙〉の国語授業」橋本 武

灘高で小説「銀の匙」だけを使って3年間授業を行うというユニークな国語教育を実施していた橋本先生の本です。

2012年3月22非の出版で、橋本先生が100歳(!)の時の書籍です。書いている内容もしっかりしていた素晴らしいです。

50歳から社交ダンスを始め、60歳から宝塚歌劇団にはまり、そして、ファッションに凝るようになったと好奇心が尽きません。これが若さの秘訣でしょうか。

銀の匙を教科書とした理由は、

  • 夏目漱石が美しい日本語だと激賞したこと
  • 新聞連載のため、長からず短からず、教材として扱いやすいこと
  • 中学生が自分と物語の主人公と重ねながら読むことができること
だそうです。

特徴ある表紙のイラストは、橋本先生の教え子に書いてもらったそうですが、その方は若くして亡くなってしまったそうです。


2014年3月29日土曜日

297.「奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち」 伊藤 氏貴


国語の教科書を一切使わず、一冊の薄い文庫本「銀の匙」を3年間かけて読むという国語授業を行った、灘高の国語教師、橋本武先生を紹介する本です。

灘高は中高一貫校で、各科目の6年間の授業を一人の教師が担当します。だから、橋本先生が担任する生徒も6年毎になりますし、科目も国語だけだから、この方式で灘高が進学校になったわけではありません。

また、「銀の匙」を3年かけて読むので、後の3年間は別の教材を使っているはずです。

3年かけて読むといっても、音読を繰り返すのではありません。橋本先生オリジナルのプリントを大量に使います。これも、単なる漢字書き取りや穴埋め問題というものではなく、各章のタイトルを考えたり、200字ピッタリに要約したりする、自分の頭で考えるものです。

さらに、「寄り道」を重視して、十干十二支を調べたり、実際に凧作りをしたりします。

こういう教え方をするならば、確かに国語の教科書は不要であるばかりか、自分で興味を持って調べるという習慣も身につくはずです。


2014年3月28日金曜日

296.「ヒートアイランド」垣根 涼介


非常によくできたストーリーでした。

複数の事件が交錯しながら、一本の話にまとまっていく厚みのある物語です。
渋谷の街が生き生きと描かれ、登場人物が渋谷を疾走します。


アキ、カオル、柿沢、桃井の4人の人物像がしっかり描かれています。
柿沢だけ、過去が明かされていませんが、続編で明らかになっているのでしょうか。

 「午前三時のルースター」で第17回サントリーミステリー大賞読者賞受賞後の第2作となる本作ですが、パワーダウンするどころか、スピード感やストリー構成が強化されています。


このシリーズは4作まで出ているので、次作も楽しみです。




2014年3月27日木曜日

韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」

実は、この映画を見るのは2度目でした。

ストーリーも分かっているので、見ていて飽きたら途中で帰ろうと思っていましたが、最後まで楽しめました。

主人公の高校生の時の女優さんがいいですね。恐ろしい顔をした時や、何かに取り憑かれたように震える時の演技が秀逸です。

ストーリーも非常にテンポよく、過去と現代と行き来します。

そして、ラストのチュナからメンバーへの贈り物が心を打ちます。会場でも多くのすすり泣きが聞かれました。

295.「100分でわかる! シリーズ3中曽根政権から豊かな時代の崩壊」 田原総一朗

中曽根元総理は、当時、風見鶏や田中曽根内閣と呼ばれ、主体性がない政治家と扱われていました。

田中派の人材の多くを内閣に抱え、田中元総理の操り人形のようにみられていたからです。

しかし、その政権は5年も続きアジアからソ連の中距離ミサイルを撤去させるなど、様々な実績も挙げていたことを知りました。

戦後の日本を1989年前とそれ以後に大きく2分できるという分析は非常に納得のいくものでした。ただい、国際を国の借金と考えている点と、消費税を15%に引き上げるよう提言した点は賛同できませんでした。

「リクルート事件は検察の誤った正義感がおかした冤罪」という記載に頷くとともに、あの事件により失われた有望な政治家、江副さんという人材、リクルートの信用は、大きかったと思いました。




2014年3月26日水曜日

294.「稼ぐ力: 「仕事がなくなる」時代の新しい働き方」 大前 研一

古い概念を新しいトピックスでコーティングしているような印象がありました。

中でも、未だに著者がマッキンゼーにいた時代の功績を引き合いに出すのはどうかと思います。

全体として、著者が経営するBBT大学の広告本という印象を受けました。

その主張は以下の通りです。

  1. 日本政府が外貨を導入せず、増税し、派遣法を改正して人件費を下げないため、企業が工場を外国に移転し、日本の雇用が失われた。
  2. 日本は人口が減少するから外国人頭脳労働を受け入れるべき
  3. 欧州はアジアに投資し、儲けている。
  4. 日本人は英語を身につけて外国へ出て行くべきだ。
1と2は矛盾していると思います。雇用が少なくなっても人口が減少すれば日本人だけで十分雇用がまかなえるようになります。

2は、外国人の頭脳労働者だけを受けいることができるのでしょうか。受け入れのパイが大きいのは、単純労働ではないでしょうか。
また、外国人労働者を受け入れた場合に想定される、文化や宗教を要因とする紛争にどう対応するのでしょうか。

3は確かに金融で儲けていますがそれは一部の人間だけです。産業が空洞化してしまい、失業率が高止まりして、社会不安を引き起こしているのではないでしょうか。

外国に進出できる企業は大手を中心としたほんの僅かな企業で、さらに現地人を管理する仕事はその企業のなかでもそう多くないはずです。そうすると、英語を学んで外国で働く場合、多くは英語を使う人種に雇われる立場になり、かえって低賃金に喘ぐのではないでしょうか。

189ページで、「国際特許を取得した」と書かれていますが、国際特許出願を行い各国の特許はとれますが、世界共通の特許はまだありません。単に出願しただけだと思います。もしかしたら、国際調査報告の内容が良かったのかもしれませんが、それは特許ではありません。自信満々に自慢されていたので、「あれっ」と思いました。



2014年3月25日火曜日

293.「100分でわかる! シリーズ2日米安保条約からロッキード疑獄」 田原総一朗

マッカーサーが1947年1月3日に
「憲法施行後、1,2年のうちに憲法は公式に再検討されるべきであると、連合国は決定した。」
という書簡を吉田茂に送ったそうです。


連合国が現行の憲法に課題があると認識していたことに驚きました。

また、下記についても初めて知り勉強になりました。

吉田茂: 警察予備隊という名の再軍備を認めた。
岸信介: 安保改正は日本にとって本当は改善。
池田勇人:「貧乏人は麦を食え」は新聞の捏造。
佐藤栄作:「沖縄への核兵器再持込」の秘密協定。
田中角栄:ロッキード事件で検察証拠はデタラメ。



2014年3月24日月曜日

292.「1日5分 目的・目標を達成させる 4行日記」 小林 惠智

4行日記とは、「事実」→「発見」→「教訓」→「宣言」を一行ずつ書いて、4行で完結する日記です。

50本くらいたまったところで振り返ることにより、行動特徴や自分の強みが見えてるくるそうです。

また、下記の副次的効果もあるそうです。

  1. 論理性を養える、
  2. 正しい言葉遣いが身につく、
  3. メリハリのきいた毎日になる、
  4. 思考・生き方がポジティブになる
気になる手法ですが、具体例がないため、実際に効果があるか、今ひとつ分かりませんでした。


291.「従業員7人の「つばめや」が成功した たった1年で5000万円売上げを伸ばす仕組み」 高木 芳紀

読む前の内容のイメージと異なっていました。

タイトルから、経営不振の小企業が試行錯誤して、1年間で5000万円を売り上げたストーリーだとばかり思って読み始めました。

実際には、インターネットを使った集客をテーマにした本です。ホームページ、名刺、ツイッターの使い方が書かれています。

つばめやの具体的な成功事例が書かれていないので、つばめやについては、ほどんど分からずじまいでした。


2014年3月23日日曜日

290.「文章は接続詞で決まる」 石黒圭

分かりやすい文章を書くため、接続詞をうまく使う方法を教える本かと思って読み始めました。

しかし、接続詞を単に分類し、解説するだけの本でした。



接続詞を解説するために、多くの文が引用されています。その部分に来ると新たに内容を理解しなければならないので、思考が中断されるので、私には苦痛でした。


2014年3月22日土曜日

289.「パンダをいくらで買いますか?」 野口真人

説明がまどろっこしかったです。パンダを買うという例でファイナンスを説明していますが、買うものがパンダであるだけで、他に工夫がないため、面白くありませんんでした。まさに「客寄せパンダ」。


著者も書いているように、ファイナンスの分野は、際立った変化もなかったのでえ、特に新しいことも書けないようです。

「パンダを買う」という切り口で関心を引こうとしていますが、内容は旧態依然としているため、特別理解しやすいということもなく、新しい気付きというのもありませんでした。


2014年3月21日金曜日

288.「クラウドクラスターを愛する方法」 窪 美澄

中編と短編の2編からなる本書は、両親の離婚が重要なポイントとなっています。そこから、捨てた親への認めたくない愛情や、必要ないと考えていた家族団らんへの憧憬が描かれています。

人物描写がとにかく上手いです。

最初に登場人物の名前、年齢、家族構成といった属性を提示するのではなく、読者にひっかかるようなポイントだけ与えて、徐々に過去に遡ってそのポイントに関するエピソードを与えていきます。それにより、読者の登場人物に対する理解が徐々に深まっていきます。主人公、紗登子の名前が初めて明かされるのも、82ページ目。

紗登子の厳しい就職話は、フリーライターとして働いていたときの著者自身の実体験でしょうか。


2014年3月20日木曜日

287.「人にはちょっと教えたくない「儲け」のネタ帳」岩波 貴士

もともとメルマガで配信していた500通以上のメールのうちから選んだ本にしたものです。

小さなヒント集なので、読んでいてひらめく人もいるかも知れません。

メールの寄せ集めなので、一応分類はされていますが、体系だってイません。

タイトルにある「儲け」のネタも書かれていますが、「儲け」とは関係のない話も多いです。


2014年3月19日水曜日

韓国映画「グッド・バッド・ウィアード」


韓国版西部劇ということで舞台は1930年代の満州。



謎の地図を巡って、強盗、馬賊、賞金稼ぎ、朝鮮独立軍、日本軍が入り乱れて争奪戦を繰り広げます。

この時代に韓国人がこんなに満州に行けたのかという疑問は残りましたが・・・。

CGを多用せず実写に拘ったそうなので、画面の動きが早く何が起きているのかわからない場面もありましたが、非常に臨場感がありました。

イ・ビョンホンの雰囲気は、パイレーツ・オブ・カビリアンのジャック・スパロウのようでした。

ストーリーは殆どなく、追いかけっこに終始しますが、広大な舞台とスリリングなアクションは楽しめました。

286.「お金の失敗は必ずやり直せる! — 自己破産者が教える借金生活を変える法」 石山 照太

事業の失敗や住宅ローンの話ではなく、病気、連帯保証、買い物中毒で返済できなくなった人達の話です。

解決作は、他人に知られることを恐れて深みにハマる前に、自己破産、個人再生等により、早期にやり直すことを薦めています。


285.「0円で8割をリピーターにする集客術」圓 克彦

飲食店のビジネスがメインであったため、私には合いませんでした。

特別なメソッドがあるわけでもないので、本当に8割もリピーターになるのか疑問です。


著者は、7つの会社を経営していたと経歴に書かれていますが、そのいずれかが成功していれば、そのまま実業を大きくさせるはずなのでコンサルタントにならなかったでしょう。

仮に、事業が成功して他人に譲ってコンサルタントになったのであれば、スタートアップしか経験していないので、その後のオペレーションを体験していないのだから、事業運営の成功体験もありません。

もしかしたら、本書はコンサルの営業用に自費出版されたのかもしれないと思いました。


2014年3月18日火曜日

284.「偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法」 杉山 奈津子

「東大」とありますが、基本的な考え方はどこの大学入試にも当てはまります。

これだけの方法論を考えだすとは、当時を振り返った後知恵があるとしても、大変頭がいい著者です。東大入試を俯瞰しています。中学時代から鬱病であったそうなので、自己内省から物事を俯瞰できるようになったのでしょうか。

予備校に通うことを無駄が多いと一刀両断しています。

予備校に通う理由は、本人よりも親の不安感にあると断言していますが、その通りかもしれません。

本人のやる気さえあれば、予備校より独学の方が効果があると実感しました。


2014年3月17日月曜日

283.「午前三時のルースター」 垣根 涼介

著者のデビュー作。

著者が旅行代理店に勤務していたときの経験を活かして、ベトナムを活き活きと表現しています。それにしても、著者がバイクと車に詳しいので、本当に好きなんだなと思いました。

4年前にベトナムで失踪した父と、その父の消息を負う息子の物語。
息子の父への憧憬と、子供時代からの巣立ちがテーマとなっています。

祖父、父、子がそれぞれ他人が気付いた財産を引き継ぐことをよしとせず、自らの力で人生を切り開いていく姿が逞しいです。

2014年3月16日日曜日

282.「弁護士が書いた究極の文章術―誤解なく読み手に伝える書き方のヒント28」 木山 泰嗣

文章術の本だけあって、本書自体が非常に読みやすかったです。

一般的な文章の本ではなく、法律文章の本なので、小説・エッセイに役立つというより、論文や起訴文の作成に役立ちます。

28のポイントが書かれていますが、1つか2つを習慣にするだけで、随分文章が変わると思います。


2014年3月15日土曜日

281.「中国・韓国が死んでも教えない近現代史」黄 文雄

軽めのトンデモ本だと思って読み始めましたが、骨太の歴史書でした。

著者の、日本、中国、韓国の歴史に対する造詣は深く、さらにその縦糸に横糸を絡めて秀逸な東洋史を見せてくれます。

問題を複雑にしているのは、

  1. 現代の安定した国家である中国、韓国を前提として19世紀前半の三国関係を見てしまうこと、
  2. 内部対立が激しく自己批判やプロバガンダを繰り返してきた民族が民族間抗争が殆どなかった民俗にやりなれた手法を使っていること、
  3. 欧米は19世紀始めまでに世界侵略をし尽くし、その安定した植民地支配を世界秩序として維持しようとしていたこと
です。

マッカーサーが1951年の米上院外交委員会と軍事委員会の合同会議において、日本の太平洋戦争にいたるまでの軍事行動を「正当防衛の戦争」であったと証言していたということには驚きました。





2014年3月14日金曜日

280.「少年弁護士セオの事件簿 (1) なぞの目撃者」 ジョン グリシャム

「法律事務所」「ペリカン文書」で著名なジョン・グリシャムが初めて書いた児童書。児童書だけど大人でも十分に楽しめ、勉強にもなります。

第一巻では、法定を子どもたちが社会科見学で訪れるという設定なので、公判の仕組みも詳しく説明されます。

子供用の本なので複雑な伏線やどんでん返しはありませんが、楽しまます。
アメリカの移民問題や裁判制度も学ぶことができてお薦めです。


2014年3月13日木曜日

279.「保守とは何だろうか」 中野 剛志

保守主義を解き明かすために、19世紀の経済学者コールリッジに光を当てています。

現在の日本の保守派の多くは、「革新」を保守することとなってしまっています。「革新」とは、新自由主義。新自由主義は、規制緩和、自由貿易、法人税減税、小さな政府によって、大企業を優遇し、「トリクルダウン(おこぼれ)効果」を起こすこと。
「トリクルダウン」は、富裕層は企業の所得を増加させれば、増えた所得は、市場原理によって確実に投資へと向かうので、経済成長が実現し、国民全体が豊かになるという仕組みです。

しかし、新自由主義に先行したアメリカでは「トリクルダウン効果」はみられず、むしろ、正反対の現象が起こりました。それは、「下層から上層へ金を移動させれば、消費は落ち込む。なぜなら、低所得者より高所得者のほうが所得に占める消費の割合が少ないから。」(スティグリッツ)だそうです。

では、どうするか。それは、金融緩和、財政投資、保護貿易といった保護主義によりデフレから脱却することです。

TPPの論議では、農業の関税撤廃に対して、効率化を行い、輸出産業とすべきだという主張があります。
しかし、農業は商業と同じ論理で議論すべきではないと、私も思います。
農業の効率化を図った場合、農薬、遺伝子組み換え、抗生物質投与により食の安全性が損なわれる可能性があり、小麦など輸入に頼った産品については、輸出国に生殺与奪権を奪われるからです。



2014年3月12日水曜日

278.「社長の勉強法」國貞文隆

著者の頭には、事業を経営している社長の勉強法は素晴らしいという図式があります。

そして、社長から聞いた話を鵜呑みにして、自分が学んだ経営理論等でそれをコーティングしてまとめています。

しかし、社長が語っている勉強法は、本当に行われているものでしょうか?インタビュー用に実際には少ししかやっていないことを習慣化しているように語っていないでしょうか?

また、その勉強法が本当に効果的なのでしょうか?その勉強法をしたから、うまく経営できているのでしょうか?

例えば、ある社長は、「ビジョナリー・カンパニー」を何度も読み返して、書き込みをしたと語っています。
あの本は、当時売れないコンサルタントが仕事がないので書いた本と言われています。そして、「ビジョナリー・カンパニー」として取り上げられた企業の殆どが10年後に輝きを失っていました。そんな根拠がない理論が本当に経営に役立つのでしょうか?

結局、一番の勉強法は、実体験から仮設と検証を繰り返すことではないかと思います。



2014年3月11日火曜日

277.「Round the World in Eighty Days」 Jules Verne

有名な「80日間世界一周」です。

ペンギンのこのシリーズは、限られた単語数で文章を書きなおしているため読み易いのですが、この本はとくに読みやすかったです。
それは、文章が短く、文法もしっかりしているためだと思います。

主人公のMr Foggは、ロンドンを出発して80日間で世界を一周できるかという賭けに挑戦します。旅の途中で生贄にされそうな女性を助けたり、インディアンに列車が襲われたりと、様々な障害に見舞われます。
どんなトラブルでも、決して環境や他人のせいにせず、他の方法を模索するMr Foggの姿勢が素晴らしいです。

ラストのどんでん返しまでずっと楽しめる、とても面白い冒険小説です。




2014年3月10日月曜日

276.「吉野弘詩集 奈々子に」吉野 弘

「奈々子に」「祝婚歌」「父」の3作品がとても印象に残りました。


いずれの詩も、胸に沁みました。



「奈々子に」

お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。

「祝婚歌」

立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい

「父」

何故 生まれねばならなかったか

子供がそれを父に問うことをせず
ひとり耐えつづけている間
父はきびしく無視されるだろう
そして 父は
耐えねばならないだろう



2014年3月9日日曜日

275.「宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ」 佐藤 俊哉

比、割合、率・・・・・・。
それぞれ別のものと初めて知りました。

私が率だと思っていたのは、実は、割合でした。


本書は、医療統計学をやさしく解説しています。
しかし、そもそも医療統計学は難しいので、一通り読んだだけでは、理解できませんでした。

何度か読み返す必要があると思います。



2014年3月8日土曜日

274.「旧皇族が語る天皇の日本史」竹田 恒泰


これまで学習してきた歴史は、出来事が中心で、天皇はその出来事に関わる場合に記載されていました。

本書では、天皇を中心に全天皇を紹介し、天皇ごとに出来事をつづった点で新しく、面白いです。

中大兄皇子を助けて蘇我入鹿を暗殺した中臣鎌足の息子が藤原不比等です。藤原氏は後に四家に分かれ、嵯峨天皇に重用されたのが藤原北家。
藤原北家は、近衛家、鷹司家、九条家、二条家、一条家といった藤原五摂家の祖です。
藤原五摂家は、摂関のみならず、皇后を出すことが許され、維新後も権勢を揮いました。
太平洋戦争に破れ、華族制度が廃止されるまで皇室と深く関わり続けました。

また、関白を設置した光孝天皇は、自らの皇子全員に源氏姓を与えて、臣籍降下させました。これが、源氏の起こりです。

初めて知ることが殆どで、大変勉強になりました。





2014年3月7日金曜日

273.「晴天の迷いクジラ」窪 美澄

子供の性格や生き方は、その子の父親の仕事と母親の関わり方で形づくられるのだなと思いました。

農家、漁師、サラリーマンの父と
無関心、したたか、過干渉の母に育てられた3人がそれぞれの環境で歪んでいき、ついには死を選ぼうとします。

心に傷を持つ者達が、互いの傷を知ることで、苦しいのは自分だけではないことを知り、自分の傷を受け入れていきます。

「生きているだけでいいんだ。ただそれだけでいいんだ。」
という言葉に共感し、ほっとしました。



2014年3月6日木曜日

272.「100分でわかる! シリーズ1満州事変から太平洋戦争の終わり」田原総一朗

石原莞爾、大川周明、北一輝などの人となりも説明されていて非常にわかりやすかったです。

日中戦争に突入していく日本、中国の舞台裏もよく説明されています。

陸軍参謀杉山元、海軍参謀永野修身、外務大臣松岡洋右の思惑に、海軍省の省益、開戦を望んでいたハル・ノートがからみ、日米開戦へと転落していきます。

米国とのすべての交渉が決裂したのは、米国が暗号解析ソフト「マジック」で日本の手の内を全て把握していたためでした。この情報収集力の差は現在でも歴然です。

「戦争を抑えたら内乱になる可能性があった。」
当時、そう考えられていたそうです。つまり、国民自身が戦争を望んでいたということでしょうか。
そうだとすれば、それは国民に耳障りのいい情報ばかり与えられていたからではないでしょうか。

例えば、日本の敗戦が確定的になっていたにも関わらず、ポツダム宣言について下記のような報道がされていました。
「笑止 対日降伏条件」(読売・報知)
「政府はポツダム宣言を黙殺」(朝日)
「笑止米蒋、共同宣言、自惚れを撃破せん」(毎日)

常識を疑い、自分の頭で考えることを習慣にしたいと思います。



2014年3月5日水曜日

271.「ブランド戦略・ケースブック」 田中 洋

ブランド戦略というより、マーケティングがテーマになったケースが殆どでした。

ブランドという概念が日本で認識され始めたのは、1990年代ということでそんなに古い話ではありません。外資系企業でも1980年代からだそうです。

一番面白かったケースは、リクルートの「R25」。
New-Ring(リクルートの新規事業提案制度)から生まれた新規事業ですが、外国のフリーペーパーを真似ただけのような気がしていました。

広告費用で利益を上げているとは思っていました。
しかし、私がリクルートに在籍していた当時、利益率が約70%もあったのですがその基準には届いていないのでリクルートらしくないと感じていました。
社員のモチベーション高揚が主目的でしょうか。

「R25」は、カラー1P250万円、
一社買い取りで5,000万円だそうです。

そして、広告営業を電通に預けたことで、電通のチャネルが使えて、営業コストが不要となり、早期の事業化が可能だったようです。

しかし、これでは利益率が低く、リクルートの営業力も鍛えられず、チャネルも増えなかったのではないでしょうか。社会に対する宣伝にはなりましたが、事業としては旨味はなかったように思います。

現在では、月4回の発行を2回に減らし、首都圏配布を大阪と名古屋に広げたましたが、これは、媒体の内容を半分に薄めて、配布先を2倍にしたということでしょう。



2014年3月4日火曜日

270.「自分の感受性くらい」 茨木 のり子

ばさばさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

殆ど詩を読まない私ですが、この書き出しから衝撃を受けました。
まさに私に投げかけている言葉のようです。

さらに読み進めるほどに心に刺さります。

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

最後の叱咤激励を心に刻みます。
(青字部分は本書からの引用です。)





2014年3月3日月曜日

269.「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」 クリス・アンダーソン

かつて、製造業を志す者は、資金を集め工場を作り、時間をかけて製品を作っていました。

アメリカでは、製造業は、生産コストの安い他国との競争に破れ衰退してしまいました。

そして現代。インターネットと3Dプリンターの登場で、この状況が一変します。新しい発明やデザインを考えた者は、インターネットで製造業者を見つけたり、3Dプリンターで試作品を作ったりすることで、膨大な資金や巨大な工場を作る必要がなくなりました。

こうしてMAKERSが生まれ、新たな産業革命が始まると著者は主張します。この新しい世界では、インターネットを通じ、オープンリソースやコミュニティによって協業するため、個人の国籍や学歴に捕らわれず、実力のみが世界を駆け抜けるパスポートになります。



2014年3月2日日曜日

268.「言いたいことが確実に伝わる メールの書き方」小田 順子

メールを送る時、開封確認要求をつけるかどうか悩むことがあります。実は、開封確認要求は、受け取る側が不快に感じるメールの第3位だそうです。

読みやすいメールの書き方を基礎から教えてくれます。私は大体出来ていたので安心しました。

住所等も単語入力しておくというアイデアは勉強になりました。



2014年3月1日土曜日

267.「フリーで働く! と決めたら読む本」 中山 マコト

人生の選択権を自ら握っているフリーランスをプロフェッショナル・フリーランスを名づけ、独立起業した翌日から普通のサラリーマンの年収以上の収入を手にすることができたと語る著者だが、果たして事実でしょうか。


フリーとして成功できるか否かは、サラリーマン時代に専門知識を身につけていたかどうかにかかっているそうです。

この本で薦めている方法は、「<起業>という幻想」という本で、失敗する可能性が高いと書かれていた方法です。
これは、フリーとして人を雇わず、自由でいるために最低限の収入を目的とすることと、起業して事業を大きくして高収入を得ることを目的ことの違いでしょう。

本書では、事業として継続することが難しい状況の中、生き延びる方法が書かれています。
だから、この方法を極めても、事業が拡大することは難しいです。
正に、傭兵(フリーランス)として、次々に政府(クライアント)に雇われ、戦場(市場)で生き延びる方法が語られています。