2014年9月29日月曜日

484.「韓国人による恥韓論」シンシアリー

著者は、韓国在住で歯科医師の40歳代男性です。

インパクトがあるタイトルをつけたなと思っていましたが、出版社がつけたそうです。

しかし、韓国人に対してこのタイトルを提案するのは、ちょっと酷いなと思いました。

韓国には現在約175万人の高齢者が古紙や空き缶を拾って生計を維持しているそうです。75歳以上の高齢者の自殺者数は、10万人当たり160.4人で日の4.6人の約40倍です。酷いですね。

韓国が日本に要求しているのは、「日本が韓国の言いなりになること」だそうです。一切の異論を認めないで韓国に合わせることです。つまり、「話せば分かる」が効かないということだそうです。

韓国陸軍本部の公文書である「後方戦史(1956年)」には、朝鮮戦争において、89人の慰安婦が年間204,560人の兵力を「慰安」していたと記録されていました。

また、米軍を相手にする売春村「キジチョン(基地村)」について、「基地村女性浄化対策」という文書で、62ヶ所9,935人の慰安婦を国が管理していたことが記されています。

これらについては、韓国政府やマスコミを口を閉ざしていますね。

さらに、フィリピンに留学、転勤した韓国人が現地の女性を妊娠させ、何の責任も取らずに韓国へ帰ってしまい、父の顔を知らずに育っている子供、「コピノ」が2万人を超えているそうです。

中には、留学先の母親、長女、次女の3人を妊娠させて韓国に逃げ帰った留学生もいるとのこと。中絶が許されないフィリピンで人道的な罪を犯しているます。



2014年9月28日日曜日

483.「100回泣くこと」 中村 航

何だかとってもいい人達の話がずっと続きます。

飼い犬が死にそうになったので帰省のためにバイクを直し、手伝ってくれた彼女にプロポーズします。

2人は、結婚に向け同棲を始めます。2人とも善人でお互いを思いやり、とてもやさしく、怒ったりもしません。

こんなどうでもいい話を、よく120ページも読ませることができるものだと関心しました。120ページあたりから彼女が癌であることがわかり、悲しい展開になります。

最後まで読むことができたのでいい小説だとは思います。


2014年9月27日土曜日

482.「田母神新党」 田母神 俊雄

実は、私は右翼と左翼がよく分かりません。概念は理解できるのですが、ある人がそれに含まれるのか判断が難しいのです。

著者の田母神さんも「自衛隊をクビになった右翼の親玉」と評されています。
しかし、書かれている内容に結構同意できることが多いので、自分も右傾化しているのかなと思いました。

航空幕僚長であったので、軍事だけの人かと思っていましたが、経済や福祉についてもしっかりとした意見を持っていらっしゃいます。こういった方が政治の表舞台に上がっていけば、議論が活性化すると思いました。


2014年9月26日金曜日

481.「愛なんて嘘」 白石 一文

男女の関係を描いた6つの短篇集です。それぞれの作品に関連性はありません。
一見上手く言っているように見える夫婦のどちらかの心は実は冷めている。
それが「愛なんて嘘」ということでしょうか。

登場人物の心理描写がとにかく細かい。物事を深く多面的に考えています。自分はこんなに色々考えていないし、深くも考えていないので、他の人ってこんなに考えているのかなと不安になります。

ほとんどの作品で登場人物の考え方や行動をあまり理解できなかったので、あまり共感できませんでした。
ただ、「わたしのリッチ」に出てくる邦宏は、有名大学を出て、大手食品メーカーで営業職をやっているが、営業職が嫌いで公認会計士試験の勉強をやっています。しかし、3年経っても合格できず、勉強のために会社を辞めたという話は身につまされ、とても邦宏の考えや行動がよく理解できちゃいました。
また、その邦宏を見つめる妻の小枝子の不満を読むにつけ、自分の妻もこういう目で見ていたのかといまさらながらに気付き、冷や汗が出る思いでした。


2014年9月25日木曜日

480.「もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら」架神 恭介

パンクロッカーのまなぶが仏教について学んでいくという仏教の入門書です。

仏教といえば、キリスト教やイスラム教といった、神を信じる宗教というイメージがありますが、実は、ブッダが到達した論理学であり、哲学です。

根本は、解脱(輪廻からの脱出)を目標として、「何もかもどうでもいい」という境地に達したことです。

出家僧は、この考えをどんどん難解なものにしていきましたが、民衆の「超常的な存在が圧倒的なパワーで救ってくれたらいいのに」という要望とズレていきます。

そこで、旅芸人のような存在だった法師が民衆に「法華経」や「般若経」などの大乗経典を広めます。これが大乗仏教です。しかし、大乗経典は、誰が書いたものか分かっていない「創作物」であり、釈迦自身は語っていません。大乗仏教は、いわば当時のかなり胡散臭い仏教系新興宗教でした。

大乗仏教の人たちは、出家した人たちを「自分しか救えない」と馬鹿にしたのが、小乗仏教(=自分しか乗れない小さな乗り物)です。

この本で仏教の概略が把握できました。ふざけた設定ですが、参照している本が数多く、どれもしっかりしているので、内容は確かです。


2014年9月24日水曜日

479.「静おばあちゃんにおまかせ」 中山 七里

大学2年生の円は、中学2年生の時、交通事故で両親を亡くします。その後、静おばあちゃんと2人で暮らしています。

静おばあちゃんは元裁判官であり、司法試験受験生の円に、司法の様々な問題点や法に携わる者の心構えを折に触れ、厳しく教えています。

円はある事件をキッカケに刑事の葛城と出会い、捜査に協力するようになります。円の示唆は周囲の常識を覆すものであり、事件の解決の貢献するものでしたが、実は、静おばあちゃんのアドバイスによるものでした。

円は5つの難事件の解決に関わるうちに、自分の両親の交通事故に、ある疑念を抱き始めます。

タイトルから、あまり毒気のないミステリーが想像されますが、さすがは中山七里さん。きちんと毒を含んでいます。

文章も単に物語を進行するものではなく、直接ストーリーに関係ないように見えるエピソードが登場人物像に厚みを持たせています。



2014年9月23日火曜日

478.「迷宮」 中村 文則

新見は、中学時代の同級生の紗奈江と再会して交際するようになります。紗奈江は迷宮事件の遺児であり、父、母、兄が惨殺されていました。

新見は事件を調べていくうちに、母が全裸で色彩鮮やかな折り紙に埋もれて死んでいたこと、紗奈江のパジャマから兄に精液が検出されていたことを知ります。

新見は、紗奈江と付き合っていくうちに、自己に異常性が発現し、子供の頃に封印していた"R"が甦ります。

壊れていることを隠している同士が惹かれ合ってく様が感触悪いのに後味が良い作品です。


2014年9月22日月曜日

477.「小森谷くんが決めたこと」 中村 航

著者は、編集者から男子の小説を書いて欲しいと言われます。男子の恋とか、友情とか、夢とか、成長とか、家族とか・・・

しかし、著者は、その要望に困惑します。
なぜなら、その設定は普通すぎて、何もテーマが絞れていないからです。



困った著者に編集者は、誰かに取材してみてはと提案します。
編集者が連れてきたのが、小森谷くんです。

小森谷くんは、30代前半の、映画編成の仕事をしている普通の人です。
しかし、彼はかつて医師からの余命2か月という宣告から生還していました。その話の前後を聞いているうちに興味が広がり、小森谷くんの生誕から書き起こすこととなったのです。

普通の男性の伝記が面白いのかと疑問に思いながら読み始めましたが、結構面白かったです。大事件など起こりませんが、自分の子供時代も想起され共感できました。


2014年9月21日日曜日

476.「なぜ、中国人とドイツ人は馬が合うのか?」宮崎正弘、 川口マーン惠美

ドイツ人と日本人は、同じ敗戦国に住み、勤勉という特質から似ているのかと思っていましたが、実はあまり似ていないようです。

ドイツにとって、日本は遠い国であり、経済的なウエイトは今や中国の方が大きい。だから、声が大きい中国の方が正しいと思ってしまうとのことです。そして、そう信じたところで、ドイツにとって、何も問題ではありません。日本が外国に対してうまく情報発信できないことも問題です。

日本企業は、中国から次々と撤退していて、その数は14,000社に登ります。理由は想像以上にひどい嫌がらせと、中国市場では儲からなくなったためです。
しかし、ドイツが進出を続けているのは、自動車や航空機といった儲かる商売を選別しているからです。日本は地理的に近い巨大市場という幻想に惑わされ、無差別に進出したため、儲からなくなったそうです。

ドイツは、現在、脱原発の見直しに動いているそうです。理由は、自然エネルギーの電気について20年間固定の買取価格を設定しましたが、市場価格より高いため、巨額の補助金がかかっているからです。その補助金が莫大な金額なので税金では填補できず、市場価格に転嫁され、電気代が高くなってしまったそうです。


2014年9月20日土曜日

475.「阪急電車」有川 浩

今回も、引きこまれて、一気に読みました。
本当に有川浩さんの作品は、ハズレがないです。

阪急今津線、初めて知りました。
始発駅から終着駅までたったの15分しかかからないローカル線だそうです。

その一駅区間毎に一話毎の物語を語り、それぞれが相互に関連しあっています。一話創るのも大変でしょううにそれを関連付けるなんて・・・

しかも、折り返し電車で、行きの電車の出来事の後日談を引き受けています。
話は、恋愛話ですが、出てくる登場人物の行動が日常で起こり得ることなので、とても親近感が湧きます。

読み終わった後に、心が温かくなります。



2014年9月19日金曜日

映画「白ゆき姫殺人事件」

人が滅多に行かないしぐれ谷で、女性が10ヶ所以上刺されて、燃やされ殺害されます。彼女は、化粧品会社に勤務する美人OLの典子。化粧品会社のヒット石鹸「白ゆき姫」から、事件は、「白ゆき姫殺人事件」と呼ばれます。

被害者が面倒を見ていた新入社員から、典子の同期の美姫が犯人に違いないと聞かされたテレビディレクターの赤星は、特ダネとばかりに事件を調査し、美姫が怪しいとSNSでつぶやき、ワイドショーで放送します。美姫は事件当夜から、行方不明となっており、容疑者として行方を追われることに・・・

湊かなえさん原作小説の映画です。
原作をすでに読んでいて、犯人も知っていたのですが、登場人物同士の嘘のつきあいなどが面白く、最後まで楽しめました。
また、取材からワイドショーが作られるところも映画ならではで興味深かったです。

ラストの美姫と赤星の出会いは、小説にあったかどうか、記憶が不確かですが、美姫の行動は偶然ではなく、恨みを込めたものだと思いました。

474.「かわいそうな歴史の国の中国人」 宮脇 淳子

この本を読むと中国の文化がよく分かり、中国人がどう考えて行動するのかが理解できます。

しかし、日本人と全く行動様式が異なるため、読んでもじきに忘れてしまい、また、日本人に対するように接して、騙されてしまうのでしょう。

何度も、読み返したいと思いました。

中国の歴史観は独特だそうです。
すべて結果ありき。結果から過去を判断するのです。
「成功したから正しい。」
「失敗した奴には、天命がなかったのだから悪い。」

だから、今、中国大陸を統治している中華人民共和国の言うことはすべて正義。
戦争に負けて大陸から追い出された日本のしたことはすべて悪。
それが、中国人にとって正しい歴史認識だそうです。

それゆえ、中国人が「正しい歴史認識」という時は、
「日本人は戦争に負けたのだから、奴隷になって謝り続けろ。」
と、本心から思っているそうです。

そういう理解で見ると、中華人民共和国が「正しい歴史認識」と言って、日本に突っかかって来た時に、どういう意図なのかつかめるし、あまり本気で対応しないという態度も取れますね。


2014年9月18日木曜日

映画「愛の渦」


衝撃的な映画でした。
乱交パーティークラブに集まった5人の男と5人の女の一夜の物語。
全編中、服を来ている時間は、たったの18分です。

始めは緊張して遠慮がちだった参加者も一度火がつくと、本能むき出しで獣のようにセックスしまくります。全裸で永遠そのシーンが流れます。俳優さん達もよくこの役を引き受けたと思います。今後のイメージは大丈夫なのかと要らぬ心配をするほどです。

セックスしかしないので、テーマが明確です。どこの出身だろうと、、どんな仕事をしていようと、どんなに気取っていようと、結局は、男も女もセックスしたいのだという本性をしつこい位に描いています。その中で、欲望の対極にある社会性、仕事、家庭、恋愛感情、出産などの対比されていきます。

ラストの女子大生の対応で、それまでの彼女のイメージが覆されました。観た後に、かなり尾を引きました。

473.「All You Need Is Kill」 桜坂洋

トム・クルーズ主演の2014年公開のハリウッド映画の原作です。

異星人によって造られた自動機械は、棘皮生物に寄生し、大量増殖しました。それは、地球の土壌と海水を汚染し、人間を殺戮するようになります。人類は、それを「ギタイ」と呼ぶようになります。

人類は地球規模の統合防疫軍を結成し、ギタイに対抗します。統合防疫軍初年兵のキリヤ・ケイジは、最初の戦闘で戦女神(ヴァルキリー)リタ・ヴラタスキに出会いますが絶命します。ところが、ケイジは目を覚まし、戦闘の30時間前に戻っていました。

著者がゲーム好きを公言するだけあって、設定はロールプレイングゲームのようです。「ループ」というリロードを何度も繰り返すことで、ケイジの戦闘力が上がっていきます。そして、160回目のループでステージクリアの場面を迎えるのですが、そのボスキャラは・・・

同じ場面が何度も繰り返すので、読んでいて退屈そうですが、ケイジの選択により、パラメータが変化し、展開が変わっていきます。兵器の描写も緻密に描写されており、独特の世界観が広がります。最後まで楽しく読めました。


2014年9月17日水曜日

472.「よるのふくらみ」 窪 美澄

みひろと、圭佑・裕太兄弟は商店街で育った幼なじみ。みひろと圭佑は同棲しています。みひろは、圭佑の子供を欲していますが、圭佑はセックスしようとしません。みひろの心は揺れ動き、そして・・・。

毎回、鈍い衝撃を受ける著者の作品ですが、本作も読後に後を引きます。

いくつかの短編を組合せて1つの長編を創るのが「ふがいない僕は空を見た」以来の著者の作風です。本書も6つの短編を3人の登場人物の立場から2周紡ぐことで3つの観点から1うの物語を見せています。

「いんらんおんな」が本書の1つのキーワードです。妊娠するために必然となる性欲が赤裸々に語られ、その性欲が他人からはどう見られるのかが描かれます。

女性の本能ゆえに、相手とセックスに心の平安を求めるみひろ。
セックスを仕事としたために、人間の精神性に心の平安を求める京子。
2人は似ていないようですが、本質は同じようにも感じました。

圭佑の父の浮気相手だったマリアは、イエスの母をモチーフにしているように思えました。
「誰にも遠慮はいらないの。どんな小さなことでも、幸せが逃げてしまうよ。」
との彼女の言葉は、「はじめに言葉ありき」を下地にしているようです。

「いんらんじゃない女なんていないんだけどね。」
マリアは、娘を妊娠する前に、たくさんの男と付き合っていたと語ります。
子供を産むために男性を求める女性の本能を、建前に縛られる他人は、「いんらん」と呼ぶのかもしれません。


2014年9月16日火曜日

471.「嘘だらけの日中近現代史」倉山 満

中国に「近代」はなく、独裁の「古代」と殺戮の「中世」が繰り返されているという著者の主張に納得できました。

そういう観点で中国を見ると、支那の歴史も理解しやすいですし、現在の共産党政権が行っていることも理解できます。

中国5000年の歴史といいますが、現在、中国を支配している漢民族が5000年間歴史を刻んできているわけではありません。

中国という土地で起きたことを歴史と呼んでいます。
その間に、何度もモンゴル人(元)や満州人(清)に支配されて、支配層が変わっています。

現在の中華人民共和国は、実は、64年の歴史しかないのです。

この例のように、漢民族は非常にプロパガンダが上手です。そのことを頭において、現代の中国も見ていく必要があると思いました。


2014年9月15日月曜日

270.「ストイックなんて無用だ」原田 泳幸

原田泳幸さん(株式会社ベネッセホールディングス代表取締役会長兼社長、かつ株式会社日本マクドナルドホールディングス取締役会長兼株式会社日本マクドナルド株式会社取締役会長)の著書です。

ちなみに、奥さんでシンガーソングライターの谷村 有美さんは、私の高校の同級生です。

原田さんの著書ということで、ビジネス書と思いきや、まさかのトライアスロン本でした。

原田さんは、体重が80Kになった60歳からウォーキングを始め、東京国際マラソンを経て、65歳でトライアスロンのレースにデビューしました。

「何かを極めるにはストイックなんて無用である。努力なんかしなくても、とにかくチャレンジすることが進歩となり、その進歩が結果をもたらすことでストイックになっている。」
と著者は言いますが、それが既にストイックだと思いました。

食生活についても書かれていますが、メインは和食で、ハンバーガーを食べているとは一言も書かれていないので、実は、あんまり食べていないんだなと分かりました。




2014年9月14日日曜日

469.「消費増税の黒いシナリオ デフレ脱却はなぜ挫折するのか」 田村 秀男

財務省が消費税に拘るのは、

  1. 徴税が楽
  2. 税率アップ=税収アップ(と信じている)
  3. 消費税関連の規制で権力強化
のためだと思いました。

日本が長期デフレに陥った理由は、急激な金融引締めと消費税導入・増税によるものと思われます。

そして、財務省は、デフレ脱却と景気回復には興味がないように見えます。

財務省の関心事は、税収を増やすこと、予算配分による権力強化、特殊法人等の天下り先確保のようです。

消費税を10%に引き上げると、さらに消費と投資が抑制され、デフレが悪化し、失われた20年が失われた30年になりかねないと思いました。


2014年9月13日土曜日

468.「月収20万円でも子供を大学に入れる! 進学マネー術」 首藤 寛之

著者は、ファイナンシャル・プランナーです。
本書の内容は、家計のファイナンシャル・プランニングについて書かれています。

タイトルから期待するほどの、画期的手法はありませんが、実用的内容です。

低収入でも子供を大学に行かせる方法の秘密は、奨学金と教育ローンでした。だれでも知ってる普通の話ですね。その部分が詳しく書いているので、読み続けることができました。

奨学金と教育ローンは、オーソドックスな資金調達ですが、やはり、それぐらいしかなく、有効なのだと思いました。

入学金は親が教育ローンを借りるものの、奨学金は本人名義で借りて、本人が返すべきという話は、私の考えとも一致しており、その意を強くしました。



2014年9月12日金曜日

映画「アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~」


韓国映画ですが、原作は日本のマンガなんですね。
どおりで、面白いと思いました。

主人公のジニョクは、突然会社を辞め、ケーキ屋を開きます。しかし、大のケーキ嫌いで食べると吐いてしまいます。彼は、幼いころにある事件に巻き込まれましたが、その時の記憶が全くありません。

ジニョクは、パリで修行した天才パティシエのソヌを雇います。ソヌは腕は超一流なのですが、何故かこれまで一つの店に長く務めたことがありません。それは、彼が狙った男は全て落とす「魔性のゲイ」で、それが原因でトラブルを引き起こしてきたからです。

そして、実は、ジニョクとソヌは高校の同級生で、ソヌはジニョクに屈辱的にフラレていました。ソヌはその失恋が原因で「魔性のゲイ」になったのでした。

かなり無茶な設定ですが、最後まで話は破綻しません。途中、ミュージカル的要素も交えながら軽快なテンポで話が進みます。

そして、オーナーがケーキ嫌いに関わらずケーキ屋を開いた理由や、失われていた幼少期の記憶が甦り、ミステリー色を交えてエンディングに進みます。

最後まで、飽きずに楽しめる映画でした。

467.「中国人の常識は世界の非常識」 近藤 大介

近年の中国の実態が分かる、本当に恐ろしい本です。書かれている内容はにわかに信じがたいものばかりでした。

中国人の特徴は、自己中心で、サービス精神に乏しく、金のことばかり考え、大雑把で、飽きっぽいそうです。


この本を読んで、中国に行きたくなくなったどころか、中国産食品は避けたくなりました。


  • 紙パック入り牛乳の20本に1本は汚染油を飲んでる感覚がする。
  • 300万人が下水溝から集めた「地溝油」をビジネスにしている。
  • ミネラルウォーター「農夫山水」は、浙江省ゴミ処理場の地下水。
  • パン屋チェーン「味多美」では前日の売れ残りパンに液体をスプレーし出来たてに偽装
  • 2013年にさいたま市でマラカイトグリーン(成長促進剤)入り中国産ウナギ72.5トンを回収
  • 北京で水道水を飲めば腹痛を起こすが、水道水で麺を洗うジャージャー麺も同じ
  • 2010年中国国際博覧会で金賞を受賞した湖南省の高級茶はレアアースまみれ
  • 2012年に中国産リプトン茶に大量のメソミル(劇薬の殺虫剤)が含まれていた


巨大市場ゆえに大きく儲けるチャンスは確かにありますが、その利益が一瞬で失われるリスクも抱えています。継続して投資していくには危険すぎる国だと思います。今後、敢えてそのリスクを負う必要もないのではないでしょうか。


2014年9月11日木曜日

映画「それでも夜は明ける」


ニューヨークの自由黒人だった、バイオリニストのセシルは、ある日、知人の紹介であった2人の男からワシントンでの演奏会に誘われます。演奏会の後の食事で泥酔した彼が目覚めると、彼は鎖に繋がれ奴隷にされていました。

彼は南部に送られ、過酷な肉体労働に従事させれらます。
男は、牛馬のようにムチで叩かれながら働かされます。
女は、その労働の上に、白人の主人から性欲の対象にされます。

奴隷制度の下での悲惨な生活と、理不尽に12年間も自由を奪われた男の半生を描いています。


466.「迷子の王様: 君たちに明日はない5」 垣根 涼介

リストラ会社に勤務する村上が、様々な業種の企業のリストラを手がける中で、様々な人に退職を勧告します。突然退職を突きつけられた相手を通して、個人のキャリア、その人の生き方、そして日本の労働環境を仮想体験させてくれます。

本書を読むと、自分の働き方、生き方を省みるキッカケになります。また、就職活動を控えている学生にはとても参考になると思います。

「知的背景を持つ者には、すでに入学時点で表面的な学歴は同じでも、その内面の成熟において目に見えない大きな差があるということです。」
これは、早稲女の登場人物が大学で受けた授業で、教授が言った言葉ですが、僕にもこんなこと言ってくれる教授がいたらよかったのにと思いました。

君たちに明日はないのシリーズで一番記憶に残っているのは、
「借金取りの王子」ですが、本書にその登場人物が再登場しています。

消費者金融で働くイケメンの優男と、その元上司の気丈な女性とのお互いを思いやる切ない話でした。
その2人が4年を経て登場しています。
王子が意外な仕事に就いていて驚いたのですが、2人とも幸せそうで、読んでいてホッとしました。

本作が完結編なのですが、全編とも非常に優れた作品ばかりでオススメです。


2014年9月10日水曜日

465.「そして、メディアは日本を戦争に導いた」 半藤 一利、 保阪 正康

大東亜戦争に突入していく時代のメディアの状況を描いています。

日本は、日清戦争に勝ちましたが三国干渉で遼東半島を返還させられました。

また、日露戦争にも勝ちましたが賠償金は得られませんでした。

このことが日本国民の心に、欧米列強に深い憎しみを抱かせたのではないでしょうか。

日本国民の潜在的な恨みが、非戦論よりも主戦論を好み、交戦論を主張する新聞が売上を伸ばしたように思われます。

非戦論を論じる新聞も、主戦論を論じる新聞も両方あったのですが、非戦論を論じる新聞はどんどん部数を減らしていくので、新聞社は、自己を存続させるために、主戦論に転向します。

そうなると、主戦論の新聞のみになり、主戦論同士の中で売上を伸ばすために、記事内容がエスカレートしていったようです。

国民は、新聞によってさらに煽られ対米戦争へと突入したという一面もあると思います。

メデイアというものにどのように接していくべきか、考えさせられました。




2014年9月9日火曜日

映画「大統領の執事の涙」


黒人少年のセシルは、奴隷農場で母が白人の主人に凌辱され、それに意見しようとした父が目の前でその白人に射殺されます。

セシルは農場から逃げ出し、ホテルのバーテンダーとして拾われます。そのバーで、ホワイトハウスの担当者からスカウトされ執事として歴代の大統領に仕えます。

タイトルから、大統領の苦難を支えた執事と大統領との友情話だと思っていましたが、実際には、黒人差別からの解放の歴史話でした。

ガンジー、キング牧師、マルコムX、KKK、ブラックパンサー党など、人種差別における歴史が語られ、その当時の実情や、白人、黒人の生活が分かりました。

そして、黒人差別はオバマ大統領就任で幕を閉じるのですが、職務上、ノンポリを貫き通さなければならなかったセシルと、過激派に走った長男のルイスとの和解も心を動かしました。


464.「動物農場: 付「G・オーウェルをめぐって」開高健」 ジョージ オーウェル、 開高 健

農場主を追い出し、動物たちの理想の共和国が作られましたが、豚の独裁者が現れ、徐々に独裁国家となっていきます。

プロットが単純ゆえに問題の本質がとても明らかになっています。古典と呼べる本ながら、現代の独裁国家や組織内紛争の本質を実に表現していると思います。

共和国が作られ、最初に作られたのが七誠という憲法のようなものですが、次第に勝手な解釈が生まれ、ついには、拡大解釈を生む文言が勝手に書き加えられていきます。

文字が読めない動物、読めても何も考えない動物は、独裁者にいいように操られます。その手法は、簡単なスローガン、独裁者の私設軍隊、仮想敵国、歴史の捏造、プロパガンダです。

そして、利益がひそかに独裁者に収奪され、民衆は飢えに苦しむ一方、支配者層は富、肥えています。

平等を謳った建国から、密かに独裁に移っていくプロセスが非常によくわかります。

何故、中国が日本を避難し続けるのか、何故、急に友好を求めてくるのかを、独裁国内部から考える観点を与えてくれます。非常に深い示唆を与える名著です。



2014年9月8日月曜日

463.「歴史問題は解決しない 日本がこれからも敗戦国でありつづける理由」 倉山 満

タイトルから、東洋の近代史から話が始まるものと思っていましたが、西洋の近世、キリスト教の勃興から話が恥じまります。

大航海時代は、ヨーロッパでの紛争がアフリカ大陸、アメリカ大陸の植民地化とすすみ、ついにはアジアへの侵略が始まります。



その世界史の中で、日本はどのように立ち振る舞ったのか。

著者は、新興国アメリカを交渉相手に選んだことで大国に植民地化されず、不平等条約を飲み込んだことで半文明国の地位を確保できたと見ています。

そして、文明国となるためには、憲法が必要であり、借り物ではない、日本の古事記などの歴史を基盤とした独自の帝国憲法を創りあげました。

しかし、敗戦により、帝国憲法は封印され、米国によって6日間で作られた日本国憲法を受入れさせられます。

著者の主張は、日本国憲法をいくら改正しても、日本が敗戦国であるという戦後レジームからは脱却できないとのこと。帝国憲法を見直すことで、その背後にある思想を見直すことが重要という主張は、一考の余地があります。


2014年9月7日日曜日

462.「逆境を乗り越える技術」 佐藤 優、 石川 知裕

背任・偽計業務妨害で起訴された佐藤優氏と、陸山会事件で起訴された石川知裕氏の共著です。

自らの逮捕・勾留体験から体得した逆境への対処法が書かれたいます。

苦しい実体験の中で、信頼できる人のアドバイスや大量の読書から構想し、文字化することで概念化した内容ゆえに、非常に有益で実践的な方法が提示されています。


2014年9月6日土曜日

461.「論争と「詭弁」―レトリックのための弁明」香西 秀信

ローマ帝国時代の哲学書を元に詭弁を分析しています。

その内容は、修辞学校での議論です。ある論点を元に議論を重ねていくのですが、次第に論点が現実離れした結果、職業訓練の域を超えて、現実の法廷では役に立たない内容になってしまったそうです。

「データ」とは、ある判断を主張するための証拠となる事実をいう。
「理由づけ」とは、データと判断の橋渡しをするもので、そのデータからその判断を結論づけるのを説明するものだ。
この「データ」と「理由づけ」を合わせて、「根拠」と呼ぶ。

この定義が非常に納得がいくものでした。


2014年9月5日金曜日

460.「物語 シンガポールの歴史」 岩崎 育夫

1965年から、人民労働党一党独裁のファシズムでありながら、政権が腐敗せず経済成長を遂げたシンガポール。

1965年から90年までの35年もの長期に渡り、首相を務めたリー・クワンユーの功績が大きいと思いました。独裁者が私利私欲を求めることが多いなか、リーは、先見的な政策を一党独裁による素早い実行により、シンガポールを急成長させました。

その成長要因の一つには、開発資金を国内で賄えるような仕組みを作ったことがあると思います。労働者の退職後年金に相当する中央積立金で政府国債を購入し、国庫に移転した積立金を政府補助金として準政府期間などの資金にしました。

日本でも同じような仕組みが「国の借金」として非難されることが多いですが、外国の負債が増えないという点でも、実は優れた仕組みだと思います。

一人の政治家の先見の明と、弾圧につながりかねない強いリーダーシップが東京23区の面積しか無い小国の発展を生み出したことに驚きました。


2014年9月4日木曜日

459.「ムカつく相手にもはっきり伝えるオトナの交渉術」 バルバラ・ ベルクハン

自己主張のための5つの対話術を紹介しています。

過去の著作に比べ、少しインパクトが弱いと感じました。

5つの対話術のうち、私が有益と感じたのは、「ABCループ」です。



「ABCループ」
A: 相手の言ったことを簡単に繰り返す。
「じゃあ、あなたは、こう言われるんですね。」

B: すぐ、その後に自分の望みを繰り返す。
「ですから、私が望むのは・・・。」

C: 自分の頼みを理由づける。
「私がそうしたいのは、実は・・・。」

必要なら、何度でもこのループを回す。

著者はドイツ人ですが、ドイツ人と日本人は気質が似ているのか、非常に共感しやすい内容です。


2014年9月3日水曜日

458.「親日派のための弁明」 金 完燮

韓国人の著者による、非常に優れた日韓の歴史書です。韓国では、「青少年有害図書」に指定され、書店では販売されていません。

著者は、韓国人でありながら、非常に冷静かつ大局的に日韓併合を評価しています。
日韓併合前は、1000万人足らずの人口が2500万人まで増え、平均寿命も24歳から45歳に上昇したそうです。

1911年から38年まで年平均3.7%の経済成長を遂げ、1930年代後半から日本の工業施設の25%が韓国に立地していました。

1906年に小学校が40校しかありませんでしたが、1940年代には1000を越える各種学校がありました。帝国大学も設置され、現在のソウル大学になっています。

これらの事実から、日韓併合が搾取のみを目的とした植民地支配ではなかったと考えられます。

また、日本は、1905年1月28日に竹島を日本の領土に編入しました。李氏朝鮮からは異議を申したれられず、国際法上、日本の領土と確定しました。

それにもかかわらず、李承晩は、1952年1月18日に竹島の所有権を一方的に宣言しました。サンフランシスコ講和条約が発効する1952年4月28日の前の、日本にまだ主権がない隙を狙った「強奪」でした。

その目的は、日韓国交正常化交渉で、より多くの金銭を要求するためでした。

本書の最後に以下のように記載されています。

「韓国人の他者に対する態度は自己中心的でストレートである。
一方、日本人は他人の気持ちにまず配慮し、相手の機嫌を損ねるようなら、自分の立場が正しくても引っ込めて謝る傾向がある。
 このような日韓の違いが両国の歴史認識をめぐる論争でもそのまま現れている。
 その結果、間違いのはなはだしい方が大声で自己主張しているというおかしな韓日関係がつくられたのである。」

この結論から、河野談話が思い浮かび、非常に納得しました。



2014年9月2日火曜日

457.「怒り(下)」 吉田 修一

田代を疑ったことで愛子は田代を失います。疑惑の発端を作った父は、その後悔の慟哭をどんな気持ちで聞いたのでしょうか。

優馬は警察からの電話で、直人を「知らない」と答えました。殺人事件に巻き込まれることや、自分がゲイであることが周囲に知られることを恐れたためでした。まるで、イエスを3度「知らない」と言った、ペテロのようです。

単なるミステリーではなっく、一つの殺人事件を中心に描いた人間ドラマです。過去が分からない田代、直人、田中と関わることで、愛子、優馬、泉の人生が狂い始めます。

愛していた人を疑い、裏切ることで、自分が最も傷つき、大切なものを失ってしまう・・・ そういうことを考えさせられる物語でした。


2014年9月1日月曜日

456.「怒り(上)」 吉田 修一

八王子郊外で夫婦が惨殺される。惨殺現場には、「怒」の血文字が残された。目撃された容疑者山神一也は、姿を消し、1年が経過する。

ソープランドから保護され房総の漁港で暮らす愛子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿の発展場で直人と出会い、不倫した母と沖縄の離島へ夜逃げ女子高生の泉は、田中と知り合う。

それぞれに前歴不詳の3人の男…。

そして、山神は、整形手術を受け顔を変えたことが判明する。行方が分からない山神は、田代、直人、田中のいずれかなのか・・・。

直接的には本筋に関係ない出来事に思えることが描かれていますが、それが物語に厚みを与えています。

3つの場所での出来事が同時に進行し、その全ての登場人物を自在に動かすことは至難の業です。作者の力量が分かります。

この3つの話がどのように絡んでいくのか、下巻が楽しみです。