2015年7月31日金曜日

691.「人生は、マネしてトクして楽しもう。」 下川浩二

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著者は、下川式成功手帳という手帳販売と、セミナー等で多くのファン(しもファミ)を惹きつけています。

本書は手帳の話ではなく、TTP(TPPではありません)を中心とした、ゆるい成功法則の本です。
個人で独立して事業を運営していくためのヒント集でもあります。



TPP:徹底的にパクる
TKP:ちょっと変えてパクる
OKP:思い切り変えてパクる
という方法でゆるく成功していきます(結局すべてパクリですが・・・)。

また、小冊子やチラシといった、あまりお金がかからない方法でファンを増やしていくやりかたも伝授しています。

個人が楽しく仕事をしながら、食べていけるゲリラ戦法を教えてくれる本です。




2015年7月30日木曜日

690.「沈みゆく大国アメリカ」 堤 未果

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オバマケアにより、これまで医療保険に入れなかった低所得者が、保険に加入できるようになり、全てのアメリカ国民が安価に医療を受けることができる・・・

って、思ってました、この本を読むまでは。
全然、話が違うじゃないかって、私が思うよりも、オバマケアを応援していた人達が思ったことでしょう。

実際には、これまで企業保険で安価に医療を受けることが出来たいた人は、法改正や企業保険の解体で保険料の大幅な値上げ。
保険に加入できるようになった人でも、メディケアを受け入れる病院がほとんどはないために、遠い病院にいった挙句、長い順番待ち。
がん治療薬は自己負担だが、安楽死薬は保険適用で早く死ねと言われているようなもの。

これは、アメリカの政治が製薬会社や金融会社という一部の企業に実質支配されてしまったからです。
オバマケアの承認と引き換えに、薬価の決定権を放棄したため、薬価は製薬会社の言い値となりました。保険は国の運営でなく民間会社に任されたため、高額な薬は保険負担からはずされました。

その結果、オバマケアがスタートしたにもかかわらず、大きな怪我や病気をすると保険に入っていても高額な医療費に追われ、自己破産に追い込まれることになりました。

さらに、保険料負担を嫌った企業は、フルタイム社員を保険適用外のパートタイム社員に降格させたため、社員の非正規化が進みました。

日本も対岸の火事ではありません。混合診療解禁、株式会社病院、保険組織の民営化、診療報酬改革などは、アメリカ化の前段であり、着々と国民皆保険の切り売りが進んでいるそうです。世界的にも稀有な国民皆保険制度を守り抜き、次世代にも引き継ぎたいと思いました。






2015年7月29日水曜日

689.「貘の檻」 道尾 秀介

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山奥の村で32年前に父によって殺されたと思われていた女が突然目の前に現れ、駅のホームから転落して轢死します。

女がそれまで生きていたことから、32年前の殺人事件に何か裏があったのではないかと疑った容疑者の息子、辰男は、逃げるように去った故郷に戻ります。

そこで自ら封印していた記憶が蘇り、それぞれの思い違いが交錯していた事件の全容が明らかになります。

横溝正史のミステリーのような場所設定に幻想的な挿話を差し込んで独特の雰囲気を醸し出しています。ただ、少し冗長であるため、読み進めるには努力が必要でした。


2015年7月28日火曜日

688.「「アジアインフラ投資銀行」の凄惨な末路」 宮崎 正弘

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読めば読むほど、やはり参加しなくって良かったと思うAIIB。成功する要素がなく、破綻するか何となくフェードアウトしていくことでしょう。「バスに乗り遅れるな」とあおったマスコミや政治家もそんなこと言ったことを惚けてしまうのでしょう。

AIIBは、途上国への国際貢献が本質的な目的ではなく、中国国内で余った資材や労働力の押し付けです。破綻寸前の中国経済をうまく誤魔化していくことが本来の目的のようです。

さらには、資金援助によって南沙諸島や西沙諸島で関係悪化した周辺国の頬を札束で叩いて従わせることも目的の一つでしょう。

しかし、当の中国にはAIIBに出資する外貨(米ドル)が容易できるか、疑問のようです。世界第2位の外貨準備高と言われていますが、ほとんど同額が既に不正に海外へ移管されていて、差し引きゼロのようです。

さらに、もしAIIBに資本金が集まったとしても、自己資本規制によりその資金は使えず、別途市場から資金を集める必要があります。ところが、AIIBには日本とアメリカが参加していないため、評価が低いので、高い利息を付けなければ、資金が集まりません。

そのような高い資金で投資する、評価が甘いプロジェクトで、事業がうまくいくわけがありません。

スタート前から、破綻が見えているAIIBの行く末を生暖かく見守っていきましょう。

2015年7月27日月曜日

687.「なぜ、時間管理のプロは健康なのか? 」 佐々木 かをり

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著者は2つの会社を経営し、社外役員や政府委員を務めているそうです。
そして、「佐々木メソッド」として手帳も販売しているため、「時間管理のプロ」とのタイトルがついたようです。

本書は、主に、手帳の使い方、物事の考え方、体調管理、食生活、生活習慣といった内容からなります。

いろいろと工夫されており、毎日をうまくコントロールしていて凄いなと思います。
ただ、それが万人に有効で真似すべきものなのかはわかりませんでした。
手帳も本書で見た限りでは、普通のバーティカルタイプの手帳でした。

編集者が著者の生き方に興味を持ち、出版を持ちかけたのでしょうか。
出版するまでの意義があったのか疑問でした。

気軽に読めて、意識が少し高まるという点では出版された価値があると思いました。


2015年7月24日金曜日

686.「普通の主婦がネットで4900万円稼ぐ方法」 山口朋子

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非常にインパクトのあるタイトルです。著者は専業主婦でありながら、3年間で4900万円をネットで稼いだそうです。凄いですね。

とても素直で正直な文章であるため、読んでいて好感が持てます。内容も自分の実体験を言語化し、ノウハウとして体系化しているので、具体的で分かりやすいです。著者の頭の良さが伺えます。


ネットビジネスを3ステップに分け、それを繋げて段階化しており、それぞれのステップのメリット、デメリットも客観的に書かれているので信頼感を高めています。

著者は、ネットに関する知識も豊富で変化に遅れないように情報をキャッチアップして、よく研究しています。経験とノウハウを蓄積したので、最早「普通の主婦」とは呼べないレベルです。ただ、普通の主婦は、この本や著者が主催する塾などで、段階を追って教われば、4900万円までとは行きませんが、稼ぐことができるように思いました。私も習いに行きたくなりました。





2015年7月23日木曜日

685.「マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣」 古川武士

9つの習慣と、それを身につける各5個、合計45個の行動が書かれています。習慣というより、考え方、物の見方といった方が適切でしょうか。タイトルは編集者が「7つの習慣」に引きづられてしまったのでしょうか。

自ら実行して効果があった行動ということではなく、読書から良さそうな行動を抽出して分類したといった印象です。他人の本からの追体験なので効果には疑問符がつきます。

9つの考え方を身につけるために、45個の行動を習慣化するということは、凡人にはハードルが高いでしょう。

気に入ったいくつかをやってみるだけでは良いのではないでしょうか。タイトルにあるように「マイナス思考からすぐに抜け出す」ことが目的ですから、たった1つの行動習慣でもよいはずです。


2015年7月22日水曜日

684.「新・台湾の主張」 李 登輝

台湾の第3代総統であった李登輝氏の自伝です。

台湾は、韓国併合(1905年)よりも10年古い1895年に日本の植民地となりました。

台湾には、後藤新平、乃木希典、新渡戸稲造といった日本の一線級の人材が投入され、教育に力を入れた近代化が図られました。

経済的な基盤があったゆえに、国民党が逃げ場に選び、その後も中国として対峙してこれたのだと思います。

著者を支那から来た外省人かと思っていましたが、台湾生まれの本省人でした。台湾で教育を受けて、京都大学に進み、日本の軍人となりました。人種の差別がなかったとは言えませんが、能力ある人には平等な機会が与えられていた証左といえます。

著者が自己の人格の中核に置いているのが、武士道とキリスト教です。現在の日本が失ってしまったのが武士道であり、その欠落が日本の問題を引き起こしているとの指摘は耳が痛いです。

現在、台湾は中国に飲み込まれる危機にあります。2016年の総統選挙で、中国との統一を目指す国民党が勝つか、独立維持を目指す民進党が勝つかが大きな分水嶺になります。台湾が中国に統一された場合、中国が次に狙うのは尖閣諸島と沖縄。そして、朝鮮半島です。そうなると日本は完全に包囲され、中国の支配体制に屈することになります。

著者は集団的自衛権行使容認を歓迎しています。これにより中国が尖閣諸島や南シナ海の問題で軽率な行動を取れなくなり、東アジアの安定に大きく寄与すると見ています。台湾の賢人の見方が非常に勉強になりました。


2015年7月21日火曜日

683.「佐藤優の10分で読む未来 キーワードで即理解 戦争の予兆編」 佐藤 優

2013年に、ラジオで話し、メルマガに書いた政治、経済の問題についての解説をまとめたものです。

今読むと、少し古くなったテーマですが、その反面、その後の展開を知っているため、面白さが増します。

ご存知のように、著者は、元外務省職員でロシアを担当していました。そのため、ウクライナ情勢の解説では、他の人が指摘していない民族対立の状況や、ロシアでの報道なども交えて非常に詳しく説明しています。

また、著者の母親が沖縄出身であるため、沖縄情勢にも詳しいです。辺野古移設についても、保守論壇のプロ市民批判だけではなく、実際の住民の間でも反対派が主流となっているとの指摘は新たな観点です。


2015年7月17日金曜日

682.「「魚の釣り方」は自分で考えろ」 泉 忠司

時代の流れがどんどん早くなっている現代では、「魚の釣り方」を教わっても、すぐに状況変化によって釣れなくなってしまう可能性があります。

だから、「魚の釣り方」自体を自分で考える力を養うことが必要とのことです。

まさに正論だと思いました。物やサービスの売り方は自分で考えて、変え続けていかなければなりませんね。

では、どうやって自分で考える力を養うのかと言えば、こういった内容の本ゆえ、それこそ自分で考えることが求められます。ただし、様々なヒントが与えれラています。

例えば、
日記を書いてときどき読み返す
今朝のニュースを思い出しいいと思ったら悪い点、悪いと思ったらいい点を考える
いついかなるときでも、「なぜ」というクエスチョンを投げかける
などです。


2015年7月16日木曜日

681.「稼げるコンサルタント 稼げないコンサルタント」柳生 雄寛

コンサルタント(専門職)からフランチャイザー(経営者)にシフトしなさいという内容です。

つまり、コンサルタントとして創りだしたノウハウをコンテンツ化して切り売りするということが主体です。

ということは、もはやコンサルタントではなく、経営者です。

コンサルタントの稼ぎ方を教えるように見えますが、実は、販売業の経営者への転身を薦めています。

つまり、コンサルタントとして得たノウハウを、様々な形に切り売りして、高額少量販売から定額大量販売まで複数のキャッシュポイントを作るという方法です。

しかし、専門職より経営者の方が稼げるというのが身も蓋もない真実なのかもしれません。

コンサルタントとして収入を上げる方法も語られていますが、この部分は本当かなと思いました。なぜなら、耳障りのよい、もっともらしいことが書かれていますが、その内容に対する検証がないからです。

著者自身が、非常に有能であったはずの経営コンサルの仕事をせず、士業コンサルをしていることから、個人経営としての経営コンサルよりも、こちらの方が儲かるのかもしれません。



2015年7月14日火曜日

680.「日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国」宮崎 正弘、 室谷 克実

中国通の宮崎さんと、韓国通の室谷さんの対談です。

これを読むと中国と韓国は芯から腐敗していることが分かります。

共に反日国家ですが、少し種類が違うように感じました。

中国では、反日は政権維持の道具であり、人民はそれほど反日でもありません。人民は、お金が第一で肉体労働も厭いません。

韓国では、反日は民族のアイデンティティであり、国民は根っからの反日です。国民は、見栄が第一で手を汚す仕事を嫌います。

共通するのは、両国の破綻が遠くないということです。
ですから、その自滅に伴うヤケッパチに巻き込まれないようにすべきです。
「軍艦島での強制労働」という嘘も毅然として否定できれば良かったのですが・・・




679.「「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告」 エマニュエル・トッド

今後、世界の脅威となるのは、ロシアでも中国でもなく、「ドイツ帝国」だと警鐘を鳴らしています。

「ドイツ帝国」とは、ドイツ一国ではなく、ドイツと冷戦終了後にEUに加盟した東欧各国やフランス・スペインといったドイツへの従属国です。

脅威とみなされているロシアは、実は日本とほぼ同じ1億4千万の人口しか保有しておらず、GDPのほとんどが燃料と軍事で、脅威とはならないそうです。

中国は経済破綻が明らかになる目前で、多くの国内紛争を抱えています。これらの国がアメリカに対峙できる可能性は低いとのことです。ロシア、中国、インドが同盟を結べば可能性があるものの、これに日本が加わらないと、技術面で欧米に対抗できません。

ドイツは東西統一で多くの負債を負ったように見えましたが、実は共産主義国ゆえに高い教育水準を持った労働者を確保することができました。そして、ソ連から離れた東欧各国も高い教育水準を持つ労働者が豊富に抱えており、その賃金は非常に低額でした。そこで、ドイツは部品工場をEU県外の東欧各国に移して安価な部品を製造し、ドイツに輸入した上で完成品として、関税なしでEU各国に輸出したのです。

ドイツの高品質で低価格の商品はEU市場を席巻し、フランス、スペイン、ギリシャなどは市場を奪われます。通常であればドイツ・マルクが高くなり、輸出にブレーキがかかるのですが、ユーロという共通通貨故に通貨切り上げが起こらず、輸出に歯止めがかからずドイツの一人勝ちとなりました。

こうして、ドイツは経済的に圧倒的な力を持ち、ドイツに従属する周辺国を抱えて、ドイツ帝国が再興されました。現在のギリシアの支援に対しても、ギリシアに緊縮財政を要求し、追加支援策に反対するのは、ドイツだけです。

しかし、最後はギリシアを支援すると思います。ギリシアがユーロから離脱しては、甘い汁が吸えなくなるからです。

今後、ドイツ帝国の更なる台頭と暴走が危険視されます。


2015年7月13日月曜日

678.「趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏!」趙紫陽、 バオ・プー

天安門事件の責任を押し付けられ、16年もの長きに亘り非人道的な長期の自宅軟禁生活に置かれた元国家主席、趙紫陽の回想録です。

厳しい監視の中にあって文書を残すことができなかったため、カセットテープに録音し、分散して隠しておいたものがまとめられています。それゆえに、当時の中国共産党の内実が赤裸々に暴かれています。

私は、中国の経済的躍進と天安門事件の武力弾圧は、鄧小平により行われたと思っていました。しかし、鄧小平はその旗振りをしただけで、実際の実行者は他にいました。

鄧小平は、改革開放を旗印に市場経済化を急速に進めようとしましたが、具体案はなく、高い経済成長目標が急激なインフレを引き起こしました。

これに水をかけて調整したのが、もう一人の長老である陳雲でした。彼の計画経済がインフレを抑制しました。

この2人の間を取り持って、具体的な計画を立案し、実行したのが、趙紫陽でした。彼の手腕により、中国経済は成長を遂げることができました。事実上の功労者でした。

しかし、趙紫陽の成功を良しとしない李鵬は、姚依林と組んで趙紫陽を失脚させます。天安門事件で武力弾圧を強く主張し、鄧小平にこれを認めさせることに成功します。そして、武力弾圧に反対したことを理由に趙紫陽を国家主席から解任したのです。

この事件を機に、趙紫陽が目指していた民主化は途絶え、民衆を武力で弾圧するという共産党単独政権のファシズムに傾倒していきます。そして、民衆を武力で押さえるけるために軍事力が増強され、その目的を隠すために反日教育が利用されたのです。

趙紫陽が政権を維持していたら、現在とは全く違う中国と周辺国の関係になったいたと思います。世界は、本当に惜しい政治家を失いました。


2015年7月10日金曜日

677.「イエス」 シャルル・ペロ

イエスとは何者だったのかを当時の時代背景や様々な文書から考察しています。

イエスは、風采が上がらない人だったようです。そしてユダヤ教では祭のときにしか食べない肉とぶどう酒を常食していたため、大食漢と蔑まれていました。

しかし、飛び切りのアジテーターでした。見かけ上対照的な語を組合せて異なる結論を導き出す一方(真福八端)、厳しい呼びかけの語(蝮の子)で敵対者を攻撃しました。

さらには、言葉や行動で神殿に逆らいます。

イエスの説教には多くの場合、より短く、しかも衝撃的で、短い金言が含まれています。そして、驚くほど断定的で自由で逆説的です。
「いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。」

この激烈さが敵対者の深い恨みを買い処刑されるに至ったのですが、それゆえに今日まで世界中で熱烈な信者を惹きつけて止まないのでしょうか。


2015年7月9日木曜日

676.「手帳を作れば、人生が変わる!」 下川浩二

著者のしもやんのことは、以前から知っており、メルマガも登録して注目しております。

以前、しもやんが開催しているワンデーセミナーにも申込みましたが、開催日直前に諸事情により中止となりました。

しもやんはその後1年以上の活動休止期間に入ったため、ワンデーセミナーへの参加の機会を逃しました。

しもやんが、活動再開後に出した最初の本が本書です。

内容は、単なる手帳の使い方に留まらず、夢を叶えるために成功手帳をどの様に使っていくのかを実例と成功例を交えて面白く語られています。

そして、成功手帳を使ったことで人生が変わった人の体験談も書かれていて非常に興味深い内容です。

手帳は2万円と価格が高額で、サイズもA5と大きいのですぐには購入に踏みきれません。
だけど、まずはまたワンデーセミナーに申し込んでみようと思いました。


2015年7月8日水曜日

675.「これだけは知っておきたい働き方の教科書」 安藤至大

働くということについて、様々な観点から解説しています。

著者は学者であるため、理論に沿って説明されています。そのため、理論上は正しくても、必ずしも現実的でないと感じられる部分もありました。

しかし、労働に関する様々な局面に関する概念を掴むためには、わかりやすい書です。

例えば、給与を上げるための方策が表されています。そのためには、労働時間を延ばすか、労働効率を上げるかということがすぐに思いつきます。しかし、これらは、結局、労働者間の仕事に奪い合いに過ぎないと言っています。

歩合給などのリスクを採るか、雇う側にまわることが本質的な解決策としています。これもそんなに単純で簡単な方法ではありませんが、概念的には正しいように思える分かりやすい内容です。



2015年7月7日火曜日

674.「〈凡庸〉という悪魔」 藤井聡

本書のテーマは、凡庸さが巨大な悪を導くということです。凡庸とは、平凡でとりえのないことです。なぜ、凡庸さが巨大な悪を導くのかと言えば、凡庸な人が増えると、全体主義を生み出すからです。

全体主義とは、「とにかく全体に従うべし」という空気とも言えます。全体主義は、その究極において必ず大殺戮に辿り着きます。ヒトラーのドイツ、スターリンのソ連、毛沢東の中国等です。これを作り出すのが、凡庸な人々の「思考停止」です。

日本でも、「郵政民営化」「抵抗勢力」「国の借金」「コンクリートから人へ」「事業仕分け」等の全体主義的な空気で、決まってしまったことが多々あります。私自身、そういったことについて、あまり考えてこなかったという反省があります。

自分でしっかり考えて、自分の意見を持とうと思いました。


2015年7月6日月曜日

673.「結局、世界は「石油」で動いている」 佐々木 良昭

「石油」が世界経済に影響をおよぼすことはあるけれども、今どき、「石油」が世界を動かしているというのは、少し言い過ぎではないかと思い、読み進めました。

しかし、読み進めるうちに、石油が燃料としてだけではなく、アスファルト、炭素繊維など様々な物質として、私たちの周囲で欠かせないものになっていることを知りました。

単なる「燃える水」であったはずの石油ですが、石油をめぐり領土争いが起こり、戦争まで引き起こしてきました。燃料という点から兵器を動かす戦略物資となり、石油の決済をドルとしたことで、金融商品となりました。

日本は原油を100%輸入に頼っており、その80%を中東に依存しています。その理由は価格と安定供給です。これが止まると、日本経済に重大な影響を与えます。他の国に振り分けると、価格が上昇し、しかも、供給が不安定となります。つまり、遠い国の出来事ながら、中東の紛争にすでに巻き込まれているのです。

このような状況を考えると、電力供給は新たな効率的な発電方法が開発されるまで、原子力を再稼働する必要があるかもしれません。また、ホルムズ海峡の機雷除去も、遠い国の無関係な問題ではなく、非常に現実的な危機回避策といえるかもしれません。


2015年7月3日金曜日

672.「激動する世界経済! こうして突破できる日本経済」宮崎正弘、 渡邉哲也

対談を文書化しているので、あるテーマを深堀りしているわけではありません。最近のトピックスにつてい、広く深い情報をもとに解釈しています。

アフリカでの経済援助は単なる人道目的ではなく、国連安保理の議席を得るために有効な54カ国の54票を一括して買収するためという見方は、なるほどと思いました。

南米に接近しているのは、増加しているヒスパニック系議員を通じて、アメリカ議会への影響力を強化するためという強かさに感心しました。ヒスパニック系は親日で、反中・反韓だそうです。

消費税導入の経済に対するダメージは、予想以上に大きいですね。2017年4月に10%に引き上げられると微妙な経済成長に止めが刺されるのではないでしょうか。逆に5%に引き下げた方が、景気が向上し、かえって税収が増えると思います。

現在、日本で起こっている外交問題や経済問題について、自分だけでは気付けなかった視点を与えてくれます。



2015年7月2日木曜日

671.「平和のための戦争論: 集団的自衛権は何をもたらすのか?」 植木千可子,

集団的自衛権は国連憲章第51条で認められた権利で、日本にも勿論あります。

日本はこれを憲法第9条を理由に留保してきました。しかし、昨今、憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を行使できるとしようとしています。

反対派は、集団的自衛権を認めることで他国の戦争に巻き込まれると主張しています。そして、集団的自衛権は9条違反だとしています。ただし、集団的自衛権を9条違反とすると、個別的自衛権も同じ理由で9条違反となってしまい、日本が直接攻撃された場合も武力行使できないという解釈になってしまいます。

賛成派は、集団的自衛権を認めることで他国との相互協力が得られ、戦争の抑止力になると主張しています。ただし、ほとんどの憲法学者が集団的自衛権を憲法違反と判断しています。

日本国憲法が制定された当時、憲法を作成したアメリカにとって、一番脅威であった日本を骨抜きにした以上、世界中に他に脅威となる国がありませんでした(実はソ連に裏切られていましたが)。だから、9条を制定することができたとも言えます。
しかし、現在、アメリカにとっても、アジア諸国にとっても脅威となる国が出現しています。

その状況下で、どうやって日本を守るのか。
「集団的自衛権」でアメリカの軍事力に頼ると、他国の戦争に巻き込まれる可能性があります。
「永世中立国」となり脅威に対抗できるまで軍拡すると、経済を圧迫する可能性があります。
集団的自衛権も容認せず、軍拡もせず、「話し合い」で解決していくと、サンゴが奪いつくされるようなことが再現される可能性があります。

日本にとって、可及的な選択が迫られています。



2015年7月1日水曜日

670.「帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い」 朴 裕河



韓国人の大学教授による慰安婦問題の研究書です。著者は、日本政府に人道的責任があるとしながらも、多くの資料に基づいた事実により、客観的な分析をしています。この一冊で慰安婦問題に関する様々な見解や資料を知ることができます。


本書を読んで、慰安婦問題は解決しないと思いました。なぜなら、慰安婦問題は韓国内で政治目的化してしまったからです。

日本国に対する法的責任を追求することで、当選した議員が増えてきており、挺対協も政治力を強めています。そして、最高裁判所が日本政府に法的責任を求める努力をしない韓国政府を憲法違反と判断しました。

更に、その主張を根拠とした小説やドラマが人気を博し、事実として国民に浸透しています。国民の人気を得るためには、その内容を超える過激な描写が求められ、さらに拍車がかかってしまいます。

どんどん乖離していく日本と韓国の主張ですが、お互いに事実を基に解決することは非常に困難だと思います。解決できるとすれば、日本政府が韓国側の主張を丸呑みして、謝罪し補償することです。そうした場合、日本はナチスのホロコーストに匹敵する人身売買、性奴隷といった、事実と異なる濡衣を認め、歴史に汚名を残すこととなります。

慰安婦問題は、朝鮮民族だけに対するものではなく、当時日本人だった朝鮮女性を含む日本女性に対する問題です。強制連行は日本政府が関与していたのではなく、日本人に扮した朝鮮人業者に拐かされたのが事実のようです。そして、奴隷としていたのではなく、対価を払っていたものの業者に殆どを搾取されていたのです。

慰安婦問題については、解決することは殆ど不可能と思いました。事実に反することに対しては、淡々と説明するのみで、無理に解決を図ろうとしなくてもよいのではと思いました。