2015年6月30日火曜日

669.「黒子の流儀 DeNA 不格好経営の舞台裏」 春田 真

DeNA会長の回顧録です。

ベイスターズの買収について、経営的な意図が殆ど無く、TBSから持ちかけられた話に乗っただけという真相に驚きした。それでも、1,000億円の広告宣伝効果があるとのことですから、よい選択だったのでしょう。

DeNAは、もともと「ビッダーズ」というネットオークション事業の会社で、ヤフオクの後塵を拝していましたが、オークションの場をPCから携帯の「モバオク」へ移したことで成長の基盤に乗りました。さらに多角化を図ってゲームに進出したことで急成長を遂げます。

2001年の単月黒字化から、年商28億、64億、141億と順調に売上を伸ばし、2010年には1000億円の大台に乗ります。10年間で物凄い急成長です。

オークションをベースに、PCから携帯へ新規事業を起こし、
携帯をベースに、オークションからゲームへ新規事業を起こすという
関連性を持ちながら、新規事業を成功させていった稀有な成功事例と言えます。



2015年6月29日月曜日

668.「鏡の花」 道尾 秀介

6つの短編からなります。一編目、二編目を読んで同じ苗字の人が出てくるものの、あまりひねりのない、純文学っぽい小説だなと思い、三編目を読むことをためらいました。

少し無理して三編目を読むと、「おやっ」と思いました。一編目と二編目と同じ登場人物が出てくるのですが、違う点は、死んでいた人が生きていることです。

全編を通じて同じ登場人物が出てくるのですが、それぞれで違う人が死んでいて、それによって運命が変わり、全く違う話が展開していきます。そうして、ある話では、違う話で死んでいた人が生きていて、その人が死んでいたらと願うのですが、死んでいた話では死なせたことを非常に後悔しているという、2つの異なった心理状況を味わうことができます。

パラレルワールドを体感できる、よく出来た話で面白かったです。


2015年6月26日金曜日

667.「ダイナー」 平山 夢明

ダイナー「キャンティーン」。そこは殺し屋だけが入店できる会員制レストラン。

お金で転んで下手を打ったオオバカナコは、生き埋めにされる寸前で、「キャンティーン」のオーナーに買われて、キャンティーンで働くことになりました。

次々に入店する殺し屋に殺されかけたり、救われたりしながら、ドタバタ劇が進みます。

出てくる料理はどれも美味しそうなものばかりです。特にハンバーガーは、6枚の肉が挟まっていて、それぞれ鹿や熊といった違う種類のものがそれぞれの味を主張しながら調和する、本当にあったらぜひ食べてみたいものです。

全く理不尽でナンセンスな話のなかで、どうしようもなかったオオバカナコが逞しくなっていく姿に好感が持てました。

2015年6月25日木曜日

666.「大往生したけりゃ医療とかかわるな」 中村 仁一

子孫を残す役目を終えがんに罹ったら、治療せず自然死することを薦めています。

著者によれば、がんに痛みはなく、治療が痛いそうです。
治療をせず、食欲が無くたったら無理に栄養を与えないでいると、頭がぼんやりしてきて2週間程で安らかに亡くなるとのことです。

確かに、治療をせずにがんで天寿を全うすることも、本当に苦しみが無ければ、よい死に方かもしれません。

ただ、何歳位からこういう死に方を受け入れるべきか、悩みどころです。60歳代だと、こういう割り切りはできず、手術等を選択するのではないでしょうか。

70歳代になればこういう心境で自然死を選ぶかもしれません。



2015年6月24日水曜日

665.「だから日本はズレている」 古市 憲寿

雑誌に掲載された記事に加筆したものなので、読者の眼を引くためか、「日本にジョッブスみたいなリーダーがいないのは、必要ないから。」というように、それぞれの内容が少し挑発的です。

アンチ・テーゼによって理想と思われていたものが、本当に理想なのか考えさせてくれます。テーゼに着目する問題意識が高いです。

ただ、読み終えて、これを得たというものに乏しく、そもそも、それぞれののテーマについて考察する必要があったのか疑問に感じました。

問題意識を刺激する、読み物です。




2015年6月23日火曜日

映画「あん」


我が家のすぐ近くがロケ場所だったので、見に行きました。

素晴らしい桜並木があるのですが、数日しかない開花の時期によく撮影できたものだと感心しました。自分がいつも通っていて何気なく見ていた風景がスクリーンに映し出されると、この上なく美しいことに驚き、そういう場所に暮らしていることに感謝しました。

主人公の千太郎は小さなどら焼きやの店主。その店に70歳を過ぎた徳江がアルバイトしたいと申し出る。この話を聞いただけでは、全く見るきが起きない地味な内容です。私も撮影場所が近所でなければ見ることはなかったでしょう。

徳江が作る「あん」は絶品でお客さんも急増します。しかし、なぜか徳江の指は奇妙に曲がっているのです。

社会から隔絶されながらも生き抜いてきた徳江が、その体験ゆえに何かに囚われている千太郎に気づき、何か手助けをしようとする。

美しい風景を背景に、弱い人間の心の開放を描いた、淡々としているがやさしい映画でした。

664.「機龍警察 暗黒市場」 月村 了衛

機龍警察シリーズの第三弾です。本作は、三人の機龍兵操縦者のうち、ロシア警察出身のユーリ・オズノフにスポットを当てています。

ユーリの生い立ちから警察を辞めるに至るまで、ロシアの国民の生活や、犯罪組織の暗躍、警察の汚職などが非常に詳しく書かれています。資料から物語を作ったのだと思いますが、すごい筆力です。

このシリーズに感じる点ですが、物語の中頃まで、たくさんの伏線が貼られていくのでなかなか読み進められません。つまらなくはないのですが、少し忍耐が必要です。しかし、後半から非常にスピードが上がり、前半の伏線が繋がり始めるので読み止まらなくなります。

ロシアでの裏切りが日本での事件と絡み合い、日本の事件が進展するに従い、裏切りの真相が明らかになっていきます。

そして、終盤のアクションシーンに繋がっていきますが、一つの戦いが充分な迫力を持ちながら次々と連続していく様が圧巻です。

ラストでユールを縛っていた呪縛が解かれ、新たな呪縛に取って代わられますが、それはユーリにとって、決して不快なものではなく、一つの救いになっていると感じました。


2015年6月22日月曜日

663.「ことわざの知恵」 岩波書店辞典編集部

ことわざって、人間の実体験から生まれた生活の知恵ですね。自分自身、体験したことから一行ルールを作っていますが、それが多くの人に共感が得られたものがことわざとなったのではないでしょうか。

本書は、1ページに一つのことわざの意味と起源が書かれています。
その中で、特に気に入ったのは、次のことわざです。

「小人閑居して不善をなす」
並の人間は、暇だとろくなことをしないという意味。確かに、娯楽や散財、それを原因とした犯罪を起こしがちですね。仕事をするということは、それだけで意味があるように思います。

「子を持って知る親の恩」
自分が親になって初めて親の有難さが分かるという意味。本当に子供との関わりで自分が親にかけた迷惑が身にしみます。そして、それを親に恩返しできなくなった以上、子供に何かやってあげることが、恩返しとなるのでしょうか。
また、今は子供に通じなくても、子供が親にならないと分からないものだと諦めもつきます。

「三つ叱って五つ褒め、七つ教えて子は育つ」
こういう配分でないと、うまく伝わらないことを知りました。
自分は、「七つ叱って二つ褒め、一つ教えて」という配分ではないかと、反省しました。


2015年6月19日金曜日

661.「絶歌」 元少年A:第二部


神戸連続児童殺傷事件の犯人、酒鬼薔薇聖斗こと少年Aの手記です。

あまりに思うことが多かったので、少年院送致までの第一部と、退院後の第二部に分けて感想の述べます。

第二部は、元少年Aが医療少年院を退院した後の話です。

この本を本人が書いたとすれば、非常に文才があると思います。描写もきれいな比喩が多様され、あたかも小説のようです。

引用される小説からも読書量の多さが伺われ、描写が背伸びではなく自ら理解し、咀嚼した言葉が使われています。そして、心理学に対する強い関心が感じられ、知能の高さが滲み出ています。

Aは14歳からの6年間、社会から隔絶され、学歴、友人、社会常識といった重要なものを得る機会を失います。そうして、21歳で退院した彼が社会復帰することは、とても困難となりました。

そんな彼が生き抜くことができたのは、単純なことながら、とにかく働くこと、稼いだお金を貯めること、手に職をつけることでした。中卒で継続した職歴がない彼が、本格的に職を探して3社目で定職を得ることが出来たのは、医療少年院で得た資格があったからでした。

そして、理不尽な出来事を乗り越えることが出来たのは、陳腐な言葉ですが、「一生懸命」仕事に向き合ったことであり、その姿勢を見ている人がいたということでした。

彼は一時期、読書に熱中しました。その殆どは小説だったようです。これが図らずも「読書療法」の役割を果たしたようです。彼のサイコパスの本質は変わっていないと思いますが、読書で多くの登場人物と自分を同一化することで、多様な思考が蓄積し、サイコパスの要素が比率として下がっているのかもしれません。

彼は反省の弁も述べていますが、その真意の程は正直分かりません。
しかし、学歴なく、周囲の好奇の眼に追われ、心を割って話せるパートナーを持てない孤独な人生を苦しみながら生き抜いていくことが2人の人生を奪ったことに対する贖罪なのかもしれません。


662.「日米中アジア開戦」 陳破空

中国という国家が古来から存続しているわけではありません。その地域は単なる舞台に過ぎず、その舞台を時代により、漢民族、モンゴル族、女真族(満州人)が奪い合ってきました。その舞台を占拠した民族が明、清、元を名乗ってきました。

現在の中華人民共和国は、漢民族の中国共産党が支配する国家であり、エスニック・クレンジングにより女真族を滅ぼし、領土内のモンゴル族も滅ぼされようとしています。

領土を占拠し、その領域を拡大して富を増やしていくことは彼らの設立経緯であり、ごく当たり前のことなのでしょう。こうして、現在、日本、台湾、フィリピン、インドの領土を占拠しようとしています。

韓国との紛争が表立っていないのは、反発しつつある北朝鮮を李氏朝鮮のように従属させ、頼ってきている韓国と統一させた後、朝鮮半島ごと占拠すればよいからです。ロシアがクリミア半島を占領したように。半島を占領しても中国は国連常任理事国であるため、国連の非難決議は可決されず、クリミア半島のように欧米各国から実効的な圧力を受けることもないでしょう。

現在審議中の集団的自衛権は、主にアメリカの戦闘状態のときに日本が支援することが語られていますが、実際にアメリカに戦争を仕掛ける国家はありません。それにも関わらず審議を急いでいるのは、台湾、フィリピン、インドが中国と戦争になった場合に、日本が支援できるようにするためではないでしょうか。台湾と中国が戦争になった場合、日本はどうするのか。考える必要があると思いました。


2015年6月18日木曜日

661.「絶歌」 元少年A:第一部

神戸連続児童殺傷事件の犯人、酒鬼薔薇聖斗こと少年Aの手記です。

あまりに思うことが多かったので、少年院送致までの第一部と、退院後の第二部に分けて感想の述べます。

具体的内容については、残忍すぎて記載することが憚られます。現実に起こした内容ですが、犯罪小説を読んでいるようです。しかし、その内容は犯罪小説の描写を超えています。

読んでいて生理的嫌悪感を覚える行為が次々に続いていきます。何かが壊れたというより、初めから何かが欠けていたという感想です。それは、一線を超えることに対する倫理観というより、人間が人間であるために持っている嫌悪感でしょうか。

Aは、人間を殺害することに躊躇することなく、それどころか、性的オーガズムに達してしまいました。これはサイコパスの特徴です。更生することはないと思います。なぜなら、生まれつき殺人に対する抵抗も反省もしない精神で生まれついてきたのですから。更生というより、自分自身の欲望を抑制して生きていかなくてはならないと思いました。

第一部は読んでいて、自然と顔が歪んでいくのが分かりました。これほど心が騒いだ本は、これまで読んだことがなく、やり場のない感情に囚われました。



660.「出口汪 現代文講義の実況中継(1) 」 出口 汪

大学受験用の参考書です。

なかなか得点を上げることが難しいと感じられる現代文ですが、本書は、明快な解説と根拠ある方法で得点向上が期待できます。

著者は、現代文は論理力の問題と主張します。その説得力は強いです。また、著者の言うように論理力を高めることにより、現代文だけでなく、他の教科の得点も向上するものと思われます。

本社は、別冊の過去問で実施し、著者のメソッドで解説しています。過去問は早稲田大学の入試問題などであり、そのレベルは高いです。それにも関わらず、著者のメソッドを当てはめると、確かに正解に辿り着けます。後出しジャンケンかもしれませんが、充分な効果が期待できると感じました。


2015年6月17日水曜日

659.「勉強嫌いほどハマる勉強法」 宝槻 泰伸

「強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話」と同じ著者の本です。

内容は、父親の独特な教育法で京都大学に入学した著者が、父親が実行した学習方法に絞って詳しく解説しています。

特に、伝記の部分に焦点をあて、偉人に関する本、漫画、映画を詳しく紹介しています。

本としては、「強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話」の方がストーリーがあり、父親がいつ、どういう意図でこの学習方法をやらせたのかと、それに対する子供たちの反応が分かり、面白いです。

本書は、どういう本や映画を子供に見せてあげたら良いのかを具体的に知りたい場合に有効です。


2015年6月16日火曜日

658.「1年後の毎日が変わる! あなたの夢を叶える「100年日記」」コボリジュンコ

日記というより手帳に近いです。そのコンセプトは、有名な7つの習慣のフランクリン・プランナーと同じです。

1ページに複数年の同一日の枠を作り、そこに記載するというもの。複数年を記述するので、綴じられたノートは使えず、ルーズリーフかエクセルになります。それにしても、「100年」というのは客引き用の誇大広告のようですね。

100年日記は、マンスリーシートとライフシートからなります。
マンスリーシートは、特定日のメインイベント、フォーカス、達成できたこと、日々の記録を書きます。
ライフシートは、月ごとのメインイベント、フォーカス、達成できたことを書きます。
既に、面倒くさいことが感じられるのではないでしょうか。

これらのシートを複数年に亘り使用します。
単に、他人が既に公表した手帳術と、既に売られている10年日記を組み合わせたにすぎない内容です。

目標を立ててそれに向けた行動計画を作るのが好きな人には向いています。
目標を立てず目の前の事に集中して偶発性に運命を委ねる人には向いていないかもしれません。

これだけの作業を毎日やるのは結構負担です。著者も数行でよいとか、書かない日があってもいいとか言っていますが、やがてやらなくなってしまうような気がします。

著者が熱く語っている内容ですが、そこに記載された達成した主なことが、10キロマラソン完走なので、この方法をやってみようというところまでモチベーションが上がりませんでした。

手帳や日記を使っていない人には、動機付けになるかもしれません。


2015年6月15日月曜日

657.「本当は日本が大好きな中国人」 福島香織

反日教育により、中国国民は日本が嫌いかと一般には思われていますが、そうでもないようです。

尖閣問題で、ジャスコなど日系企業が襲われましたが、日本が嫌いというより、そこで買い物できる中国のプチブルジョア層への出稼ぎ労働者の憎悪だそうです。

中国の人口は約13億人。そのうち利権層で上流階級である共産党員が8,000万人、中間層が4~5億人、下層の農民が7~8億人だそうです。共産主義で労働が一番重要視されているのに農民層が貧困層とはおかしいですね。ちなみに日本で爆買いをしているのは上流層ではなく、中間層で実は転売目的です。

農民工は、国内の格差問題などで溜まった不満のはけ口を日系企業に向けました。なぜなら、ジャスコなどは、自分たちより豊かな都市籍を持つ中間層の象徴であり、反日は国策ゆえにいくら強奪しても罰せられないからです。

しかし、内心には日本の文化に対する共感があるようです。日本食に対する衛生面での信頼や、マンガ、アニメ、AKBといったサブカルの自由な表現への憧れがあるようです。

総じて、文化や経済面で、日本に対する求愛は続きますが、政治面でも反日も激化することでしょう。なぜなら、反日以外に今のところ、人民の求心力を高揚させるものがないからです。




2015年6月12日金曜日

656.「努力が勝手に続いてしまう。---偏差値30からケンブリッジに受かった「ラクすぎる」努力術」 塚本 亮

タイトル勝ちの本だと思います。

読んでもタイトル通りにはいかないと思います。主には学習におけるモチベーションアップについて書かれています。

内容については、取り立てて新しいこと、独創的なことは書かれていないように感じました。

  • 成功したイメージを持つ
  • 目標と現状の差を明確にする
  • その差を埋める手段を考え
  • その手段を分割して、取っ付き易くする
  • 分割した手段の実行状況を記録して自信にする


自己実現のビジネス書に書かれている内容を学習編に焼き直したようなものです。どこかで見たような内容ばかりで、特段の目新しさは感じませんでした。

自己実現の本を読んだことがなく、学習意欲が高い人にはよい入門書になると思いました。


2015年6月11日木曜日

655.「日本が在日米軍を買収し第七艦隊を吸収・合併する日」 宮崎 正弘

強烈なタイトルですが、このテーマを全編で論じている訳ではありません。核開発が事実上不可能な日本が、中国の軍拡に対してどのように対応していくかのオプションの1つです。

著者は、「兵器とエネルギーの自主開発こそが自主独立を支えるのである」と主張しますが、正鵠を得ていると思います。戦争を仕掛けるのではなく、戦争を仕掛けられないようにするために、これらが抑止力となります。

ISILによる日本人人質殺害事件で日本の平和路線は全く効果がなかったことが明らかになりました。それどころか、現状の憲法では、必要な情報収集もできず、特殊部隊を救助に派遣もできませんでした。できたことは、ヨルダンに囚人の開放を期待することだけでした。

軍事力を米国に頼りきって70年が経過した結果、法的にも能力的にも彼らを助けることができない国家になったしまったのです。

台湾の李登輝総統は、
「デフレは単に経済的な問題ではなく、日本の政治的指導力の問題だ。日本は米国依存と中国への精神的隷属から抜け出さなければ、今の苦境を脱することができない。」
と語ったそうです。

「現代日本は脱中国、脱朝鮮を外交の中枢に置き直す必要がある。」との著者の主張は同感です。そうして、ロシア、インド、台湾、トルコなど他のアジアの国々を強調していくことが重要と主ました。


2015年6月10日水曜日

654.「自分の小さな「箱」から脱出する方法」 アービンジャー インスティチュート

人間関係の問題を概念化するうえで、「箱」というメタファーを使うことで、それまでも自分の考えと違う考えが見えてくるような気がしました。

自分が箱というイメージの中に入り込み、自己正当化イメージを抱くと、悪いのは自分ではなく、相手だということになります。

この箱に入るキッカケとなるのは、自分自身を裏切ること、すなわち、自分がしてあげるべきと思ったことをしなかったことだそうです。

例えば、食後に食器を洗わなかった、朝にゴミ出しをしなかったときなど、自分は忙しいとかつかれているとか自分を正当化します。そして、悪いのは時間があるように見える妻だと思うのです。

しかし、悪いのは相手ではなく、自分の態度が相手の反応を生み出しているということのようです。

箱から抜け出す方法を、キッカケである自己欺瞞を止めることとしていないところが、現実的に思えました。具体的な方法は書かれていないように思えましたが、自分が箱に入っていることを認識し、自己正当化イメージで相手を傷つけたと後悔することで、自然と箱の外にいることになるというように理解しました。


2015年6月9日火曜日

653.「韓国 堕落の2000年史―日本に大差をつけられた理由」 崔 基鎬

朝鮮は過去に2度、支那の属国となりました。

最初は、新羅、高句麗、百済の3国時代。
新羅は唐と組んで、高句麗と百済を滅ぼし、唐の属国となりました。

次は、高麗の時代。高麗の軍司令だった李成桂は、明への進軍中に反転して高麗を倒し、明の属国となって500年間も支那に従属しました。

李氏朝鮮時代、儒教と科挙により両班という支配階級を作り、農民などの大衆から搾取し続けました。労働を下級の者がするものと位置づけ、産業を興さず、教育を施さず、賄賂が横行し、貧困が蔓延する社会を作り上げました。

その後、日韓併合により、階級が解体され、産業が興り、教育制度も普及したが、日本の敗戦により、この体制は、35年で潰えました。

そして、李氏朝鮮は北朝鮮として復活し、独裁と内部紛争が繰り返されました。

一方、民主化政権の様に見える韓国も李氏朝鮮のDNAを引き継ぎ、賄賂が蔓延し、易行革命で前政権を破滅させ、一部の財閥による支配体制が形成されました。

北朝鮮は、支那からロシアへ友好先を変え、韓国は日本(アメリカ)から支那へと友好先を変えました。
朝鮮は、事大主義のため、ロシア、支那、日本のうち、強い国の中を浮遊します。

日本は北と南の朝鮮から頼られないようになったので、これを機に半島から手を引いて良いと思います。過去の日韓併合や、日韓基本条約で多額の援助を行っても、全て奪われ、なかったことにされてしまいました。そして、いつまでも謝れと言われて、たかられ続けています。

既に「共通の価値観」は共有できないと分かったのだから、単なる「隣国」として、一線を引いたご近所づきあいで充分ではないでしょうか。


2015年6月8日月曜日

652.「強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話」 宝槻泰伸,

この父親の行動はかなり破天荒なため、真似することはまず不可能です。すぐに引っ越したり、キャンプや海外旅行のために学校を休ませたり、息子の受験のために自分で塾を開いたり・・・

その中でも、参考にできる部分はありました。

勉強の基本は、マンガ、テレビ、映画、書籍です。「おーい竜馬」などで歴史に興味をもたせて司馬遼太郎の書籍に導いたり、NHKのドキュメンタリーなどで科学に興味を持たせたり、映画で集中力を鍛えたりと、理に叶っている部分もあります。

これらで勉強すると、嘘も多いし、知識も断片的になりますが、興味を持った後で教科書により知識を体系立てて、細かいことを覚えていきます。

基本的な学習方法は、音読暗唱。シンプルですが、言語が持つリズムによって体感させてことが効果的だそうです。


2015年6月5日金曜日

651.「書斎の鍵 (父が遺した「人生の奇跡」)」 喜多川 泰

時は2055年。今から40年後の物語です。

主人公の浩平は、大手医療機器メーカーの営業課長。20年前に工学部を卒業して研究職として入社しましたが、入社直後に交通自己にあい、右手が不自由に。営業部に移動となりますが、性格も相まって、業績も全く振るわず、鬱々とした日々を送っています。

がんで亡くなった父が遺言で残した書斎の相続。しかし、その鍵がありません。ヒントは、「鍵は「しかるべき人」が持っている」とのメッセージと5冊の本のみです。

「しかるべき人」とは誰なのか、そして、父はなぜ書斎を相続の対象としたのか。。。

読書の効能を具体的かつ深く教えてくれる自己啓発書です。読書することはいいことだと言われますが、具体的に何がいいのか、答えることが難しいものです。本書は、「本の効果は、超遅効性なのです」と位置づけ、その効果の一つが「心が磨かれる」ことといいます。そういう変化が原因となり、自分に訪れる出来事に少しずつ変化が生まれるそうです。この部分、非常に納得しました。

本書でも、「1000冊」という数字が出てきます。なぜ1000冊なのか根拠はありませんが、多くの人が1000冊の本を読むと、何かが変わるという経験則があるのでしょう。自分が1000冊読み終える日が待ち遠しいです。





2015年6月4日木曜日

650.「高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか?」 大理 奈穂子、 栗田 隆子

高学歴女子というので大卒女子の労働労働問題の話かと思いましたが、院卒女子が教授になれるかという話がメインでした。

院卒女子の大半が専任教授にはなれず、非常勤講師という不安定かつ低賃金の仕事に嵌っているという指摘です。

これは、2002年頃から始まった院生枠の拡大と、それまでもあった高齢化した教授の居座りが相まって、専任教授への道が殆ど閉ざされているという状況です。女性の場合は更に、人文・社会科学の分野に進むことが多く、理系の院生のようにポスドクに逃げるということもできません。そのため、非常勤講師として、語学(主に英語)を低賃金で長時間教えることになり、研究の時間もとれず、そのまま貧困層から抜け出せないとのことです。

著者はこれを社会の責任と論じているように読めますが、果たしてそうでしょうか。

確かに院生枠を無思慮に拡大したのは政治の責任です。
年老いた教授を留め置いているのは大学の責任です。
しかし、そういった状況をきちんと調べず、学問を極めれば専任教授になれると妄信的に突き進んだ当人達のマーケット感覚の欠如に一番の責任があるのではないでしょうか。

奨学金の返済を逃れるために院生であり続けることや、仕事を選ばず必死で探さないと失業給付がもらえないことに文句を言うことは筋違いの甘えと感じました。


2015年6月3日水曜日

649.「つめたいよるに 」 江國

21の短編からなります。1編5~6ページという短さにも関わらず、話として成立しているところが素晴らしいです。短編間の関連はありません。

「僕はジャングルに住みたい」は、卒業を控えた小学生の話です。
クラスに好きな娘がいるが、ついつい意地悪をしてしまう。
けれど、相手からの好意を嬉しく思い、応えようとするが力が入ってかえって外してしまうという微妙な心理がよく描かれています。

「冬の日、防衛庁にて」は、不倫相手の妻とランチをする話です。
妻に甘く見られないように注文するメニューなども事前に決めて食事に望みますが、結局は妻にあしらわれてしまいます。
女性のしたたかさが感じられる作品です。



2015年6月2日火曜日

648.「頭がよくなる 青ペン書きなぐり勉強法」 相川 秀希

青ペン書きなぐり勉強法は、青ペン記録術と書きなぐりノート術からなります。

青ペン記録術とは、記憶したい語句や文を書いて書いて書きまくる方法です。青ペンを使うことでやる気がでるそうです。

書きなぐりノート術とは、ノートやメモをとるときには、「なにもかにも書く」つもりで書きまくる方法です。なにもかにも書くことで再現性が高まるそうです。

これらの方法と成績向上は直接的な因果関係はないように感じました。要は長時間勉強する習慣がつくことで成績が向上するという間接的な因果関係はありそうです。つまり、青ペンや全再現をしなくても、長時間勉強すれば成績は上がるでしょう。

具体的なノウハウはこれのみで、根拠もないから、こう考えるに至って成立過程と受験実績でページを埋めています。

結局、ポイントは、何度も書くことで覚えるということで青ペンとは直接関係ありません。青ペンという象徴を全面に出すことで注目を集めることのみと感じました。

163ページの青ペン書きなぐり勉強法の伝道師、かよちゃんの「実況中継ノート」は、黒と赤で書かれていて、青ペンが使われていません。結構脱力しました。



2015年6月1日月曜日

647.「図解 いちばんやさしい三大宗教の本」 沢辺 有司

知りたくても、なかなか知ることができなかった三大宗教がやさしく理解できる本です。
私は特にイスラム教が勉強になりました。

イスラム教は、570年にアラビア半島のメッカで生まれたムハンマドによって興されます。
「イスラム」とは、アラビア語で「服従する」という意味です。
「ムスリム」とは、アラビア語で「神に絶対的に服従する人の意味で、イスラム教徒を指します。

商人だったムハンマドは、40歳で預言者となり、メッカからメディナへ移住(ヒジュン)します。ムハンマドは、メッカ軍と争うようになり、争いの中で軍事的リーダーとなります。ついにはメッカを占領し、カーバ神殿内の偶像を全て破壊しました。
つまり、イスラム教は草創期から戦闘要素を含み、占領地では文化的遺産を破壊することが当然だったようです。

スンニ派とは、預言者のスンナに従う人々をいいます。
スンナとは、預言者ムハンマドの行動や言葉をいいます。
スンニ派は、全ムスリムの8~9割を占める圧倒的主流派です。

シーア派とは、アリー派(シーア・アリー)が省略されたものです。
アリーは第4代アリー=ターリブで、ムハンマドの従兄弟です。
シーア派は、少数派ですがペルシア人(現イラン人)に広がりました。

イラクではシーア派が多数だったのですが、スンニ派のフセインが権力を掌握していました。隣国のイランでホメイニがシーア派社会主義を興したので、フセインはイラクへの影響を恐れて先制攻撃しました。これがイラン・イラク戦争です。

フセイン政権崩壊後に成立したマリキ政権はシーア派で、既得権を奪われたスンニ派と激しく対立しています。
シリアでは、シーア派のアサド政権がスンニ派と対立し、隣国イラクのスンニ派が反対勢力を支援しています。
その国境を跨いで支配地域を広げているのが、スンニ派のISILです。

一つの宗教の宗派対立がここまで抗争を大きくするとは、開祖ムハンマドも考えていなかったのではないでしょうか。