2015年10月30日金曜日

752.「中国 驚愕の性奴隷」 鳴霞

中国共産党人民解放軍による数々の中国人女性への強姦、慰安婦、性奴隷、人権侵害が元中国共産党員の著者により明らかにされています。まさに驚愕という標題に相応しい内容です。

2008年8月25日付「中国報道週間」、
2010年12月8日付「四川新聞網」、
2014年6月17日付「阿波羅新聞網」の報道によれば、中国共産党が極秘としている「女性知識青年」8万人を中国共産党幹部や解放軍が慰安婦にしていた事実が暴露されています。

「知識青年」とは、毛沢東の文化大革命時代に思想改造教育のために地方の農村などに「下放」された青少年をいいます。

文化大革命当時の2000万人の知識青年の中で、女性知識青年の強姦被害者は数百万人(800万人説が有力)いると思われます。その女性知識青年の中でも、80万人が「慰安婦」、「性奴隷」として飼い殺しにされていました。

都市の実家に帰るため、男性知識青年たちは中国共産党幹部に「賄賂」を送り、女性知識青年たちは「肉体賄賂」を差し出すことで申請書に捺印してもらいました。これを「肉体換来回城通行証」と呼んでいました。

都市に帰ることができた女性知識青年は、ほぼ100%「慰安婦」でした。安徽省では、1972年に学校への入学が許可されたのは150人だけでした。当時の中国では女性は25歳になるまで性交渉が禁じられていましたが、その入学時の身体検査で女性知識青年70人は、全員が処女ではなく、しかも入学が決まる直前に処女喪失していたそうです。

中国共産党が日本に対して慰安婦問題を執拗に追求するのは、自らの犯罪を隠蔽するためでしょうか・・・


2015年10月29日木曜日

751.「口説きの教典──カリスマナンパ師“ミステリー”の恋愛メソッド」ミステリー

著者のミステリーは、カリスマナンパ師。ナンパ術の伝授をビジネスとしているそうです。

本書はそのミステリーメソッドの経典です。非常に詳細にそのメソッドを説明しています。その習得への努力は、いざというときにも自身を持って使える強力な社交スキルを身につけるという長期的な目標を掲げて実践するそうです。

そのためには、週4日、毎晩4時間はゲームに出掛けて、1時間に平均3回アプローチするそうです。まるで飛び込み営業みたいです。

そして、現場で使えるルーティーン集(「つかみ」のセリフなど)を用意し、実践します。一晩に12回以上アプローチすれば、わずか二晩で自然なルーティーンが完成し、週ベースで新しいルーティーンを追加していけば、あらゆるパターンのセリフが口をついて出るようになります。

「ナンパというゲームの一番素晴らしいところは、そのプロセスで自分自身を理解できるところ。現場で障害を取り除く努力をするうちに、自分の職業、懐具合など、人生のあらゆる障害の克服だって、さほど難しくないことがわかってくる。」
と著者は云います。

なるほど、そう言われれば、確かに単なるナンパではなく、人生を生き抜くためのメソッドのような気にもなってきます。

だけど、一日4時間週4日のナンパは、学生か定職がない人でないと無理でしょう。


2015年10月28日水曜日

750.「私情対談」 藤崎 翔

雑誌の対談形式をとったミステリー小説です。
よくある対談のなかで、発言に対する対談者同士の本心が描かれて話が進みます。実際のインタビューなども本音はこうなんだろうなと面白く読み進みます。

女優と原作者、Jリーグチームのツートップ、3人組人気バンド、ドラマの共演者と様々な雑誌での対談が重なるうちに、それぞれの対談内容が関連を帯びていきます。そして、全く関係がないように見えた対談者達に、実は繋がりがあることが分かっていきます。

そして、対談者の思惑が交錯していくうちに、次々と殺人事件が起きて・・・

荒唐無稽な話ではありますが、プロットが面白く、とても引き込まれました。


2015年10月27日火曜日

749.「ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。」 湯澤 剛

著者は、父親が急死したため、事業継承することとなりますが、その事業は40億円もの負債を抱えていました。読む前は、40億円の負債は相続せずに会社を整理してしまえばよいのにと思いました。しかし、著者もそう思っていたものの、そこで働いていた人や取引先、金融機関からの圧力により引き継がざるを得なかったようです。

著者はそのために、キリンビールを退職します。自分が抜けたら立ち行かなくなると思っていた仕事が、引き継ぎなしで後輩がうまく担当するのを見て自分の無力感を感じます。私も、大企業では仕事が組織化されているので実は誰がやっても変わらないということに虚しさを感じました。

そして、事業の立て直しに紛争しますが、大企業の様々な研修や、格好のよい海外出張、MBAで学んだことが中小企業の経営ではほとんど役に立ちませんでした。それらも、安定した大企業の中だけの箔付けに過ぎないのですね。

中小企業の生々しい現実がよく伝わります。特に大手銀行の横柄さなど、フィクションのはずの「半沢直樹」そのままでした。一方で、よく言われますが、地域金融機関は本当にやさしく頼りになりました。そして、大手企業で学んだことで唯一、役だったことが「事業計画書の作成」でした。これは勉強になりました。

著者は、最悪の事態の「破産計画」を紙に書きだしたことで、精神的安定を得ます。そして、自社の弱みを修正しようとしたことから業績を落としたため、強みに集中して弱みを放っておきました。これでターゲットが明確になり、業績が回復し始めるのです。

最後まで、一気に読みました。著者は40億円の借金を返済する中で大企業では決して学べないものを得て、人間として激しく成長したものと思いました。





2015年10月26日月曜日

748.「韓国がタブーにする日韓併合の真実」崔基鎬

韓国人は、日本に70年間侵略されたと主張しますが、そのスタートとなるのが1875年の江華島事件です。

そもそもは、自分の子供を皇太子にするために閔妃自身が日本に日朝修好条約の交渉再開を持ちかけたことがきっかけでした。

1894年に日本軍は漢城に入り、王宮を占領して甲午更張を要求します。
その内容は、
>清との条約を全て廃棄し、朝鮮の自主独立を確定する
>両班、平民、汽船、門閥を問わずに、人材を登用する
>公私奴婢の文書を廃棄し、人身売買を禁ずる
>司法官、警察官に限り、人身の拘束ができる
>拷問と拷刑を禁ずる
>新しい通貨制度を定める

全部、いい改革じゃないですか。
これにより、朝鮮が清から独立し、奴隷は開放され、一方的な拘束、拷問がなくなり、通貨ができた。確かに、日本によって強要されたかもしれませんが、この開放策は悪いことだったのでしょうか。
そして、この甲午更張を明文化して、朝鮮の最初の憲法である「洪範十四箇条」が宣布されます。

今日、韓国は国民に李氏朝鮮があたかも独立した国であって日韓併合によって、独立が奪われたように教えていますが、これは事実を大きく誤っていると著者は伝えています。

さらに、李朝は創建された時から人類史上最もおぞましい、腐敗した暴力集団であり、国家の体をなしていなかったそうです。
今日の韓国の繁栄は、1905年に統監府が開設されてから日韓併合が終わるまでの40年間がもたらした、勤勉と和を協調する精神教育にうえに築かれたものであるとも言っています。

日本批判を繰り返す韓国政府ですが、著者のよう冷静な韓国人がいらっしゃることは、重要なことです。


2015年10月23日金曜日

747.「膨張するドイツの衝撃―日本は「ドイツ帝国」と中国で対決する」 西尾 幹二、 川口 マーン 惠美

日本が嫌いだという国は、中国、韓国に次いで、ドイツが3位だそうです。これは、BBCの「ワールド・サービス」が2014年に行った「日本に対する好感度」調査の結果です。

この結果は寝耳に水というくらい、意外なものでした。私自身は、過去に日本がドイツに何か酷いことをしたとを聞いたことがないので、理由が全く思い当たりませんでした。

その理由は著者によれば、
1. 日本に”犯罪の同伴者”でいて欲しいという心理
2. ドイツは植民地獲得競争に遅れたため、アジアをよく知らない
3. 80年台に経済大国の看板を日本に追いぬかれた
4. 謝罪したドイツに比べ、日本はきちんとした対応をしていない
とのことです。

全くの身勝手な言い掛かりであり、自己のホロコーストを隠す理由でしかありません。

ドイツは周辺各国に謝罪したと主張していますが、有名なヴァイツゼッカー大統領の演説でも、ホロコーストに関して謝罪をしたものの、侵略戦争については謝罪していません。実際にギリシャなどからは未だに戦後補償を求められています。

タイトルにある「中国で対決する」については、あまり書かれていません。日本はすでに中国から撤退し始めていますから、対決することはないでしょう。中国経済の破綻と共にドイツも沈むのか。。。

また、多くの移民を受け入れ、低賃金労働につかせて商品価格を安くするというモデルがいつまで続くのかなど、ドイツを学ぶことは勉強になると思いました。

2015年10月22日木曜日

746.「コールダー・ウォー: ドル覇権を崩壊させるプーチンの資源戦争」 カツサ,マリン


これまで、石油決済をドル以外の通貨にしようと試みた政権はすべて、アメリカに別の理由をこじつけられて滅ぼされました(イラン、リビア)。そうして、ドルは基軸通貨として守られてきました。

しかし、ロシアはアメリカのペトロダラー体制の崩壊を狙い、超冷戦を仕掛けています。

ロシアが仕掛ける超冷戦の武器は、石油、天然ガス、ウランであり、それを利用可能にする精製設備、パイプライン、そして港湾設備などのインフラストラクチャです。

アメリカ大統領が4年毎の選挙を見て短期の政策を立案するのに対し、プーチンは既に20年以上も政権を維持し、長期の政策で世界のルールを変えようとしています。

例えば、今回のシリアの空爆ですが以下の背景があるようです。
1. ロユーズネフチ・ガス(ロシアのガス会社)は、シリアとガス田開発および生産計画を結んでいる。
2. アサド政権が倒れると安価のカタール産天然ガスがシリア経由で地中海に運ばれる。
3. 新政権がトルコのイスラム過激派と連携するとロシアの安全保障が脅かされる。
4. 内戦が長期化して欲しい。そうするとシリア経由のガスパイプライン建設が遅れ、ロシアへの依存度が高まるうえ、武器も売れる。

プーチンの長期戦略により、ドルの弱体化が謀られてきました。近い将来、突然ペトロダラー体制が崩壊し、新たな基軸通貨が生まれるかもしれません。日本も備えが必要と思いました。



2015年10月21日水曜日

745.「GHQ焚書図書開封7 ~戦前の日本人が見抜いた中国の本質~」 西尾幹二

GHQによって焚書にされた書籍から日本を読み解くシリーズです。
本書は、長野朗さんの著作に基づき、当時の支那を描いています。長野さんは陸軍士官学校を卒業した陸軍大尉でした。

長野さんの著作は18冊がGHQの没収指定図書とされています。それだけGHQに恐れられた著者であったのでしょう。本書では、『支那の真相』『支那三十年』『民族戦』という三冊の本が取り上げられています。

中国人の気質として、悠長、面子、付和雷同、残虐、享楽、不衛生、謀略を上げています。
これを象徴するものとして、近年の尖閣諸島問題が当てはまります。
事件が起こると一気に加熱し、政府報道を誰も疑わず、商店などを襲って強奪する。そして、尖閣諸島への執着を捨てず、100年かけて奪おうと歴史の書き換え等様々な謀略を仕掛けてくる。日本はこの謀略に負けず、尖閣諸島を守り続けなかればなりません。

支那事変当時の支那軍は農民などを無理やり徴用した寄せ集め軍で給与がありませんでした。そのため、同胞である支那人への略奪、陵辱が黙認されていました。それを隠すため、自分たちがやった罪を日本兵のせいにしています。しかし、この時代の書籍がGHQによって焚書にされてしまったために、反論する証拠が失われています。

現在の反日の起こりは、中国市場を独占された英米が仕掛けた日本製品ボイコットだそうです。英米が支那をたきつけ、支那も煽られました。そして、1919年の五四運動が起こりますが、これを取り締まらなかったことから反日運動が定着したそうです。

当時の支那の本質について大変勉強になりました。


2015年10月20日火曜日

744.「ネクタイを毎月3本買う人はなぜスゴイ仕事ができるのか――カリスマ経営者たちが実践している「自分の見せ方」」 野呂 エイシロウ

なかなか楽しく読めました。

著者がビジネスで成功すると思っている習慣について書かれています。

完全に信用できるものが数個しかなく、「本当にその習慣とスゴイ仕事は因果関係があるの?」と思ってしまいました。だから、私は一流になれていないのかもしれません。

同意できたことは、
-手紙を出す
-とにかくホメる
-2次会に行かない
-行きつけの病院を持つ

同意できなかったことは、
-高いスーツを買う
-白いワイシャツを着る
-常にネクタイをしめる
-高級万年筆を使う
-図書館に頼らず本代をケチらない

こうやってみると、私はむやみにお金をかけることの効果に疑いを持っているようです。同意できなかったことをすると、仕事がうまく行くというのはその通りだと思いますが、成功の必須条件かは、分かりませんでした。

同意できないことも試してみようかとも思いますが、100万円位かかりそうなので二の足を踏みます。著者は自由業なので直ぐに売上単価と業務量が増えて投資を回収したとのことですが、収入が固定化されている会社員では、すぐの回収は難しいのでは・・・


2015年10月19日月曜日

743.「結婚指輪は経費ですか? 東京芸能会計事務所」 山田 真哉

「結婚指輪は経費ですか? 」とはインパクトのあるタイトルですね。

芸能人専門の会計事務所、東京芸能会計事務所を舞台にした会計の話です。

馬券は経費になるか
ホテル代は経費になるか
結婚指輪は経費になるか

など、普段は考えない3つのテーマについて、分かりやすく、面白く語られます。

詳しい脚注もあるのですが、読み飛ばして、本当にそんな事が起きた時に読めばよいそうです。

堅苦しいテーマをユーモラスなタッチで小説にしているところに著者のバランス感覚の良さを感じました。





2015年10月17日土曜日

742.「図解仕事ができる人のノート術 新版―アイデアマラソンが仕事も人生も豊かにする」 樋口 健夫

アイデアマラソンのことを勉強したくて読みましたが、残念ながらあまり書かれていませんでした。

主にはA5ノートを使い、打合せ内容、思いついたこと、やりたいことなどを記載していくといったノートの使い方とその効果について書かれていました。

さらっと読めて面白いのですが、結論は、小さい手帳を使うより大きいノートを使い、PC入力よりも手書きした方が能力が向上しますよというものでした。

果たして一冊の本として出版する必要があったのか・・・



2015年10月16日金曜日

741.「南京事件 国民党極秘文書から読み解く」 東中野 修道

国民党は当初から軍事的に日本より劣勢であったため、南京陥落直前から宣伝戦に総力を上げていました。国民党中央宣伝部は、「宣伝は作戦に優先す」を合言葉に宣伝戦で日本を貶め、国際的に日本を孤立させる戦略をとりました。

南京事件の根拠となったのは「戦争とは何か」という一冊の本です。これは6人の「南京在住の外国人」の生の声のように見えます。つまり、国民党が関与していない、白人から見た客観的内容と捉えられています。

しかし、その実態は、ベイツ教授とフィンチ師という2人の白人のみによって書かれたものです。
この本の編集者のティンパー貴社は国民党中央宣伝部の「顧問です。
ベイツ教授は中華民国政府の「顧問」です。
フィンチ師の素性は明らかでありませんが、その妻は蒋介石夫人の親友です。
これらの編集者と著者から、南京事件の根拠が国民党によって捏造されたこと可能性は非常に高いです。

南京陥落後、唐生智将軍は国際法に反して降伏せず兵を置いて逃亡しました。これは宣伝戦の一部だったようです。残された兵士は軍服を捨て安全地帯で市民に紛れ便衣兵となりました。この状況ではいつ市民の間から攻撃されるかわかりません。そこで日本軍はこれらの便衣兵を捉えて処刑しました。報告によれば、3日間で6,670人を処刑したそうです。

この掃蕩をベイツ教授は、「度重なる殺人」「意のままの殺人」と描写し、12,000人の市民を含む40,000人を虐殺したとしました。作為のプロパガンダです。

南京ドイツ大使館のパウル・シャルフェンベルグ事務長がラーベ議長に
「暴行事件といっても、すべて中国人から一方的に話を聞いているだけ」
と語ったように1,000人の強姦の話も信憑性がありませんでした。

中国人は宣伝の天才です。日本は戦闘で勝って、情報戦で負けたと言えるでしょう。


2015年10月15日木曜日

740.「DIVE!!(2) スワンダイブ」 森 絵都


高飛込という、私には全くがないスポーツを面白く読ませてくれます。


中国での強化合宿の選考会を兼ねた選手会に、14歳の中学2年生坂井知季、17歳の高校2年生沖津飛沫、同じく17歳の富士谷要一が出場します。

1巻は知季が主人公でしたが、この2巻では飛沫にスポットが当たります。

飛沫は合宿に選抜されることを狙い、最初は本来の豪快な飛び込みを抑えて高得点をマークしますが・・・。

非常にマイナーなスポーツをテーマにしたシリーズです。日本の高飛込草創期のスター、沖津白波を祖父に持つ飛沫。戦争によりオリンピックに行けず、故郷に戻った白波が周囲の冷たい視線に晒されたことから、飛沫は心に傷を持ちます。

しかし、白波の本心を探ることで飛沫が大きく成長していく、青春ドラマです。


2015年10月14日水曜日

739.「日韓併合を生きた15人の証言 「よき関係」のあったことをなぜ語らないのか」 呉 善花

日韓併合時代を生きた、日本人と韓国人の合計15人のインタビューからなる本です。

日本人の証言は概ね、
「日本人と韓国人はうまくやっていた。日本に帰るとき韓国人は皆良くしてくれた。」
という純粋なものです。

韓国人の証言は概ね、
「周りの日本人は皆いい人だった。しかし、日本人全体は好きではない。当時は気づかなかったが差別があった。日本人はまだ謝罪していない。」
という少し歪んだものです。

この違いは何だろうと疑問に感じました。「当時は気づかなかった」という点から、戦後の反日教育や風潮から、付き合っていた日本人への記憶は変わらないものの、日本人に対する見解が変化してしまったものと思いました。

政治・制度の面で、他国を併合し言語を変えさせたことは罪悪だと思いました。
一方、社会・生活面では併合により日本と同じ水準にしようとして教育やインフラを整え、庶民の生活面が向上したことは事実です。

日本人はこの社会・生活面から「良いこともした」と主張し、韓国人はこの政治・制度面から「略奪された」と主張します。主張の立脚点が異なるため、議論が噛みあうことはないだろうと思いました。


2015年10月13日火曜日

738.「機龍警察 未亡旅団 」 月村了衛

チェチェン紛争で家族を失い、陵辱と生命の危険に常に晒される女性たちが自衛のために集まります。

女性たちは生き残るために武装化し、他の派閥と提携するために危険な案件を引き受けるうちに、凶悪化して「黒い未亡人」と恐れられる最恐のテロ集団となっていきます。

そのテロ集団が日本に潜伏して大規模テロを計画していることが発覚しますが、その目標と狙いが明らかになったとき、警察に衝撃が走ります。

このシリーズは、各国の戦地の歴史や状況から書き起こされるため、非常に勉強になる反面、最初の100ページ位までは読むのに努力を要します。しかし、そこを抜けると事件の全体像も掴めて、読む速度が上がります。

各巻、一人の人物がその生まれから現在に至るまでの生き様やトラウマがクローズアップされます。今回は、特捜の由起谷が「白鬼」と呼ばれるようになった経緯です。それにしても、よく登場人物のプロフィールをこれだけ作れるなと感心します。

チェチェン紛争について全く知識がないので、勉強になると同時に恐ろしさを感じました。人間の絶望や裏切り、そして、希望が見いだせた作品です。


2015年10月9日金曜日

737.「英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる」 施 光恒

個人が英語を学ぶことの有用性は高いですが、国家として公用語とすることは弊害が大きいです。

日本人全体として英語力が弱いと言われますが、それは日本語で地理、歴史、数学などの学問を極められることの裏返しです。それが中韓に比べ、ノーベル物理学賞などの受賞者が圧倒的に多い要因ともなっています。

つまり、英語で高等教育を受ける必要がなく、母国語の日本語で高等教育を受けることができるということなのです。

明治時代にも、英語を公用化して西洋の学問を学ぶか、英語を「翻訳」「土着化」して学ぶかの議論があったそうです。その時に、「翻訳」「土着化」で高等教育を学ぶことが選ばれました。それが国家独立の礎と考えられたからです。非常に優れた判断だったと思います。

早稲田大学の建学の理念の1つが「邦語による教育」であったそうです。そして、それまで用語としてなかった「経済」などの単語が生まれました。中華人民共和国の「人民」「共和国」も日本の造語であり、中国に逆輸出されました。

現在のGDP上位5カ国は、アメリカ、中国(?)、日本、ドイツ、フランスです。このうち、英語が公用語の国はアメリカしかありません。一方、英語を公用語化したフィリピン、ケニアなどは、未だ経済力を備えていません。そうすると、英語公用語化と経済力は関連性がないようです。

もっと、母国語たる日本語の教育を重視し、英会話の教育よりも、深い思考や科学の教育に時間を使ったほうがよいと思いました。




2015年10月8日木曜日

736.「七時間目の怪談授業」 藤野 恵美

はるかの携帯電話に呪いのメールが届きました。9日以内に同じ内容のメールを3人に送らないと、霊に呪われるといいます。

怖くなったはるかが学校で友人の静香に相談していると、担任の古田先生に携帯が見つかり没収されてしまいます。

呪いのメールを送れないとはるかはパニック状態に。古田先生は、霊の存在を信じないが放課後に古田先生を怖がらせる話ができたら携帯を返すといいます。子供たちは毎日いろいろと調べて怖い話をしますが、先生は全く怖がりません。なぜなら、先生は・・・

怖いと感じるのは人間の心であれば、怖いと感じることをするのも人間の心。最も怖いのは、人間自身の意地悪な心だと思いました。


2015年10月7日水曜日

735.「日英同盟 同盟の選択と国家の盛衰」 平間 洋一

日露戦争に勝った日本は、白人に支配される国々の希望の星となりました。一方で白人優位の世界秩序を望む国々にとっては、秩序を破壊する脅威となりました。

アメリカは、東アジアの植民地化に出遅れ、唯一、フィリピンを支配するのみでした。日本に独占された中国の権益を狙うアメリカにとって、日英同盟が最大の障壁となっていました。

コミンテルンは、中国の共産化を図っていましたが、ソビエトが世界最強の海軍を持つ日本に直接対峙するには危険が大きすぎました。そこでアメリカを使い、日本を殲滅する計画を立てました。

この計略により、日英同盟は消滅させられ、日本はドイツと組むより他がなくなりました。イギリスと組んでいたときは海軍の力が強く海洋国家的思考を持っていたのですが、ドイツと組むことで陸軍の力が強くなり侵略思考の大陸的思考となっていきます。

そうして、日本はコミンテルンの謀略に嵌められ、中国大陸への泥沼の戦闘に巻き込まれ、さらにはアメリカに宣戦布告をすることで破滅への道を進むこととなってしまいました。

福沢諭吉は「時事小言通俗外交編」で、
「そもそも、外国との交際は相互に権利を主張するものにして、情を持って相接するに非ず。・・・情に依頼すべからず。
然らば即ち何を持って之に接せんか。情の反対は力なり。外交交渉の大体は腕力に在り」と述べています。

「国際政治の現実は「力が正義」なのである。国際政治に正義はなく、あるのは国益であり、それを守り得るのは軍事力である」という著者の主張が、現実的な実状なのだろうと思いました。


2015年10月6日火曜日

734.「デブを捨てに」 平山 夢明

4編からなる短編集です。

ジョーは、借金返済を猶予してもらうために、腕を折られるか、デブを捨てに行くか、選択を迫られます。1年前に1度折られたのと同じ場所を折られる恐怖から、デブを捨てに行くという意味もわからず、デブを選びます。

現れたのは巨大なデブ女。その女を車で処分屋に届けることが借金返済猶予の条件でした。

次々に起こるトラブルに読んでいて気分が悪くなります。果たしてジョーは、殺されると分かっていて、無事にデブを送り届けることができるのでしょうか。


2015年10月5日月曜日

733.「経済で読み解く大東亜戦」 上念 司

大東亜戦争の主たる原因を、全世界的な金本位制の採用とする斬新な提言です。

まず金の産出量の低下が通貨システムとしての余裕を失わせました。金と通貨が連動しているため、金産出量が減った場合には、金の国内からの流出を防ぐためには、国内で使う金を減らすか、外国から調達する必要があります。

当時、金保有量世界一だった英国はが金流出を嫌い、利上げしました。その結果、財政緊縮策が取られ、世界的な不況へと突入していきます。

長引く不況と困窮の生活のなかで人々は現状の「革新的な打開」を求め、極論に乗ってしまいます。

その時、コミンテルンが第6回世界大会で打ち出した方針が
「日本を蒋介石の国民党との泥沼の戦いによって消耗させ、さらにこの戦いにアメリカを巻き込み、日本が弱体化し切ったところで背後から襲って共産主義革命を達成する」というものでした。

日本はまんまとこの謀略に嵌まり、敗戦へと突き進んでしまったのでした。
経済という観点から戦争を語った興味深い本です。


2015年10月2日金曜日

732.「さよなら、シリアルキラー」 バリー・ライガ

ジャズは、お婆さんと2人暮らす高校3年生。ジャズが住む町で指が3本切り取られた女性の死体が発見されます。

ジャズは、保安官に連続殺人だと訴えますが相手にされません。そこでジャズは自ら犯人を探し始めます。

ジャズの父親はリリアルキラー(連続殺人犯)で現在は逮捕され収監されています。ジャズは、この父から物後頃着いたころより、殺人の英才教育を受けて育ちました。

ジャズは父の血を引いて、自分にも連続殺人犯の素養があるのではないかと苦悩しています。その反動から連続殺人を捕まえることに執着していきます。

そして、死んだ母親は父に殺されたものと思っており、さらにはそのとどめを刺したのは自分ではないかと疑っているのです。

殺人者の子供として生まれ育った苦悩や、親友と恋人との心の交流が描かれ、殺人事件を追いかけるミステリーに彩りを加えています。


2015年10月1日木曜日

731.「コンサルティングとは何か」 堀 紘一

コンサルティングの仕事の本質とは、「何が問題かを突き止め、その答えを考える」ということ。つまり、「知っていることを教える」のではなく、「考える」ことことがこの仕事の価値だそうです。

コンサルティングの起こりから、現在の状況、そして、コンサルティングの方法論まで簡潔で、必要にして充分に学べる本です。非常によくまとまっていて、とても分かりやすいです。

コンサルタントの裏話も含めて、その実態が大変よく描かれています。

そして、経営戦略コンサルティングまではいかなくても、専門コンサルティングをやるにあたって非常に役立つ本だと思いました。