2016年12月27日火曜日

1071.「なぜジョブズは、黒いタートルネックしか着なかったのか? 〜真の幸せを生きるためのマイルール28〜」 ひすいこたろう、 滝本 洋平

スティーブ・ジョブズは晩年黒いタートルネックしか着なかったのですが、それが彼のマイルールでした。

その理由は本書に譲るとして、28人のマイルールを紹介して、最後に自分自身のマイルールを作りましょうという本です。

私はその中でも、星野リゾートの星野社長のマイルールに共感しました。それは、本屋では「ポツンと1冊だけ書棚に入っているような目立たない本に注目すること」です。

自社の抱える課題を意識してして本屋を巡り教科書になる本を探します。派手に平積みされている本ではなく、1冊だけあるような本は、流行の波を乗り越えて体系化された理論として生き残っているからだそうです。

私もいくつかのマイルールがありますが、一度整理してみようと思いました。

2016年12月26日月曜日

1070.「私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活」 樋口 直美

認知症患者といってもアルツハイマーだけでなく、レビー小体型など様々な種類があり、種類ごとに症状が異なることを知りました。

そして、認知症患者にどんなことが起こるのか、日々どのようなことを思い生きているのか、その日常が非常によく分かります。

絶望に沈む日もあれば、希望を見出す日もあり、揺れる感情が生々しいです。

若い頃は難病にかかる人が少ないため、話を聞いても他人の不幸でしかありません。しかし、皆、歳を取るにつれ、何らかの病に侵されるようになり、自分の不幸として体感していきます。

それは、長生きすることの宿命ともいえ、その病を受け入れ、共存するようになることが心の安定となるのでしょうか。

2016年12月22日木曜日

1069.「津軽百年食堂」 森沢 明夫

青森県には、県が定めた「百年食堂」があるそうです。「百年食堂」とは、三世代、70年以上続いている大衆食堂をいいます。

弘前の百年食堂「大森食堂」の四代目にあたる陽一の仕事、故郷、恋愛が詰まった物語です。

話は、「大森食堂」を開いた賢治から始まります。生まれつき右足の指がない賢治が、足の障害に苦しみながらも、障害に立ち向かい、受け入れることで優しい人間となり、伴侶を得て創業します。

陽一は、「大森食堂」を次ぐこと父に告げましたが、父は他所で修行することを条件とします。陽一は、東京の中華料理店で働き始めますが料理長に逆らいクビになり、その後は目標を見失い鬱々とした日々を送っています。

そんなとき、偶然、同郷の七海と出会い、付き合うことになります。七海の生き方などに触れていくうちに、仕事に対する考え方も変わっていき・・・

ほのぼのとした、美しい物語です。

2016年12月21日水曜日

1068.「ビル・ゲイツとやり合うために仕方なく英語を練習しました。 成毛式「割り切り&手抜き」勉強法」 成毛 眞

著者は、「日本人の9割に英語はいらない」という著作があるように、基本的に英語を深く学習することには賛成していません。

しかし、ツールとして英語をマスターすれば便利であることは間違いないので、最小の努力で仕事に使える英語を身につけましょうという主張です。

そのために、英語のプレゼンーションに立候補して英語を使わざるを得ない状況に自ら追い込んだり、「ロンリープラネット」を手に、日本の観光地を回ったり、海外旅行に行って英語の通じ具合をチェックしたりしましょうと、ユニークな提案をしています。

そして、そのための具体的な学習方法も参考になります。

英語をツールと割り切り、どんどん使っていこうという話に、とても同意できました。


2016年12月20日火曜日

1067.「きらきら眼鏡」 森沢 明夫

ゆったりとした小説でよく書き込まれています。250ページくらいからテンポアップしていきます。

読みながら立ち止まり、登場人物の気持ちを考えてしまいます。

登場人物では、サブキャラクターの弥生に心惹かれます。明海に想いを伝えようとする健気さに心打たれます。

猫、本、コカ・コーラ、眼鏡など小物の使い方が上手いです。

恋愛だけでなく、子供時代からの父親との葛藤、名前にまつわるイジメのトラウマ、死に対する暗い欲望など、本当に上手く書かれている小説です。

2016年12月19日月曜日

1066.「「カエルの楽園」が地獄と化す日」 百田尚樹、 石平

読むと憂鬱になる警告の書です。「カエルの楽園」を読んだ石平さんと、著者の百田さんが出版後の中国情勢を語っています。

中国は、さすがに尖閣に上陸しないだろうと思っているうちに、竹島の二の舞いになる。

中国は、沖縄を占領しないだろうと思っているうちに、北方領土の二の舞いになる。

中国は、悪くない、日本が刺激したからだ、米軍は出て行け、憲法9条を守れと叫んでいるうちに、チベット・ウイグルの二の舞いになる。

そんな悪夢が現実化しそうです。

日本を危機に陥れるのは、マスコミ、反日日本人、左翼政党といった日本人自身です。

「中国人は良い人たちで、日本侵略なんて酷いことはしない」と思っていますが、虐殺の歴史を持ち、国内で生存できなくなっても、良い人たちでいられるのでしょうか。

中国の周辺国で、侵略した時に最も利益が得られ、かつ反撃の手段を封じられている国は、日本です。国防についてもっと深刻に考えるべきと思いました。

2016年12月16日金曜日

1065.「知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能」 野口悠紀雄

知識について、古代から、聖書⇒百科事典⇒インターネットと秘匿から公開への歴史を紐解いています。

その中で、知識を秘匿することで権力を握っていた社会から、知識を公開することで利益を得るようになった社会の変遷を解説しています。

つまり、知識の習得の歴史と、知識を在に変える方法の考察です。

著者の博識さや情報収集能力に、いつもながら舌を巻きます。

実用書というより、知識の歴史という観点の読み物として面白いものでした。


2016年12月15日木曜日

1064.「水鏡推理4 アノマリー」松岡 圭祐

15歳の4人の非行少女達。それぞれが家庭に問題を抱え、悪い仲間とつるみ、覚醒剤にまで手を出して女子少年院に収監されています。

彼女達の更生教育の一環として始められた登山でしたが、SNSで注目を浴び、一躍人気者となります。

ところが、八甲田山を登山しているときに天候が急変し遭難してしまいます。登山前に撮影した写真には、水鏡の同僚の文部省官僚が写っていました。

彼がこの遭難に関与しているのか。そして、それを超えると生存可能性が急落してしまう78時間以内に少女達を救出することができるでしょうか。

今回は、気象予報をテーマにした陰謀を描きます。
気象予報に関わる細かく大量の情報を駆使して、創り上げられたストーリーに感嘆しました。


2016年12月14日水曜日

1063.「LIFE SHIFT」 リンダ グラットン、 アンドリュー スコット

驚くべき予言の書です。良い本だろうとは思っていましたが、予想以上に役立つ本でした。

主な内容は、人間の寿命が100歳まで伸びることで、これまでの生き方、人生設計が大きく変わるということです。

内容の全てに納得できました。これまでの私達の生き方を的確に言い当て、将来の予測もかなり当たる確率が高いと感じました。

「60歳に近づいたから、もう新しい知識を学ぶことは難しいし、その必要もない」という考え方は、過去の概念となります。
100歳寿命の世界では、60歳過ぎても引退することは難しいし、生きるために学び続ける必要があります。

これまでは、60歳までで、人生の勝ち負けが決まっていましたが、これからはその先で20年以上続く第二ラウンドが始まると思いました。

2016年12月13日火曜日

1062.「お金に強くなる生き方」 佐藤 優

著者が提案しているのは、「今の社会や企業の仕組みの中で、無理をしないで上手に稼ぎ、生き抜くということ」です。

国税庁の調査によると、日本国民の平均年収は414万円であり、中央値は300万円台だそうです。

過去の印象から、もっと高いイメージがありますが、実際は400万円位。年収500万円以上を稼ぐとなると厳しい勤務を覚悟しなければならなくなります。

そこで、自分の現状を過小評価して自信を失ったりせずに、他にやりがいや生きがいを見つけ、上手く副業で小遣いを稼ぎながら、上手にズル生き残ろうということです。

非常に現実的で、実践的な提案だと感じました。

その中で、自己投資、特に健康に惜しみなくお金を使うというのは、メリハリの効いた効率的なお金の使い方だと思いました。

2016年12月12日月曜日

1061.「政府はもう嘘をつけない」 堤 未果

「広告代理店に課せられた役割は、<プロパガンダ>という正式名称で呼ばれていました。今は、<マーケティング>と名前を変えています。」
ノーム・チョムスキー博士 MIT

本書のこの言葉は結構衝撃的でありながらも、そう言われればその通りだと思いました。

本質は「グローバリズム」であり、国のお金を使う公共事業をグローバル企業に売るために、広告代理店が短いフレーズで国民を洗脳しようとします。

郵政民営化が「参議院」で否決されたのに、なぜか可決した「衆議院」を解散して、民営化に反対する国会議員に「抵抗勢力」とレッテルを貼り、B層と名付けた国民を洗脳して、選挙に大勝したのがその例です。

マスコミや検索エンジンの情報は今や意図的に操作されているようです。自分でじっくり考える態度が重要だと思います。

2016年12月9日金曜日

1060.「すみなれたからだで」 窪美澄

著者の文章は短文で無駄な単語がないにもかかわらず、情景をありありと浮かび上がらせる素晴らしいものです。

前作はSFっぽい作品でしたが、本作はまた現代の日常生活の中で、大きな事件は起きないものの人々の切実な悩みを描いています。

後を引くような衝撃はないものの、肌感覚で人間の感情を非常に現実的に表現する、著者らしい作品です。

2016年12月8日木曜日

1059.「ルポ ニッポン絶望工場」 出井 康博

このタイトルだと、ブラック工場の実体のルポルタージュだと思いますが、本書はそういった内容ではありません。外国人実習生や偽装留学生の低賃金をルポルタージュしたものです。

高収入を期待して日本にやってきた実習生が実際は低収入しか得られず、日本で苦しい生活を送り犯罪を犯したり、帰国して反日になるという内容です。

その原因は日本政府の「留学生30万人計画」にあるとしています。

30万人という高い目標を達成するために入国の基準を低くしたため、偽装留学生が増えてしまったので、入口をもっと狭くすべきと言います。その一方で日本で働く外国人が減っているのは問題だとも言っており、矛盾しています。

最近ではベトナムからの偽装留学生が増えていると言います。しかし、ベトナムが貧しいのはベトナムの国策の問題ですし、ブローカーに騙されて日本で底辺の仕事についたのはブローカーの問題です。日本政府の政策でそうなったわけではありません。

初めから、著者の頭のなかには、「留学生30万人計画」が諸悪の根源という図式があり、その結論に向けて証拠が集められたような印象があります。

日本人がやりたがらない仕事は移民で賄うのではなく、まずは、待遇を改善して日本人が働きたくなる仕事にし、完全雇用を目指し、それでも人手不足の場合は、移民でなく、難民の方にやってもらえば、お互いに良い状態になるのではないでしょうか。



2016年12月7日水曜日

1058.「人生の勝負は、朝で決まる。: 「結果を出す人」が続けている52の朝の習慣」 千田 琢哉

私は割と早起きなので、本書に書かれている早起きの効用は初めて知るものではなく、確認するようなことが多かったです。

その中でも、これは知らなかったというのは、「朝イチの新幹線は自由席が一番贅沢だ」ということです。一人で三席分を使うことができるくらい空いていることもあるそうです。かえって指定席やグリーン車の方が混んでいるそうなので、次回試してみたいです。

経営者達は、朝日を浴びながらストレッチするという共通の習慣があることも面白かったです。私も朝、マクドナルドでストレッチをしているので(!?)、変わった趣味ではなく、効果的な習慣だと確信しました。

2016年12月6日火曜日

1057.「暴走する中国が世界を終わらせる オンナ・カネ・権力への妄執の果て」 宮崎 正弘, 福島 香織

暴走しているのは中国というより、習近平のようです。

習近平は党内の権力抗争に明け暮れ、経済や人民の生活には興味がないようです。

その結果、不採算企業を潰さずゾンビ企業となってしまい、ゾンビ企業があふれるゾンビ国家となりつつあります。

習近平は国内不満をそらし、権力を掌握するために、尖閣諸島か南シナ海で戦争に打って出る危険性が高まったという見解は正しいと思います。

戦争の起こしやすさとしては尖閣諸島の方だと思いますので、十分な備えが必要です。

2016年12月5日月曜日

1056.「人種戦争――レイス・ウォー――太平洋戦争 もう一つの真実」 ジェラルド・ホーン、 加瀬 英明

白人側から見た大東亜戦争です。

「白人の優位」の世界が有色人種の日本人によって崩されていく恐怖。

特に中国、東南アジア、オーストラリアといった英国の占領国が日本に奪われていき、白人と有色人種の地位がひっくり返されます。白人は奴隷のように扱われ、そのプライドは地に落ち、人格が破壊され、日本人に服従していきます。

その姿を見た他の有色人種は、それまでの有色人種は劣等民族で白人に支配されるのが当然という固定概念から解放されていきます。

大東亜戦争では、中国国民党との戦闘は別ですが、それ以外の国では現地人と戦ったのではなく、現地を占領していた英国人と戦ったのです。これまで信じていた日本対中国の対立構造が、有色人種対白人の構造に書き換えられました。

日本が第一次世界大戦のパリ講和会議で人種差別を撤廃することを国際連合規約に盛り込むことを提案したときに、強く反対したのはアメリカ、大英帝国、オーストラリアの人種差別国です。

日本が有色人種の解放のために欧米と戦ったというのは、建前だと思いますが、結果として有色人種の白人コンプレックスを払拭し、白人に抵抗する勇気を与え、現在の独立国を築くキッカケとなったことは間違いないと思います。

2016年12月2日金曜日

1055.「誰と会っても会話に困らない 雑談力サクッとノート」 櫻井 弘

様々な状況で、一般的な会話と話が弾む会話が対比して書かれており、とても分かりやすいです。

例えば、「できないですね」と言わず、「解決策を考えましょう」と言えば、相手は受け入れられた気になります。

「そうなんですね」とは言わず、「すごく勉強になりました。」と言えば、相手は自分の発言に重要感を持ちます。

初めて会う人にうまく話しかける言葉など、実用的な会話が満載されており、とても役に立ちそです。

2016年12月1日木曜日

1054.「とことん調べる人だけが夢を実現できる」 方喰正彰

漠然と夢見るだけでは、なかなか実現しません。

そこで、その夢を叶える方法や叶えた人を調べまくるというのは、非常に有効な方法だと感じました。

調べてみると、難しいと思い込んでいたことが案外簡単だったり、夢を叶える意外な方法が分かったりして、夢の実現が近づきます。

その反面で、失敗した話や否定的な意見もあります。
そういう話も参考にしながら、けれども、それに囚われず、うまく行ったやり方に注目するのがよいのかもしれません。

2016年11月30日水曜日

1053.「日本にはびこる「トンデモ左翼」の病理: 中国から帰化して驚いた フォロワー18万人のツイッターで大反響のリベラル批判」石平


独裁国家中国から帰化した著者には、日本は本当に何でも言える民主国家と見えるのでしょう。

しかし、民主主義、つまり選挙で自分達の代表を選ぶということを否定する人達がいます。それが左翼です。

単なる多数決を「強行採決」とレッテル貼りし、自分達の気に入らない法案についてはデモによって投票を無効にしようとします。デモの参加人数は水増しして、「全国民の怒り」とか、「オール沖縄の声」など、拡大報道します。

戦争がなかったことは、憲法9条のおかげと言い、「9条にノーベル平和賞を」などと運動します。しかし、もし9条がノーベル平和賞の対象となったら、受賞者は日本国憲法をつくったマッカーサーになるのでしょうか。

自衛隊に反対するピースボートがソマリア沖を船で運航したとき、自衛隊に警護してもらったというのは、大いなる自己矛盾と感じました。

2016年11月29日火曜日

1052.「家族無計画」 紫原 明子

著者は、都知事選にも出馬した起業家の家入一真氏の元奥さんです。家入氏が都知事選に立候補した日に離婚届を提出したそうです。

一人の人間が起業して、その会社が成長して行く中で、どのように人間が変わっていくのかを知りたくて手にしましたが、そういったことはほとんど書かれていません。辛すぎで書けなかったのでしょうか。

二十歳前に出産し一人で子供を育てていく体験と、社会経験なく30歳近くで初めて働き始めた苦労が中心に描かれています。

家入氏については、かなりメチャクチャな人格が書かれていて、都知事どころか企業経営もおぼつかないようでした。性格がインターネットに向いていて、起業した時期が非常にマッチしたという感じです。しかし、会社が大きくなると経営はできず、追われるように去っていきました。

その妻として生きてくれば金銭感覚がないまま落ちていくのが普通ですが、夫が落ちていく時期とスピードが早かったことと、2人の子供を育てるうえで金銭感覚が養われ、自分で稼ぐという手段を手に入れたのでした。

2016年11月28日月曜日

1051.「陰謀と虐殺――情報戦から読み解く悪の中東論」柏原 竜一

中東の情勢が非常に緻密に説明されており、非常によく分かりました。

中東のインテリジェンスはエジプトでも起こり、イスラエルに対抗するようにイランもインテリジェンスを高めていきます。

そして、現在のISなどの混乱のキープレーヤーはイランのようです。

イランが自らの代理人としてレバノンのヒズボラを育て、サウジアラビアが自らの代理人としてビン・ラディンのアルカイダを育てます。

そして、アルカイダの分派であった、イラクのアルカイダがISISと変質していきますが、その本質はサダム・フセインの上級将校達のようです。

現在の中東の混乱はイスラム教対キリスト教の争いというより、イスラム教内のシーア派対スンニ派の内部抗争といった色彩が強いと思われます。

2016年11月25日金曜日

1050.「舞台」 西 加奈子

29歳の葉太は、会社を辞め父の遺産を使って、ニューヨークを訪れます。夢であったセントラルパークで寝転がって読書をしようとしたところ、パスポート、お金、スーツケースの鍵などが入ったカバンを盗まれてしまいます。葉太は手持ちの12ドルで残りの四日間を過ごすことになりますが・・・

体面ばかり気にし、父親へのコンプレックスを持った高等遊民が旅先でトラブルに出会う話です。

父親と母親が自分以外を演じていて、それを嫌っていた自分も結局、本当の自分以外を演じていました。

異国で自分のIDを全て失ったことで、生きるために自分以外を演じることができなくなり、自分をさらけ出し、躁鬱を繰り返すなかで、自分の本質に近づいていきます。

旅によって人間が変わったとまでいきませんが、仮面をはずして自分に向き合えたと感じました。

2016年11月24日木曜日

1049.「羊と鋼の森」 宮下 奈都

ピアノ調律師の物語ということで、全く知識のない別世界で、何とも地味なテーマであったため、興味が湧きませんでした。

2016年の本屋大賞を受賞したので手に取りましたが、読み終えるのに数日かかるだろうと覚悟していました。

ところが、以外にも3時間位ぶっ通しで読み終えてしまいました。

調律師と言えば、ピアノの音を合わせる仕事で、誰がやっても同じと思っていました。

しかし、羊(ハンマー)と鋼(弦)の森(ピアノ)は奥が深く、1つの音をとっても、無数の音があるようです。

さらに、その音をピアノが演奏される場所によって、ベストの状態にするには、調律師の解釈が重要で、それぞれの感性に大きく左右されます。

大きな出来事もない物語ですた、緩やかに心打たれる作品でした。

2016年11月22日火曜日

1048.「余命三年時事日記2」 余命プロジェクトチーム

2015年に起きた在日韓国人に対する包囲網の話がメインです。

入国管理法改正により通名が一本化され、マイナンバー制度により脱税、生活保護の不正受給が明るみに出され、これまでの在日特権がなくなりつつあるとのことです。

また、民進党の汚染が酷いです。党首の二重国籍だけでなく、民進党議員の帰化などは隠されています。

こういった問題は全く知らなかったことばかりなので、驚くことばかりです。

2016年11月21日月曜日

1047.「総理 」山口 敬之

安倍晋三内閣総理大臣の挫折と復活を描いたノンフィクションです。

安倍首相を筆頭に多くの政治家のプライベートな姿が描かれています。

特に、麻生太郎氏と中川昭一氏については、これまでの見方が変わりました。

ただ、全て事実を書いているのなら本人を裏切っていることになるし、本人の承諾を取っているのなら本当に悪い内容は書かれていないことになるように思えました。

政界の内幕話なので、読むのに苦労するかと思いましたが、予想に反し面白くすいすい読めました。

特に、消費税増税の先送りの葛藤が興味深かったです。

財務省が増税の根拠とした
-消費税を先送りすると国債が売られ長期金利が高騰する
-国際的な信用が奈落の底に落ちる
は、現時点で全く起きていません。財務省のプロパガンダは酷いものだと感じました。

TPPを推進していることと、消費税を凍結しなかったこと、公共投資を削減したこと、慰安婦問題で譲歩してことは不満ですが、外交や国防を中心にうまく運営していると思いました。

安倍氏は、首相辞任から5年の期間を経て、本当に別人の様な強い首相になったと思います。


2016年11月18日金曜日

1046.「これが世界と日本経済の真実だ」 高橋洋一

現在の政治、経済について幅広く、深い見識から語っており勉強になります。

「社会保障は社会保険料と所得税で賄うべきであり、消費税を使うべきではない。そんな国は他にない。」という話は、その通りだと思いました。

「集団的自衛権を行使した方が戦争リスクが減る。米軍が出ていった場合、その穴を賄うには10兆、20兆円を超える」というのも正論だと思います。

ただ、「TPP交渉においては日本が優位に立っている。」という主張は根拠が薄いと感じました。ヒラリーとトランプが反対しているからという理由では納得できませんでした。

また、郵貯民営化は著者のアイデアのようですが、何ということをしてくれたのかと思いました。「国際と同じ条件で集めたお金を国際で運用すれば、人件費分だけ赤字になる。」というのが論拠ですが、これまでそういった赤字が発生したのでしょうか。

郵貯のお金で国際を買い、財政投融資で公共事業を行った結果、国債の利回りが上がれば黒字になるように思いました。郵貯資金で国債を買うことで日本国民が国債を持つということになれば自らのお金で自らの国を整備するという、悪くない仕組みだと思います。企業や株式に投資するというのは銀行に任せて、郵貯は国に投資した方がよい役割分担ですし、民業を圧迫しないのではないでしょうか。

2016年11月17日木曜日

1045.「人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」 」 田坂 広志

著者の本は以前に数冊読んだだけですが、本書は事前に抱いていたイメージと異なっていました。

私が持っていたイメージは非常に実用的な実用書でしたが、本書は多分に宗教的、心理学的な精神論という感じです。

著者の関心が実務から離れ、日常生活よりも人の生き方やあり方に興味が移ってしまったような気がします。

悪くはないのですが、なぜか心に引っかかりませんでした。

2016年11月16日水曜日

1044.「コンビニ店長の残酷日記」 三宮貞雄

著者は、コンビニエンス・ストアのオーナーです。
会社員を辞めてオーナーとなり、6年目です。
文章を読んで分かるように、非常に聡明な方のようです。

それなのに、なぜ、コンビニのオーナーになってしまったのか。割増退職金に浮かれて、詳細に調査することを忘れてしまったのでしょうか。

本書では、オーナーの実体と苦悩がよく分かります。
売っても売っても儲かるのは本部ばかりで、オーナーの利益にならない恐ろしい仕組み。ここまで知っていたら、決してオーナーにならなかったでしょう。

苦労ばかりが24時間、365日続く無限地獄のようでした。



2016年11月15日火曜日

1043.「ギンイロノウタ 」 村田 沙耶香

無邪気な母と手放しで母を可愛がる父。
そんな家庭で育ち、子供の頃のトイレでの恐ろしい体験のトラウマから、次々と男と関係を持つようになった誉。

対人依存症の母と自分勝手な父。
そんな家庭で育ち、子供の頃のアニメで見た性的なシーンから、男に躰を安く売ろうとする有里。

一見すると普通の家庭に見えるのだが、親からの日々の圧力により、2人の心を歪めていきます。

その歪みが自分自身に向かい、おかしな行動に突き動かし、最後にはこらえ切れず爆発します。

思春期の危うさを描いた作品です。

2016年11月14日月曜日

1042.「問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論」 エマニュエル・トッド、 堀 茂樹

「問題は英国ではない、EUなのだ」というタイトルですが、現在のEUにしたのは、ドイツだと言っているので、本当は、「問題は英国ではない、ドイツなのだ」と言いたかったのだと思います。

英国がブレグジットを選択したのは、ドイツに支配されているEUからの離脱であるといいます。
ドイツは、この仕組から離脱し、新たに欧州北部で経済圏を確立しようとしていると予測しています。

さらに、今後20年は欧州が瓦解する時代になると予言しています。

中国については、今の繁栄は中国の指導者が選択したものではなく、外国の資本家によって作られたものでは、早晩崩壊するとしています。

これに対して、日本は軍事力を強化し、科学面、経済面でも常に中国に先行すべきだとします。過去の日本の軍国化は欧米諸国と同じことをしただけであり、過去から決別すべきだといいます。現在、軍事力を増強しても防衛力の範囲を超えることはないからです。

そして、米国との安全保障を強化するとともに、ロシアとも協力して中国に対峙すべきとしています。

非常に示唆に富んだ一冊でした。

2016年11月10日木曜日

1041.「悩みどころと逃げどころ」 ちきりん、 梅原 大吾

著者2人の学校教育に関する対談本です。

学歴に対して、梅原氏は「ないと差別される」という観点、ちきりん氏は「あっても生きがいと無関係」という観点で話しているので、話しが噛み合いません。

ちきりん氏は、「学校なんて行く価値がない」と主張しますが、自身が高学歴で学歴がない者が社会でいかに悲惨な環境に置かれるかが理解できないため、強者の奢りのように聞こえます。

梅原氏は、「黒板をきれいにしなさい」と言われると理由が分からないから反発するそうです。しかし、「トイレが汚いことは嫌い」とのこと。では、「トイレをきれいにしなさい」と言われることはどうなのでしょうか。これらは躾の問題なので、いちいち理由など説明せず、やっているうちに汚い黒板やトイレは嫌だという感性を身に着けさせているのではないでしょうか。

何度も読むことを止めようかと思いましたが、何か別の有益な話があるかもしれないと思い、読み続けました。しかし、ほとんど学校教育の批判に終わったように感じました。

4年に亘る対談をまとめた本らしいのですが、4年間も学校教育を批判し続けたことに何か意味はあったのでしょうか。

2016年11月9日水曜日

1040.「水鏡推理2 インパクトファクター」 松岡 圭祐

まだ記憶に新しいSTAP細胞をモチーフにしてミステリーです。

大学院生の如月智美は、切断されても傷口がくっつき自然治癒する血管、FOV人工血管を発明したとして著名な科学雑誌に論文が掲載されます。

新しいヒロインの誕生に日本中が沸き立ちます。

しかし、智美の部屋から実験ノートが盗まれ、さらには論文のデータの不備から発明の捏造疑惑が沸き起こります。

智美の幼馴染みでもある、文部科学省の一般事務員、不正研究調査チームの水鏡瑞希は、友人の窮地を救うべくこの謎に挑みます。

STAP細胞の問題について、著者なりの観点から見た解釈が斬新でした。


2016年11月8日火曜日

1039.「あなたも国際政治を予測できる! 最強兵器としての地政学」 藤井 厳喜

世界史のような地政学の本が多い中、しっかりと地理から地政学を語った正当な地政学の本です。地図を多用し分かりやすく書かれており、地政学の入門書として最適です。

世界地図から一部分を切り取り、その国から見た地理の向きに変えているため、見慣れた地図が一変します。すると、日本人が持っているパラダイムが変換され、その国の視点から各国独自の状況が分かります。

ロシアがなぜクリミア半島を併合したのか、中国がなぜ東シナ海と南シナ海にこだわるのか、台湾がなぜ中国にとって重要な位置を占めるのかなど、地政学的に理解することができます。

本来、シーパワーの国である日本が、協力な陸軍を持ったために大陸に引きずり込まれ、敗戦したということが納得できました。

韓国の緩衝地帯としての満州に進出する原因となった韓国併合が一番の敗因だと思います。そして、ロシアと中国からの緩衝地帯である韓国を独立させることが得策であったのですが、併合してしまったために、現在の日本の権益に敵対する富と1000年消えることのない恨みを買うことになってしまいました。

シーパワー国である日本は、ランドパワー国である中国と韓国とは水と油で決して交わることはりません。政治、経済面で深入りすることなく、海軍を強化して、領土防衛に務めるべきと思いました。

2016年11月7日月曜日

1038.「言ってはいけない 残酷すぎる真実」 橘 玲

問題行動や社会の格差について、環境ではなく、遺伝子と進化が原因としています。

社会一般には、これらの原因を環境に求めるので、「言ってはいけない」というタイトルがついているようです。

例えば、パーソナリティ障害は育った環境の問題と考えられがちですが、パーソナリティ障害の両親の子供の8割がパーソナリティ障害となるという、認めたくない真実を明かしています。

美貌は収入に影響する、頭の良さは遺伝、レイプが進化をもたらすなど、眉をひそめるような内容が沢山記載されています。



2016年11月4日金曜日

1037.「モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い」 福田 ますみ

長野県の丸子実業高等学校で1年生の男子生徒が自殺しました。
母親は、いじめによる自殺として校長などを殺人容疑で告訴しました。
マスコミにも大きく取り上げられ、大きな事件となります。
しかし、その真相は・・・

まさに、モンスター。ここまで酷い人間が存在することが信じられません。こういう人間に狙われたらたまったものではありません。

そして、こういう人間の話しを鵜呑みにした、県会議員、弁護士、ジャーナリストにも大きな責任があると思います。

マスコミは話を面白くするために、検証もせずに一方の話だけ取り上げ、狙った人間の一瞬の表情だけを切り取って視聴者の心証を操作します。

その結果、視聴者は、学校側がイジメを隠蔽したために起こった自殺という印象を持ちます。

後の裁判で、いじめ自殺ではなく、母親の虐待による自殺と分かりましたが、マスコミによって作られた印象は消えず、学校関係者の汚名は晴れていないものと思います。

2016年11月2日水曜日

1036.「地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図」 ロバート・D・カプラン、 奥山真司

これぞ地政学といった内容の本です。

世界史からのアプローチではなく、地理からのアプローチでこれまで起きてきた国家間の紛争や、今後の予測が書かれています。

なぜ、同じイスラム教ながらスンニ派よりシーア派が優位を保ち、イランが無視できない勢力を保っているのかが説明されています。

中国についても一章が割かれ、黄禍の危険性を警告しています。
農業に適した気候と豊富な資源、そしてロシアにはない海への出口を持っていながら、世界人口の5分の1を占める人民を養うために、領土を拡大し続けるというものです。

中国の記載について不満に思ったのは、中国の古来から継続する一つの国家であり、その版図を清のときのものとしていることです。中国は単なる場所であり、そこを漢民族、女真族、モンゴル族が交互に支配していたので、現在、中国が主張する領土は決して古来からの漢民族の領土ではないからです。

本書の結論としては、今後の世界はアメリカが優位を保ちつつも、混沌となって紛争的になるということでした。

2016年11月1日火曜日

1035.「円安待望論の罠」 野口 悠紀雄

円高が日本経済を救うという考えが幻想であると分からせてくれます。

2012年からの円安で、製造大企業の円換算による売上高は増加し、人件費は変わらなかったため、利益も増大しました。

しかし、製造業全体では、売上数が増加しなかったため、中小企業の利益は増えませんでした。

つまり、現在の日本の産業構造では、円安になっても輸出量が増加しないということです。理由は、日本製品がコモディティ化してしまったから。

著者は、貿易立国モデルは捨て、製造業ではなく、先進的サービス産業を目指すべきだと主張します。そのためには、アップル社のように企業はファブレス化し、国内に製造工場を持つべきではないと言います。

つまりは、かつての日本型、今の中国型を追わず、アメリカ型の先進的サービス産業を目指すべきということです。

それにより確かに、GDPは拡大するかもしれません。しかし、雇用の場が増えないために貧富の差が広がるものと思われます。全ての人が先進的サービス産業で働ける能力を持っているわけではないからです。

そうなると、アメリカのように一部の人に富が集まり、それ以外の人の不満をごまかすために、フードスタンプといった、カフェテリア型社会福祉が導入されるかもしれません。

2016年10月31日月曜日

1034.「しろいろの街の、その骨の体温の」 村田沙耶香

舞台は、新興住宅街。ダイエーがあり、景気が悪化していっていることから1990年代と思われます。

小学4年生と中学2年生の結佳を描くことで、成長期の少女の心と性を描いています。

小学4年生では、自分の中の性に気づくとともに、自分の骨が拡大する街と同じように成長していきます。

中学2年生では、行き場のない感情が開発中止によって閉ざされてしまったトンネルと重なって閉塞感に押し潰されていきます。

クラス内カーストの下位層からも弾き出された結佳は、階層の重圧から解き放たれ、自分の価値観を手に入れます。

その時に、それまで嫌いで仕方がなかった白い街(=成長期の自分)を好きになれたのではないでしょうか。

2016年10月28日金曜日

1033.「余命三年時事日記ハンドブック」 余命プロジェクトチーム

民主党政権成立の影に在日朝鮮韓国人の支援があったこと、ヤクザの3割が在日であること、マスコミには多くの在日が潜り込んでいることなど、にわかに信じられない内容ばかりでした。

また、終戦時の日本人に対する残虐な行為、その後の土地の不法収奪、生活保護の不正受給など、納得がいかないことばかりでした。

1959年7月13日付「朝日新聞」に
「戦時中に徴用労務者として来た者は245人に過ぎず、現在、日本に居住している者は犯罪者を除き、自由意思によって在留したものである。」
という外務省発表が掲載されています。

つまりは、強制的に日本に徴用されて来たのだから、応分の補償をしろという主張は嘘であるということですね。


2016年10月27日木曜日

1032.「経済学私小説〈定常〉の中の豊かさ」 齊藤誠

小説で経済学を学べる点が非常に面白いです。とっつきにくいテーマに触れやすいです。

ただ、1000兆円の国債を国の借金とし、相殺できる債務に触れず、政府が借金をしている相手が日本国民であることを明らかにしないのは不公平だと思いました。経済学者は、本当にこう考えているのか、経産省の覚えをよくしたいのか分かりません。

また、国債を消費税で返済するように思えてしまう記載も不適切です。目的税ではないのだから、消費税で国債を返済したり、社会保障に当てたりするという説明は、国民を欺く目眩ましと感じました。

2016年10月26日水曜日

1031.「世界のニュースがわかる! 図解地政学入門」 高橋 洋一

地政学というより、帝国主義の世界史といった内容です。ランドパワー、シーパワといった用語も出てきません。

戦争によって中国とロシアがいかにして領土を拡大していったかが分かります。

個別的自衛権と集団的自衛権の戦争回避に対する影響の著者の試算が勉強になりました。

  • 個別的自衛権のみの場合、戦争が起こる可能性は、2%
  • 個別的自衛権と集団的自衛権を組み合わせた場合、戦争が起こる可能性は、1.6%

集団的自衛権を組み合わせると戦争の可能性が0.4%下がりるそうです。

民主主義国家は戦争を嫌います。国内で戦争反対の意見も拮抗するからです。
一方、独裁国家は戦争に躊躇しません。国家元首の意思のみで戦争を起こせるからです。
そうなると、すぐ近くに2つの独裁国家がある日本は、常に戦争の脅威に晒されていることになります。

技術がない国は、資源と市場を求めて、新たな土地を求めます。それがロシアと中国に見られるようです。

日本は、技術力があるため、領土問題がある地域を除いて、現在の領土を拡張しする必要がないと思います。技術があるので、単に貿易をすればよいだけですから。

そして、過去の満州、台湾、韓国の併合は日本からの持ち出しが多かったことを考えても、戦争による領土拡大は日本にとっては、ほとんど利益がないものと思われます。



1031.「世界のニュースがわかる! 図解地政学入門」 高橋 洋一

地政学というより、帝国主義の世界史といった内容です。ランドパワー、シーパワといった用語も出てきません。

戦争によって中国とロシアがいかにして領土を拡大していったかが分かります。

個別的自衛権と集団的自衛権の戦争回避に対する影響の著者の試算が勉強になりました。

  • 個別的自衛権のみの場合、戦争が起こる可能性は、2%
  • 個別的自衛権と集団的自衛権を組み合わせた場合、戦争が起こる可能性は、1.6%

集団的自衛権を組み合わせると戦争の可能性が0.4%下がりるそうです。

民主主義国家は戦争を嫌います。国内で戦争反対の意見も拮抗するからです。
一方、独裁国家は戦争に躊躇しません。国家元首の意思のみで戦争を起こせるからです。
そうなると、すぐ近くに2つの独裁国家がある日本は、常に戦争の脅威に晒されていることになります。

技術がない国は、資源と市場を求めて、新たな土地を求めます。それがロシアと中国に見られるようです。

日本は、技術力があるため、領土問題がある地域を除いて、現在の領土を拡張しする必要がないと思います。技術があるので、単に貿易をすればよいだけですから。

そして、過去の満州、台湾、韓国の併合は日本からの持ち出しが多かったことを考えても、戦争による領土拡大は日本にとっては、ほとんど利益がないものと思われます。



2016年10月25日火曜日

1030.「経済は世界史から学べ!」 茂木 誠

世界史の視点から経済を解説するユニークな企画です。

経済とはいっても、数式で経済事象を説明するのではなく、過去に起きた経済的な出来事から経済のテーマを読み解いています。

全ての解説に同意できたわけではありませんが、総じて経済事象の歴史がよく分かりました。

2016年10月24日月曜日

1029.「私が失敗した理由は」 真梨 幸子

著者の作品である「孤虫症」のモデルとなった埼玉県田喜沢市のタワーマンション。

そのマンションで一家四人殺害事件が発生します。

その容疑者も含め、「私が失敗した理由は」という書籍が企画されます。成功するためには失敗を避けることという趣旨なのですが、この本に関わった人は次々と非業の死を遂げていきます。

果たして犯人は誰なかの?

読み終わった後、また、最初から殺された人の行動を確認してしまいました。

そして、カタカナと漢字で同一人物が描かれていますが、カタカナの時の人物の印象が非常に薄いことに気づきます。日本人にとって、漢字で書かれていない名前は印象に残らないのでしょうか。そういった心理までうまく突いています。

読み終わった感想は、「過去のブログで「孤虫症」をホメておいて良かった。そして、この本は素晴らしい。」です。読んだ人にしか分からないのでしょうが、これが私の失敗しない理由です。

2016年10月14日金曜日

1028.「本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方 (SB新書)」 堀江 貴文

「パッと読んで、気づいて、この本は捨ててしまうくらいが、やっぱり一番いいと思う。」

著者が序文で言うように、拘りすぎず、引きづられすぎず、疲れた時の栄養ドリンクのように読むといい本だと思いました。

「お金がないという言い訳は無意味である」
という言葉にその通りと思いました。
それは、「信用があればお金はなくとも何とかなる」から。
その言葉を参考に来年5月のスペインでの国際会議に出席できる方法を考えるつもりです。

猫ひろしさんのカンボジアへ帰化してオリンピックに出場というアイデアが著者のものだったと知り、驚きました。

「情報は取り入れたら、そのまま忘れてしまって構わない。本人が忘れたつもりでも重要な情報は脳の片隅にちゃんと残っている」という考え方は、情報収集の指針となりました。

2016年10月13日木曜日

1027.「日本共産党研究――絶対に誤りを認めない政党」 産経新聞政治部

学生の頃、歴史の授業で習った共産主義者は、戦争に反対して特高から弾圧された戦争に平和を求める人という印象を持っていました。

しかし、実体はソ連一国が共産主義国として孤立することを防ぐために、コミンテルンにより世界中に撒かれた細胞だったと知り、愕然としました。

共産党は、労働者の要求を援助し、経営者に対抗する。一見すると労働者の味方にも見えます。しかし、企業が売上を伸ばすことは考えていないため、結局、労働者の待遇も改善されません。それでいいと考えているのかもしれません。共産主義は労働者が豊かになることが目的ではないからです。

共産主義は、労働者が貧しくても等しく貧しく、その上に立つ指導者層が豊かになるための手段だからと思えます。それは、旧ソ連、中華人民共和国、北朝鮮人民共和国に見られる、権力奪取の手口です。

現在では、普通の政党とみなされようとしていますが、れっきとした革命政党だそうです。天皇制を廃止させ、自衛隊を解散させた先に何を狙っているのでしょうか。

また、そういう政党を手を組んだ野党は何を目指しているのでしょうか。

2016年10月12日水曜日

1026.「陸王」 池井戸 潤

588ページという長編小説で、読むのに少なくとも3日はかかるだろうと思い読み始めました。ところが面白すぎて1日で読み切ってしまいました。

老舗企業が真綿で首を絞められるように衰退していく様や、その状況下で新規事業が生まれていく姿が実によく描かれています。

新規事業はマーケティングから生まれたのではなく、人との関わりでヒントを得られ、人との関わりで事業化されていくことが書かれています。これが机上の空論ではなく、新規事業が起こっていく実際の姿に近いのではないかと感じました。

「人間同士の信頼が最も大切」、「のれんを守ることの困難さ」、「経営という終わりなき競争」ということがよく分かりました。

2016年10月11日火曜日

1025.「全国民が豊かになる 最強の地方創生」 三橋 貴明

最初のアベノミクス1本目の矢である金融緩和で金利が下がり円安になりましたが、期待されていた投資は行われず、輸出も伸びず、トリクルダウンは全く起こりませんでした。

投資が行われなかったのは、デフレ下では景気上昇が見込めないからです。しかも、2本目の矢である公共投資も行われませんでした。

輸出が伸びなかったのは、主たる製造メーカーとその関連企業は既に海外生産を行っているからです。

そのため、国内で資金がダブつき、金利がほとんどつかない国債が買われています。国債暴落論とは全く反対の動きです。

円安によって外資が日本株を買ったので、日経平均株価は上がりましたが、株の売買では実体経済に影響がありません。それどころか、GPIFの投資額を増やしたため年金基金から損失も出ています。

この状況を打開する方策として著者が主張しているのが、「交通インフラへの投資」です。
新幹線の延伸、リニアモーターカーの導入前倒し、貿易港の拡充などへの投資はそれ自体が実質GDPを押し上げ、さらに地方が東京に近づくことで地方の産業が創生されます。その結果、人口が東京一極集中から地方へ分散され、東京での大規模災害に対するリスク・ヘッジになります。

非常に良いプランだと思いました。これを阻む、財政均衡政策と少子高齢化による日本壊滅論を打破し、国土強靭化を実施してもらいたいです。

2016年10月7日金曜日

1024.「コンビニ人間」 村田 沙耶香

36歳の恵子は、大学卒業後も正社員とならず、コンビニエンスストアで18年間アルバイトをしています。

子供の頃から動物の死に対して無感動で、友達の頭をスコップで躊躇なく殴り、授業中に先生のスカートとパンツを引き下ろしたりします。

発達障害の徴候なのか、基本的に感情や道徳心が欠如しています。

人間社会に適合できないのですが、たまたま、コンビニエンスストアという無機質な箱に出会い、そのマニュアルや仕事上のコミュニケーションが水にあい、社会生活を続けています。

そんな中で、アルバイトで入ってきた白羽をを助けたことで、これまでの生き方に揺らぎが生じて・・・。

恵子の年齢は著者の年齢と同じようです。著者自身がコンビニでアルバイトをしているので、その仕事内容や人間関係が非常に現実的です。

社会人としては失格している恵子ですが、コンビニ人間としては秀逸です。人の感情は分からないのですが、お客さんが何を求めているか、自分がどのような行動をすると相手がどう反応するかなどについて精緻しています。

社会で適応できなくても、コンビニで店長、オーナー、さらには経営層として働けば、実はとんでもない逸材になるのではないだろうかと思いました。


2016年10月6日木曜日

1023.「君はどこにでも行ける」 堀江貴文

今の時代、国境は低くなっているので、スマートフォンだけ持って海外へどんどん行ってみようという内容です。

ビジネスのために外国に拠点を移すことは今やあまり有効でないものの、個人として様々な国を訪ねることはよい経験になるという主張です。

著者自身が様々な国を旅して、色々と思考する姿勢は素晴らしいと思いました。

ただ、著者は基本的にグローバリストのようであり、多くの一般的な日本人より、一部の事業家の利益を優先しているように感じました。

例えば、政治より経済を優先しているようで、中国人が日本企業や日本の水源を買うことにあまり危機感を感じないどころか、推奨しているようです。

また、先進国の中流から下流の人々を既得権益と決めつけ、リスクを取ってチャレンジしない人が豊かに生活することは認めていないようです。

海外に出て新たな経験を積んだり、海外で事業を興したりすることは素晴らしいことだと思います。しかし、それにより一部の人が成功することがあっても、日本全体の景気が浮上するわけではありません。

日本のや技術や国土を売り渡したり、単純作業のために移民を受け入れたりすることは、日本の安全保障を不安定化させるのではないでしょうか。