2016年1月31日日曜日

839.「とことん観察マーケティング」 野林徳行

マーケティング理論という机上の空論ではなく、著者の実体験から得た、マーケティング手法が紹介されています。

具体的には顧客心理の掴み方法がエピソードを交えて、説明されています。

著者は、データの収集と分析も大切にしていますが、それ以上に顧客との実際の対話を重視しています。

著者のやり方は、実際に店舗や現場に行き、長時間張り付いて顧客の現実の動向を掴みます。さらに直接話を聞いて、顧客の心理に触れていきます。そういった点では、POS情報を重視するセブン・イレブンと異なっています。

本書では、個人顧客の購買動向を掴む方法が書かれています。具体的な内容で大変勉強になりました。

2016年1月30日土曜日

838.「願いながら、祈りながら」 乾ルカ

書評を読みますと、多くの人が「泣いた」と書いていました。
興味が湧きましたが、北海道の生徒が5人しかいない分校の話に、なかなか読む気まで起こりませんでした。

退屈を覚悟して読み始めますと、意外にも最初から面白い。僻地で育った子供たちのコンプレックス、孤独さ、そして純粋さがよく描かれています。

生徒5人と、嫌々ながらその分校に赴任した新任教師の1年間が語られます。

そして、エンディングまでハラハラし、不覚にも涙してしまいました。
北海道の自然も描かれた、とても美しい物語です。

2016年1月29日金曜日

837.「中くらいの幸せはお金で買える」 藤原和博

著者は、人がオヤっと思うテーマを見つけることと、それを非常に価値あるように思わせるようにプレゼンテーションすることが非常にうまいなと思いました。

本書のネタ本は、「「幸せをお金で買う」5つの授業」エリザベス・ダン、 マイケル・ノートンと「それをお金で買いますか」マイケル・サンデルだと本書で語っています。

これを
「人との絆を結ぶ物語にだけお金を使う」
「人との絆を結ぶ物語でなければお金を使わない」
と、ロマンス風味に味付けして、TKP(ちょっと変えてパクる)しています。

内容は、あまりタイトルに合っていないような気がしました。自分がこれまでにやって来た、他人から風変わりと見てもらえるようなこと(本当に変わっているなら、本人は気づかないと思いますが・・・)を集めて、サンデルの切り口でまとめたという感じでしょうか・・・

2016年1月28日木曜日

836.「海外パックツアーをもっと楽しむ本」2015/10/3

「個人旅行でも結局パックツアーと行く場所が変わらないことが多い。それならば、偏見を捨ててパックツアーを選んだほうが、色々な予約に頭を悩ますよりも、安心して見物に集中できる」というのが本書の主張です。

とはいえ、パックツアーにしても出発日によって料金が違ったり、安くても参加者が多かったり、見どことのシーズンをはずしていたり、と結局は悩む量は変わらないように感じました。

あまりパックツアーだけの魅力について書かれていませんが、海外旅行に行くときのさまざまなテクニックなどが紹介されており、有益でした。

2016年1月27日水曜日

835.「自分再起動」 クリス・ギレボー

誰も考えつかないような目標を立てて、それに向かう。
この自分の内面を変え、人生に大きな変化をもたらす挑戦を著者は、「クエスト」と呼んでいます。

本を1000冊読むということは誰も考えつかないような目標ではありませんが、僕にとっては、1つの「クエスト」になるかもしれません。

本書の目的は、「学ぶ機会を得ること」。

紹介されているクエストは、僕にとってあまり興味が湧かないものが殆どでした。
しかし、それを成し遂げることでそれぞれの人生が大きく変わったことは興味深かったです。

「クエスト」を終えて、予想外の収穫があったことも、期待ほどの収穫がなかったこともあるかもしれません。しかし、自分でクエストを設定して、それを成し遂げたということ自体で、自分に満足感を与え、人生を豊かにしたのではないでしょうか。

2016年1月26日火曜日

834.「中国壊死-百年変わらない腐敗の末路」 宮崎 正弘、 宮脇 淳子

チベット、ウイグル、モンゴルは独立国でありながら、中国に占領されています。

チベットは高地にあり、そこで生活することもチベット人以外には困難なため、中国経済が悪化した場合には、利益目的であった漢人が撤退し、独立できる可能性があるようです。

ウイグルは、かつての東トルキスタンであり、西トルキスタンであった現在のウズベキスタンと人種、言語、文化が共通しています。トルキスタンとは「トルコ人の土地」という意味だそうです。トルコ国境には、ISのウイグル人部隊があり、これがウイグルでテロを起こす可能性があります。

内モンゴルは、漢人が8割に達しており、中国に吸収されてしまいました。独立は難しそうです。

中国経済が破綻した場合に日本経済も大きな影響を受けるとの主張もありますが、どうやら影響は限定的なようです。日本の対中国輸出依存度18.1%で21位だからです。

2016年1月25日月曜日

833.「鍵のない夢を見る」 辻村 深月

自分に依存仕切っていると思っていた相手が数年後には自分を全く覚えていない

自分を好きでたまらなく、そのために犯罪を冒した相手が全く違う動機を語る

殴られても金をむしられても愛していると思っていた相手に対して手のひらを返す

夢を追う純粋さに引かれた相手が単なる子供であったことに気づく

育児ノイローゼで自分の子供を殺す夢を何度も見る

人間がダメになっていく心の動きがよく描かれています。

日常に潜む、ありがちな出来事の裏側を明らかにしており、読むことで実際の事件の裏にもマスコミで語られている以外の心理があるのではないかと、深読みするようになります。




2016年1月24日日曜日

832.「あなたの人生がつまらないと思うんなら、それはあなた自身がつまらなくしているんだぜ。 1秒でこの世界が変わる70の答え」 ひすいこたろう

福山雅治さんは、毎年2月6日にお母さんに花束を贈っているそうです。

なぜでしょうか?

それは自分の誕生日に一番がんばってくれたのは、お母さんだからという理由です。

・・・・・・。 なんていい話だろう。私は、そんなこと考えたことがありませんでした。


レジに並ぶと、必ず遅い方のレジに当たることってありませんか?

私にはよくあります。

これは、いわば宇宙の法則だそうなので、あきらめるとのことです。

こういった日常の普通な出来事が見方を変えることで、天からの贈り物のように思える。そんな物の見方が満載されています。

2016年1月23日土曜日

831.「日本人が知らない「アジア核戦争」の危機 中国、北朝鮮、ロシア、アメリカはこう動く」 日高 義樹

中国は海軍軍拡競争という通常兵器の戦争でアメリカに敗れたため、サイバー戦争、宇宙戦争、核戦争に的を絞ったとする見立ては面白いです。

サイバー戦争は知っていましたが、後の2つは具体的には知りませんでした。

宇宙戦争とは、地上から軍事衛星や通信衛星を撃ち落とすという戦いです。アメリカの、例えば第7艦隊は、衛星からの通信で相互に連絡を取り合っているため、衛星が撃ち落とされると、目を塞がれた状態になるのです。

核戦争とは、大量破壊兵器としてではなく、通常兵器として核兵器を使用することです。核の抑止力として、自国が核兵器で先制攻撃されると、逆に核兵器で反撃されてしまうため、先制攻撃が抑止されます。

しかし、中国は、国土が広いために、先制攻撃して反撃されても生き延びれるため、核兵器を最終兵器としてではなく、普通に使ってくる可能性があるとのことです。

2016年1月22日金曜日

830.「チベットの焼身抗議 (太陽を取り戻すために」 中原 一博

中国は1950年に独立国であるチベットを侵略しました。これは毛沢東が1935年に長征でチベットを通過した時に、占領のアイデアを得たといいます。

それから65年。中共政府はチベットを占領し続け、中国領だと主張しています。しかし、チベットから、言語、文化、伝統を奪い、資源を略奪し、自然を破壊し続けています。漢人によりチベット人は支配され、独立を訴えると、問答無用で無差別に銃を乱射します。チベット人を動物のように躊躇なく殺害します。

チベットの弾圧は、過去の話ではありません。現在も進行しています。そして2015年4月に143人目が焼身自殺しました。

中国とはこういう国です。武力を持つ国には手出ししませんが、自分より弱いと見ると侵略します。

日本において、非武装中立を訴える人は、
「日本が侵略されても抵抗しなければ、国際社会が助けてくれる。」
という夢物語を語ります。

それならば、なぜ、国際社会はチベット救わないのでしょうか。

答えは簡単です。中国が国際社会たる国連の常任理事国だからです。
自らを攻撃する集団安全保障を決議するわけがありません。

日本から米軍が撤退したら、中国が侵攻してくることでしょう。そうならないためにも、防衛力を強化する必要があると思わます。




2016年1月21日木曜日

829.「日本人に足りないネイティブの英単語100: 文脈で覚えるから「使える」「話せる」」 パトリック・フォス、 酒巻バレット有里

著者は、「日本にいながら英会話を上達させる確実な方法は、英語の本を習慣的に読み、役立つ単語や語句などの語彙を覚えること」と云います。

自分のレベルに合った重要単語を扱っている英文を読み続けると、脳に入ってくる英語をより速く簡単に理解することができるので、読むスピードも速くなり、より多く英語が短い時間で分かるようになるそうです。

語彙を覚えるコツは、
1. たくさんの単語を一度に覚えようとしない
2. その単語が文章や段落の中でどう使われているか覚える
3. ネイティブによって使われる頻度が高いものを選ぶ
ことだそうです。

本書では、2つのコーパスを使い、英人、米人がよく使う単語を使って、物語が作られています。そして、1ページに1単語を取り上げ、
使い方を説明しています。

合計100個の単語を見直すことができましたが、これを読んで、読解力や語彙力が上がるかは微妙です。

2016年1月20日水曜日

828.「誰も書かない中国進出企業の非情なる現実」 青木 直人

2013年の出版なので、今の現状とは少し異なるが参考になります。

日本に本社があり、中国に子会社がある多くの企業は、現地でかかる人件費を子会社に計上しません。つまり、人件費の殆どを本社が負担しているのです。しかし、これでは粉飾決算とは言えませんが、本当に利益が上がっているかはわかりません。

それにもかかわらず、数多くの企業が中国に進出して、大成功を収めたと報じられました。しかし、中共政府が負担しない社会保障を押し付けられ、党幹部や軍幹部にたかられ、地方政府からは無理な要求を飲まされて、本当は中国事業は赤字だったのではないでしょうか。

外務省、財界、マスコミの「中国は巨大市場」との幻影に惑わされて、多くの日本企業が中国に進出しました。今、その幻想が消え去り、急速な撤退が進んでいます。


2016年1月19日火曜日

827.「株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者」 喜多川 泰

経営していたIT企業が倒産し、無職となった英雄は妻子に逃げられ、仕事を探していました。

応募しても全く採用されない英雄は、やっとのことで、タイムカプセル社に採用されます。タイムカプセル社は、10年後の自分にあてた手紙を10年経った時に本人に届けるという非常に変わった事業をしていました。

英雄の最初の仕事は、2005年に瀬戸内海の小さな島の中学校で書かれた手紙のうち、郵送できなかった5通の手紙を本人に届けることでした。

中学生の頃に持っていた夢や希望は年を経るにつれ、挫折や失望に塗られていきます。そして、段々とそれに慣れてしまい、淀んだ生活が日常となってしまう。

そんな時に届く10年前の自分からの手紙は、あまりに眩しく、時には痛みさえも伴います。

しかし、他でもない、自分から期待や励ましが凍てついていた自分の気持ちを溶かし、また、人生をやり直そうとする希望の光となります。

喜多川さんの作品はどれも素晴らしいのですが、本作は最高傑作ではないかと思いました。


2016年1月18日月曜日

826.「常識を疑うことから始めよう 」ひすい こたろう、 石井 しおり

常識から少し逃れる様々な方法が紹介されています。
その中で、気に入った方法は、これ。

1. 既存にあるものを3つあげる。
2. それぞれの要素を組み合わせて、いままでにないものを作る。

具体的には、単語が書かれた数百のカードから3つのカードを引いて、アイデアに結びつけるというものです。「一日一発明」をノルマにしていた若き日の孫正義さんがアイデアに行き詰まった時、この方法を使ったそうです。そうして、1年で250ものアイデアを生み出し、その中からソフトバンクの創業資金を生み出した電子翻訳機が発明されたそうです。

人は何か一つくらい誇れるものを持っている
何でもいい、それを見つけなさい
勉強が駄目だったら、運動がある
両方とも駄目だったら、君には優しさがある
夢をもて、目標をもて、やれば出来る
こんな言葉に騙されるな、何もなくていいんだ
人は生まれて、生きて死ぬ
これだけでもたいしたもんだ
      「ぼくは馬鹿になった」 ビートたけし

心に沁みる詩ですね。

2016年1月17日日曜日

825.「チベットの焼身抗議」 中原 一博

チベットで中国がチベット人を弾圧しているという話は聞いていましたが、ここまで酷いとは思いませんでした。しかも、過去の話ではなく、現在進行形で弾圧が進んでいます。143人めの抗議者は、2015年4月16日に焼身自殺しています。

中国は、1950年に独立国であったチベットに侵攻し、占領しました。これは、1935年に毛沢東が長征でチベットを通過した時にアイデアを得たそうです。それから65年、中国はチベットを占領し続け、中国領だと主張しています。

共産党はチベット人から、言語、文化、伝統を奪い、文化遺産を破壊し、資源を強奪し、環境を破壊しています。そして、漢人の支配体制を作り、チベット人を弾圧しています。そして、チベット人が独立を訴えると、警告なしでいきなり発砲し、動物のように殺します。

この弾圧に対して、チベット人は焼身自殺することで抗議を示しています。ガソリンを飲み、全身に浴びて火をつけ、ダライ・ラマの帰国を叫びます。

その抗議者に対して、中国公安は火を消し、殴り、発砲し、連れ去ります。病院で生き残った場合には、手足に銃創があるときには、手足を切断して証拠隠滅し、本人に違う理由を話させ、それを録画し、放映します。

亡くなった場合には、即座に火葬し、一部を家族に渡して、金をやるから違う理由であることを証言させようとします。

中国とはこういう国なのでしょう。武力を持つ国には手出しをしませんが、自分より弱いと見るや侵略し、弾圧します。

日本において、非武装中立を訴える人は、
「日本が侵略されても、抵抗しなければ国際社会が同情して助けてくれる。」
と、主張します。

それならば、なぜ、国際社会はチベットを救わなかったのでしょうか。答えは簡単です。
国際社会(=国連の常任理事国)に中国がいるからです。自らを攻撃する集団安全保障を中国自身が支持するわけがないからです。

日本も、中国から侵攻を受けないように、防御を固めることが重要です。

2016年1月16日土曜日

824.「透明カメレオン」 道尾 秀介

ラジオパーソナリティの恭太郎は、とても魅力的な声を持っていますが、外見がかなり残念で、いつもファンの期待を裏切っています。

女性にも縁がなく、30代半ばにして童貞です。仕事帰りにいつも行きつけのバー「if」に立ち寄り、その後、牛丼を食べる毎日。ifには常連以外の客がいませんが、いつも明るい笑いに包まれています。

そんなある雨の日、全身ずぶ濡れになった女性がifに入ってきて、「コースター」とつぶやくところから事件が始まります。

同じ著者の「カラスの親指」のような軽いタッチのコンゲームを予想していましたが、まさかのどんでん返しでした。

数々の伏線が貼られ、ストーリーが二転三転します。何度もピンチをifの常連の結束で切り抜けるのですが、なぜ、単なる常連がこんなに団結するのか?

そして、最後の最後にどんでん返しがあり、それまで見えていた物語の風景が一変します。

ヘタレの恭太郎が見せた、人間としての本当の強さ、優しさ、温かさが心に残りました。

2016年1月15日金曜日

823.「中国経済「1100兆円破綻」の衝撃」 近藤 大介

中国メディアは、上海株式市場において、2015年6月15日から7月8日までのわずか3週間で7,000万人以上が平均40万元(約800万円)を失ったと報じました。

そして、信用取引によって自己の投資額の何倍もの損失を出した個人投資家「股民(ダーミン)」の飛び降り自殺「跳楼(チョーロウ)」が続出したそうです。

社会主義市場経済とは、政治は社会主義で、経済は市場経済という論理的にあり得ない政治体制です。社会主義とは計画経済のはずですが、経済を市場経済としたら資本主義になります。
つまり、社会主義市場経済とはこういった矛盾をゴリ押しする一党独裁の資本主義、すなわち、ファシズムでなないでしょうか。


中国の人口は約13億人であり、富裕層(共産党幹部)約3000万人、中間層(都市住民)約6億人、下層約7億人からなります。この13億人をもって「巨大市場」というのですが、下層は富裕層から搾取されるのみで購買力はありません。仮に下層が購買力を持つほど賃金が上がれば、工場の殆どが中国から逃げているからです。

また、爆買いを行っていたのは、中間層ですが、この層は上海株式市場の暴落と中国経済の失速で、もう爆買いできる余力はないと思います。

中国がIMFのSDR化を取得するメリットは、
1. 人民元による世界への融資と投資を可能にする
2. 中国を中心とした世界の富の再配分を行える
3. 世界における中国の金融機関の地位を格段に押し上げる
4. 多種、多様な税収が期待できる

このうち、1のメリットが一番大きいと思います。
もはや、「世界の工場」も「世界の市場」も行き詰った以上、「世界への進出」しか生き残り策がありません。つまり、国内でだぶついた労働力と資材を、「一帯一路」で輸出し、AIIBで決済するという方法です。

SDRは今年認められそうですが、AIIBはジャンク債との評価なので、この目論見は頓挫するのではないでしょうか。

2016年1月14日木曜日

822.「五代友厚――蒼海を越えた異端児」 髙橋直樹

NHK連続テレビ小説「あさが来た」で五代友厚がよく登場するので、興味を持ち読んでみました。

小説としてはテンポが速く、深掘りも少ないため、問題が次々と解決してしまい、あまりハラハラしません。小説と新書の中間のような作品です。

本書では、英語があまりうまくないように描かれていますが、話せる人物を使い、外国人におくせずグラバーなどの懐に飛び込んで行きます。情報収集と人脈で成功を築いたようです。

あさのモデルとなった広岡浅子は、一度しか描かれていません。

明治維新から、新政府が安定するまでの様子を感じることができます。


2016年1月13日水曜日

821.「ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる」山田 昭男

売上を上げるためには、長時間働くことが必要という先入観があります。
しかし、未来工業は残業を禁止し、一日の労働時間は7時間15分としながら好業績を上げているそうです。

その秘訣は、「常に考える」というスローガンにあるように社員全員が考えることだそうです。

労働時間のうち、移動など実際には何もしていない時間が結構あります。「常に考える」ことで、そういった無駄な時間を減らすとともに、時間当たりの生産性を高めれば、短時間で好業績を上げることが可能になるのではないでしょうか。

考えること、任せること、やる気を起こさせることの重要性を再認識しました。


2016年1月12日火曜日

820.「2016年 中国・ユーロ同時破綻で瓦解する世界経済 勝ち抜ける日本」三橋 貴明

2015年は、TPP妥結、発送電分離、労働規制緩和、医療制度の構造改革、農協改革という数々のデフレ化政策が決定されてしまいました。

それぞれは、消費者の購買価格が安くなるという触れ込みですが、デフレが進む政策であり、消費者の購入価格が安くなる以上に労働賃金が安くなるので、国民が貧しくなります。

つまり、グローバリストが利益を得るということです。

グローバリストとは、英語を話し、国境を股にかけてビジネスを展開し、投資から得られる配当や売却益により生きていく他国籍人です。
一方、ナショナリストは、日本語を使い、生産者として日暖で労働し、労働による所得で生きていく日本人です。

現代の日本では、前者をカッコいいとする風潮が強く、英語学習や金融機関での仕事がもてはやされます。しかし、投資家より生産者の方が多くなるのが自然であり、日本人である以上、英語での議論でネイティブに勝つことは困難である以上、グローバリストの数は限られることになります。

そして、グローバリスト向けに法人税を下げる一方、その不足分を補うために消費税率を上げます。名目は、社会保障費が高騰するからと言いますが、実際には法人税と消費税率には相関関係があります。

こうなりますと、2016年も3本の的、もとい、3本の矢の元でデフレが進行するという暗い展望ですが、人口が減少する状況で、移民さえ大量に入れなければ、自然に賃金が上昇するという明るい兆しに期待しています。


2016年1月11日月曜日

819.「平和の敵 偽りの立憲主義」岩田 温

「この第9条の討論の中においてはっきりしたことは、すなわち自衛権をわが国が棄てたということである。自衛権がないわが国の民族、これの独立さえ棄てよということが、この条項の中にはいっている。われわれ共産党はこれに対して徹底的に反対した。」
野坂参三日本共産党第一書記 1946年12月17日 衆議院本会議

「憲法第9条を守れ!」と叫ぶ日本共産党ですが、実は日本国憲法の成立過程において、第9条に対して、「徹底的に反対」していたのですね。非常な驚きです。

そして、その主張内容「自衛権をわが国が棄てたということである。自衛権がないわが国の民族、これの独立さえ棄てよということが、この条項の中にはいっている。」は、保守派ですら言い淀むような正論です。

「この憲法の規定は、たとえどのような理屈をならべようとも、相手側から仕掛けてきた攻撃に対する自己防衛の冒しがたい権利を全然否定したものとは絶対に解釈できない。」
ダグラス・マッカーサー 1950年1月1日 「日本国民に告げる声明」

日本国憲法を作った側のマッカーサーですが朝鮮戦争を体験して、憲法の内容を失敗したと思ったのではないでしょうか。

マッカーサーの目論見は、日本を弱体化させ農業国にしてしまい、もはやアメリカに逆らう国などない世界で日本の防衛はアメリカが軽く賄えるということで非武装中立の憲法を作ったのではないでしょうか。

ところが、朝鮮半島は古来より、ロシアと支那によって狙われ続け、朝鮮は事大主義のため安定しないという地域です。

朝鮮戦争を指揮したことで、朝鮮半島の不安定さや危険さが身に沁みた分かり、日本に防衛力が不可欠であると思い至ったのでしょうか。



2016年1月10日日曜日

818.「野球部あるある 新装版」 菊地選手

2011年に出版され、一時ブームとなり「あるある本」ブームを巻き起こしました。しかし、初版は、ある問題により増刷されることなく絶版となってしまいました。

出版社が代わり記事が追加されて、新装版として再登場です。

私は野球部員ではなかったのですが、読んでいてクスッと笑える話が満載です。野球部員だったら爆笑でしょう。

学校名あるある①
「明大中野八王子って、結局どこだよ!」という会話が飛び交う(東京限定)。

学校名あるある②
「東村山西って、結局どっちだよ!」という会話が飛び交う(東京限定)。

の2つが気に入りました。


2016年1月9日土曜日

817.「きのうの影踏み」 辻村 深月

日常生活に潜む、ちょっとゾクッとする怪談集です。

さい銭箱に”消したい”人の名前を書いた紙を投げ込む十円参り
うわさの出所を地図にする噂地図
子供を交通事故でなくした緑のおばさん

背筋が凍るとか、ページをめくるのが嫌とかまでは怖くはないが、話のきっかけがよくある話なので、身近に感じます。

しかし、その先がおかしなことになっていきます。その現実と幻想の境目が実にスムーズであり、そうなると、こういうことって実際にあるのかもと、恐怖を実感します。


2016年1月8日金曜日

816.「メグル」 乾 ルカ

「あなたは行くべきよ。断らないでね。」

大学の学生部へアルバイトを探しに行った学生たちは、奨学係のユウキからこう言われます。紹介されたアルバイトはいずれも奇妙なものばかり。
遺体の手を一晩中握る
病院のコンビニの棚卸し
犬のエサやり
作られた料理を食べる
庭の囲い外し

学生たちはあまり気乗りしないものの、アルバイト料に惹かれて、しぶしぶ働きます。

それぞれの仕事には、実は秘められた意味があり、その意味に気づいたときに、学生たちが抱えていた深刻な悩みにも影響を与えます。

人間の寂しさ、恨み、傷、心残りという心理がアルバイトで明らかになり、そして癒やされていく、面白い小説です。


2016年1月7日木曜日

815.「逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法」 桜井 博志

2015年の12月初旬に、インターネットラジオの公開収録に参加しました。その時のゲストが著者の桜井さんです。

それまで「獺祭」という日本酒を知りませんでしたが、安倍首相がオバマ大統領に贈った山口県の有名な日本酒だそうです。

著者は、父親の急死により実家の酒蔵を継ぐことになります。当時、売上高が毎年、前年の80%という緩慢な業績悪化を続けていました。山口県の酒造のなかでは第4位で「旭富士」というブランドは知られていたものの、紙パックなどの工夫を凝らしても売上は浮上しませんでした。

そこで、著者は商品を大吟醸にしぼり、「旭富士」のブランドを捨てて、新たに「獺祭」のブランドを立ち上げます。そして、市場を山口県から東京、パリと切り替えて新たなブランドと市場の構築に挑戦します。

杜氏に頼らないで社員のみで製造し、業界の通説を打ち破って冬場のみならず一年中生産するなどの改善により、「獺祭」はあらたな顧客を創造していったのでした。

本書から、日本の文化や伝統に自身を持てない日本人は、外国へいっても通用しないことに気づきました。

さらに、日本の強みは「改革」ではなく「改善」、つまり自己変革し続ける「保守」であると感じました。それまでの伝統をすべてひっくり返す「易経革命」でなく、少しずつ改善し続けていくことと思いました。

2016年1月6日水曜日

814.「断末魔の中国経済 韓国・台湾まとめて無理心中」黄 文雄

「これからは中国の時代」と、中国語学習を勧める人がいますが、そもそも「北京語」が中国国内で普及していません。

蒋介石も鄧小平も「北京語」を話せなかったそうです。そんな中国の一地方語を学習するメリットはあるのでしょうか。

中国経済は、経済人、財界人にも知ることが難しいそうです。なぜなら、中国では経済は政治の一部であり、文化、芸術、スポーツ、言語、宗教もすべて政治に一元化されているからです。

「中国では、みずから「技術開発」の努力をするよりも、パクリか、「商標ゴキブリ」が世界にその名を知られている。業者と政府が結託して世界の有名ブランドの「商標」を先に登録し、中国で生産するか、外国企業にその商標を売る」と著者はいいます。確かに、日本の特許公開公報を中国で出願したり、「クレヨンしんちゃん」といった日本の商標を中国で出願することは日常茶飯事です。

とはいえ、こういった短期的な利益を追い求めた結果、技術的な蓄積はなく、中国で信頼されるブランドも育っていません。人件費が上がっている現状で、外資が生産を他国へ移したら、もはや回復する術はないと思います。


2016年1月5日火曜日

813.「紛争輸出国アメリカの大罪」 藤井 厳喜

最近では、オバマ大統領が
「アメリカは、もはや世界の警察官ではない」
とわざわざ発言したために、
中国は南シナ海で人口島を作り、
シリアは化学兵器を使用しました。

ウクライナでも情勢を読み違え、クリミア半島がロシアに併合されました。

「アラブの春」に陰で協力し、そもそも民主主義がない国々で革命を起こした結果、無政府状態となり、イスラム原理主義の台頭を許しました。

アルカイダは、アフガニスタンでアメリカが支援したロシアに対するゲリラ勢力が元ですし、
ISISは、アメリカが解体したフセインのバース党が多くを占めています。

日米戦争をはじめ、世界の大きな紛争のきっかけの多くがアメリカが作っていることがよく分かりました。


2016年1月4日月曜日

812.「ブラック・デモクラシー 民主主義の罠」 藤井聡、 適菜収

「まっとうな熟議に耐え得ない意見を持つ者」は、何よりもまず「多数決」こそが崇高なるものだと主張しつつ、あらゆるまっとうな議論を封殺しにかかるそうです。

さもなければ、彼の意見が如何にレベルが低く、稚拙で嘘にまみれたものかが、一瞬にしてばれてしまうからです。

そして、以下の4つの振る舞いを忠実に繰り返していれば、デモクラシーを真っ黒なものに仕立て上げ、邪悪なものであろうと何であろうと、政治的正当性を付与することに成功します。
1. 多数決崇拝
2. 詭弁
3. 言論封殺
4. プロバガンダ

大阪都構想の住民選挙において、日本維新の会(当時)は、これを巧妙かつ執拗に行い、当初は大きく離されていた賛成票を、僅差にまで持ち込んだのでした。

1. 多数決崇拝:議会で否決されても、住民投票がすべてと選挙に持ち込む
2. 詭弁:住民投票で勝っても実際には大阪都にはならず、単に大阪市が5つに分割されるだけだった
3. 言論封殺:詭弁を暴いた大阪大学の藤井教授がテレビに出演できないよう、放送局と国会で圧力をかけた
4. プロバガンダ:政党交付金のうち5億円を宣伝広告に使い、橋下行政の実績を過大に認識させた

非常に大衆の心理をうまくコントロールしたと思います。
大阪都構想は、「これが最後です」と煽ったにもかかわらず、否決されました。
しかし、おおさか維新の会は、前言撤回して、再度、大阪都構想を実施しようとしています。

今後の動きに注目です。

2016年1月3日日曜日

811.「渡邉哲也のポジショントーク未来予測法 「経済の先行き」「世の中の動向」がなぜこれほど明確にわかるのか」 渡邉 哲也

ポジショントークとは、自分を有利にするためにする発言です。

人がするすべての言説は自己の利益を目的にしています。よって、すべての言説はポジショントークであるということになります。

ポジショントークを読み解く基本的な視点は、「その発言によって誰がどのように利益を得るか」ということです。

「この人は、なぜこんな言説をしているのか」を考えれば、そこに何らかの利益が絶対あるはずだからです。

こういった発想をしたことがなかったので、よい視点を得ました。こういう観点で発言の真意を探ってみたいと思います。

2016年1月2日土曜日

810.「優れた社長は、コンサルタントをどう使うのか?」 五藤 万晶

著者は、ダイナミック・コンサルタントという独自の概念を提示しています。これは、ある分野に特化した専門コンサルタントのことを表し、一般にイメージされる従来型の経営コンサルタントと区別しています。

本書では様々な事例を紹介し、社長が自社の課題を解決するためにコンサルティングを導入して成功した例、失敗した例を解説しています。

失敗した例では、コンサルティングの目的が不明確なままスタートしてしまい、組織風土が壊されてしまったり、売上は上がったもののコンサルタント自身がその会社の商品を売っていたため、営業社員が依存的になったしまったりしました。

成功した例はコンサルティングの目的を明確化し、依頼するテーマを絞ったうえで、そのテーマを社員が自律的に運営する仕組みを作るというものです。

コンサルティングを導入する際には、経営課題を明確にし、依頼するテーマを限定して、その分野の専門コンサルタントに依頼することがポイントと分かりました。

2016年1月1日金曜日

809.「若返ったゾ! ファスティング」 船瀬 俊介

ファスティングとは、明確な定義はありませんでしたが、断食や少食をいうようです。

断食や一日一食にすると体重が減り、毒素なども排出されて健康になるという考え方です。

本書では様々な体験談が紹介され、非常に興味深いです。特に科学的根拠は示されていないのが惜しいです。

ファスティングをすると、最初は体調が悪化し、それから陽転反応が出るとのことですが、素人には真偽のほどが分かりません。

完全な断食までしなくても、一日一食で効果がありそうなので取り入れてみたいです。