2016年10月31日月曜日

1034.「しろいろの街の、その骨の体温の」 村田沙耶香

舞台は、新興住宅街。ダイエーがあり、景気が悪化していっていることから1990年代と思われます。

小学4年生と中学2年生の結佳を描くことで、成長期の少女の心と性を描いています。

小学4年生では、自分の中の性に気づくとともに、自分の骨が拡大する街と同じように成長していきます。

中学2年生では、行き場のない感情が開発中止によって閉ざされてしまったトンネルと重なって閉塞感に押し潰されていきます。

クラス内カーストの下位層からも弾き出された結佳は、階層の重圧から解き放たれ、自分の価値観を手に入れます。

その時に、それまで嫌いで仕方がなかった白い街(=成長期の自分)を好きになれたのではないでしょうか。

2016年10月28日金曜日

1033.「余命三年時事日記ハンドブック」 余命プロジェクトチーム

民主党政権成立の影に在日朝鮮韓国人の支援があったこと、ヤクザの3割が在日であること、マスコミには多くの在日が潜り込んでいることなど、にわかに信じられない内容ばかりでした。

また、終戦時の日本人に対する残虐な行為、その後の土地の不法収奪、生活保護の不正受給など、納得がいかないことばかりでした。

1959年7月13日付「朝日新聞」に
「戦時中に徴用労務者として来た者は245人に過ぎず、現在、日本に居住している者は犯罪者を除き、自由意思によって在留したものである。」
という外務省発表が掲載されています。

つまりは、強制的に日本に徴用されて来たのだから、応分の補償をしろという主張は嘘であるということですね。


2016年10月27日木曜日

1032.「経済学私小説〈定常〉の中の豊かさ」 齊藤誠

小説で経済学を学べる点が非常に面白いです。とっつきにくいテーマに触れやすいです。

ただ、1000兆円の国債を国の借金とし、相殺できる債務に触れず、政府が借金をしている相手が日本国民であることを明らかにしないのは不公平だと思いました。経済学者は、本当にこう考えているのか、経産省の覚えをよくしたいのか分かりません。

また、国債を消費税で返済するように思えてしまう記載も不適切です。目的税ではないのだから、消費税で国債を返済したり、社会保障に当てたりするという説明は、国民を欺く目眩ましと感じました。

2016年10月26日水曜日

1031.「世界のニュースがわかる! 図解地政学入門」 高橋 洋一

地政学というより、帝国主義の世界史といった内容です。ランドパワー、シーパワといった用語も出てきません。

戦争によって中国とロシアがいかにして領土を拡大していったかが分かります。

個別的自衛権と集団的自衛権の戦争回避に対する影響の著者の試算が勉強になりました。

  • 個別的自衛権のみの場合、戦争が起こる可能性は、2%
  • 個別的自衛権と集団的自衛権を組み合わせた場合、戦争が起こる可能性は、1.6%

集団的自衛権を組み合わせると戦争の可能性が0.4%下がりるそうです。

民主主義国家は戦争を嫌います。国内で戦争反対の意見も拮抗するからです。
一方、独裁国家は戦争に躊躇しません。国家元首の意思のみで戦争を起こせるからです。
そうなると、すぐ近くに2つの独裁国家がある日本は、常に戦争の脅威に晒されていることになります。

技術がない国は、資源と市場を求めて、新たな土地を求めます。それがロシアと中国に見られるようです。

日本は、技術力があるため、領土問題がある地域を除いて、現在の領土を拡張しする必要がないと思います。技術があるので、単に貿易をすればよいだけですから。

そして、過去の満州、台湾、韓国の併合は日本からの持ち出しが多かったことを考えても、戦争による領土拡大は日本にとっては、ほとんど利益がないものと思われます。



1031.「世界のニュースがわかる! 図解地政学入門」 高橋 洋一

地政学というより、帝国主義の世界史といった内容です。ランドパワー、シーパワといった用語も出てきません。

戦争によって中国とロシアがいかにして領土を拡大していったかが分かります。

個別的自衛権と集団的自衛権の戦争回避に対する影響の著者の試算が勉強になりました。

  • 個別的自衛権のみの場合、戦争が起こる可能性は、2%
  • 個別的自衛権と集団的自衛権を組み合わせた場合、戦争が起こる可能性は、1.6%

集団的自衛権を組み合わせると戦争の可能性が0.4%下がりるそうです。

民主主義国家は戦争を嫌います。国内で戦争反対の意見も拮抗するからです。
一方、独裁国家は戦争に躊躇しません。国家元首の意思のみで戦争を起こせるからです。
そうなると、すぐ近くに2つの独裁国家がある日本は、常に戦争の脅威に晒されていることになります。

技術がない国は、資源と市場を求めて、新たな土地を求めます。それがロシアと中国に見られるようです。

日本は、技術力があるため、領土問題がある地域を除いて、現在の領土を拡張しする必要がないと思います。技術があるので、単に貿易をすればよいだけですから。

そして、過去の満州、台湾、韓国の併合は日本からの持ち出しが多かったことを考えても、戦争による領土拡大は日本にとっては、ほとんど利益がないものと思われます。



2016年10月25日火曜日

1030.「経済は世界史から学べ!」 茂木 誠

世界史の視点から経済を解説するユニークな企画です。

経済とはいっても、数式で経済事象を説明するのではなく、過去に起きた経済的な出来事から経済のテーマを読み解いています。

全ての解説に同意できたわけではありませんが、総じて経済事象の歴史がよく分かりました。

2016年10月24日月曜日

1029.「私が失敗した理由は」 真梨 幸子

著者の作品である「孤虫症」のモデルとなった埼玉県田喜沢市のタワーマンション。

そのマンションで一家四人殺害事件が発生します。

その容疑者も含め、「私が失敗した理由は」という書籍が企画されます。成功するためには失敗を避けることという趣旨なのですが、この本に関わった人は次々と非業の死を遂げていきます。

果たして犯人は誰なかの?

読み終わった後、また、最初から殺された人の行動を確認してしまいました。

そして、カタカナと漢字で同一人物が描かれていますが、カタカナの時の人物の印象が非常に薄いことに気づきます。日本人にとって、漢字で書かれていない名前は印象に残らないのでしょうか。そういった心理までうまく突いています。

読み終わった感想は、「過去のブログで「孤虫症」をホメておいて良かった。そして、この本は素晴らしい。」です。読んだ人にしか分からないのでしょうが、これが私の失敗しない理由です。

2016年10月14日金曜日

1028.「本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方 (SB新書)」 堀江 貴文

「パッと読んで、気づいて、この本は捨ててしまうくらいが、やっぱり一番いいと思う。」

著者が序文で言うように、拘りすぎず、引きづられすぎず、疲れた時の栄養ドリンクのように読むといい本だと思いました。

「お金がないという言い訳は無意味である」
という言葉にその通りと思いました。
それは、「信用があればお金はなくとも何とかなる」から。
その言葉を参考に来年5月のスペインでの国際会議に出席できる方法を考えるつもりです。

猫ひろしさんのカンボジアへ帰化してオリンピックに出場というアイデアが著者のものだったと知り、驚きました。

「情報は取り入れたら、そのまま忘れてしまって構わない。本人が忘れたつもりでも重要な情報は脳の片隅にちゃんと残っている」という考え方は、情報収集の指針となりました。

2016年10月13日木曜日

1027.「日本共産党研究――絶対に誤りを認めない政党」 産経新聞政治部

学生の頃、歴史の授業で習った共産主義者は、戦争に反対して特高から弾圧された戦争に平和を求める人という印象を持っていました。

しかし、実体はソ連一国が共産主義国として孤立することを防ぐために、コミンテルンにより世界中に撒かれた細胞だったと知り、愕然としました。

共産党は、労働者の要求を援助し、経営者に対抗する。一見すると労働者の味方にも見えます。しかし、企業が売上を伸ばすことは考えていないため、結局、労働者の待遇も改善されません。それでいいと考えているのかもしれません。共産主義は労働者が豊かになることが目的ではないからです。

共産主義は、労働者が貧しくても等しく貧しく、その上に立つ指導者層が豊かになるための手段だからと思えます。それは、旧ソ連、中華人民共和国、北朝鮮人民共和国に見られる、権力奪取の手口です。

現在では、普通の政党とみなされようとしていますが、れっきとした革命政党だそうです。天皇制を廃止させ、自衛隊を解散させた先に何を狙っているのでしょうか。

また、そういう政党を手を組んだ野党は何を目指しているのでしょうか。

2016年10月12日水曜日

1026.「陸王」 池井戸 潤

588ページという長編小説で、読むのに少なくとも3日はかかるだろうと思い読み始めました。ところが面白すぎて1日で読み切ってしまいました。

老舗企業が真綿で首を絞められるように衰退していく様や、その状況下で新規事業が生まれていく姿が実によく描かれています。

新規事業はマーケティングから生まれたのではなく、人との関わりでヒントを得られ、人との関わりで事業化されていくことが書かれています。これが机上の空論ではなく、新規事業が起こっていく実際の姿に近いのではないかと感じました。

「人間同士の信頼が最も大切」、「のれんを守ることの困難さ」、「経営という終わりなき競争」ということがよく分かりました。

2016年10月11日火曜日

1025.「全国民が豊かになる 最強の地方創生」 三橋 貴明

最初のアベノミクス1本目の矢である金融緩和で金利が下がり円安になりましたが、期待されていた投資は行われず、輸出も伸びず、トリクルダウンは全く起こりませんでした。

投資が行われなかったのは、デフレ下では景気上昇が見込めないからです。しかも、2本目の矢である公共投資も行われませんでした。

輸出が伸びなかったのは、主たる製造メーカーとその関連企業は既に海外生産を行っているからです。

そのため、国内で資金がダブつき、金利がほとんどつかない国債が買われています。国債暴落論とは全く反対の動きです。

円安によって外資が日本株を買ったので、日経平均株価は上がりましたが、株の売買では実体経済に影響がありません。それどころか、GPIFの投資額を増やしたため年金基金から損失も出ています。

この状況を打開する方策として著者が主張しているのが、「交通インフラへの投資」です。
新幹線の延伸、リニアモーターカーの導入前倒し、貿易港の拡充などへの投資はそれ自体が実質GDPを押し上げ、さらに地方が東京に近づくことで地方の産業が創生されます。その結果、人口が東京一極集中から地方へ分散され、東京での大規模災害に対するリスク・ヘッジになります。

非常に良いプランだと思いました。これを阻む、財政均衡政策と少子高齢化による日本壊滅論を打破し、国土強靭化を実施してもらいたいです。

2016年10月7日金曜日

1024.「コンビニ人間」 村田 沙耶香

36歳の恵子は、大学卒業後も正社員とならず、コンビニエンスストアで18年間アルバイトをしています。

子供の頃から動物の死に対して無感動で、友達の頭をスコップで躊躇なく殴り、授業中に先生のスカートとパンツを引き下ろしたりします。

発達障害の徴候なのか、基本的に感情や道徳心が欠如しています。

人間社会に適合できないのですが、たまたま、コンビニエンスストアという無機質な箱に出会い、そのマニュアルや仕事上のコミュニケーションが水にあい、社会生活を続けています。

そんな中で、アルバイトで入ってきた白羽をを助けたことで、これまでの生き方に揺らぎが生じて・・・。

恵子の年齢は著者の年齢と同じようです。著者自身がコンビニでアルバイトをしているので、その仕事内容や人間関係が非常に現実的です。

社会人としては失格している恵子ですが、コンビニ人間としては秀逸です。人の感情は分からないのですが、お客さんが何を求めているか、自分がどのような行動をすると相手がどう反応するかなどについて精緻しています。

社会で適応できなくても、コンビニで店長、オーナー、さらには経営層として働けば、実はとんでもない逸材になるのではないだろうかと思いました。


2016年10月6日木曜日

1023.「君はどこにでも行ける」 堀江貴文

今の時代、国境は低くなっているので、スマートフォンだけ持って海外へどんどん行ってみようという内容です。

ビジネスのために外国に拠点を移すことは今やあまり有効でないものの、個人として様々な国を訪ねることはよい経験になるという主張です。

著者自身が様々な国を旅して、色々と思考する姿勢は素晴らしいと思いました。

ただ、著者は基本的にグローバリストのようであり、多くの一般的な日本人より、一部の事業家の利益を優先しているように感じました。

例えば、政治より経済を優先しているようで、中国人が日本企業や日本の水源を買うことにあまり危機感を感じないどころか、推奨しているようです。

また、先進国の中流から下流の人々を既得権益と決めつけ、リスクを取ってチャレンジしない人が豊かに生活することは認めていないようです。

海外に出て新たな経験を積んだり、海外で事業を興したりすることは素晴らしいことだと思います。しかし、それにより一部の人が成功することがあっても、日本全体の景気が浮上するわけではありません。

日本のや技術や国土を売り渡したり、単純作業のために移民を受け入れたりすることは、日本の安全保障を不安定化させるのではないでしょうか。

2016年10月5日水曜日

1022.「パナマ文書 : 「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う」 渡邉哲也

パナマ文書とは、パナマにある「モサック・フォンセカ」という法律事務所から流出した、1970年から40年間におよぶオフショア金融センターを利用した企業や人の取引情報です。

この文書には、世界各国の政治家を含む富裕層が持つタックスヘイブンの法人名や関連する個人名が記載されています。

この文書により、かねてから噂されていた、タックスヘイブンを利用した脱税やマネー・ローンダリングが明らかにされました。

各国はこれらの不正取引に対する対策を厳格化しています。

本書はその各論につき非常に詳しく説明されており、著者の情報収集能力や博識さに驚くばかりです。

2016年10月4日火曜日

1021.「道徳感情はなぜ人を誤らせるのか ~冤罪、虐殺、正しい心」 管賀 江留郎

昭和初期に紅林部長刑事により引き起こされた冤罪事件について、その事件が起こった背景、原因、人間関係を深く読み解いています。

武蔵事件、浜松事件、幸浦事件、二俣事件、小島事件と数多くの冤罪事件が、証拠捏造や暴力により作り出されていました。

その根底には、旧内務省と旧司法省との確執もありました。

メインテーマから少し離れた情報が沢山提示され、読者は混乱します。これは、多くの情報が押し寄せる裁判官の状況を体感させる狙いからだそうです。

非常に深い話なのですが、何故、道徳感情が冤罪を生み出したのかは、私には明確な答えが出ませんでした。

2016年10月3日月曜日

1020.「アンマーとぼくら」 有川 浩

何だかホロリと来る物語です。

いつまでも子供の心を持つ父と母を亡くしたばかりの息子。
そこに元夫から心の奥底まで傷つけられた女性が再婚相手として突然現れます。

血は繋がらないが、偽りなく父と自分を愛してくれた義理の母。その思いを特別な3日間で深く知ることで自分はとても幸せだったと迷いなく信じられたのでしょう。

沖縄の美しい風景と独特の文化が物語に彩りを添えます。

物語を読んで、本の表紙を広げてみると、何とも言えず心が温かくなります。