2017年6月30日金曜日

1186.「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学 」 中野 剛志

「アメリカでは、ベンチャー企業がどんどん起業してイノベーションを起こし、経済を牽引している。日本もアメリカに学ぶべきだ。」という概念を根底から覆してくれる本です。

根拠も論旨も明快で、いつもながら流石という内容です。

ポイントは次の5つです(本書より引用)。
1.アメリカはベンチャー企業の天国ではない。
2.アメリカのハイテク・ベンチャー企業を育てたのは、もっぱら政府の協力な軍事産業育成政策である。
3.イノベーションは、共同体的な組織や長期的に持続する人間関係から生まれる。
4.アメリカは1980年代以降の新自由主義的な改革により金融化やグローバル化が進んだ結果、この40年間、生産性は鈍化し、画期的なイノベーションが起きなくなる「大渋滞」に陥っている。
5.日本は1990年以降、アメリカを模範とした「コーポレート・ガバナンス改革」を続けた結果、アメリカ経済と同様に、長期の停滞に陥っている。

世の中で信じられている経営論と真逆の内容が続くのですが、非常に腑に落ちます。そして、日本の名門企業が次々に失墜している理由にも思い当たります。

では、日本で起業し、イノベーションを起こそうと考えている人はどうすればよいのか?

その答えは意外ですが、決して突飛なものではありませんでした。

2017年6月29日木曜日

1185.「今や世界5位 「移民受け入れ大国」日本の末路: 「移民政策のトリレンマ」が自由と安全を破壊する」 三橋貴明

日本のマスメディアの報道からは、にわかに信じられないタイトルです。

その原因は、まず「難民」と「移民」の混同にあります。

難民とは、対外戦争、民族紛争、人種差別、宗教的迫害、思想的弾圧、政治的迫害、経済的困窮、自然災害、飢餓、伝染病などの理由によって居住区域(自国)を離れた、あるいは強制的に追われた人をいいます。

移民とは、通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人をいいます。

平成28年度の日本の難民認定者数は28人で、人道上の配慮を理由に我が国での在留を認めた者が97人とあわせて、125人が在留を認められました。

これに対して、2014年度の日本の移民者は34万人であり、ドイツ(134万人)、米国(102万人)、英国(50万人)、韓国(41万人)に次ぐ、第5位です。移民国と思われているフランス、カナダ、オーストラリア、ニュージランドよりも多いのです。

今後、移民増加による様々な問題が浮き彫りになると思います。移民の制限と移民政策の再検討が必要だと思いました。

2017年6月28日水曜日

1184.「『男前マスク』と『王女のマスク』: 留目弁理士 奮闘記!」黒川正弘,

弁理士が主人公の珍しい小説です。

下町に特許事務所を開いた主人公が近所の中小企業を知財によって買収から助けるというストーリーです。

ただ、細かい点で正確ではない記載があり残念でした。

「きっと、せんせーがいい特許を書いてくれます。」
⇒特許は書けません。書くのは明細書で、そこに書かれた発明に特許が付与されます。

「『もし、儲かったら、そのときにいただきます。』とは言ったものの大変な持ち出しになる。」
⇒特許庁に支払う印紙代は払ってもらったとあるので、後は弁理士の手数料です。そのため、持ち出しは殆どないはずです。

「実用新案だと、出願と同時に権利を得ることができます。費用だって格段に安くすみます。」
⇒出願と同時に権利を得ることができるわけではありません。そして、特許出願に比べれば、確かに安いかもしれませんが格段までではないです。また、実用新案は権利行使時に問題があるので多くの弁理士は強く薦めないのでは?

細かい点で「あれっ」と思うことはありますが、発明や権利化の流れがわかり、この分野の小説は少ないので、貴重な作品です。

2017年6月27日火曜日

1183.「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」 中島聡

Windows95の開発に携わり、その後ベンチャー企業を立ち上げバイアウトした著者の仕事術です。

「締切は絶対に守るもの」との哲学のもと、「最初の2日で仕事の8割を終わらせる」という行動規範が著者の成功の原点のようです。

ロケットスタート時間術、プロトタイプの作成、予習の効果、タスク管理、30分前集合など、実体験から法則化したやり方は、多くの人にも効果があるものと思いました。

パソコンの創成期の話も知ることができ、勉強になった一冊です。


2017年6月26日月曜日

1182.「31歳からのほぼ0円留学--まだ間に合う「学び直し」!」 山本 知美

31歳以上でお金をあまりかけずに海外留学する方法が紹介されています。

初級は就労留学、インターンシップ留学、英語村です。

就労留学は、フィリピンやマレーシアのコールセンターで仕事をする代わりに、渡航費や語学学校費を出してもらうというものです。こんな方法があるとは知りませんでした。

インターンシップ留学は、オーストラリアやニュージーランドの旅行会社などで働きながら英語を学ぶというものです。実用英語が学べそうな反面、日本語で話す機会が多いかな。

英語村は、日本国内にある英語村に宿泊して英語を学ぶというものです。こういう施設があるんですね。徐々に増えているようです。

中級はボランティア留学です。これは、外国の農場などに住み込んで働くもので、各国から人が集まるので英語を使わざるを得ないという情況になるものです。かなり英語の力がつきそうですが、ある程度英語を話せる人でないと挫折しそうです。

上級は、海外青年協力隊です。ただ、ここまでくると英語圏ではない国にもいくので、英語の学習というより、ボランティアと適応力強化が目的となりそうです。

学校を卒業した後でも、留学の機会があることを知り、自分でもやってみたいと思いました。

2017年6月23日金曜日

1181.「在日特権と犯罪」 坂東忠信

この本は、本当に勉強になりました。

「三国人」って差別用語だと思っていましたが、違うようです。

大東亜戦争の敗戦後、それまで同じ国の国民と思っていた在日朝鮮民族の一部が「戦勝国民」と名乗って、推定2000人の日本人を殺し、財産を奪い、駅前の土地を不法占拠しました。GHQがこれを鎮圧し、「彼らは戦勝国民ではない。敗戦国民でもない。第三国民である。」と言ったことが、「三国人」の起こりだそうです。

また、現在日本には約40万人の在日朝鮮民族が存在します。これらの人は特別永住者というくくりですが、滞在資格が世襲制で更新審査がなく犯罪を起こしても強制送還がないなどの特権があります。そしてそのうちの3万人近くが生活保護を受けています。

日本は移民を受け入れていないと非難する人がいますが、実体は多くの移民が住む移民国家だと思いました。

2017年6月22日木曜日

1180.「超一流の雑談力「超・実践編」」 安田 正

雑談力を高めるための具体策が書かれています。

気に入ったのは「オチをつける」
自分の話って、あまりオチがないなと悩んで(?)いましたが、芸人ではないのでそれは当たり前とのこと。
それではどうするかと言えば、「定番ネタ」をいくつかストックするそうです。
その「定番ネタ」を何度も話しているうちにオチをつけるコツもわかってくるとのこと。

もう一つは「出身地ネタ」
この効果については僕も気づいていました。「出身地ネタ」ははずさないんですよね。
「ケンミンショー」などをたまに見て勉強しています。
「出身地ネタ」は古くならないので覚える価値があるとのこと。
その通りだと思いました。

2017年6月21日水曜日

1179.「世界で勝てるブランディングカンパニー―――ブランド力でマネジメントを強化する日本企業の挑戦」 関野 吉記、 奥山 由実子

外国でも人気があるジャパンブランドについての考察です。

特に勉強になったのは無印良品のケースです。

無印良品はもともと西友のプライベート・ブランドでした。
しかし、普通のプライベート・ブランドがそこそこの品質で安い商品であったのに対し、無印良品は、「百貨店のクオリティを7割の価格で販売する」というコンセプトであったため、高品質でしたがスーパーでは安いという商品ではありませんでした。

ただ、品質に対しては安かったため、しっかり安い理由を説明し、その安さを追求するためにシンプルを目指した。そして、デザインのコストは削除しなかったために、顧客を引きつけ、ノーブランド(無印)だったものが「無印良品」というブランドになってしまったのでした。

ブランドには哲学が必要だと思わせる話でした。

2017年6月20日火曜日

1178.「日本統治時代を肯定的に理解する 韓国の一知識人の回想」 朴贊雄

韓国併合時代の様子をそこで生活していた韓国人の目から見た回顧録です。

現在、韓国で言われているような搾取や弾圧は書かれていません。

日本人側に差別的な行為がなかったとは言えませんが非常に平和に暮らしていたようです。

そもそも、日本人比率は全国で3%、都市部で15%くらいであったので、支配することは不可能でしょう。弾圧したら返り討ちにあいます。

実際に反対運動は三・一運動のみで、日本側が武官政治から文人政治に変えてからは起こっていません。

韓国併合の35年間で人口が2倍に増え、産業も教育も順調に育っていました。

現在の反日思想は、李承晩が独裁体制を築く求心力として作ったプロパガンダが原因です。それにより日韓が協力することが事実上不可能になったことが残念に思われます。

2017年6月19日月曜日

1177.「ジャッジメント」 小林 由香

被害者が殺されたのと同じ方法で殺人者を殺すことができる「復讐法」が施行された未来。

被害者家族は、旧来法の判決と復讐法による復讐を選択できるようになったものの、実際に復讐を選択するかどうかを苦悩することになります。

その復讐を見届ける応報監察官の鳥谷文乃は、多くの復讐に立ち会ううちに自らもその苦悩に取り込まれ精神のバランスを崩していきます。

被害者家族だったら犯人に復讐してやりたいという心情が起こるものと思いますが、本作は実際に復讐が合法化されたとき、どういった問題が起こるのかのシュミレーションを見せてくれます。非常に考えることが多い作品です。





2017年6月16日金曜日

1176.「赤い韓国 危機を招く半島の真実」 櫻井よしこ、 呉善花

韓国人が日本を嫌うのは、中華思想にあるとのことです。
つまり、中国(親)⇒韓国(兄)⇒日本(弟)という順位づけで、弟のくせに兄を併合し、言葉を奪い、改名させ、財産を奪ったのは許せないという考えです。
さらに、島国は潜在的に野蛮と感じることも相まって、反日となっています。

そして、朝鮮戦争後は、反共反日が国民結束のシンボルでしたが、北朝鮮の工作と血統に憧れる国民性から親北となったために、国民結束のシンボルが反日だけになってしまいました。

今や、親日はイコール非国民となってしまい、日本が韓国と協力してうまくやっていくということは殆ど不可能だと思います。慰安婦合意も破棄され10億円は帰ってこず、さらなる謝罪と賠償を求めてくるでしょう。

日清戦争、日露戦争、支那事変といった争いはすべて朝鮮に介入したことが原因です。一方、朝鮮戦争では機雷回収には引っ張り出されたものの介入までいたらず難を逃れました。朝鮮統一も有り得る現在、防衛や難民対策に絞って、朝鮮に深入りしない方がよいと思いました。

2017年6月15日木曜日

1175.「井上太郎最前線日記」 井上太郎

社会主義と共産主義の違いが何となく理解できました。
簡単に言えば、ブルジョアジーからの革命が社会主義で、プロレタリアートからの革命が共産主義という見方ができるようです。
でも、どちらも暴力革命による資本主義の転覆なんですね。

日本共産党と日本社会党の関係がよく分かりました。
ともに在日韓国人が深く影響を与えた同根の左派政党のようです。
朝鮮半島が日本に及ぼした悪影響は根が深く、未だに尾を引いています。

その他、中朝のプロパガンダ、女系天皇、日教組、あしなが育英会、ベルマークなど知らなかった恐ろしい話が満載です。



2017年6月14日水曜日

1174.「読むだけでお金の増やし方が身につく 京都かけだし信金マンの事件簿」 菅井敏之

「読むだけでお金の増やし方が身につく」とのタイトルだったので、小説形式の自己啓発書かと思いましたが、全く違いました。

読んでもお金の増やし方は身につかないと思います。編集者が売上を狙ってつけたものと思われます。

この本は普通の経済小説です。信用金庫に入行して3年目の若手行員が銀行に入れなかったコンプレックスを抱きながら、MBAなどの知識ではなく、様々な人との出会いから仕事を学び成長していくという物語です。

ビジネス書の著者が小説に携わると、表現などがぎこちなくなりがちですが、本書はきちんとした小説の文章になっています。

2017年6月13日火曜日

1173.「忙しい人の TOEIC®テストとビジネス英語の同時学習法」 嬉野 克也

読み物としては面白く、真似したい部分もありますが、個人の体験談なので汎用性は不明です。

本書で薦められているBBCのウェブサイトは、すぐに読めて役立ちそうです。

著者は、簡単で薄い子供用の英語の本は面白くないので読みきれないそうです。その代わりに「7 Habits」(7つの習慣)を読んだとのことです。

難しくて長かったため、3ヶ月位かかったそうですが、興味ある内容なので読み終えることができたそうです。読み終えると長文に対する苦手意識もなくなり、TOEICにも有効だったようです。

2017年6月12日月曜日

1172.「心霊探偵八雲10 魂の道標」 神永 学

前作から5年も経過しているにも関わらず、書き下ろしということで根強い人気が伺えます。

八雲は赤い左眼を持ち、死者の魂を見ることが出来るという設定ですが、本作ではその能力が失われています。

そのため、自信を喪失していますがが能力がない分、周囲からの協力が得られてます。そして、洞察力、推理力、人間把握力が発揮され、人間の本質としての魅力が発揮されています。

霊が憑依して失踪した妹を探すという話ですが、読み応えがあります。

八雲に好意を持つ晴香の大学卒業が近いため、シリーズ完結も近そうです。何年後になるかわからない次回作ですが、楽しみです。

2017年6月9日金曜日

1171.「なぜあなたの予測は外れるのか――AIが起こすデータサイエンス革命」 小松 秀樹

心理学面から予測が外れる理由と解き明かす本かと思いまいしたが全く違います。

主に、スーパーやコンビニエンスストアの発注予測を取り上げ、これまでの人間による予測とAIによる予測を比較し、その相違を解説しています。

そういった意味で、AIによる予測を知る入門書のような感じです。

本書の内容を参考にして個人が予測の修正に使うというのは難しいですね。

2017年6月8日木曜日

1170.「どこかでベートーヴェン」中山 七里

映画化された「さよならドビュッシー」に始まる音楽ミステリーシリーズ。
本書は主人公である岬洋介の最初の事件です。

高校の音楽科で起きた殺人事件で、洋介は重要参考人として容疑をかけられます。警察が本腰を入れないなか、洋介自身が真犯人を探そうと奔走します。

ミステリーというメインテーマのサブテーマとして、生まれ持った「才能」が取り上げられています。生まれながらにして才能を持つ者と持たない者との決定的な差、持たない者の嫉妬、嫉み、妬み、憎しみ。

それらが一色となり濃度の濃いミステリーとなっています。

2017年6月7日水曜日

1169.「世界大乱で連鎖崩壊する中国 日米に迫る激変: EU分裂、テロ頻発、南シナ海紛争…」 宮崎 正弘

日本は「民泊」を無造作に増やそうとしていますが、ベルリンでは完全に禁止されたそうです。
理由は、テロリストの拠点となったり、不法移民の巣となったりしたためです。
そういったことも議論せず、日本は遅れているとして「民泊」を推進するのは、安全保障面で大きな脆弱性を抱えることになります。

また、金融市場については、市場情報が外国発信の情報に操作されているという指摘も的をエています。「機関投資家」の意見が取り上げられますが、機関投資家=ウォール街であるため、ウォール街の投資家が自分の意図にあった情報を流すと日本の投資家はまんまとその情報に動かされてしまいます。

アメリカは歴史が浅いので「中世」を経験していないゆえに武士道も騎士道も分からないという指摘も納得がいきました。だから、無礼で乱暴でマナーを知らず世界の常識に従いません。道徳心が欠落した中国人と気質が似ているとう渡部昇一氏の言葉はその通りだと思いました。

2017年6月6日火曜日

1168.「魔法のコンパス 道なき道の歩き方」 西野 亮廣

自己啓発書と思って読み始めましたが、著者の考えを綴ったエッセーでした。

出だしから色々批判めいたことをいっているので、めんどくさいなと感じました。
しかし、読み進めると、その批判は様々な問題意識を持って思考しているから生じるものと分かります。
そして、著者自身が様々なビジネスを仕掛けて成功していることを知り、刺激を受け、勉強になりました。

著者は、そのネームバリューと事務所の力で一定の成功を収めているものと思っていましたが、自らがマーケティングを行い実行していることを知り、とても感心しました。

2017年6月5日月曜日

1167.「孔子を捨てた国――現代中国残酷物語」 福島香織

読むほどにメチャクチャな国と分かる中国。

そして、そこで育った人間は日本人とは根本的に全く違う考えや価値観を持ちます。
日本人は法律を守るのが当たり前ですが、中国人は法律を上手く破るのが賢いと思っているフシがあります。
そう理解すると、日本でのトラブルの理由もわかります。

文化大革命の時代には食人まで行われていたおそろしい民族。
警戒して付き合うのに越したことはないと思いました。



2017年6月2日金曜日

1166.「買わせる文章が「誰でも」「思い通り」に書ける101の法則」 山口 拓朗

特に奇をてらったことが書かれているわけではありません。

読み手に関心を持たせる文章の書き方に関するヒントが101個書かれています。

体系だった文章構成ではないので、どこからでも気に入ったテーマから読め、すぐに使えそうです。

実際に文章を書きながら、この本を傍らに置いて修正するという使い方が有効に思えました。

2017年6月1日木曜日

1165.「幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII」 岸見 一郎、 古賀 史健

ベストセラー「嫌われる勇気」の続編です。

前作でアドラー心理学に魅せられた青年が、哲人に教わったことを自分が担任するクラスで試したところ、学級崩壊してしまいました。
怒った青年は、哲人に文句を言いに行きますが・・・

前書がアドラー心理学の考え方を説明していたのに対し、本書はその内容の日常生活への落とし込みです。本来なら、より分かりやすくなるはずですが、かえって分からなくなってしまいました。

「叱らない」「ほめない」で「尊敬する」ことが核です。
「尊敬する」とは「ありのあまのその人を尊重すること」ですが、実践は難しいかな。。。